【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア! 作:Cran
というか、あの個性カウンセリングの先生は異形型とかも差別する系の思想なのでは。ヒロアカ的な個性以外の様々な個性の方々とかも矯正しにかかる性質なのではないかと。漫画の描写見てるとトガ両親もなんか先生に曲がった思想に基づくお話されている感じですしね。
高評価わあい!
そして、誤字指摘、ありがとうございます!
前話は更新して30分後にはご指摘いただいて、電光石火のスピードにありがたみを感じました。
今話、前半は誰かさんの一人称です。
私は、自分でもわからないほどに“あの子”に惹かれているということを自覚していたけれど、なんでこれほどまでに惹かれているのかはわからなかった。正確には、惹かれている原因はわかっているのに、その原因がどこからきているのかがわからないみたいな、複雑な感じです。
おかしいなぁ。最初はぜんぜん気が付かなかったのに、あのとき嗅いじゃってからずっと、目で追うのがやめられない。ずっと、
保健室の前に座り込んでいる姿をみて、少し心配になって声をかけただけでした。ほかの生徒はいないし、授業の開始は近いけど何か困っているひとがいたら、ほかのひとが力になるのは当たり前で、普通のことだから。
きっと、保健室に用事があったのに先生がいなくて入れず、立ち往生しているのだろうな。そして、どこも怪我をしている様子はないから、悪いのは体調なんだろうな。そう思った通り、その子は、体調が悪くてしんどいのだと、うつむき加減だった顔を上げて、困ったように笑った。
カァイイなぁ。私が心配そうにしているのを見て、あんまり心配させないようにと浮かべたんだろう笑顔はとってもかわいくて、うらやましかった。友達たちといろんなおしゃべりや恋バナをしているときに、いつも感じる気持ちと同じ。みんなとってもカァイイ笑顔だけど、私の笑顔はかぁいくないから。普通じゃないから。我慢しなきゃいけないから。いつだってみんなのことがうらやましかった。
けれど、そんな気持ちはあっさり吹き飛んでいきました。
その子、怪我なんてどこもしていないのに、血の匂いがしたの。
顔とかも擦り傷ひとつもなくてキレーなのに、あのスズメさんよりもボロボロな感じがしていました。すごく、何かをものすごく一生懸命に頑張った血の匂い。これまでに一度も嗅いだことがない匂いで、それだけで頭と胸の中がぱんぱんになってはち切れそうなほどになってしまったの。
びっくりされちゃったし、私もびっくりしてしまったからすぐにその子から逃げて、保健の先生を呼びにいったけれど、胸のドキドキは夜になっても収まらなかった。
それから、あの子の姿を探すようになった。登下校のときも、休み時間のときも。いまもそう。遠くにいるのにあの匂いが分かります。離れていても感じます。なんでこれまで気が付かなかったんだろうって不思議なくらい。もしかして、私の個性は実は吸血コウモリさん由来のものとかで、マークした獲物を逃さないための力があったりするのかも。
それとも、これは恋なんだろうか。女の子同士ですけどそういうことも普通だって教えてもらいました。もしかしたらあのとき私は恋におちてしまっていて、そして目覚めた恋のパワーで特別なセンサーが働いたりしている、とか。そっちの方がいいな。コウモリパワーとかだと、かぁいくないのでヤです。
でも、どっちにしても、こんな風にこっそり探して、こっそり追いかけて遠くから見つめて、こっそり匂いを嗅いでいるのは絶対に変態さんです。普通じゃありませんし、かぁいくないです。かぁいくないけど、違うんです! 本当は声をかけようと思っていたんです! 具合が悪そうだったから心配してたけどもう大丈夫? って聞こうと思っていたんです! ちょっとナンパっぽいですねゴメンナサイ!! けど心配だったのは本当ですし、その勢いでお名前を聞けたらと思っていたんです!!! 無理でした!!!!!
翌日に声をかける勇気が出なかったのが失敗だと思う。もう何日も過ぎてるからいまさらだし、何なら付きまとっちゃっているし。友達やほかの生徒さんたちの目を盗むようにしてたし仲のいい友達にもばれていないからまだいいですけど。もし、友達とかに気づかれて、それであの子にも気が付かれて、ずっと見ていたし匂いも嗅いでたなんてバレて、「やだ、気持ち悪い……」なんていわれたら、私はその場で天国にいける自信があります。お墓でもいいです。きっと1秒あれば気合で私3人分くらいは掘れます。
そんなことを思っていたら友達と離れて、角をまがっていっちゃいました。いけません、
でも明日こそは。まだ諦められません。心配しているひとを安心させようとしてくれるあの子はきっとすっごくイイコだと思いますし、すっごくカァイイですし、すっごいいい匂いです。お友達になりたいの。血を飲ませてほしいっていう気持ちをおさえなきゃいけないから、間違いなくつらいけれど。でもです。お名前は周囲にいる子たちの発言から私はもう知っちゃいましたけど、アイザワキミコちゃんに私がトガヒミコだって知って欲しいです。
「こんにちは、って、話しかけたいです……」
「えっと、……こんにちは?」
あ。
ああああ。
違うの、違う、違うんです! 何がって違わないけど違うんです!!
ヤぁぁぁぁ! 気持ち悪がられちゃう!
υ´• ﻌ •`υ
公子は1学年上の先輩と校舎裏にいた。
そして困惑していた。
(いや、連れてきたの私だけど)
それはほんの5分ばかり前のこと。
公子は、ここ最近ずっとといっていいくらい、自分に近づくのか近づかないのかわからない距離にお客様がいらっしゃるようになっていたのはわかっていた。もともと、彼女は特に多感な時期の生活環境が原因で、自分たちに対する視線への強い敏感さを備えていた。いつ不意を打たれるのかもわからない探索と戦闘の日々でさらに磨かれたそれは、この世界に来てからも失われず、鋭敏さを保っていたのである。
ただ、その観察からは別段、公子への悪意は感じないし、もしかしたら自身のファンかしらと思って密かに確認してみれば、先だって、保健室で先生を呼びにいってくれた先輩だったのだ。あのとき、ついという感じで彼女の匂いを嗅いでいたので、もしかしたらそれを失礼なふるまいをだったなどと謝りにでもきているのかと思い当たった。
しかし、謝るのが恥ずかしいのかいつまでたってもつかず離れずの距離を保ったままで話しかけてくるでもないし、なんというか生殺しのような状態が続いていた。美衣に具体的な内容は伏せて、ただ付いてくるだけの人がいるがどう思うかと意見を聞いてみると、「相澤ちゃんのストーカーとか」との答えが返ってきたが、さすがにそれはないだろう*1。放っておいてもお互いのためにはならないので、わざと友達から離れてみせることでうまいこと釣りあげられたので、こちらを覗き込もうとしているであろう所にこちらから覗き込んで声をかけようとしたところに、切なそうな言葉が耳に入り。
思わず挨拶を返したのだが、そこからが大変であった。
顔を見合わせた状態でぴしりと固まったと思ったら慌てふためいて次第に涙目になってしまった先輩の手を掴んで、とりあえず女子トイレにでもと思ったものの、今にも泣きだしそうな様子に人の来ないところ移動するべきと判断して大急ぎで連れていき、やってきたのが校舎裏。
授業開始のチャイムはもう鳴り終わっており、ここには2人だけである。
「えっと、すみません、サボらせちゃいました」
「うぅ……こちらこそ。私が悪いんです……」
謝罪の言葉に先輩もお詫びを返し、両手で顔を覆うと校舎の壁に背中をつけてうずくまってしまう。公子も合わせて腰を下ろす。
「えっと、この前、保健室の先生を呼びに行ってくださった先輩ですよね」
「あ、覚えててくれてました……?」
「インパクトがありましたし、ちゃんと覚えてますよ」
「うぅ。いきなり匂いを嗅いじゃって、ごめんなさい、気持ち悪かったよね……」
「あはは! びっくりはしたけど気持ち悪くなんてなかったです。もしかして汗臭かったかなって心配しちゃいましたけど」
すると、先輩はやおら顔を上げて打って変わったように力強くまくし立てる。
「いいえすっごくすっごくいい匂いでした!!!」
「あ、そ、それならよかったです?」
断言されて少し恥ずかしくなって頬をかく公子に、今度はしょんぼりする。
「ご、ごめんなさい。私、最初にあったときから、普通じゃないよね」
「そうですか? 私も友達によくしますよ。猫ちゃんの個性で、髪の毛もふかふかでいい匂いがするので、よく吸わせてもらってます」
「チウチウ……?」
「猫吸いってやつです。抱き着いて匂いを嗅いだりもさせてもらってますし、普通ですよ普通」
「普通かぁ……よかった。あ、わ、私、トガです。トガヒミコ、2年生です」
「私は1年生の相澤公子です。公子でも公子ちゃんでもキミちゃんでもいいですよ」
じゃあ、キミちゃんにしますという先輩に、私はヒミコ先輩にしますねと確認しあってから、お互いに漢字を地面に書いて教えあう。
なるほどなるほどと字を見て、公子がふと気が付いたことを口にする。
「ヒミコ先輩、画数多いですね。テストのときとか大変じゃないですか?」
「そうなの。手が疲れます。一番大変なのは習字ですね」
「あー、私、無理かも。絶対に文字がつぶれちゃう*2」
「手先は器用な方みたいだから何とかできるんですけど、面倒は面倒ですー」
「私は苗字はともかく名前はシンプルな勝ち組です!」
「ズルいです!」
がおーと曲げた指でつかみかかろうとして、きゃーと身をよじって、迎え撃つ構えを取りながら笑いだす公子に、被身子も弾けるように笑――
「!」
――いそうになって、急いで両手で顔全体を隠す。
「ヒミコ先輩?」
「ふぁんふぇふぉふぁいふぇふ*3」
隠したまま横を向いてしまう被身子を、公子はじっと見る。
少したってから。それではなさそうだと感じながらも質問する。
「先輩、笑ってるの恥ずかしいって思ってる……感じですか?」
「……」
被身子は手を外して、もう笑っていない顔で膝を抱える。
「私、笑顔が普通じゃないんです。かぁいくないから、不気味だから笑っちゃダメなの」
やはり違った返答に、んー……と、口元に指をあてて考える。
「私、先輩の笑顔見せてもらってないからわかりませんけど、
そう誰かにいわれたんですかではなく、誰かにいわれたのだろうと確信している。声音は頑張っておさえているが、同級生の男の子とかだったりしたらぶん殴るといわんばかりの圧が含まれている。
「パパとママです」
「今から先輩のおうちいってぶん殴ってきていいですか?」
「ダメェ! あっ」
被身子は思わず吹き出して笑顔になってしまい、すぐに気が付いてその身を硬直させた。
公子は、恐る恐る様子をうかがってくる被身子を、まじまじと見ている。それから、うんとうなずく。
「すっごくかわいいじゃないですか」
やっぱり先輩のご両親殴った方がいいんじゃないかしらといいながら、被身子の両頬を指でぷにぷにとする。被身子はぽかんとして、ぷにぷにされるがままである。少しずつ目に涙がにじんでくる。
「私、カァイイです?」
「私と同じくらいカァイイですよ」
「そこは嘘でも私以上にカァイイっていってくれるべきだと思います」
「しょうのないヒミコちゃんですねぇー」
あははと、今度は2人で真正面から笑いあう。
「キミちゃん」
「はぁい?」
「私と友達になってくれます?」
「笑顔も泣き顔も見せてもらえましたし、もう友達だと思います!」
「はぁい……」
そういえば前に泣いたのがいつかなんて忘れちゃったなあと、流れる涙もそのままにまた笑ってしまう被身子であった。
想定していたより長くなりました。一人称はやっぱり書きやすいなあと。
そして、もちろん皆様ご承知の通りトガちゃんにはまだ悩みがあるわけで、もう少し続きます。
次回、友達への相談と親への相談です。