【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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大変お待たせいたしました。復活です。ちょっとやりづらいですが……。


戦闘訓練④~個性だらけのタッグ(トリオ)戦・セッション3~

「ちょっとおかしな方向に行っちゃったけど、お父さんっぷりもできてたし、アイデアはよかったと思うよ、ヒミちゃん。峰田くんに釘もさしてくれたんでしょ? ありがとっ」

「えへへー、ありがとうございます、どういたしまして!」

 

 リザルトの場は多少荒れたが、被身子としては公子とのこのやり取りだけでも十分にご馳走様の気分である。

 一方で、男子陣。

 

「有罪やね」

 

 お日さまの似合う少女の一言が、とりあえずすべてを表しているといえるだろう。

 

「HAHAHA、まあ、こうなるとは思わなかったけれど、いい教訓ではあったね。ここで見ていた諸君には今更の話になってしまうが、改めて上鳴少年と瀬呂少年に解説すると、あれは渡我少女の個性“変身”によるものだ」

 

 と、一連の被身子の個性の説明をして、それを使ったロールプレイ劇場が展開されていたことを告げる。だから言っただろ、といわんばかりの瀬呂がじっとりとした目を上鳴に向けている。上鳴はというと、はぇー、すげえ個性だなあとのんきな言葉を漏らすばかりである。

 

「最初は意表を突かれましたけれど、実際にヴィランが立てこもり事件を起こした場合を想定したとすると、単純なようでいてかなり難題ですわね」

「ケロ、そうね。ヒーロー側と違って、ヴィラン側は事前にとれる選択肢が多いもの。今回の場合はヴィランのアジトに追い込んだっていう設定だけれど、核兵器の隠匿と一緒に逃走に使うための人質も確保しておくなんていうことは簡単でしょうし、それをされた途端に、手が出せなくなってしまうヒーローも多いはずよ」

「ウチだったら、こっそりとプラグを伸ばして無傷で気絶させることはできるかもしれないけど、それだって今回の場合なら相澤先生ごと巻き込むこと前提だもんね」

「何にでも相性ってもんはあるだろうからな。俺の場合は速攻で凍らせられりゃ何とかなるが、結局は耳郎と同じだな。公子ならどうしてた?」

「【マリンカリン】*1

「……ケッ」

 

 八百万たちの会話に、なにか心当たりがありそうな爆豪が舌打ちをする。

 

 なお、公子としては、こっそりできるならともかく、実際の現場なら、効果に不確実性がある限り悩むだろうとも思う。ただ、今回の場合、父が峰田にあっさり人質に取られるわけもなく、人質にされた風を装って生徒側の採点しているか機を伺っている可能性が高いなどと判断するだろうか。

 

「うむ、そういったことを考えておくことも非常に重要だな。ところで、渡我少女は、ちょっと私も想定外の展開での無効試合とはなったが、本来ならばどういった展開に持ち込むつもりだったんだい?」

 

 そうですねー。と頬に手をあてて思案気に上を見る。

 

「簡単に終わりますし、お話するよりお見せしちゃいましょっか」

「ほう?」

 

 ささっとキャストを並べて、こそこそと峰田にシナリオを耳打ちすると、消太に変身する被身子。先ほどと同様に、だが今度は人を変えて公子に後ろ手に拘束してもらう。その際、後ろ頭を公子にすりすりと擦り付けたりなどしているが、慣れたもので公子は特段の反応はしない。

 

「さて、いきますよー」

 


 

「んじゃ、改めてだ。コホンッ、相澤先生の命が惜しけりゃ、2人とも脱げェ、あくしなァ!」

「え」

「えー……」

((((えー……))))

「ばっかやろォふざけんなオイラも野郎なんざ脱がせたくねぇよぉ! 脱がすんならそっちの観客の」

「峰田、後で職員室」

「スンマセンッシタァ!!」

「人質に土下座するヴィラン……ふむ、確かに状況によってはそういうこともありうる、のか?」

「真に受けちゃダメよ。でも、相澤先生が叱るときってあんな感じになるのね」

「氷の一刺しだね☆」

「私、なるべく相澤先生怒らせないようにする」

「予習させてくれた渡我ちゃんにありがとうだね」

「いいからさっさと脱げ、ズボンからだ!」

「え、マジでやんの?」

「困惑しながらもちゃんとズボンに手をかけようとしてるのは、素直と言っていいのかなぁ」

「結構おぼっちゃんっぽいとこあるね、上鳴」

「そこは育ちがいいと言ってやるべきではないだろうか?」

「先生が止めないからかもしれねえけど、律義だな。男だから下着姿くらいはいいだろうけどよ、女子だったらやばいな、絵面」

「あ、ヒミちゃん動いた」

 

 困惑しながらも2人が脱ごうとする仕草をしだしたのを認めた偽イレイザーヘッドの姿が俄かに溶ける。かと思えば、次の瞬間には2人は捕縛布で拘束されていた。

 

「こんな感じでした!」

 


 

「うむ、つまりだ。イレイザーヘッドの体格に合わせた拘束だから、“変身”を解けばそれよりもっと小柄な渡我少女になるために当然に結び目が緩む。それで自由になった手でそれまで自分を拘束していた捕縛布で2人を仕留める、ということだな!」

「はい。ついでに、ズボンにしてもらったのは意識を自分自身に向けてもらうのと、素直に脱ごうとしてくれたら攻撃するのも避けるのも難しくなるからでした。峰田くんに目立ってもらったうえで、着替えの話にもなると、多分処理落ちもあるでしょうしお父さんへの注意も薄れるからいくらでも不意は打てたでしょうし」

 

 もちろん、最初に降伏してくれても良かったですけど。

 

「なるほど、そのための過剰なまでな峰田くんの悪役演技でもあったということか。うーん、想像していなかったクレバーっぷり!」

 

 実演からのまとめを行いつつ、見学者を含めた生徒諸君も先ほどよりも少し得るものが増えたと思えた風なのは幸いであったとオールマイトは感じる。実際に直接戦闘をしたとすると、上鳴の個性次第ではどう転ぶかわからない部分はあったが、変身の個性も非常に厄介でヒーロー泣かせなものである。彼女がヴィラン側の人間だった場合、雄英高校へのヴィラン側のスパイや破壊工作者の侵入に悩まされたことであろう。それこそ峰田の演技にもあったヴィラン犯罪におびえることにもなりかねない。

 

(相澤くんならもう少し毛色の変わった指導もしてくれるだろうね。あの偽イレイザーヘッドの演技に関しちゃ言いたいこともあるだろうし、Vを見せるのが楽しみだ。HAHAHA!)

 

 さて。

 

 そんなこんなで、次の試合である。

 

 

Hチーム VS Gチーム

 Hero :八百万・青山

 Villain:常闇・障子

 

 

「青山さんは光線を放つ個性で、攻撃や牽制、ご自身の移動のサポートもできると考えてよろしいですか?」

「ウイ☆ 長くは撃てないけど、それもまた僕の個性さ☆」

「そうですわね……。改めて、私の個性は“創造”。制約はありますが、体内の脂質と引き換えに、生物以外のものならばあらゆるものを生み出せると考えていただいても差し支えはございません」

 

 八百万の個性は、規格外の一言である。彼女の前では質量保存の法則は無視されると表現しても過言ではなく、渡我被身子の話ではないが、彼女がヴィラン側に身を堕すことがあった場合の社会秩序への悪影響は計り知れないものとなるだろう。しかしその性情は純粋にして温和な人となりをしており、完全に善側の人間であったのは僥倖と言えるだろう。

 

「常闇さんはあの黒い影の個性、ダークシャドウと仰っていましたわね。そちらを相澤さんのように操る個性でしょう。障子さんは握力測定でも見せていたような複数の腕による剛腕といったところでしょうか」

「名は体を表すというけれど、障子くんの場合は腕力だけじゃないかも。あの腕が口になっていたときもあったし、壁に耳あり障子にメアリーなんてことがあっても驚きじゃないね☆」

「……そうですわね、駄洒落はともかく、そのご意見も安易に間違っているとは申せません」

 個性による世界的な社会混乱が起きていた時代の名残か、現代においても姓名が個性を表すものになっているケースは多い。また、偶然もあろうが、消太などは“抹消”を示唆しているし、焦凍のように親の想いと繋がりが強い名もある。八百万(とってもいっぱい)・百(いっぱい)などは最たるものかもしれない。言葉や心の力というものは存外に侮れないもののようだ。

 

(そうしますと、青山さんは優雅なネオンの光といったところでしょうか。でしたら、公子さんはどうなるのでしょう。ふふ、考え始めると止まらなさそうですわね)

 苗字はともかく、己に克つのなら、爆豪さんは意外とストイックな方なのかしらなどなど、少し思考を脱線させたりしつつ。

 

「常闇さんは影を使用した戦闘や潜入ができる前提、障子さんはあの腕が目や耳の機能もあると仮定して動きましょう。鳥目という言葉はありますが、個性を踏まえると常闇さんの夜目が利かないとも考えにくいですし、むしろ逆であるとした方がよろしいでしょう」

「照明を壊されたら厄介だね。視覚も聴覚もあっちが上ってことに……ん? ムッシュ障子の腕が目や耳にもなるとしたら、それって弱点にもならないかい?☆」

「……あら」

 


 

 

「……というわけだ」

「そうか……」

 

 状況によってタガが外れることもあるが、どちらかというと寡黙な常闇と、クラスが騒いでいるところでも大抵は冷静な障子の打ち合わせはスムーズである。

 

「最も警戒すべきは青山の個性か?」

「いや、八百万は様々な物体を生み出すことできるようだ、となれば、八百万がライトを生み出す可能性は排除しきれん。いっそ、黒影は使える機会があれば出すと割り切った方がよかろう」

「ションボリ」

 

 指らしきものを重ねて落ち込んで見せる黒影の頭を、障子が無言で撫でる。優しさと気遣いのある男である。

 

「八百万は物体を生み出すのに時間が必要だったようだ。時間を与えれば与えるほど、八百万側の戦力が増強されるとも言えるが、逆に、開始から間を置かずに戦闘に持ち込めば」

「戦力が不十分な状態での会敵は動揺を誘うこともできよう。障子が索敵し、黒影が不意打ちで青山に確保テープを巻く」

「ならば、決まりだな」

「ああ」

 

 


 

 

 そうして始まった戦闘訓練の4戦目は、当人たちにとっては一瞬に近いもので、現実感はそうなかったかもしれないが、オールマイトや見学している生徒たちにとっては非常に見ごたえのあるぎりぎりの戦いであった。

 

「開始ですわ!」

「ウイ!☆」

 

 開始直後、八百万が暗視ゴーグルの創造にかかる。青山はいつでもネビルレーザーを発射できるように待機。

 

 同時に、

 

「始まったぞ。2人とも1階のこの位置からだ」

「了解した。ならば、手筈通りに。参る!」

 

 核兵器の置かれた設定の4階ではなく、1階の1室に身を隠していた常闇と障子は、見取り図の位置で、対戦相手の居場所へのアプローチを即断し、二手に分かれる。

 

「スタングレネードができましたわ。続けて、遮光ゴーグルと耳栓を作ります」

「すぐには戦闘にはならないとは思うけど……ね」

 

 一番決め手になる閃光弾を最初に創造して青山に渡し、自身も手に持つ八百万。それから、自爆を防ぐためのゴーグルと耳栓を創造しにかかる。作戦は単純だ。見敵必殺。不意打ちを警戒して互いに死角を補いながら素早く移動し、可能な限り早く核兵器を奪還する。照明が落とされた場合や対戦相手を見つけた場合は即座にスタングレネードを使用するというだけのものだ。青山のみネビルレーザーという武器を併用するという違いはあるが。仮定したとおりに障子が高い索敵能力を持っているならば光と音響での攻撃は特に有効だろうし、そうでなくとも、まさしく人を無力化するためにできている武器だ。常闇の個性の特質は把握できていないが、何も効かないということは考えにくい。

 

 対する常闇は障子の指示に基づき、ヒーローチームの背後を取りにかかる。その動きをヒーローチームの動向と合わせて確認していた障子は、彼らが入口からすぐの角で止まったままだということと、盗聴したその会話の内容を、インカムで共有する。八百万たちは声を潜めていたものの、障子が音を抑えた足の動きすら捉えられるほどに鋭い聴覚を発揮できることまでには考えが及んではいなかったため、すべてが筒抜けであった。ただ、ここでハンドサインや筆談までの行動を求めるのは荷が勝ちすぎていると言えるだろう。

 

「なるほど……ならば」

「ああ。俺がわざと見つかるように北側から近づこう」

「俺は直前まで黒影を潜ませ、スタングレネードが使用された直後に仕掛ける。互いに――」

「――目と耳は閉じておく。だな」

「左様!」

 

 その後、神の転がすサイコロ次第ではどういう展開になっていたかはわからないが……。

 

「来ましたわ!」

「それっ☆」

 

 敢えて大きな体を晒して突撃する障子に、作戦通りにスタングレネードを投じる2人。そして、その後には――。

 

 

「抵抗は無意味」

「……不覚☆」

 

 閃光が収まるや否や、それこそ閃光のような速度で背後から床を滑るように突っ込んだ黒影に確保テープを巻かれる青山と、

 

「終いだ」

「……迂闊でしたわ」

 

 本来の耳を本来の手で押さえつつ、抱きすくめるように複数の腕で拘束される八百万の姿があった。

 

『ヴィランチーム、Win――!』

『チクショぉおぉお、代われえぇぇぇ!!!!』

 

 オールマイトの声と、なにやら遠くからの小汚い絶叫が、4戦目の決着を告げた。

*1
魅了。相手はギャルにたらしこまれる峰田になる。




4戦目はこのようになりました。常闇くんと障子くんって割と気が合いそうだとおもいます。性格的にも。

次は、5戦目。最終戦です。
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