【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア! 作:Cran
今回はまだ戦闘が始まりません。申し訳ねえ……!
「ッっだ手前ェ障子イイイィィィィィィ!? 訓練にかこつけて女子のたわわなボディを堪能しようなどという邪な動機と行動にオイラが気が付かないとでも思うたか思うわみんな気が付くわ畜生オイラに代わりやがれ羨ましいなァアアアア妬ましいなああアアァァァイヤそれどころじゃネェぶっちゃけどうだった柔らかかったかそうじゃねェ柔らかいのは当然だいい匂いしたかしたんだろうな通りかかるだけでふわっとしやがるもんな畜生匂いチクショウこの感触はどうだったついでに揉んだんだよなイヤ揉んだんだろその辺も含めて原稿用紙300ページ以上で感想文を書けイヤ今なら八百万本体の匂いもやおよろっぱいの匂いも感触の残り香もあるはずそれにオイラがここで抱きしめてもらえりゃオイラも間接的に八百万とハグしたに等しいと言えるヨシさあオイラをギュッとキュウゥ!」
屠畜場のそれに等しい声。
「はーい、こちらにしまっておきますねー」
「ありがとー」
捕縛布はばっちそうなのでと使わずに、バッグから取り出した携帯用ロープで速やかに峰田を鎮圧して部屋の隅に引きずっていく被身子を、にこやかに見送る。出会ってまだ数日すら経っていない短い付き合いだが、クラス一同も彼との付き合い方を理解し受け入れているようだ。
「さて、今回は結構興味深い対戦だったな。正直、勝敗はどちらに転んでもおかしくない取り合わせだった」
と、訓練内容についてひと通りの内容を解説して、オールマイトが締める。
「考えるまでもないことだが、手が多いと単純にやれることが多い。障子少年については手が多いというのが言葉通りになるんだが戦闘も探知もできる君はどんなミッションであっても相性が合わずに活躍できなくなってしまうというような事態は非常に少ないだろうね。そして手の多さで言えば常闇少年もだ。実質2人分だからね。今回もそうだが、遮蔽物が多かったり、暗がりが多い場所において、ダークシャドウくんの存在は特に心強いな」
「恐縮です」
「俺の頼りになる兄弟であり、戦友です」
「ヨセヤイ、テレルゼ」
「一方、八百万少女も手の多さで言えばプロヒーローから探しても誰とも比較しようもないほどに多いのだが、弱点をピンポイントで突かれた格好になったな。これは、個性把握テストである程度、八百万少女たちの個性が割れていたことが大きいだろうね。プロヒーローたちは活躍をすればするほど、つまり目立てば目立つほどに個性や戦闘スタイルが知られて、対策が研究される。ヒーローもヴィランも情報収集の能力っていうのは非常に大事なんだ。まあ、私の場合はその辺は相棒に任せっぱなしだったけどね!」
HAHAHA、と自分を笑い飛ばす。
「青山少年は、直感というか観察力や発想力がすごいな! 障子少年の個性を相当に看破してのけた。見学をしていた生徒たちの多くは、彼が恐るべき探知能力も有していることには気が付いていなかったようだったのにね。こういった純粋な戦闘力以外の部分というのは目立たないが、ほんっとうに重要だ。勝負を決める要素でもあるし、きわめて鍛錬しにくい部分で、それが弱みになっているヒーローだってわんさといるだろう」
「僕のことはいつだって星が見ているからね☆」
「HAHAHA」
(言っていることはよく理解できなかったから笑いでごまかそうという気配です。キミちゃんの「あはは」に通じるものを感じます)
そして、講評が終わり、最後の組み合わせが互いに視線を交わし合って、訓練が始まる。
Iチーム VS Jチーム
Hero :相澤・口田
Villain:轟・尾白
「さっきも言ったが、この勝負は尾白。お前にかかっているっつっても言い過ぎじゃねえ」
最初の訓練と同様に5階に設置された核兵器の前で、俺は尾白にそう告げた。
「俺が何とか公子を抑えている間に、どちらかの隙を突いて尾白が確保テープを巻くっていうのが一番の勝ち筋だ。口田の個性が割れてないのは痛いがな、2対1に持ち込めば何とかなる。ってか、そうでもしなけりゃどうにもならねえ」
「非常に強い個性を持っているのは個性把握テストのときで知っているつもりだったし、これまでに見てきた彼女の身のこなしからも感じてはいたけれど、君も凄い個性だったし、相当に鍛えてもいるだろう? それほどなのか」
尾白も真剣な顔で俺を見てくる。
「ほとんど3年間をあいつと訓練しまくってたんだ。実力はよく知ってる。個性抜きの勝負で気絶するまでやるっていうなら、まず勝てない。柔道みてえなルール勝負なら内容次第ってぐらいか。個性ありでどう転ぶかは出たとこ勝負ってところだが、現状じゃ、俺ができて公子にできないことがないからな、厳しいってことには変わりねえ」
「そんなになのか……、確かにテストでも“ペルソナ”でいろいろなことをしてはいたけれど……」
疑っているというわけではなさそうだが、まあ、実際に見てみなけりゃ想像は付きにくいだろう。
「ペルソナに関しちゃ、あんなのは一端でしかねえ。ペルソナ次第だが氷も出せりゃ、炎も出せる。稲妻や烈風、爆発なんてのも出せる。それだけじゃなく眠らせたりパニックを起こさせたり、とんでもねえ怒りに我を失わせるような搦め手もある。そして公子だが、あいつ自身の単純な戦闘力が非常に高い。力が強え、動きは速え、防御も堅え、判断も早え。それがでっかい薙刀をぶん回しながら突っ込んでくる」
タフネスもとんでもない。ペルソナの使い過ぎで召喚ができなくなった時くらいしかあいつが息切れをするのは少なくとも訓練じゃ見たことがない。先ほどの気絶するまでやるような勝負なら俺は勝てないというのはそういうことだ。俺が全力でぶん殴ったとしても、脳震盪とかスリップを起こすとかならともかく、意識を奪える可能性はないに等しいとすら感じる。
「加えて、突っ込んでくるのはペルソナもで、公子と一体になって仕掛けてくるわけだ。ボール投げのときの鬼みてえのもそうだし、他にも武器を持った奴、猫女、角の生えた馬、鎌を持った死神なんてのまで複数控えていて、相手や状況に合わせて自在に繰り出されてくる。弱点らしい弱点って言えば、ペルソナを別のと交代させるのにはクールタイムが必要だってことか。それだって、一呼吸で済んじまうがな」
つらつらと並び出してみれば、次第に尾白の顔が引きつっていく。
「付け加えると――」
「まだあるの?」
「ペルソナは自分や他人の強化や弱化もできる。ただでさえ素で強え公子がもっと強くなるし、口田の強化もできる。一方で俺たちは力が弱くされたり、のろくさせられたり、紙装甲にさせられるわけだ。夢みてえだろ?」
「悪夢のほうのかな?」
「それ以外にあるか?」
つまるところ、単純な力勝負に持ち込まれると負けしかないということだが、勝ち目がないわけじゃねえ。
「っても、当然だが無敵じゃねえ。意識を失わせるか、それ以外なら丸ごと凍らせちまえばペルソナも出せないってのは確認済みだ」
「朗報のようだけど殺しちゃダメだよ、て言うか実験済み!?」
「やってみてって言うからやったが、動けなくなっただけで無傷だったぞ」
「要求する方も実行する方も大概だね? 無傷なのも凄いけど」
俺も公子もそれくらいで死ぬとは全く思っていなかった。丸ごと凍らせたって言っても、公子が意識を失ったっていうわけでもない。ペルソナを召喚するためには集中力が必要らしいから、凍結した状態だとそれが困難だというだけの話だろう。
「打つ手があるというのはよかったよ……。一応言っておくけど、俺の個性はこの尻尾だ。尻尾を武術と組み合わせて攻撃したり、防御や回避に使った戦闘が得意だよ。格闘家の家系でね、肉弾戦には自信があるんだけど、今回は、それをどこまで活かせるかだね」
「ああ」
「……核兵器の守りについては、俺の予想通りだとすると要らないね?」
「おお。ぜってえ溶けねえように丸ごと凍り付かせる」
「はは、頼もしいよ」
公子と個性も全開で勝負したいっていう気持ちも、単にゲームとしてでも負けたくないっていう気持ちもある。何にしても、核兵器は邪魔でしかない。……全開って思ったが、仮に俺が全力で訓練場すべて凍らせたとして、あいつに勝てるとは思えねえな。ペルソナでも何でも使ってという感じで乗り切られて、疲弊した俺があっさりと確保される未来しか見えねえ。
今更だが、炎も氷も使えるってずるくねえか?
「あとの基本方針を確認するが、俺は公子を受け持つ。お互いに一撃必殺の手があるから決まるときゃ一瞬だが、それもお互いにわかってるから、千日手に近い状態になんだろ」
「俺はその間に口田を確保して、済んだら隙を見てきみと相澤さんを相手にする、と」
「そうなるな」
「ぶっちゃけ、聞いた限りだと、どこまで2対1への貢献ができるか分からないけどね」
「期待してる。お前が頼りだ」
マジで言ってんだ。そんなに情けなさそうな顔をしないでくれよ。
あと、残り時間で伝えられる限りの公子の技を教えなきゃなんねえのか。早口言葉はヒーローの訓練にゃねえぞ。
「すっごい個性だね!」
口田から簡単に個性の内容を聞いて、公子は大いに感心した。ボール投げでは、どこからともかくやってきたトンビが空高く舞い上がり見えないところまで飛んで行って「∞」を獲得していたため鳥を操る個性か何かと踏んではいたが、想像以上の内容だった。人間は対象外だが、生き物を意思疎通し操る――当人としては、どちらかと言えばお願いを聞いて力を貸してくれるという認識のようだが――というのは、戦闘においても諜報においても、また救助活動などにおいても有用で、また夢のある個性であった。
「――*1」
「そうだね……」
公子は少し考える。こちらがヒーロー側だから、相手を出し抜いて核兵器さえ確保してしまえば勝利できるのだが、それは無理だと一番に捨てている。
というのも、
「あのね、まずヴィランチームの出方だけど、最初に焦凍が核兵器を部屋ごと全部氷に閉じ込めるんじゃないかと思う」
「――*2」
「私たちが核兵器に触れたら終了だしね。溶かすために炎を使うのも砕こうとするのも、核兵器を作動させる危険性があるからできないから、それなら焦凍がまるっと氷の棺にしまっちゃえば誰も手出しができなくなる」
「――*3」
「あとは時間切れを待っていればヴィランチームの勝ちだけど、多分、逃げたり隠れたりするのはしないはず。全力で戦いたいって言ってたし、好戦的なヴィランっていう設定で来るんじゃないかな。だから、授業のテーマの『BATTLE』しかなさそう」
「――っ*4」
「かと言って、わざわざあちらから来るとも思えないから、向こうは少しでも有利に立ち回れるような状況を用意して、待ち伏せにかかるってところかな。どう思う?」
「――っ*5」
「口田くんのお友達に偵察してもらうのも手だけど……」
あ、と手を打つ。
「ねね、近くに猫ちゃんとかいるかな?」
この学校にもいっぱいいたのでと、うなずく口田に、公子は彼女の相棒と似たようなにんまりとした笑みを浮かべた。
「ねえ、冬美?」
「どうしたの、お母さん」
「あのひとの事務所の方からこのようなものを発見したって連絡があったのだけど」
「……書類の写真? え、なにこれ。エンデヴァー事務所からの雄英高校への特別講師の推薦?」
「そうなの」
「未送付らしいけど、まあ、焦凍もキミちゃんもいるもんね。手下を派遣――こほん、頼りになるひとを派遣して、教育に活用してくれっていうのはあるだろうし悪くはないんじゃない?」
「あのね、その被推薦者のところを見てほしいの」
「んー? とどろきえんじ。……ん?」
「ね?」
「他学年よりも遥かに大きな可能性を秘めるヒーロー科1年生に対し、高難易度の数々の現場で鍛えられた総合力に基づく、含蓄ある講義と実践的な訓練を施すことによる、高いレベルでの育成を行え、生徒の格段の成長が期待できる。……へえ。……ちょっと夏に転送しとくね?」
「そうね。……キミちゃんとヒミちゃんにもお願いしたいけど、焦凍はどうしようかしら」
「きっと、大乱闘エンデヴァーファミリーズ*1になるだろうし、まとめてやった方がいいかもしれないわ」
「そうねえ。私も参戦して良い?」
「ニューチャレンジャー来たコレ」
単に勝つだけなら、入り口から何から何まで全部自分たち以外は氷の迷宮に閉じ込めてしまえば済むというヴィランチーム。やっぱりどう考えても、ヴィランチーム有利過ぎる設定ではなかろうかと。なお、部屋ごと凍結されても13号先生ならどうにでもできるという、次元の上を行く恐怖。氷ごと核兵器もブラックホールで塵にしてしまえば爆発しようもないという。ペルソナならぬスタンド使いの方のザ・ハンドでもいけそうですね。
口田くん、どこをどう探しても耳郎さんとのやり取りまで喋ってすらいないのですが、引っ込み思案で自己主張もしないから作品上のセリフはないけど、会話自体は普通にできるとしています。アニメに至っては声優さんすら2期の途中からの起用というのにちょっと笑ってしまいました。あと、書くまでもないでしょうがボール投げは描写がないので捏造です。でもこのくらいはできるやろと思います。
公子のタフネス云々はさすがに現時点でのヒーロー科学生と、世界の終末を打つ払った強者とではそれくらいは違ってもイイかなという程度の話です。ペルソナのおかげか刺しても切っても銃でハチの巣にされても死にませんし、彼ら。まあペルソナ使いでも銃で撃たれて亡くなったりもしますが、某大冒険の最終局面における魔剣の戦士さんみたいに、受けたときはたまたま弱っていてHPがたったの1くらいしかなかったのかもしれません。