【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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私は帰ってきた!
突然の更新停止でご心配をおかけしました。パソコンのある場所に戻ってきました。
といいましても、もともと療養中の身なので不自由が減っただけなんですが。

停止中もお気に入りや感想、評価等をいただけて涙がちょちょきれます。ありがとうございます!

今話よりアンケート(7/12の21時まで)を設置しましたので、お気の向いた際にでもご投票いただけますと幸いです。


2回目の中学生時代⑬~カオの見えないトモダチ・後編~

 困りました。

 

 今日は進路相談の日でした。

 先生が放課後になんかあるといっていたのは覚えていたのでキミちゃんには先に帰ってもらっていましたが、進路相談でした。おもしろくなかったです。

 終わったらキミちゃんにお電話をしようと思っていたのですが、いまトガは困っているので少しのんびり目に歩きながら、プリントと睨めっこしています。歩きスマホはダメだそうですが、歩きプリントもダメと聞いたことはありません。そのプリントには、今度は先生とママと3人でやる面談の候補日が書いてあります。

 

 困ったのはこれです。

 正直なところ、私に進路の希望なんていうご立派なものはない。

 中学校に入るときもなんとなく進学していましたし、それが普通でしたし。これからもなんとなく進学して、なんとなく過ごすんだろうなという感じでしょうか。正直に先生にいいましたが、保護者の方ともお話して、まだ急がなくてもいいから考えていきましょうね、といわれました。お話には10分もかからなかった。これまでだったら、それだけで終わったんですけど。

 

 いまは強いていわなくても、キミちゃんと一緒にいられることが最高ですから、それが一番実現できる進路がいいという希望があります。まあ、そんなことを、今日もですが三者面談でいうわけにもいきません。多分まちがいなく、ママには怒られます。友達と一緒のところにしたいっていう子はいますし、カウンセリングに行くようになってから、パパもママも優しくなってくれましたけど、この場合は怒られると思います。なぜなら、キミちゃんは一学年下だからです! 一緒に入学といわなければ怒らないですかね。

 うーん、そうなると、キミちゃんが入ろうと考えている学校を選んで、一年間は我慢することになりますが先にそこに進学するというのが妥当でしょうか。はい、我慢することになりますが。大事なことなのです。放課後に遊びに行くことはできると思うけど、本当に我慢できるんでしょうか……。

 

 まあ、とりあえずは、キミちゃんに聞かないといけませんね。キミちゃんはどう考えているでしょうね? まだ考えていない可能性もありますが、それはないと私の直感が告げています。さて、そんなことを考えていたら、直感に続いて予感もしてきました。とっても嫌な予感です。いえ、確信に近いでしょう。首筋から背中のあたりがピリピリします。

 

 何とかそれをおさえながら、スマホを取り出します。歩き通話はみんなするのが普通ですから、大丈夫でしょう。私は、ぽちっとキミちゃんに電話をかけるのでした。

 

  

 υ´• ﻌ •`υ

 

 

「そういや、進路どうすんだ?」

「あん?」

「どうしたの、ケルケル」

 

 いい加減変な省略すんのやめろよとうんざりした風に返すハウス・ケルベロスであるが、正直にいって長い。「ケルベロス」だけならまあ、という語数ではあるが少し舌の動きに障る。ジャハンナだって、「ジャハ(ン)ナ」になることが多いというのに。銃弾飛び交う戦闘中の指示、連絡の際には短く呼びやすい方が望ましい。まあ、いまはだべり中なので、これは単にペルソナ・ガールの好みの問題であった。それに、省略されるのは彼女とて同じこと。戦闘中は「ペルソナ」「ガール」の単独だったり「レディ」だったりもざらにあるし*1、「ペル」呼ばわりもある。ペットの愛称みたいに感じられるので後で抗議したが。

 

「まァ、俺はプロゲーマーになるなんていってたこともあるけどよ、せいぜい家でできる仕事でもすっかなと思ってるんだが、お前らはどうかってな」

「考えてない。先生がなんか決めてんだろ。俺のことは後継者だとかいってたしな」

「わお、師匠と弟子みたいな感じ」

「私生活も進路もバッチリか。住み込みの徒弟みたいなもんか……?」

「知らね」

「ペルソナ・ガールはどうすんだ?」

 

 省略するなといったばかりである手前、今回は省略しなかったらしい。

 

「私かー、私ねー……」

 

 さて、と首をかしげる。いったもんかどうかと少し考え。

 

「お父さんがプロヒーローだからね。私もヒーローを目指す、のかな?」

「げっ」

 

 2人そろって声をあげる。見事にヒーローに対する厭悪が滲んでいる。

 

「何よ。2人がヒーロー嫌いなのは知ってるけど」

「ヒーローみたいな税金泥棒になるなんていうからだ」

「ジャハンナに同意。しっかし、お前のとーちゃんがヒーローとはなぁ。俺らも知ってる名前かもな」

「メディア嫌いで滅多に表に出ないし、いまは学校の先生やってるからヒーロー活動もあんまりしてないし、知らないんじゃないかな」

「お前ら、先生持ち同士になるのか」

「ヒーローねぇ……」

 

 がりがりという音。

 

「ちょっとジャハンナ、また掻いてるでしょ」

「痒くなるようなことをいうやつが悪い」

「もう。今回は何のアレルギー?*2

「ヒーローアレルギー」

「あんまり掻かないの。悪くなっちゃうじゃない」

「オカンか?」

「こんなのがお母さんだったら怖いよ」

 

 ハッと鼻で笑いつつ、ジャハンナはがっちょんがっちょんと音を鳴らしながら、乗機の兵装を組み替える。バズーカ系統を外し、超高威力かつ超短距離型の格闘武器に変更。

 

「パイルバンカー*3の気分か?」

「ムカつくこと聞いたから手でぶっ壊したくなってきた」

「ごめんねー」

「気持ちがこもってねェ」

「せいぜい、遅刻常習犯にならないようにすんだな」

「うーん……」

 

 でもさ、とペルソナ・ガールは返す。

 先だっての会話からしばしば考えていたこともある。

 

「ヒーローが間に合わないっていうのは多分、私もそういうこととか、事件とかに気がつかないことなんかもたくさんあるとは思うんだよね」

「ああ」

 

 こちらは話をしながら、ジャハンナの兵装変更に合わせて、足止めや攪乱用に組み替えていく。ハウス・ケルベロスは2人の会話を聞き流しながら、あれこれとつけては外しをしている。悩んでいるらしい。

 

「でも、ヒーローになるからには、できるだけ助けが必要なひとを助けたいと考えているのはみんなそうなんじゃないかなって。私はまだヒーローになりたいとはっきりと思っていたわけでもないし、実際になろうとしてなれるのかはわからないけど、なったんだとしたらそうしたいもん」

 

 余計なお世話といわれることもあるかもしれないけれど、余計なお世話なら慣れっこである。

 

「へえ」

 

 そして、こちらは気のない返事。

 

「助けが欲しいひとがいることに気がつかなかったら難しいけどね」

「そりゃそうだ。……オールマイトはどんだけ遠くても助けてっていやあ助けに来るなんて聞いたことあるけどな」

「あはは、その話はすごいけど、逆にいうとオールマイトだって、助けてっていってもらえないと助けにいけないってことじゃない?」

「どうなんだかな」

「私は、そうだな。泣いてたり、呼んでくれたり、私に手を伸ばしてくれるのなら、助けるために全力出すよ。きっと」

 

 そのとき私がヒーローじゃなくてもね。

 

「改造に1万クレジットくらい足りなくて泣いてるから助けてくんねェ?」

「稼げ」

「冷たいな、いいのかヒーロー?」

「すっかりフレンドリーファイアと自爆の癖がついちゃった子に貸してあげるお金はありませーん」

 

 すげなく断られて改造はあきらめたらしく、別の兵装に変えていくハウス・ケルベロス。少し寂しそうである。

 

「じゃあ、俺やケルケルが助けてっていったら助けに来てくれるのか?」

「ケルケルいうな?」

「住所わかんないけど助けにいくよ!」

「迷子のオチしかなさそうでウケる。そもそも声聞こえないだろ」

「連絡先教えとこっか?」

「あー……、警戒心に仕事させろ?」

「俺もお前も仕事してねェしな、その分はな」

「うるさいな」

「じゃあ連絡先を教えてくれれば何とか」

「先生にゃ教えんなっていわれてるから無理だね」

「困ったねえ」

「困んなよ。冗句だろ」

「私は本気だけどね」

 

 うん、と笑う。

 

「迷ってたけどヒーローになるって決めた。助けてほしいときがあったら手を伸ばしてね?」

 


 

 

 夜も深く、暗い部屋の中、ベッドに寝転がる。

 

 近くでは付けっぱなしのゲーム機が駆動音を響かせており、同じく付けっぱなしのモニターではゲームのデモムービーが無意味に繰り返されている。天井や壁にちらちらとしているその光の中に手を伸ばす。

 

「助けてって手を伸ばす、ね……」

 

 ゲーム中は常につけている指サックは今は外れている。

 

「伸ばしても取れねえよ」

 

*1
ガールでもレディでも誰かと被る。

*2
スナイパーアレルギーとか地雷や機雷アレルギー、クソゲーアレルギーなど各種取り揃えられている。先生アレルギーもたまにある。

*3
杭打機をモチーフにしたロボット作品が発祥とされているロマン武器の一種。




「もしもし、キミちゃん、いま大丈夫です? はい、学校は終わったよ。放課後の用事って、先生との進路相談で、今度はママも一緒に3人でやるそうなの。うん、将来どうしたいかとか、どんな学校に行きたいかとか。でねでね、それで聞きたいのですが、キミちゃんは進路どんなこと考えてます? あ、昨日の夜に決めたばっかりなんですね、何に――ごふっ。……あ、いえ、なんでもありません、うん、ヒーローになるって決めたんですね。じゃあ、もしかしなくても雄英高校を受験するんですよね? はい。お父さん雄英の先生ですもんね……超難関校ですよね、偏差値70以上だっけ、あ、去年は77ですか、あはは……(嫌な予感はこれですね、いえ、わかってたはずですけど。どうしよう。私、成績は真ん中より下の方です。いまからたくさん勉強して間に合うかな? あ、そうです、いっそのこと学年をキミちゃんと同じにするようにすれば……)」

これは、渡我被身子が留年をするか高校浪人になるまでの物語だ(嘘)。



というわけで、顔の見えない3エピソードでした。
もうそろそろ、雄英高校の受験です。そうなると、中学校時代のエピソードは閑話として出ることもありますが、まとまっての中学時代描写は終わりになりますね。

次はシリアス目が続いたので箸休め、周囲の評価です。
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