【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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お気に入り増減の話を相方にしたら、「いちいち一喜一憂していたらドツボにはまるよ」と指摘されました。それはそう。

評価やご感想はもちろん、ここ好きとかも大好物です。散歩中の犬におやつをあげる気持ちでぜひ!(飼い主さんの許可が必要な奴)。


戦闘訓練⑧~個性だらけのタッグ(トリオ)戦・セッション7~

 最後の講評は、引き続きモニタールームで行われる。予定者を含む参加者はまだ保健室滞在中の緑谷以外の全員だ。

 

 搬送ロボによる保健室行き便への乗車を拒否して、焦凍に肩を貸されながらも、まあ毅然として集合場所に向かう公子たちの到着を待っている。何やら、オールマイトは「あと10分くらいはイケる、うん、大丈夫」とかつぶやいている。

 

「心配です」

「せやねえ。キミちゃん大丈夫かなあ」

 

 設置されているパイプ椅子に腰かけて、ぷぅと唇を尖らせる被身子に、お茶子は眉根を下げて応じる。ただ、心配の内容は少し異なるようだ。

 

「楽しそうに戦って、負けちゃって抱っこまでされちゃって、キミちゃんはショートくんに絆されちゃったんでしょうか。ズルいです。羨ましいです。このままエンデヴァー結婚プロジェクトの成功になっちゃうのはダメです、心配です」

「ヒミちゃんは何を心配しとるん?」

「キミちゃんの一番の座ですが?」

「エンデヴァーが一番になるん?」

「違います。エンデヴァーによるエンデヴァーのためのエンデヴァープロジェクトです」

「わけわかんなくなってきたよ? エンデヴァーがキミちゃんと結婚するん?」

それは許されないのです!」

「アオハル……アオハルではない?」

「わからないよ三奈ちゃん。私も轟くん中心の三角カンケーだと思ったときあったけど、公子ちゃん中心のアオハルだよきっと」

「アンタら好きよね。あ、尾白たち来た」

 

 やってくるのは、何やら釈然としない様子の尾白と、その横で少し居心地が悪そうな口田の2名。わらわらと見学組が集まっていく。なお、爆豪は除くものとする。

 

「おお、凄かったな、アレ! ええと、アレ! 鳥攻撃、飛行機がやられるやつ!」

「バードストライクか? 使い方ちげーと思うけど。俺なら突っ込めたけど、ガードできる個性じゃなきゃ厳しいよな」

「うむ、俺も初速が取れないときついものがある。鳥や猫、つまり動物を操る個性といったところか、すさまじいな」

 

 口田が賞賛されている一方で、敗者であるところの尾白への声掛けも続く。

 

「無口なる王に従う騒めく羽ばたきの群れにより殺意をもって打ちかけられる石の驟雨。捨て鉢にならず速やかな後退を選択したのは賢明な判断だったと言えよう」

「そこに罠があったのはまあ仕方ねーよ」

「ああ、ドンマイだ、尾白」

「なんでか瀬呂にそう言われると切ない気持ちになってくるよ。でも、ありがとう」

 

 ドンマーイと励まされる尾白。

 

 そうこうしている間に焦凍に伴われて公子がやってくる。被身子がババっと駆けていき焦凍からその身をもぎ取っていくのを背景に、オールマイトが講評を開始する。

 

「さて、それでは最後の講評を始めようか!」

 

 

 υ´• ﻌ •`υ

 

 

「まあ、なんだ」

「ドンマイ」

「ドーンマイ」

「ドーンマーイ」

「そろそろ俺も怒るよ? まあ、うまくしてやられちゃったけど」

 

 皆がそろったところで改めてオールマイトの解説付きで語られた口田対尾白の対戦の内容だったが、再びのドンマイコールに、ご本人も苦笑である。

 

「やっぱ、あの鳥攻撃すごかったよなー。俺だったらそこら一帯感電させて口田を巻き込めばなんとかなったかもしんねーけど」

「――っ」

「なんて?」

「『上鳴くんの個性を知ってたら別の作戦になったと思う』ってさ。轟にもすぐ降参してたもんね」

「響香ちゃん、その距離でも聞こえるのね」

「ああ、凍らされるにせよ燃やされるにせよ、動物たちには大ダメージになるだろう」

「ちなみに猫での不意打ちは相澤少女の提案によるもので、鳥での爆撃で注意を足元から逸らすのは口田少年のアイデアだ。2人ともあの短時間でいい作戦を練ったな!」

 

 公子はイエーイと親指を立ててオールマイトに応じてから、口田にハイタッチをせがむ。口田も遠慮がちに手をあげて、ぱしんと鳴らし合った。なお、口田の思い付きは、カラスなどが木の実や石などを空から落として遊ぶことを知っており、そこから目くらましとしての使い方を連想して生まれたという背景がある。

 

「相澤少女もすっかり元気になったようで何より! て言うか早いな回復。一応搬送ロボ待機してもらってたんだけど」

「回復力と持久力が自慢です。ロボは返品しといてください」

「キミちゃん、昨日のテストのときも全然疲れてへんかったもんね」

「だが、轟との対戦中は、炎熱の靄にけぶる映像からでも、相澤の荒い呼吸が聞こえるのではと思えるほどに疲弊している様子が伺えた。やはり神話の存在を使役するのは多大な負担があるのだろうか」

「荒い呼吸……荒い息遣い……!」

「粛清しましょうか?」

「ヒィィ」

 

 何やら妄想しかけて被身子に笑顔を向けられてオールマイトの足に隠れる峰田を追いかけてというわけでもないが、多くの視線がオールマイトに集中する。

 

「うむ、それはみんなも考えてみようか! 本人はもちろん、仕掛人である轟少年はわかっているだろうからお口にチャックだ!」

 

 それぞれが近くの生徒たちと視線を交わすなどしてから、これはと思うものをあげていく。

 

「熱中症とか? 引火とかはしてなかったけど、盛大に炎があがっとったし」

「そうね。私だったらすぐに動けなくなっちゃってたわ」

「そうですわね……私はおふたりの攻防に見入ってしまっていて、あまり状況の分析はできていませんでしたけれど、相澤さんはあの中で特に飛び回ったりしていらっしゃいましたし、体温が異常なほどに高くなってしまってもおかしくありませんわね」

 

 などなど。

 

 なお、炎が渦巻く中で、なぜ公子が衣類はおろか髪の毛さえも焦げたり燃えたりしてしまわないのかという疑問については、見学中に被身子が解説済みである。炎熱には無敵だということに「そんなのありかよ」と砂藤が声をあげたが、それにはほとんどのものが同意見であった。そんなくだりもあっただけに、めいめいで熱中症と原因を候補にしつつも、しっくりしない様子だった。

 

 オールマイトはぐるりと一同を見渡して、1戦目での敗北から打ちのめされて黙り込んでいた様子を見せながらも、偽イレイザーヘッドの一件からは少しは気が削がれたか、対戦にも口出しするようになっていた爆豪に目をとめる。オールマイトとしては()()()()()()()()もあって爆豪には思うところがあったこともあり、

 

「どうかな、爆豪少年は熱中症と思うかい?」

 

 と、水を向ける。

 

 爆豪はうろんげに見返すと、こちらに注目する生徒たちをねめつけて、チッと舌打ちした。

 

「炎を無効化なんてふざけたことやらかすファンタジー女がンな簡単に熱中症になんざなるわけねーだろ、カスどもが」

「すげえ言い草!」

「黙れアホ面。頭ン中に藁詰めてから口開け。殺すぞ」

「泣くぞ!?」

「うるせえ、死ね」

「きみは本当に口が悪いな!?」

 

 苛立たしそうに息を吐いてから、つまらなさそうに焦凍に目を向ける。

 

「紅白頭がクソ狭ぇ中でさんざん炎ぶっ放し続けてんだ。ご丁寧に氷をガンガンぶちまけてスペースも削りながらな。そんな中、動き回ってりゃ酸欠になるなんざガキでもわかんだろ。熱中症以前の話だ」

 

 そんで自分は通気口に陣取って涼しい顔してやがると嫌そうな顔をする爆豪に焦凍も頷く。公子は恥ずかしそうな、いたたまれないような素振りで、被身子に頭を撫でられている。他の生徒たちは、あー……と、納得している。

 

「面目次第もございません。私も炎使うのにね」

「爆豪もかもしれねえけど、炎の注意点はさんざん教え込まれてるからな*1

「ショートくんのおうちの訓練場は広いし通気もしっかりしてますからね。普段の訓練でも、私も酸素のことなんて意識してませんでしたし」

「うちだと炎厳禁なのはこの辺の理由もあったはずなんだよねえ。地下だし燃えるものがあるからだけじゃないもんね。なんか焦凍の雰囲気に呑まれちゃったかも」

「わかるぜ、2人で構えを取ったとこなんて、『決着をつけようぜ、公子……!』『貴様の死をもってな!』みたいな雰囲気あったもんな!」

「殺さないと思うわよ、切島ちゃん。でも、そうよね、火災現場で酸素ボンベを使うのは有毒ガスを吸うのを防ぐためだけじゃないもの」

「梅雨ちゃん*2の言うことも間違っちゃいねぇけどな。酸素の少ない空気は毒ガスみてえなもんだ」

「考えてみれば当たり前でしたわね……」

 

 公子としても、2対1に持ち込む機会を自ら塞いだ焦凍に、強敵と書いてともと呼べる相手に熱烈に求められた感があり盛り上がってしまい、勝負に熱中してしまったところがあった。加えて、氷壁内での戦闘が開始してから早々に酸欠状態に陥らされており、まっとうな思考力が奪われてしまったこともあった。往々にして、身体が危険に近づいていることに、その本人は致命的になるまで、あるいはなっていても気付かないものである。

 

 再び騒ぎ出した生徒たちに、爆豪は再び自分の世界に戻ってしまう。フームと鼻を鳴らしつつも、オールマイトは締めに入るのだった。

 

 

 υ´• ﻌ •`υ

 

 

「お父さん、お帰りー」

「お帰りなさい!」

「ただいま」

「夕ご飯もうちょっと待っててね」

「10分くらいですかねー」

 

 放課後、リカバリーガールのサポートを受けながらの公子の改めての治癒を受けた緑谷も含めて、割と長々と戦闘訓練の反省会が行われたことにより、作り手たちの帰宅が遅くなった相澤家の夕食は普段より遅い開始となる見込みだった。

 

「訓練のV持って帰った。観ながら待ってるから急がなくてもいいぞ」

「げ」

「わ」

 

 シュッとV――戦闘訓練のビデオがコピーされた映像ディスクを取り出した消太に、少女たちが「しまった」とでもいうような顔をする。消太は首の後ろをポリポリと掻きつつ、不審そうに2人を見る。

 

「オールマイトさんがえらい楽しそうに渡してくるもんだから何かあるとは思ったが……お前たち、何かやらかしたか?」

「イイエ」

「ナニモナイデス」

「……折角だ。上映しながら飯をいただくことにするか」

 

 追い打つような言葉に、「やらかした」自覚のある公子と被身子はひええと情けない声をあげる。ちなみに、やらかしの内容は公子は焦凍との訓練での迂闊な行動と判断ミス、被身子は言わずもがなの偽イレイザーヘッドの件である。消太は消太で、2人の反応から、早く戦闘訓練の模様を見たいような、見たくないような、微妙な気持ちになる。

 

「夕飯が楽しみだな?」

「う、うん……」

「お手柔らかにお願いしますぅ……」

 

 お酒でも飲ませてうやむやにできないかと今からでも山田や香山を呼べないかと真剣に考える公子に、実は用事があったことにして夕飯前に帰宅するという誘惑に駆られる被身子。それでも食事の支度の手は動き、お夕飯の時間は刻々と近づいてくるのであった。

*1
「舐めんな俺は独学だコラ!」と離れた場所で怒声。

*2
「轟ちゃんは公子ちゃんたちで慣れてるからなのか、すぐにお願いを聞いて梅雨ちゃんって呼んでくれたのよ。ケロケロ」




そういえば緑谷くんの負傷の部分の描写が2戦目の開始のあたりの部分で抜けていたことに今更ながら。1戦目終了時点で軽いディアを掛けてありますが、骨折等は現時点での公子には治癒できないので、戦闘訓練が終わってからリカばぁさんの補助を受けてディアラマを掛けたような感じです。

そして、公子ちゃんの敗因は炎に氷部屋の酸素を持っていかれたことによる酸欠ということになりました。かなりガバガバな感じですが、あらそう、と受け止めていただけると嬉しいです……。いそして酸欠の症状に一部勘違いがありましたので前話を修正しています。冷や汗はともかく汗びっしょりになったりはしないのね……。

本作では、ペルソナで熱そのものには耐性があっても、熱が引き起こす物理現象に耐性があるものではないとしています。なので、溶岩の中に飛び込んでも火傷はしないかもしれませんが、溺れちゃいますね。炎を操る焦凍くんやエンデヴァーは低酸素状態にも耐性があるという解釈です。あのひとたち炎上していても平気で会話していますし。

轟くんが左を封じていたりしないので、かっちゃんによる呼び名に半分野郎とか舐めプ野郎などが登場することがなくなりました。結構好きなんですけど、残念です。ちなみに、そのかっちゃんですが、個性把握テストの段階ですでに公子ちゃんや焦凍くんにも精神ダメージを食らっていますので、原作よりもショック耐性が高いです。でも、それはそれとしてデクくんのことについては許せないので原作通りの決意表明は舞台裏で行われています。
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