逃げ上手のパブ君   作:シフォンしゅぎ

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スプラ小説増えて…!!自給自足も兼ねて投稿します。


beginning

 

 

インクバトル。それは、インクリングやオクトリングの若者たちの間で流行している、もはや国民的スポーツと化した2000年前から存在する歴史あるスポーツだ。現代のイカの若者たちの間でもスポーツとして、あるいはそれ自体がイカしたファッションとしてトレンドとなっている。

 

ナワバリバトルにはイカ達の本能である高い自己顕示欲とナワバリ意識を発散する効果もあるとされていることから、やらないイカタコはいないだろう。

 

今日もより発展した観客とプレイヤーの熱気冷めやらぬステージの上では様々な戦いが繰り広げられている。14才となりヒト状態を保てるようになった若者から大人までが日々明け暮れるバトルだが、ひとつ、インクバトルを愛し、追随を許さないほどに極めた者しか辿り着けない次元がある。

 

世のイカタコたちがこぞって憧れるもの。それは、プロプレイヤーである。ウデマエを磨き、最高ランクである「X」まで到達した者の中から一握りのプレイヤーだけがスポンサーを勝ち取り、そこからスポンサーが管理しているプロチームへの加入が許されるのだ。

 

 

ならば、プロプレイヤーになりたいものはどうすればいいのかって?

 

それは単純だが、茨の道。ライバルひしめく「ガチ」でエクストリームなバトル、「ガチマッチ」の試合の中で一際強く輝けばいいのだ。キル力、視野の広さ、ブキ理解度やヘイト管理能力などチームが必要としている戦力は様々。

 

 

『さあ、キミはどんなイカしたプレーで世界を魅了する?次の神プレイヤーは、あなたかもしれ』

 

 

 

 

外から聞こえる車の音に勝手に身体が反応し、染み付いてしまった動きでリモコンを操作した。動画投稿サイトの履歴を全て消してログイン先を変更。すると女性アイドルや少し健全でない内容の動画がずらりと表示される。

 

…やっぱり何度見ても、興味が違うとこんなにも濁って見えるものなのか。

こみ上がる拒絶感に眉を寄せたあと、スミガードゴーグルを隠しておいた押し入れから引っ張り出してきて、首に下げる。押入れの中は日陰な上に今日の気温が低かったからか、ゴーグルはナイフのように冷たく光を放ちながら、氷のような冷たさを持っていた。

 

「おい、帰ってきたのに挨拶もなしか!!つくづくダメ息子だなテメェはよ!!!!」

 

怒号と共にドアが壊れてしまうほどのスピードで蹴り開けられる。途端に引き攣る喉から出かかった悲鳴を押し殺した。ドアが開く轟音に紛れるように震える手でなんとか窓の鍵を開け、小さな音で窓を引き開けることに成功する。

 

 

ーー街の騒々しい雰囲気とは反対に、弱々しくひゅうひゅうと吹く澄んだ空気が、少年の肩につかないくらいのゲソを踊らせた。スミガードゴーグルを首から上げ、きちんと装着する。そして彼は窓枠を軽く蹴り、隣のアパートの屋根に飛び移った。

 

「じゃあね、ダメ親父。」

 

少年が外に出て最初に放った言葉は、実の父親への悪口だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひょいひょいと屋根と屋根の間を飛び渡っていく。見回すと住んでいたボロボロアパートは随分うしろに建っていた。これだけ離れればまず追ってこないだろう。

 

…もうあいつの事は忘れよう。関係なくなったのだから。

 

そう切り替え、さらに進んでいく。助走をつける、ジャンプする。階段を雨から守るためについたトタン屋根を滑り降り、また走る。そうやっていくらか走り続けていると、開けた場所にたどり着いた。シーソーやジャングルジムの遊具やベンチなどがあるのを見て、気づいた。これは…公園だ!

 

一人でシーソーに乗り、虚無なギッコンバッタンを楽しみ、ジャングルジムを登って滑り台を滑り降りる。そうして思いっきり遊具で遊び終わった後、落ちていたコインを拾い集めて初めてジュースを買った。どうやら振るとゼリーが細かくなって飲みやすくなるそうなので、振ってみる。…数分振り続けて、ドロドロのスライムみたいな飲み心地になってしまった。

 

でもジュースの味は変わらず美味しくて、イラスト通りブドウの味がしたから良しとする。

 

 

ベンチに座って、走りっぱなしで乱れた息を整える。空いた頭に思いつくのは、これからのこと。

この後どうしよう。ぼんやり考えても自分のやるべきことがわからない。お金もないし、家もない。いくら雨風を凌げる場所でもあんな場所へは一生戻りたくない。でもちょっと寒いし、雨なんか降ったら凍えて、溶けてしまう。あー、もう。絶対今考えるべきじゃないのに。それなのに、やっぱり強く思ってしまった。

 

 

 

「バトルしたい…」

 

「いいぞ、するか。ルールは1on1、ブキはスプラシューター、サブスペ禁止。時間は…あー、飛行機あるんだった。なら一分。スタート地点はあるからやられても大丈夫だ。それと…」

 

「……???」

 

 

寂しくて出ていた涙が急速に引っ込んでいく。誰だ、この人。いやさっきまで誰もいなかったこの公園に、音も気配もなくこのベンチまで来るなんて、できるわけがない。だなんて、ぐるぐる考えてしまっていた少年を謎の青年は一瞥してくつくつと笑う。やっと思考の海から浮上してこれた少年に渡されたのは、街灯を反射して煌めくスプラシューター。

 

それは、憧れていたバトルへのひとつの参加券。バトルに必要不可欠な「ブキ」だった。涙で滲んでいた目をぐいっと拭い、じーんと感動に浸る。そして改めてスプラシューターを見つめ直した…ところで、思わず少年は息を呑んだ。

 

 

なぜなら、このスプラシューターは、テレビの中であのプレイヤーが握っていた世界に一つだけの特別デザインモデルと瓜二つだったからだ。

タンク部分は従来のスプラシューターのような曲線ではなく、鋭く走る稲妻模様。シューターの銃身は燃え上がるような深い赤色。持ち手のグリップ部分は真っ黒で、「ISSAC」の刻印まで施されていた。ということは、彼は。

 

 

「ちょうど体あっためたかったんだ。寒がりでさ、カゼひいて練習禁止だったし。」

 

青年が体の力を抜くようにトントンとジャンプし、軽く肩のストレッチをする。そして射抜くような視線をこちらに向け、緩やかな笑顔のまま告げた。

 

 

「オレはアイザック。もし勝てたら、とあるものをあげよう。勝利条件はーー」

 

ーー彼はおそらく、見るもの全てを魅了するような圧倒的な強さを誇る…世界一のプレイヤーだ。

 

 

「『オレに弾を一発当てる』だ。」

 

その迫力に気押されてごくりと思わず生唾を飲み込んでしまった間抜けな音が、やけに現実離れしたこの空間と少年の存在を繋ぎ止めていた。

 

 

 

 

 

 

「おーい、大丈夫か…?」

 

息を切らして最後は盛大に地面に転けてしまった少年を見ながら、アイザックは苦笑いしてしまった。先ほどのバトル、勝者はもちろんアイザックだった。まぁそれは仕方ないのだが…バトル未経験な少年は、反射神経に体の使い方とブキへの理解度、それとエイムが追いついていなかった。一見ダメダメなバトルだったが、アイザックはひとつ、少年の類い稀な長所を見つけたのだ。なんとか少年の肩を持って起こしてやり、話しかける。

 

その長所は、腐らせてはいけないものだから。世界一とされたなら、才能を伸ばしてあげるのも彼の宿命。

 

 

「オレが攻撃して、キミが避けてみるのってどう?」

 

少年のきょとんとした顔があまりにも間抜けで、彼は思わず吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

根拠と裏づけされるだけの努力からくる自己自信。それは高みを目指す上での翼ともなるし、不足する場合は自分の限界を決めつけてしまうことによる、足枷にもなる。言うなれば「自信」や「自己陶酔」だろうか。少年に彼の能力の限界を気付かれないように、照準を合わせていく。

 

かなり厳しい弾も少年は難なく避け、息すらも上がらせていない。少年が持っている能力を、古代の言語である「ニホンゴ」の表現を借りて言うならばーー

 

 

これは少年の中に眠る「生存本能」が花開いたもの。

 

「『ニンゲンバナレ』した反射神経か…」

 

 

バトルの結果に響くものは、キルだけではない。裏取りや塗り、ちょっとしたバトル中の判断ミスなど数多く戦況逆転の鍵は数多くある。その中でも少年の持つ能力は、バトルにおいて最も光り輝く。

 

少年が走る方向の先。アイザックは少年が来るであろう位置を予測して「置き撃ち」を試みる。しかし、直前でフェイントをした少年の鋭いバックステップでエイムのタイミングをずらされた。少年が走る軌道に合うように弾を撃つ「偏差撃ち」も彼がスライディングしたことによって高さをずらされ、不発に終わる。

 

 

少年は今までに体験したことのないような高揚感と、一歩でも動きを間違えたら刈り取られる緊張感をないまぜにした不思議な感覚を味わっている最中だった。頭で考えるよりも先に身体が動く。見てから弾を回避することができるなんて、あのアパートにいた時は想像もしていなかった。

 

早くバトルしてみたい。いろんなヒトに会ってみたい。どんな戦い方をしたらいいのか、ワクワクが止まらなかった。

 

 

ここでアイザックの腕につけられたバトル用アームバンドから、1on1終了の10秒前のアナウンスがされる。ここまで逃げ切れたなら上出来だ。この少年なら、戦っていける。いずれは、プロにもーーそれは、まだ時期尚早ではあるが。

 

「よくできました、少年。……期待してるよ。」

 

そして少年は、これまでとは段違いの弾速となったアイザックの見事なキルに意識を刈り取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、何やら銀色でコーヒーメーカーの部品のようなマシンの上に立っていた。少年の体重を乗せてもなんの音も発さないそれは無機質に鈍い光を放っている。いつまでも乗るのは機械に負担をかけてしまうかもと降りると、コーヒーメーカーもどきはふわりと宙に浮かび、アイザックの手の上に舞い戻った。

 

よく見てみると、中心に矢印のような機構がくるくると渦巻いている。テレビで見た「スタート地点」にも似たような模様があったのを思い出して考えてみるに、これは持ち運びできるスタート地点のようなものなのかもしれない。

 

何やら忙しなくスマートフォンを操作しているアイザックに一瞥された後手招きされ、彼の近くのベンチに座る。「お疲れ様」と声がかけられ、なんとなくくすぐったいような気分になった。彼がどこか満足したような、安堵したような表情を見せた後、ふいにスマートフォンの画面を見せられる。

 

 

「見える?」

 

 

メールアプリらしきその画面の中の書類には、「boneless project 」という見出し。その下にもさらに細かく、読むのを諦めてしまうほどのたくさんの字が所狭しに入れられていた。

 

 

「オレさ、今このプロジェクトに参加する意思のあるイカしたやつを探してこいって言われてて。プロ希望者が自己アピールする場だって、ごく一部のプレイヤーの間で話題になってんのよ。それで、オレはキミをこれに参加させたいって思ってる。バトルしていきたいなら間違いなく強くなれるし、これがこの先プロになるための新しい道になっていくとも考えてる。」

 

「…!」

 

 

バトルは大好きだ。今回の1on1で自分の目標も見つけることができたし、感覚はバトルが進むほど鋭くなっていったし、あの時に味わった興奮も本物だった。よりインクバトルに魅了されたのだ。でも…心のどこかに、自分みたいなヤツがこんなに恵まれた環境を手にしてしまっていいのだろうかと、ブレーキをかけてしまう部分もある。果たすべき役割をこなすことができなかったヤツに、そんな資格などあってはダメだろう。

 

どんどんと深みにハマっていく脳内の色を、文字通りまるごと塗り替えるような提案がなされたのは、そのすぐ後だった。

 

 

 

「服、寝床、バトル環境、ブキ、強いやつ、すごいやつ、3食デザート付き。」

「…」

 

当然そんな甘言を浴びせられてしまっては、提案を断れるはずもなく。

武者震いからか寒さからか、震える手を押さえつけて書類のサイン欄に「ヲト」と自分の名前を書き記した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぅ」

 

ゴウゴウと体の奥まで震わせてくるようなこの轟音は、どこからなっているのだろうか。

重たく魅力的な眠気をなんとか端にやり、プルプルと暴れる瞼を開く。どうやら随分眠っていてしまったようだ。座っているのは背もたれに肘掛けまでついたふわふわの椅子。今までに乗った車の中ではダントツ一位の快適さだ。

 

そして視界に入ってくる小さな窓を何気なくのぞいてみて…言葉を失った。

 

「……!」

 

とんでもない高さで飛んでいる「飛行機」の下には、綺麗な青が幾重にも重なる空とどこまでも何層も広がる白くて真っ白な雲。間違いなく世界最高の景色が目の前にあった。

あまりの興奮で乾いた喉を潤すためにテーブルに置いてあったオレンジジュースを一口飲む。

 

途端に広がる甘味と鋭い酸味に体を震わせ「んま…」と声を漏らすと、後ろの席の人に丸めた新聞紙でポカっと頭を叩かれた。どうやら耳障りだったらしい。

 

そして何時間かぶりに地に足をつけたヲトは、カジキ空港の人の多さに再び言葉を失っていた。

 

 

 

 

 

 

さらにその数十分後、ヲトはあるビルの前に立っていた。地図と景色をよく見比べ、目指している建物にこの目の前の建物は合致しているかよく確かめる。住所と外観、それと建物の名称まで穴が開くほど見つめたのち、ここが「boneless project 」の開催会場らしいことがわかった。

 

恐る恐る建物内に入ると、コンクリートの壁に囲まれた一つの部屋がヲトを出迎えた。部屋の突き当たりにはエレベーターがある。受付所もスタッフも見当たらないので、進む先はあのエレベーターの先にしかないようだ。エレベーターの元に近づいて中に入ると、ある違和感を感じた。

 

「?」

 

階層が表示されたボタンの数字を見てみると、階層が「B⒈」の一つしかなかったのだ。どうやらこのエレベーターは下にしか進まず、地下一階しかフロアが存在しないらしい。あんなに外観は高く伸びるビルのようだったのにもかかわらず。異質なエレベーターに早速不気味さを感じさせられたが、ヲトの行き先と未来はこの場所にしかないのだ。

 

意を決して力強くボタンを押すとドアが閉まり、音を一切立てずに銀色の箱は動き出す。身体にかかる少しの浮遊感を感じながら、しばし地下への旅を楽しんでみることにした。

 

 

 

 

 

エレベーターでロビーのようだった殺風景な部屋から降り始めて、時間にして数十秒経った頃。

 

身体に重さが戻るような、下降が止まる感覚がヲトの意識を冴えさせた。そして、今まで開く素振りを少しも見せなかったドアが静かに開く。開いたドアから入ってきたのはゲソをぱっつりと肩までのボブに切りそろえた、イカだった。

 

 

「む、2番乗りですか」

 

乗り込んでくると隅の方に移動して、スマホを眺め出した。イカにしては大きめの黒目は軽く開かれ、前ゲソまで鋭く切り揃えられた刃物のようなゲソは頭の角度が下がるに従ってするりと俯く。

まだ幼さが残る声変わり前のような声の響きから察するに、ボーイ…だろう。フクはボーイとガールどちらも着そうな物だったし、右耳に飾られたトゲトゲな尖ったピアスを見てみても新しくわかることはなく、やはり彼は中性的なイカだった。

 

 

「何ジロジロ見てるです?」

 

途端にじっと彼を見つめていたことに今更気づき、慌てて目を泳がせてしまう。疑うように鋭い眼差しを向けられては、返す言葉もない。いや、喋る言葉もないのだが。

 

 

「……まーいいです。」

 

彼が興味を失ってヲトの鼓動が正常なテンポで動き出す頃には、「B1」に到着していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっち入れってことだよな」

「キンチョーする……」

「おい、止まるなよ!」

 

ゾロゾロと入っていくヒトたちの動きに合わせ、ヲトも行列の一部となって部屋に入っていく。エレベーターから出た後に案内された場所は、どこか映画館のような構造のシアタールームだった。それでも映画館特有の薄暗さはなく、一般的なものよりも映像を映すであろうスクリーンははるかに大きく、それなりの圧迫感があった。

 

ヲトが飛行機の椅子にも引けを取らないほどのふわふわな椅子に座ると、シアター内の照明が絞られ、薄暗くなる。ざわざわとした他の挑戦者たちの声も次第に小さくなっていく。やがて完全に静寂が訪れると、スクリーンにとあるバトルの風景が映された。

 

 

スクリーンの中央にイカのボーイが立っている。射程とサブウェポン、ブキの大きさから見るに使用しているブキはスプラシューターだろう。突然流された映像を不思議に思ったのか少しざわついたシアター内が、次の瞬間息を呑んだ。

 

 

 

そのボーイが、普通ではあり得ないようなアクロバティックな動きで素早く敵に詰め寄ったかと思うとーー

 

 

瞬きの間に、

 

 

相手の弾を一発も浴びず、

 

 

その赤く輝くスプラシューターの性能を余すところなく活かし、

 

 

相手チーム4人を一呼吸の間に「wipe out」したからである。

 

 

 

 

ーーヲトはこの映像に見覚えがあった。なぜなら、つい昨日まで見ていたから。擦り切れるほど繰り返し見たその神がかったプレイングを行うプレイヤーの名は。

 

 

「あれさ、アイザック…?」

 

「…!だよな!アイザックだ…あれ!」

 

「やべー、まじで神…!」

 

「かっけー…」

 

 

映像が終わりシアターには照明がつけられ次の瞬間、一斉に挑戦者たちが興奮したように話し出した。数十秒ほど経ってもいまだその熱は収まりそうになく、そのざわめきに割り込むように、場違いさすら感じる軽快な音でピンポンパンポン、とアナウンスの始まりを告げるチャイムがなった。

 

 

 

《マイクテスト、マイクテスト。》

 

唐突に始まったアナウンスに周りはまたも静寂を取り戻し、誰もが耳を向ける。

 

 

《ワタクシはマスターと申しまス。「bone less project」の案内人でス。今の映像からも分かると思いますガ、超越したバトルは、見た者をもれなく魅了させまス。アナタ達の中のプロプレイヤー達や「4神傑」のようになれる才能ヲ、腐らせてはなりませン。…「bone less project」で勝ち上がり、誰もを「bone less(ホネ抜き)」にさせてくださイ。

ーーーーードアが開きましたラ、係員の指示に従っテくださイ。》

 

 

 

アナウンスが終了した瞬間、来た方とは反対方向のドアが開けられた。途端に我先にと、闘争心に火をつけられた挑戦者チャレンジャーたちが走り出す。

 

 

ここからが、スタートだ。

 

 

ヲトも湧き上がる好奇心を口端に滲ませながら、まばゆいドアの向こうへと歩みを進めていった。

 





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