【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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この3年ほどの間、何をやっていたのだろうかと思うかもしれない彼のお話です。まあ、閑話的なものです。

子供の始業式が今日でしてその準備で死にそうでした。短いけれど申し訳ないです……。


ほの暗い光の中で

 ……めんどくせぇ。

 

 俺がそう感じだしたのは、あー。何歳ぐらいだったっけか。

 そっちは覚えていない。

 

 一番、はっきりと、俺は何で俺なんだろうって思ったのは、あいつのせいだ。

 

 ペルソナガール。あいつは俺のことを触りに来る。ぺたぺたと触りに来る。

 そのくせ、触る以上のことはしない。

 

 最初っからそんなやつだった。俺が、あのクソゲー――あれ、昔っからあるとんでもない名作ゲームだっていうのは後から知ったが、罵詈雑言ってのか、クソみたいなのが飛び交うし、俺のいうこと聞かない奴らばかりだったから*1名作じゃなくて迷作じゃないのかと心から思ったけど――に飽きてきた頃に、たまたま別のゲームをやってきたときに会ったのがあいつだった。

 

 こっちのいうことを聞かない奴らばっかだったなかで、あのロボゲーだよ。俺のいうことを素直に聞くでも聞かないでもなくって、なんか引っ張られるような俺が実は引っ張っているな感じだ。

 

 最初はそりゃあお互い知らないから適当に組み合わせてたけれど、あいつの助言は面白かった。

 

 それでマッチングがちょうどいいのか何回か一緒にやって俺が名前を覚えた頃にフレンドになったんだがその後が面白かった。

 

 いっていることは間違ってないがいいかたがアホだってさ。

 

 はぁ? うるさいな、ふざけるな壊すぞって思ったけど、なんでか俺もわからないが、わからなくもなかったから、いわれるようにやってみた。

 

 いいかたってのか、そいつの強いところを見つけて場所に当てるときに、どこを期待しているか伝えるっての、やるだけで違いは大きかった。

 

 あいつ曰く、長所を自覚してないのは多いから、そこを見つけて背中を押してやるだけで全然違ってしまうんだとか。

 

 それから、別のゲームでやってたケルベロスを連れてきた。なんか妙に気が合った。それで、この3人で色々なゲームをやったんだよ。

 

 ペルソナガールが勧めてくるゲームも妙に俺らに合ってて何種類もやった。戦略物の戦車だの航空機を使うのは俺が上手かったけど、戦国時代の奴を徹夜上等で何回もやった奴は、意外なことにケルベロスが強かった。

 

 ペルソナのやつはムカつくことに何でもできたから俺たちと共同で攻撃相手にすることが多かったけど、いつの間にかこっちの陣営に来るというか、来ざるを得なくさせるというか、そんなムーブがありやがった。

 

 大乱闘するブラザーズとかでも一強でやるというよりはからかいっていうのか、妙な余裕のあるプレイをするんだけど、それでムカついてケルベロスと2人がかりで行くとそれはそれでこっちがあっさり陥落するような感じだ。妙に同士討ちさせるのがうまいんだよ。

 

 そんでも、俺たちであいつを追い詰めたときの悲鳴とか聞くとちょっとむずむずするのはおいておくものとする。

 

 まあ、一番楽しんだのはテックウォリアーだったけど。

 

 あれこれカスタマイズできるのもいいし何よりロボがかっこいい。3人の俺らのチームと、どっかの誰かたちのチームと対戦するのもいい。それぞれオプションでドローンでの偵察機とか、弱いけれどそれなりに攻撃できるミニロボを指揮したりもできるんだけど、その采配が楽しいんだ。

 

 大体、俺が最前衛だ。で、壁張り付きの装備を使って、死角からこっそり回り込んで拠点や遠距離攻撃の砲台をつぶすケルベロス、ミニロボを含めて指示を出すのがペルソナガールっていう形に落ち着くんだが、あれな。

 

 隠密モードでの伏兵の配置だの、相手の弱点を見破ったり、見つけた弱点に俺を突っ込ませるんだけれど、お膳立てされてるのに、すごく気持ちいいっていうぐらいだ。

 

 一番俺が推すのは3から4チームのチームバトルロワイヤルのときのあいつだ。全チームが敵だってのに、なんかうまいこと協力者にして同盟組んで、個々の対戦だと自分か協力相手が上位になるようにさせて、全対戦が済んだオプション的なポイントの付加で最終的なリザルトで結局俺たちのチームが1位になるように立ち回ってたのがすごい。

 

 それやってるあいつが楽しそうなんで俺もやっってみたが、あんなにうまくはできなかった。コツを聞いても、いろんな人のまねっ子とかしか言わないし。

 

 でも、あれだ。“武装が頼りにならなさそうでも、思うとおりに動いてくれる相手の方が助かる”ってのと、“利用されるばかりじゃなくてお互いにうまみがある利益を取るのが一番。最低でも2位にはなれるし合理的”っていうのはそのとおりだって思った。

 

 加えて、“例えば、最終的には私たちがお互いに勝ちたいけど、邪魔なのを一緒に協力して始末してから雌雄を決するのが合理的だし楽しいでしょ、相手をはめられる感じも楽しいでしょっていうの。それはお互いの利。あけすけにいわれた方がそりゃ乗ってやろって楽しくなってやってくれやすそうだよね、相手次第だけどさ。これは感情の情。利益と感情と合理的の理がいけってなったら、そりゃ乗るよね”とかいうあのセリフが俺は好きだ。

 

 そりゃそうだ。隠し事をされて利用されるだけより、お互い利用し合うように、それをお互い納得づくでやるほうが楽しいに決まってる。

 

 つまり、一時的な仲間を作ってそれをパートナーとしてエネミーと戦って倒す。エネミーを倒した後はパートナー契約を解除して対等に戦うライバル。それもだまし討ちとかじゃなくて納得づくだから、勝ったら嬉しいし負けてもそりゃ悔しいけど祝福できるってもん。

 

 で、だ。

 

 そんとき、ふっと、あれって思ったんだよな。

 

 それじゃあ、俺はどうなんだ? ってやつだ。

 少し違うな、そうやって配役を振っていったとしてその場合の俺はなんだっていうことだ。

 

 そんときはたいした疑問じゃなかったけど、そのだいぶ後に、あいつのヒーロー云々の話を聞いてから妙にざわつくようになった。

 

 俺たちのチームは役割があった。

 

 司令官で死んだら敗北だけど一番殲滅力が高いビルドをしてんのが俺、側面で雑魚を足止めしながら本人はこっそり相手のかく乱やトラップつぶしで上手くいったら司令官を不意打ちするケルベロス、全体をみて補給の維持とミニロボの統括をしながら、戦力の増強や支援をやるペルソナガール。WinWinだ。

 

 そんな感じで、うまく回っていたし、うまく回んなかったらゲームになってない。

 

 じゃ、リアルの俺は? って感じで思い出したんだ。

 

 先生……あいつに拾ってもらって、延々と勉強と訓練をしている。そればかりだ。

 

 お互いに利と理があるのが一番ってんなら、俺はもらってばかりでそれがあいつの利にも俺の利にもなるんだろう。嫌がりながらも訓練とかをやるように従っているのは、感謝もあればここが一番の身の安全がある場所っていう安心もある。

 

 でもそのあいつのその利の中身はなんなんだろうな?

 

 ぎりぎり思い出せるあのときの俺は、ただの砂利だ。何もできない破壊することしかできないだけの塵芥だ。そのはずだ。

 

 で、だ。

 

 それを拾ったときのあいつの利はなんだ? 情は?

 

 当時は気にもならなかったけど、なんで先生は俺の味方だっていうんだ? 

 

 後継者だとかなんだかいっていたが、たかだか数歳のチビを後継者候補とする理由はないだろ。三国志のゲームだって初登場するのは元服っていうのか、10歳くらいじゃなきゃキャラにもならないし年齢補正で雑魚もいいとこだ。

 

 特別な個性を見いだしたとでもいうのか?

 

 そんなもんの持ち主が理由だっていうんならそれこそおかしい。前にみせられたけどあんなふうに自慢げにしていた個性の強奪や授与ができる《あいつ》に、そんなもんは理由にならない。利も理もない。

 

 じゃあ俺の能力かっていうなら同じ理由で当てはまるわけもない。使いにくすぎんだ、これ。

 

 家の財物や権利ってんなら頭おかしいぞ。あいつは金なんていくらでも持っているんだろう。権利だとかもどうとでもなる。

 

 そうなると、俺個人じゃない。俺でなくてはならないが俺自身ではなく、そうだな、トロフィーとかと考える方が合理的だ。だが、何のだ?

 

 それで、結局のところ俺は一体なんで今の俺なんだろ、と考えることになった。

 

 ずっと頭にはあったけど、ヒーローになるっていって、あいつのポップ率が下がって、最後には雄英高校に行くことになったっていって全然ログインするようにならなくなったときから、しっかり考えるようになった。ケルベロスもなんか仕事をさがすっていってこなくなったしな。時間ならあった。

 

 そうやっていて、理由を考えていたとき、ふっと昔からのあいつが吐き出してきた言葉にヒントがある気がした。

 

 あいつ、ヒーローも、オールマイトも大っきらいだよな。それ、あいつのだよな。

 

 肝心なときに助けに来てくれないのがヒーロー。俺はそれもあったから嫌って。まあ、ペルソナガールのやつがいっていたことも考えると少し変わってくるんだけど。

 

 そもそもだ。

 

 なんで、俺が死にそうなときに来れたんだ。

 

 俺は、助けてって思っていたけど、何も口にしてない。

誰も声で呼んでない。助けてくれそうなおばあちゃんがいたけれど、俺はなにもいえてなかったはず。「助けて」なんていえたらまあ、どうなってたかってのはわかる。あのおばあちゃんが崩壊していたはずだ。

 

 そんなこんなであいつに保護されたが、俺の個性も共有も全部含めてわかっている、って振る舞ってやがった。

 

 あのな。

 

 ハナから目をつけてなきゃ、時宜といい保護先といい、無理だろうよ。出来過ぎなんだ。

 

 さすがに10年以上もいりゃあわかる。あいつは極めて性格が悪い。自分の気が乗らないことはしないし、回りくどいことをしてでも自分のことを嫌いだっていうやつを可能な限り多くして、それを叩き潰したいって思っているクズだ。

 

 そのへんのことを考えたらわかることもそりゃあある。

 

――俺は、オールマイトの天敵になりうる。

 

 しかも、個性が理由じゃないときたら、考えられるのは俺の出自だ。俺がオールマイトの隠し子かなにかで、全部あいつの掌のうえで俺が不幸にされてあいつの手先になって、ってのとかだ。

 

――なあ、そうすると、てめえがいい大人ぶって教えてきた、俺がおとうさんたちを殺したってのも、裏があるよな、なあ?

 

 ま、天敵ってのが正しいとして、それが単純な戦闘だっていうなら俺はオールマイトと直接やりあって勝てるかなんて無理してでもいえない。片腕を壊すことはできてもそれと代償に全身くだかれるんじゃないかな。

 

 でも、まあ、いいさ。

 

 しばらくは付き合ってやる。なんにせよ、あいつはおそらくやばい感じの世界で力があるやつだっていうのはわかっているからな。大ボスだ、大ボス。見た目のラスボス倒したあとに出てくるやつだ。

 

 そんなふうに思っているなかで、あれだ。

 

『ああ、弔。待たせたね。きみの大嫌いなヒーローたちに煮え湯を飲ませるいい機会がやってきたよ』

『へえ』

 

 たまに来る、課題の進捗の確認と一緒にやってきた、そんな声だ。楽しそうだな、って思った。

 

『雄英高校にオールマイトが教師として赴任することになったって、知っているかい、弔』

『あんたが俺に伝わるようにしたって思ってるんだけどな』

『なら、話は早い。きみの、この腐ったヒーロー社会への反逆の狼煙として、オールマイトを殺すための作戦を立てようじゃないか』

『ふうん?』

『雄英高校というのはね、弔。物理的にも電子的にもガードが硬いんだ。それを崩してナンバーワンを殺したとなったら、今後のヴィランたちの最高位のリーダーになるに十分な功績になると思わないかい』

 

 知ってるよそんなことは。

 

 示された道筋は、黒霧を使いながらマスコミたちを煙幕に内部の情報を抜いて、オールマイトが出張るところに最終兵器をぶつけて殺すとかいう、なんとも杜撰なものだった。

 

 オールマイト用の人造人間ね。はっ、そんなんでトップヒーローが殺せるわけないだろ。モブヴィランどもなんてオールマイトの前じゃアリンコみたいなもんだろうに、むしろオールマイトがやる気になって強くなるための材料じゃないか。わかってないな。いや、わかってるんだろうな。

 

 俺をぶつけて、オールマイトを万が一でも殺せたらそれはそれでよしってのが大穴だ。本命は、俺やモブ含めての攻撃で1人でも生徒を殺させて雄英高校の評判に泥を塗ることだろうし、俺の英才教育みたいなのは、俺の存在感を社会に大きく示したあとで、最終的に、俺をオールマイトに殺させたりなんかしてオールマイトにダメージを与えることが目的だったりなんだりするんだろ?

 

 あいつは性格が悪いからな。

 いいよ、乗ってやるよ。

 

 だけど、別方面だ。

 

 そんなわけで、モブ兵士を整えるための金も黒霧に渡された。面接も嫌だったけどなんとかやった。見どころのあるやつもいたからこれはこのあとも個人的に雇いたい。

 

 それはともかくとして、俺は授業のプログラムと一緒に教員の情報を確認することに余念がなかった。

 

「あいつ、俺と同い年でヒーローになるっていって雄英がどうのっていってたんだから新任の教員になるんだろうけど」

 

 ……新任のどれもいない。なら、見栄でも張ったか? それならそれで安心だし、次に会ったときに笑いものにする材料にもなるが、まあ、なさそうだ。あいつが雄英高校に入ったんなら入ったことを疑う必要はない。だから、残る心配は、教員じゃなく事務とかの職員をしながら、社会人からのヒーローになろうとしていることだ。

 

 さすがに授業には来ないだろ。と考えて、集めたモブどもには、捕縛はしても一切の殺害や大怪我や、やべえ手出しはさせないように厳命したし、それを守れるようなのしか残さなかったけど。おかげでモブ兵士は50人しかいないけれど。自然と、誰か1人でもあとに残ることをしたら、ペルソナガールのやつは俺を心から許すことはないだろうなんて思ったんだ。

 

 ま、とりあえず、あわせて確認したいのは、これだ。

 

「なあ、ヒーローだって手を伸ばしてもらわなきゃならない。手を伸ばしてもらえれば助けに来る、だったよな」

 

 ここまでお膳立てされて、なあ。ナンバーワン。

 お前はヒーローとしてどこまで見せてくれる?

 

 場合によっちゃ、俺にも考えがあるんだからな。

 

「お前の、オールマイト、あんたの守るべきもんたちがピンチなときに、どんなふうにやってくれるんだ」

 

 なんなら俺も助けてくれるのか?

*1
関係が構築できないのにリーダー気取られたらそれはそう。




「ハァー……、名前は」
「ここじゃ荼毘だ」
「俺の名前は?」
「死柄木」
「下の」
「弔」
「この黒いのは?」
「ワープゲート」
「そっちじゃねえ」
「黒霧」
「立場は?」
「リーダーとサブリーダー」
「このグロいのは?」
「脳無」
「……スラスラ答えたやつ、お前が初めてだよ……」
(マジで?)
「じゃ、募集要項。内容の主な部分は?」
「まずは暴れて個性を思うように使ってもいい。ただし、軽傷よりうえの怪我や心にトラウマになるようなことは粛清ってとこか」
「あとは?」
「リーダーの命令には絶対服従。ただし、最初にいったミッションの達成のためにはその限りではない」
「じゃあ、俺が死ねっていったら?」
「逃げる」
「お前、いいな」
「ありがとよ」
「……ついでだ、好きなヒーローは?」
「エンデヴァー。嫌いなのもこいつ」
「いろいろあんだな」
「あんたは?」
「オールマイト。嫌いなのもこいつ」
「気が合いそうだな」




スマホでござります。誤字とか文脈のつながりは追って直させてくださいませ。見つけきれないのです………。
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