【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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バタフライエフェクトについてタグで書いていて、小説情報の冒頭のところでその代表例をクラス編成を記載しているのですが、そういえば、もっと代表例にするとこがあったなって(火山頭を見ながら)。

ところで、私、最近知ったんですけれど、ヒロアカの原作者様がイレイザーヘッドの絵を投稿されていたのですね。めちゃくちゃかっこいいと思うのは私だけではないと思いますが、私含めてみた人がヴィランだったら、あ、自分死ぬなって感じしません? むしろヴィランとして相対して捕まえてほしいとかまでありませんか。
https://x.com/horikoshiko/status/1884612079056998407

しかし、戦闘訓練は結構尺をとることになってしまいましたが、これ、期末試験とかどうなるんでしょう。さすがに、ダイジェストとか一部切り取りになりそうな気はしますけれども。

感想、お気に入り、ここ好き、評価、とっても嬉しいです。ありがとうございます!
最近、誤字指摘をいただくことが少なくなって自分の成長を喜ぶべきなのでしょうか。少し寂しく思ってしまったりw


戦闘訓練⑥~個性だらけのタッグ(トリオ)戦・セッション5~

 公子に関する情報共有を行いながらも、俺は核兵器のある部屋を完全に氷結で塞いでおく。俺がヒーローチームだったら、建物全体を雪の女王の城のようにするという選択肢もあり得たが、残念ながらヴィランチームだ。それに、相手が公子であるなら、その選択はしなかっただろう。公子が口田への分も含めて防ぎにかかるだろうし、おそらく俺と同様に核兵器自体を氷で閉ざすであろう公子の手助けになってしまう可能性すらある。

 

「それにしても、個性把握テストのときも思ったけど、ものすごい個性だよね……」

「小回りは効かせにくいが、こういう時にはな」

 

 代償としてわずかに下がった体温は左の個性を使って熱を循環させて回復させた。気持ち強めにだ。相手が公子だったら遠慮はいらねえが、炎を使っちまうと口田には過剰なダメージを与える危険性が高い。やむなく尾白を巻き込んでの攻撃を強いられることも想定すると、主な攻撃手段は氷結になる。そうすると、最初の体温はある程度高すぎるくらいの方がいいだろう。あとは、公子たちの出方次第で調節するだけだ。

 

 そして、訓練開始の号令が発せられる。

 

 俺たちの行動はもう決めてある。

 

『じゃあ、作戦通りに行くよ』

「頼む」

 

 


 

 

 インカム越しの轟との通話はいったん終了となり、俺は先ほどから行っていた準備運動をやめ、周囲の気配に意識を集中させる。呼吸はとっくに臨戦用のそれだ。

 

 俺と轟は、建物の中央フロアの外側、北西と南東の角にばらけて、侵入口となり得る場所をそれぞれ見張っている。狭い北西の丁字路が俺、より広い位置となる南東側が轟の配置だ。

 

・見取り図

 

 場所は相談の結果、尻尾を使った三次元軌道による武術が活かしやすいことから、狭所を俺が担っている。相澤がこちらに来た場合は得物である薙刀は使いづらくなるはずだけど、彼女は徒手空拳もこなせるらしく、相澤先生にみっちり仕込まれているのだそう*1。プロヒーローに直接教えてもらえるっていうのは羨ましいと素直に思うけど、あの先生の娘というのは苦労も多そうだ。格闘家の卵としては手合わせしてみたいものだけど、今回は彼女の相手は俺じゃない。2対1が理想的だが、轟には彼女に対して考えてある手もあるらしく、小部屋に誘い込むなどして図面さえ整えられれば1対1の戦いでも勝てる可能性があり、できれば試してみたいのだそうだ。俺は場合によっては外に出ることも視野に入れていち早く口田を見つけ、確保することに専念だ。一方に気を取られている状態での奇襲がどれほど厄介かは、常闇たちのバトルで見せつけられたばかりだしな。

 

 さて、どこから来るか――。

 

『尾白』

「ッ。来たか?」

『公子だ。南東の窓んとこ。手を振ってるな』

「了解」

 

 にこにこしてるんだろうなあ。

 

 茶色い髪のクラスメイトの顔が目に浮かぶようで、少し気が抜けたような想いにさせられながら、俺も動き出した。ヒーローチームが分散してやってきた場合は、轟の死角を埋める格好で、なるべく距離を取りながら周囲の警戒を継続。そういう段取りだ。

 

 


 

 

「や。立て籠もり犯の片割れである悪名高き凶悪ヴィラン、その名を“あしゅら男爵”!」

「俺は半男半女じゃねえぞ」

「かのNo.2であるエンデヴァー事務所を襲撃して瞬く間に氷の博物館に仕立て上げ、その一方で驚異の犠牲者ゼロ名に抑えた鮮やかなその手口!」

「凶悪なわりに優しいな、俺」

「いやぁ、設定でもオニマーさんたちを犠牲者扱いにするのはちょっと」

 

 エンデヴァーはそのおまけとして見逃された設定らしい。侵入口である窓越しに言葉を交わす公子はゆったりと構えているがその手にはしっかりと薙刀が握られている。焦凍も油断なく、少しの挙動も見逃すまいと警戒をしている。彼我の距離は3メートルほど、接近戦にも個性での中距離戦にも持ち込めそうな間合いだ。

 

「……そんで?」

「こっちでやらない?」

「お前相手に開けた場所にわざわざ出てやる義理はねえな」

 

 言葉を返しながらも、焦凍の足元から伝う氷結が、窓を挟んでいるために公子の視点からは見えない床を這うように伸びてその距離を詰めていく。

 

「意地悪」

「ヴィランってのは性格が悪いもんだ」

「仕方ないなー」

 

 ≪ミトラ≫【フラッシュノイズ】

 

 呟きに応じて現れた獅子面で身体に蛇を這わせた異形が手をかざすと、大きな炸裂音とともに幾つもの閃光が続けざまに弾け、焦凍を包み込む。それと同時に公子が地を蹴って瞬く間に建物への距離を詰めて窓へと飛び込み、窓枠を蹴ってさらに飛距離を伸ばしながら、薙刀の石突を繰り出す。

 

「くっ!?」

 

――突撃か、速いぞ!

――今度は閃光弾のような個性ですわね。

――ミトラ、そうか、契約を司る太陽神。あの閃光は太陽ゆかりのものなのだろうか。

 

 観戦者たちがモニタールームでどよめきを上げる中。

 

(強襲にはお誂え向きの個性だな!)

 

 いつどんな不意打ちがされてもおかしくないことから、何をされても動揺だけはするまいと覚悟を固めていた焦凍は、音と光に持っていかれそうになる集中力を鋼の意思で堅持し、光の間を縫うように突き出された石突を身を屈めて躱す。着地を刈ろうと足を延ばすが、公子は空振った石突をそのまま足の届かない前方の床に突き立て棒高跳びの要領で宙に舞う。

 

――うおお! パンツが見え――見えねえ! 履いてるじゃねえかあぁ!

――峰田くん、履いているに決まっているだろう!

――オーバーパンツのことだと思うわ、飯田ちゃん。お疲れ様、被身子ちゃん。

――はい、処理しておきました。

 

 

 ≪ヤマタノオロチ≫【電光――

 

「させねえ!」

 

 綺麗に円を描きながらの召喚は、しかし焦凍により床面に即座に伸びた氷結によって横槍を受ける。焦凍への攻撃を企図していたものの、着地箇所が氷に呑まれることを嫌った公子により、現れた八首の龍は逆側、つまり焦凍の方に再び移動するための踏み台としてだけ使用されて消滅していく。

 

 2人は互いに狙いを外したためか、攻撃の手をいったん止める。

 

「あっぶないなぁ」

「軽く躱しておいてよく言うぜ」

「凍結からの確保も転んで足を捻るのもごめん被るよ」

 

 公子が切り替えて現在宿しているヤマタノオロチも当初宿していたミトラも、どちらも氷結を“無効”化する力を有している。言葉の通り、冷気や氷での身体的損傷や体温低下等の悪影響の一切を受け付けない。このため、仮に絶対零度の冷気が叩きつけられようと公子がダメージを受けることはない。ただし、個性による現象が消滅するわけではないし、ただの物理現象についてはその力の対象外だ。よって、着地後に周囲を氷に包み込められればそのまま確保されかねなかったし、氷の形成が先だったとしても焦凍が極端に立体的な造形をした氷面を作り出していた場合には、公子が言うように転倒したり足をくじいたりする恐れは十分にあった。実際に、着地する予定だった箇所は地獄の針山のごとき様相であったため、反転したのは正解だっただろう。

 

――最初はのんびり話していただけやったのに、2人ともすごいね!

――切り替えてからの攻撃の応酬、熱い戦いだな、どっちも速え! 

――私はなんだかもう見慣れちゃった感じあります。

――八岐大蛇、もはや日本人には説明が不要なほどに有名な存在だな。相澤がいかなる権能を示させようとしたのかが見られなかったのが惜しい。ふむ、そうなると素戔嗚尊や櫛名田比売も顕現させられるのか、だとすればいかなる力を振るえるのか、興味は尽きんな。

 

(わかってたけど、私だけで時間制限内に焦凍を倒すのは難しいか。焦凍だけ堂々と出てきてるのはやっぱり核兵器は密封してあるってことだろうから核兵器の確保も無理。口田くんが来てくれればそこから隙を見出すことも可能だけど、それは相手も同じっと)

 

 さっきちらっと尾白くんの姿が見えたしねと、今は背中を向けている通路の奥にも警戒が必要だと心の中のメモ帳に注意書きを追加する。

 

 そのまま再び戦闘を再開しようと考えるも、焦凍は意外な行動に出た。

 

「悪いが、横槍はなしだ。口田を頼む」

 

 こちらを見据えたままインカムに向けて指示らしきものを出しつつ右手を壁に添え、そこから天井まで、それから公子の頭上を抜けて後方に氷結を走らせる。これが公子自身を狙ったものであれば妨害にかかっただろうが出だしからしてそうではなく、また不意を打つようなものでもなかったため、何を目論んでいるのかと状況を見守ることとなった。

 

「……ダンスは2人きりでってこと?」

 

 やがて氷結は天井から床を押しつぶすような勢いで落ちてきて、後方に壁を形成した。

 

「悪くねえだろ?」

「やーらし、何するつもりなんだか」

 

 氷の壁は横目で確認した限りでは相当な分厚さであり、仮に公子がペルソナで溶かそうとした場合、不可能ではないがかなり手間取ることになるだろう。出口は焦凍の背後、先ほど公子が侵入に使った窓しかない。後方を警戒する必要がなくなったのは悪くはないが、その先にある広い空間には出られないため、薙刀が引き続きかなりの制限を受けたままになってしまうのは少々痛い。

 

「安心しな。峰田が期待するようなことにはならねぇ」

 

 答えつつ、焦凍が構えを取る。両腕それぞれをゆったりとさせた、炎熱も氷結も全開で行くときの姿勢だ。

 

「あら、残念」

 

 軽口を叩きながらも、凍らされる前に広間の方に抜けておけば良かったかと公子は思う。だが、そのような暇はなかったし、先ほどの壁形成のさなかで下手に飛び込んでいれば、そのまま氷に閉ざされていた可能性もあった。別のペルソナに切り替えつつ、腹を決めて戦術を練り直しながら、外で準備を続けているだろう口田の方にも思いを馳せる。

 

 そして、ステップを踏むかのように右のつま先で床を軽く叩き、構えると、艶然と微笑む。

 

「楽しもうね。Mon amour?*2

*1
消太直伝の蹴り技が特に得意。

*2
モナムール。愛を込めて。




申し訳ありません! 本日は時間切れでした。まだ続きます。
(更新が)遅い、(展開も)遅い、(ボリュームが)少ない! そのお詫びというわけではございませんが、明日も更新予定です。

なお、見取り図は原作漫画を参考にしています。細部は違いますが。
また、通路の幅もそうで、タイル4枚分の横幅となりますから、成人が3人並べるくらいです。薙刀を十全に使うには狭いですね。
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