【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア! 作:Cran
今話含めてあと2話で終わる予定と申しましたが、長引きました。ダイジェストというか、これでも割と切ったのですが。宣言するときは、余裕をもってしましょうね、という教訓でした……。
UA50,000件、お気に入り1,000件突破。皆様のおかげです、ありがとうございます!
誤字指摘等もいつも大変助かっております。
つたない作品ですが、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
「さて、そういうわけで、今回のMVPはひっじょーに悩むところだが、罠を仕掛けて足止めと揺さぶりを行いつつ隙を見て奇襲をするという基本方針を定め、その全体も指揮、統括した蛙吹少女を私は選びたい! もちろん、方針に合わせて酸の水浸しのアイデアを提案して実行、見事に目的を達成した芦戸少女も、惜しくも確保は逃したものの透明という個性の有用さをきっちりアピールしてのけた葉隠少女も、それぞれのいいところが出ていたね。ただ、葉隠少女は少しタイミングが悪かったな。耳郎少女の個性を把握していなかったから仕方ない点はあるにせよ、ヒーローチームがドアを開けたタイミングだったら、その隙にテープを巻くことも可能だっただろう!」
行われているのは、少し不完全燃焼なヴィランチームと、疲労感満載のヒーローチームを含めてのオールマイトの講評である。見学の生徒たちも、裏でどのようなやり取りがなされていたのかを説明しつつのこのMVPの選出には納得するところであった。何しろ、時間切れせずに核兵器部屋に辿り着いたとしても、酸の障壁を敷いて待ち構えている三奈に気を取られているところに頭上に潜伏していた梅雨が奇襲を仕掛け、泡を食っているところに三奈がさらに畳みかけるという最後の仕掛けもあり、それを考案したのも梅雨だったわけで。
「ヒーローチームはこう言っちゃなんだが、まあ相手と状況が君たちには嫌な方向にマッチしすぎたね! しかし、それでももう少しやりようはあったはずだぞ。まず、あの酸塗れの階段を見たときのことだが、ヴィランチームが君たちを上に行かせたくないのか、逆に上に行ってほしいのかは少なくとも考えるべきだった。君たちは前者を選択して直行したわけだが、実は1階に核兵器が隠されていた可能性だって当然にあったんだからね。せめて、耳郎少女が音だけでも探っておくといった備えはしておいてもよかっただろう。仮に3階で索敵をしっかりとやっていたら、2人の会話くらいは聞けていたかもしれないぞ? プロヒーローとしちゃ、いつでもさまざまな可能性に思考を巡らせて、そして最悪の状況を想定し、その中でも最良の行動を、かつ最速で選択するために、全力を尽くし続けなくてはならない! この考え方は、勝利したヴィランチームも、見学していた諸君も、きっちり持ち帰って欲しいね。今後の授業でも現場でも、ぜひそれを活かしてくれることを期待してるぞ!」
サムズアップとともになされる激励。
授業ののっけからカンペを見たりしていたオールマイトながら、締めるときは締めるあり方に、それぞれが自分なりの想いを持って元気よく返事をする。
なお、そんな指導をしているオールマイトであるが、わりと直感とパワーで何とかしてしまうので、長年の付き合いのあるものからはお前がいうなという感想が出てくるかもしれない。
「ウィ、世の中いつどんな最悪なことが起きるかなんてわからないもんだしね☆」
「本当にねー。いきなり世界が終わっちゃったりすることだってあるかも知れないんだから、ヴィラン退治もよく考えて挑まないと」
「くっ、男らしいな!」
「キミちゃんはカァイイ女の子ですぅ。なんか想定が物騒ですけど」
「切島さんのあれは、口癖なのでしょうか……。プロヒーローを目指すものとしては、LGBTQ+への理解も必要でしょうに」
さて、2戦目の講評が終わったら、やってくるのは3戦目。
「それじゃあ、キミちゃん。すっごくヤラシイことしてくるヴィランをきっちりやり遂げますので、バッチリ見ててくださいね!」
「うん、応援してる!」
「ヤラシイことしてくる……!? オイラ、今からでもヒーローチームと交代しちゃ……」
「駄目だぞ、峰田少年!」
「おお、俺ちょっと楽しみになってきたかも!」
「俺知ってるんだ、ヤラシイって絶対にそっちの意味じゃないって。俺たち泣かされないかな。最悪、上鳴見捨てて逃げるか?」
「瀬呂ちゃん、ヒーローが逃げちゃダメよ」
Eチーム VS Fチーム
Hero :上鳴・瀬呂
Villain:渡我・峰田
「なあなあ、瀬呂ー。渡我ってどんなことしてくるんだと思う?」
「上鳴が想像してるのとは違う方向のことをしてくるんじゃね?」
「ヤラシイってたし色仕掛けとかされたらどうしよう俺、うっかり抵抗できなくなっちまうかも!」
「あー、それはなくもないか。お前が色仕掛けに引っかかって人質にでもされたときは、遠慮なく2人まとめて縛るからな。安心して逝ってくれ」
「そんときはきつめにな! ギュッて!」
「あとで相澤か渡我本人にキュッてされなきゃいーけどな」
ヴィランチームのセットアップの間の時間であるが、瀬呂は早々に上鳴との事前協議をあきらめたくなる気持ちに見舞われていた。
「そりゃいーとして、できることだけでもすり合わせしとこうぜ。お前は何だっけ、電気が出せるとかいってたけど。俺はセロテープを出したりできる」
上鳴電気。“帯電”の個性により体に電気をまとい、それを放電することで自らを中心とした広範囲に高電圧の攻撃を仕掛けることができる。ただし、出力を出しすぎると本人が耐え切れず、頭がパーになる弱点も抱えている。
瀬呂範太。“テープ”を自在に出したり引っ込めたりできる。セロテープとの本人の言の通り貼り付かせることも可能で、移動にもヴィランの捕縛にも、様々なオブジェクトに設置することでトラップにもできるなど汎用性が高い。
「――こんなところか」
「まあ、なんだ。瀬呂が気を引いてるうちに、俺が飛び込んで電気ショックで何とかできるんじゃね? バリバリーッ! ってよ!」
「やめて! いや、マジで。お前の個性は割れてないだろうし目はあんだろうけど、こっちだって相手の個性がわかんねえんだから。峰田はなんか跳ねてたけどさ」
バインバインと跳ねていた姿は記憶に特に新しすぎる。
「まあ、ある程度、出たとこ勝負はしゃあねえか。基本2人でまとまって動いて、会敵したら俺が足止め、隙を狙って上鳴が電気ショックでいいよな?」
「任せとけ!」
「くれぐれも加減してくれよ。相手は2人いんだから、下手に全力出すなよな」
「へへっ、巻き込んじゃったらごめんな!」
「すんなってーの」
対して、こちらはヴィランチーム。峰田がやる気満々だが、これは単なる煩悩によるものだ。
(ヒーローチームのほうにゃ行けねえが、女子とペアだぜ、女子と。ここでいいとこ見せりゃ、相澤たちとべったりな渡我も少しはオイラに……いや、ねーな。もしオイラに惚れそうになったとしても、あのイケメンならともかく、百合の間に挟まりに行っちまうようなオイラなんてオイラが許せねえ……!)
「となると、見学の女子たちにオイラのカッコいいとこを見せることに集中すべき……!」
「それじゃ、峰田くん、作戦を決めますよ! 何ができます?」
ぐっと決意を固める峰田を意に介さず、被身子はさっさかと進行を始める。
峰田実。個性は“もぎもぎ”。頭から生える謎の物体――頭髪っぽい――を使用。峰田自身にはバインバイン跳ねる球体だが、他の物体には強烈な粘着力を持って貼り付く。無傷でヴィランを無力化することにかけてはピカ一の性能だ。
「ふーむ、そうなると、峰田くんのもぎもぎをトラップにするのは出来そうですが、あんまりヤラシイっぽくないですね! 何よりドラマティックじゃないです、没です!」
「ボツ!!」
「そうですねえー。……やっぱり、こっちにしますか」
がびーんという文字が背景に幻視されるような反応を返す峰田をこれまた被身子は意に介さずに、その顔を覗き込む。彼女の吊り上がった口元から八重歯が覗いている。
「ねえ、峰田くん、演技力に自信ありません?」
ありますよね? 頼りにしてますよ? といったメッセージがビンビンに伝わってくるような、にんまりとした笑みと艶めかしさすら滲む声音に、峰田としては演技にさしたる自信があるわけではないものの、ブンブンと頷くしかなかった。
ヴィランチームのほうでなんやかんやあるだろうこともヒーローチーム側はわかっているが、その内容についてはもちろんする術はない。
とりあえず話し合った結果として、さすがに芦戸の酸のトラップのようなものを続けてくることはないだろうと判断。まあ当たって砕ける勢いでやるかと、とにかく即断即決で挑むこととしている。ひとはそれを行き当たりばったりと表現するのだが、時にはそうしたことも必要だし、あとはオールマイトの教えの通り想像力を働かせて、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応するのみだ。
そして、開始時間が訪れる。
「よっし、行くか」
「おお! 腕が鳴るってもんだ」
と、2人は駆け足でビル内に飛び込もうとするのだが、早々にその動きが停止させられる事態となる。
『ハーッハッハッハ!! 聞こえていやがるかヒーロー共、お前らの大切な相澤先生はオイラの手の内にある!! この人質が大事なら、大人しくいうことを聞くんだなァ!!』
そんな、とんでもねぇ音量でとんでもねぇ内容の声が響き渡ったのである。それはまあ、彼らもぴたりと足が止まってしまうというものだ。
「……なんて?」
「いまの、峰田の声だよな?」
モニタールーム。
いま、皆の前の画面には、1階の部屋に設置された核兵器と、その前に捕縛布で後ろ手に縛られて座らされているイレイザーヘッド、その首元にナイフをあてつつ、片手で持った拡声器を使ってがなり声を轟かせる峰田の姿が映し出されている。
オールマイトは途方に暮れたようなものと笑いをこらえているようなものとがないまぜになった微妙としか表現しようのない顔だ。そして、公子も乾いた笑い声を漏らしている。焦凍は……いつもの雪だるまのような表情で無言で画面を見ている。その他の面々は爆豪も含めて、おおよそ変なものを見るような顔だ。
起きた事態はというと。
何かを峰田と話していた被身子が、ほどいた捕縛布に拡声器、ナイフを峰田に手渡した。そしてバッグから取り出した試験管から何かを飲み干しつつ、ベルトごと一連のアイテムを外して核兵器の陰にしまうと、いきなりその姿をイレイザーヘッドに“変身”させたのだ*1。
それから、峰田に捕縛布で自身を拘束させて座り込む。続けて何事かを峰田に指示し――訓練開始と合わせて、指示に応じたらしい峰田がヒーローチームに呼びかけた、というだけの話だ。
「ヒミちゃん、ヤラシイことって、そういうことなのね……」
ぼそりとつぶやくと、周囲の者たちがぐるりんと彼女に首を向ける。
「相澤くん、これは一体。君なら分かるんだろう?」
「私も知りたいわ、公子ちゃん」
「えーとね。まず、ヒミちゃんの個性は“変身”っていうの」
「個性把握テストのときにも何回かいってたやつ? まんま変身だったんやねえ」
飯田や梅雨、お茶子の疑問に応えるが、その間にもヴィランチームの声が聞こえてくる。
『いいか! ゆっくりと、ゆっくりとだ! 真ん中の部屋まで来やがれェ! 安心しな、ドアは開けてやってるからよォ、お互いに姿は丸見えになるぜー!?』
そっと、オールマイトが耳から通信機を遠ざける。何しろ喧しい。
「うん、ほかのひとの血を飲むことで、そのひととおんなじ姿に変身できるの。最後にヒミちゃんが飲んでたのがそれね。私のかと思ったんだけど、お父さんの血だったね」
「そ、そうなん、すごい個性やね……って、相澤先生の血、持ち歩いとるん?」
「個性柄、定期的に血を飲まないといけないっていうのともあるしね。私と、あー、男子のみんなにはまだ言ってなかったけど私のお父さんの相澤先生と――」
「俺のもだ。ついでに言っちまうと、俺の姉さんたちのもな」
「そう。私とヒミちゃんと焦凍って、言ってみれば家族ぐるみの付き合いみたいなもんだから、前からそんな感じなの」
「ふむ、そういったこともあるのか……確かに、個性が体質に影響を与えるケースはあるな。それはそれとして、いきなりのびっくりワードに俺も驚愕しているのだが。相澤先生は相澤くんのお父上だったのだな」
「ケロ。私もカエルと同じで寒いと場合によっては冬眠しちゃうものね。それはそれとしての飯田ちゃん。私、思ったことなんでも言っちゃうのだけれど、びっくりワードって言葉、飯田ちゃんには似合わないわね」
「む、そ、そうか」
被身子が「血を飲まないといけない」のは生存にかかわるものではないが、公子はある程度、意図的に言葉を選んで誤解を招くようにしている。被身子は別に血を飲まなくても生物的な意味での生命の危機には陥らない。ただ、彼女の理性が飛んで、社会的生命の危機に陥るといった危険性は認められるが。
「ということで、個性用のサポートアイテムとしての血液ストックを使ってお父さんに変身して、人質を取ったっていう設定かなって」
「でもよ、どう見たってニセモンだろ? 人質になるか?」
「まず、かのイレイザーヘッドが易々と峰田に人質にされる姿が想像できんな」
「僕も同意見だ」
「これから見てのお楽しみってことかなー。解説の透選手、どう思います?」
「はい、芦戸アナウンサー! うーん、偽イレイザーヘッドの演技に注目ですね!」
『おー、来やがったな! いいぜ、まずはそこで止まれやァ!』
「声でけえええ! うるせえええええ! ってか、何考えてんだ、てめー! 相澤先生を人質に取るなんて卑怯な真似すんじゃねーよ!」
「いやまて上鳴、素で信じてるのか? いやギャグか?」
どう考えたって渡我の個性かなんかで作った幻とかその辺だろと、冷静な瀬呂の指摘。
『おおっと、動くんじゃねえぞ! 少しでも動いたら、このヤローの首にナイフがブスッと刺さるぜ!』
「すまん、上鳴、瀬呂。俺が迂闊だった」
「って堂々と続けんなァ!?」
「でもよ瀬呂、ニセモンにしちゃ似すぎじゃねえ? コスチュームもなんもかんも相澤先生そのもの見えるぜ?」
上鳴くんはノリのいい素直なイイコですねえ。とは、誰かさんの心の声。
『チッ、本当はこんなオッサンじゃなく、セクシーボディの渡我を抑えたかったのによ、こいつが余計なことしなきゃ、逃がしゃしなかったってのに!』
「いいか、2人とも。こいつは“ドッペルゲンガー”の個性で峰田の姿や個性を奪い、雄英に入り込んできたヴィランだ」
「なんだって!?」
「いや、なんだこれ。俺がおかしいの? 俺以外が普通なの?」
『へっ、そうよォ! オイラ、いやオレこそ――』
「こいつこそはとんでもない悪質な性犯罪ヴィランとして、社会の混乱を招きかねないため一般には存在すら伏せられてきたやつだ」
『エッ』
「裏社会では、性犯罪者たちのヒーローとして、正しい意味での18禁ヒーローとも呼ばれているらしい*2。
『エッ』
「タレコミがあったのを受けて、個性把握テストのときのもぎもぎの遺伝子情報を犯罪者データベースと照合させたらそいつと一致してな。急いで駆けつけたが渡我が人質に取られそうになって、この始末だ。おそらく、本物の峰田実も、すでに生きちゃいない。チッ、俺としたことが、情けねえ!」
ぎりぎりと食いしばる口元から血が垂れる。相澤消太だったらこんな感じ? というような勢いである。
「うーん」
「うーん……」
「うーん……、うーん?」
先ほどまでの動揺はどこかに行っており、今はモニタールームには何ともいえない空気が広がっている。
画面の中では、ひたすらにいかに峰田が凶悪な犯罪者であるかを偽イレイザーヘッドが語っている。上鳴は畏怖、瀬呂は呆れたような、それぞれの様子である。
「ねえ、キミちゃん」
「はいはい?」
「ヒミちゃんって、割といつもあんなノリなん?」
「真似っこをするのは大好きだけど、今はなんというか、私にいいところ見せようとして張り切っている感じだと思う」
「まあ、演技力は大したもんだけど……。あとさ、上鳴はともかくとして、もしかして瀬呂もちょっと信じかけてる? 嘘だと思ってるなら、遠慮なく攻撃しちゃえば済む話だし。ウチならそうするかも」
一同、オールマイトを見やる。彼は腕組みをしたまま様子を見守っていたが、生徒たちの無言の要望に応えて、曰く。
「嘘だと決めつけて安易に行動していたらそれはそれで減点だけどね。雄英だからって、ヴィランが潜入できないなんて盲目的になっちゃいけない」
「ふむ、確かにおっしゃる通りだ!」
「ケッ、だとしたって真っ先にやることがあんだろうがよ。あのアホ顔としょうゆ顔、頭になァに詰めてやがんだか」
呆れたように爆豪が吐き捨てる。
「私も爆豪くんに賛成かな。演技を信じてるなら信じてるでオールマイト先生に連絡すればいいのにね」
「マジでヴィランがやらかしてんならオールマイトがとっくに制圧してんだろ。もし通信妨害されてるってんなら話ぁ別だろうがそもそも試しもしねェ。マジに信じてるか団子女とクソ玉のロールプレイに付き合ってるんだかは知らねえが、どっちにしたって中途半端過ぎんだよ。団子女どもも信じさせたなら信じさせたでとっとと降伏させりゃ終わりだっつーのに、時間の無駄だ。バカが」
「言葉は汚いけど、正論やねえ」
話しながら見ていると、偽イレイザーヘッド劇場に変化が訪れる。
『というわけでだ! オレは怒ってるんだ! 同じ健全な欲求でもイケメンとそれ以外で区別され善し悪しが決まるこの世の中に! オレの怒りを晴らして相澤先生の命を助けたけりゃ、更衣室だ! 女子更衣室に行って宝物をガメて来やァがれ!』
「なんか変な方向に行っとる」
「あっちの話を聞いていなかったからまったく流れが分からんが、峰田くんは何を考えているのだ……?」
「あー、ウチらの着替えを取ってこいってこと? バカなの?」
「峰田のやつもなんかなりきってるってことか?」
「砂藤。あれは素だろ」
「あのどす黒い邪念。性犯罪者呼ばわりに吹っ切れて、役割演技にかこつけた窃盗を嗾けてもおかしくはない」
そりゃ当然に不可能なのだが。迷走もいいところである。
「HAHAHA! うーん、カオス!」
公子は情けない思いでため息を吐いた。
「ごめん、みんな、先生。私がヒミちゃん焚き付けるようなこと言ったから……」
「ドンマイだ! ロールプレイについて偏重しすぎないように釘を刺さなかった私も悪いし、本題が戦闘訓練だっていうところを忘れてしまった彼らの落ち度もある。……とりあえず、ヒーローチームが下着泥棒とかする展開になる前に、とめよっか。もうタイムオーバーにもなるし」
「さすがに、侵入しようとするのはヒミちゃんが止めるとは思いますけどもね」
「やってるこたぁ、戦闘訓練の文字ひとっつも当てはまらねー。くだらねェ」
それな! と、他生徒たちとの思いが爆豪と一つになった瞬間であった。
かくして、3戦目の戦闘訓練は終了。チームとしての勝敗は訓練になっていないので勝負不成立としてドロー。
ただし、個人としての敗者が1名。
性犯罪者のレッテルが本体にバッチリと貼り付けられてしまった峰田実である。
同じく個人としての勝者も1名。
大好きなお父さんの演技を存分に楽しみまた公子たちに見せつけつつ、公子を筆頭としたクラスメイトの女子にヤラシイ目線を向ける禍々しい男子に牽制の一撃を叩き込むことができた渡我被身子だ。
めでたしめでたし。
私は峰田くんのアンチでは一切ありません。どうぞ誤解なさらないでくださいまし。また、オールマイトは感覚派ではありますが、ちゃんとベテランヒーローとしての識見も高いと思っており、やたらと喋らせてしまいます。変な感じじゃなきゃよいのですが。
なお、このチームが普通にバトルをしていた場合、トガちゃんが舐めプしない限りは偽イレイザーヘッド大暴れで完封です。峰田くん含めて活躍の場がほぼなし。
それ以外の展開だと、上鳴くん次第で瞬時に勝敗が決して、こちらも上鳴くん以外の見せ場なしの可能性が高いです。
今回は、ロールプレイで変な方向に行くということになりました。その犠牲により、4戦目以降での戦闘がカオスになる可能性が減りました。やったね焦凍くん。
次も、訓練です。あと2話続きそう。