【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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間が空きまして申し訳ありません。
なんだか、検査に次ぐ検査でまだなんか不明な塊が見つかったりしましたので、一番アムリタが欲しいのはわたしかもしれません。

まあ、それはそれとしまして。

今回は状況説明とかちょっと伏線とかです。
短いですが、こう、ちょっと余裕がなくてですね。生存確認を兼ねてと思っていただけると……。


後始末

 ぽややんとでもいうべきでしょうか。私は天井を見上げるのです。

 

 隣には、キミちゃん。すやぁって寝ています。うん、これはいつもどおり。私の大事なひと。お父さんも大好きですし、ショートくんもですけど、一番はキミちゃんです。

 

 なんででしょうね、なんだろう。とてもむずむずするのです。おかしいな、今夜は3週間ぶりにキミちゃんのきれいな首にかみつかせてもらったのになぁ。あ、いつも通りサラサラでぷにぷにで、はむはむしたくなるような首筋でした。痛いのだろうと思うのですけど、キミちゃんは全然気にしないんですよね。でも、そうなると、別の心配があったりします。

 

「ねえ、キミちゃん」

 

 トガもわかっているんですよ、キミちゃんが普通の女の子じゃないだなんて。ね、いろんな隠し事があることなんて知ってます。でも、教えてくれないんだろうなあ。それも、この数年で分かってる。うん、わかってる。私が、渡我が、トガがかみかみしたいと思っても、態度に見せてみせても、全然、気にした風ないもんね。まるで、そういったこと以上にいろいろなことを見てきたことがあるかのように。さすがに私だって、わかるのです。

 

 でもね、そんなことはまあ、ほら、どうだっていい! のです。

 私にとって、トガにとって、大事なのは、あなたたちのことなの。だから、心配するの。コイバナの世界を超えた、本当に恋をしたひとのこと、教えてくれたでしょう。ただの伝聞だったらないくらいに真に迫ったひとやひとたちの話。気にならないわけありませんよね。すっごい人たちの話の渦ですよ。そのなかでは、トガの渡我も、トガのトガもどうでもいいし、大事なのは私がキミちゃんたちを心配なことだけ。

 

 だから、キミちゃんはきっと、私が知らないようないろいろなことをいろいろと知っているんだってわかっているんです。理由は知りませんけど、でも、当たり前でしょう? 大好きなひとのことを気にしない子なんていませんって。お父さんだって絶対わかってるはずです。

 

 ねえ、私、何回か、何回も、あなたになれないかって変身したりしたよ。

 

 でも、その私の姿かたちはキミちゃんだけど、中身は私。渡我被身子。

 

 トガって、なんかおかしいよね。私は、まるで、私と私を渡り歩くみたいな、なんでしょうね、蛍でしょうか、こっちのみーずはあーまいよって、好きなものに渡り歩くような。渡我って小学校の頃は画数が多すぎていやになったけど、いまは思う。私は私を渡り歩きたいのじゃなくって、大好きなのひとと一緒になりたいんだよ。

 

 だって、知ってます? 私、あのときからも、きっとそれまでも、ずっと、パパたちからも誰からも愛してもらえなかったんだもん。ねえ、あのとき、鳥さんのときから。だって、あのとき、私知ってますよ、みんな、あんなときは何が良くって悪いかだなんて知らないんですもん。だから、びっくりしたんです。トガはびっくりしたんですよ。今なら言葉で表現できるけれど、嫌悪の混じった拒絶、ですね。

 

 ねえ、だって、知ってます? 私、あのときに、世界から拒絶されたんですよ。私、自慢ではないけど、頭はそんなによくはなくてもみんなが考えたり感じたりすることはなんとなくわかってました。

 

 だって、ねえ、本当に、知ってます? ねえ、ねえ。私、大事なものなんて、ずっとパパとママとお友達くらいしかいなかったのに、それらみんな、そっぽを向いてしまったときの気持ちって。

 

 ねえ、ねえねえ。

 

 それから、何年も、拒絶された私は、ずっとトガで、渡我で、渡我被身子として、ずっと演技をしてきたの。それはとっても辛かった。あー。もう、いま思い出しても歯がうずきます。歯というか歯ぐきがというか。好きなひとにちぅちぅしたくなって堪らないのを抑えていくのが。それが何でかって、好きだからです。私は大好きなものが本当に大好きになっちゃって、そのひとと同じになりたいくらいって。なので、それがおかしいっていわれたら、そんなひとはこんにゃろーですよ。大好きで尊敬しているひとと同じになりたいって思うことなんって! きっと、不思議なことでも何でもないはずです。そんなことキミちゃんにいったら、からっと「普通じゃない?」って、当たり前だよって、言ってくれると確信があります。

 

 だから、私は胸を張るのです。キミちゃんに「負けた」っていわれましたけど、ふふん、大きさは負けてませんよ。そんな胸を張って、きっと聞かれたらいうのです。みんなアインシュタインの偉人伝とか、競走馬の擬人化をしたすっごい大成した会社の話とか、読んでいるでしょ、知ってるでしょ。そんないろいろな節目のときに自分だったらどうするかとかだったり、思ったりもするでしょう? そんな想像を働かせるでしょう?

 

 私は、それと同じように、私が大好きだと思えるひとと同じになりたいって、そんな人間です。私はトガです。私はヒミコです。です!! 

 

 そんなことを全力で主張したいと思います。みんな違ってみんないいよね。 

 

 とか。まあつらつらと思うわけですけど、まあもとは、子供の癇癪です。暇なんですもん。独白くらいはしてもいいでしょ。

 

 あー。こんな風に思えるようになったのはお父さんのおかげですね。私がとっても欲しかったみたいな言葉をくれたひと。飢えてたっぽい私にね。そのあたりの犬だって、鳩や烏だって、ご飯がないと悲しいですよね、私にご飯をくれたのは、ほかの誰でもなくって、もうわかっていると思いますがキミちゃんとお父さん。2人とも、私に世界を教えてくれました。

 

 びっくりでした。私みたいな“個性”って、別に珍しくもなんともないんですって。

 

 パパとママも、私も別々にお父さんが手配してくれたカウンセリングを受けましたけど、それまでのとは全然違って驚いたくらいです。ねえ、知ってます? 私って、別にフツウなんですって。パパたちも聞きましたかね、多分聞いたんでしょうね。落ち込んでましたから。

 

 それはそれとしまして、私の個性のことなんですけど、鶏と卵とって、キミちゃんもお父さんも先生もいってました。私は、誰かの身体を取り込んで、そのひとと同じになる。そんな個性。それが、例えば食べ物を食べる、それこそ吸血鬼みたいに血が目当てなのだったら楽だったんだろうけどね。お父さんがいってた。

 

「成り変わる個性なら、危なかったかもしれないな」

 

 だって。

 

 秘匿されているそうですけど、昔あったそうですよ、それこそドッペルゲンガーみたいな個性。姿かたちも全部似せて、本来のその持ち主は殺しちゃって、成り変わるんですって。すごいですよね、ホラーです。

 

 でもね、悲しい話なんです。成り変わったら、その成り変わった先になっちゃうし、でも記憶も残っているんですって。ああ、そう。成り変わる前のも。だから、頑張って家族とかと普通どおりにしようとするんですけど、それもうまくいくんですけど。ね。自分は偽物だってわかっているので、結局は自分で自分を殺しちゃうんですって。貴重な体験談は、大体遺書だそうで。

 

 あ、ここで“大体”ってつけたとこ、気が付いたひとにはポイントあげます。言葉だけ残して逃げちゃうひともいるみたいですし、その人生を全うした最後に、家族の前でバラしちゃうひともいるみたいで。どのみち、つらいことには変わらないでしょうけれど。

 

 この例、聞いた話だと、これまで100人くらいは世界中で確認されているそうです。それで、ほとんどが、自殺しちゃうんだそうです。まあ、わからなくはないです。だって、大好きな人と同じになりたいと思って、なって、なっただけならいいですけど、同じ場所に行きたいっていう気持ちをおさえられなくって、それで、そうなっちゃうんですから。

 

 ここまでくると、個性って、もしかして呪いとかなんじゃないんです? ふしぎ。

 

 私も、そうですね、他人ごとではありませんけど。

 

 理由はもう言ったとおりで、私の場合は、同じにはなりたいとおもいます。ね、だって、あんなのかっこよくってカァイくって綺麗で優しくて、なんでも包み込んで受け入れてくれそうなキミちゃん。あんな子に、私もなりたかったなって思いますもん。

 

 あと、お父さん。あんなに心から血を流しているのに、飄々ってしていて、自分のことなんて気にしないで私たちのことばかり考えてくれる人、見たことないです。私、お父さんがお父さんだって、思ってます。

 

 ショートくんはまあ、なんていうのでしょ。カァイイね。

 

 でね。

 

 それはそれとしまして、なんですよ。

 

 なんでこんなことをつらつら脳内インタビューしてたかと言うとこの、目を覚ましたと思ったら見上げた天井が見たことないとこで、真っ青で。ちょっと左右に目を動かしても真っ青で。何かの神殿みたいといえばいいんでしょうか、不思議なこれ。青いなあ。って思います。キミちゃんはまだすやぁってしてます。……っていう状況だったからですね。

 

 まあ、夢なんだろうなって思いますけど。

 この青ってひとことでいっても、表現しきれないくらいのいろいろな“あお”があって、ちょっときれいなので見入っちゃいそうですけど。なんか、誰かがいるような気配もしますし。こうしたときはとりあえずやり過ごしてから考えようってわかってます。夢なのに意識して呼吸を抑えるのは珍しい体験ですね?

 

 ひっそりと息をついて思い出します。

 

 さて、私が寝入る前のことといえば、キミちゃんがなんか誰かの治療をしようとして、うまくいったはいいものの寝込んじゃったんです。駆け付けたくても何かの秘密にかかわるから駄目だった。それで、独り寝だったんです。いつもは一緒に寝ているキミちゃんのお部屋がなんだかすっごく静かで、さびしくって、だからこんな夢を見ているんでしょうね。

 

 あ。なんか、こう、何かの声が聞こえます。ひとりじゃないですね、でも、知らんぷりです。なんだかお鼻が長いひとが見えた気がしましたけど、夢ですし気のせいです。夢の中なので何ですが寝た振りです。

 

 でも、そろそろ。さっさと目を覚ましましょ。

 私、悪い夢なんて何度も見てきていますから、起きる方法は分かっているんです、さて。

 

 ね、きっと、いくらかのみんなも知っていますよね。

 

 せえの。

  

 

 υ´• ﻌ •`υ

 

 

「ほかに変わったことはあるか」

「ペルソナにひとり、答えがない」

 

 そんな会話がなされて、それが引き起こしたのはまあ、少々の地震程度の地鳴りとでもいうべきか。

 

「うーん」

 

 手をぐー、ぱーとしながら、寝台のうえで公子がヒミコや焦凍の前で何やら試行錯誤をしている。

 

「うん、返事がない」

 

 適正サイズよりも少し余るような入院着で少し困ったような顔をするのが、先だって、この世界での常識としてもなかなかに規格外のことを成し遂げた、相澤公子そのひとである。

 

「んー」

 

 しばらく、何かをうなりながら目を閉じて考えていた彼女だが、そのうち、ゆっくりと目を開く。

 

「ラクシュミ、寝てる」

「寝ている?」

「そー」

 

 八木氏の治療とは別で、眠り込むことが事前に分かっていた公子は自宅の自室の寝室にいるわけだが、そこのベッドでどこか遠い目をした。消太は、少し首をかしげる。

 

「うん、いなくなったかもと思ったけど、寝てると思う。私の中にいるから、多分、無理をさせすぎたんだね。反省しないと」

「それは、お前も同じだ。馬鹿者」

 

 相澤消太は嘆息する。

 

 彼の前にいて横になっている、本来はぴったりとサイズがあっていたはずの入院着が余っている、書類上のものではあれどすっかりと自分の娘として認識している彼の保護対象である、公子を見やる。

 

「ペルソナが無理をして休眠するのはまあ、なんとなくわからないでもない。だが、お前が眠り込むのは聞いていたが、()()()()()()()()なんて聞いてないぞ」

「えへ」

「えへ、じゃない。想定外か?」

「かなり」

 

 えへへーと指先を合わせてつんつんとする娘を見やり、消太はもう一度嘆息する。

 

 そう、公子は八木氏に全力で治癒の力を行使したのちに意識を失ったわけだが、大体、背の高さでいえば1から2センチほどが縮み、あわせて治癒のために使ったペルソナまで扱えなくなったという事態になっているのであって。なぜかといえば、埒外の強力な抵抗があったためだという。こちらが単身なのに、向かう障害がたくさんいた、というような感じだそうだが、さっぱりと意味が分からない。八木氏に心当たりがないかと聞きに行きたいところである。

 

 まあ、そういったもろもろの代わりに八木氏の身体の回復はうまくいったようではあって、各種の画像検査でも、生まれたてのような臓器が出来上がっているなど、ここまで深いことは消太も聞かされていないが、目的自体はある程度達成できているとはわかっている。

 

 一番の問題は、公子の肉体の若年化である。それ以外にもありはしないかと慎重な消太だが、それは当人により解消される。悪い意味で。

 

「――ハァ。……ほかには?」

「……っとね」

 

 ぺらぺらと手帳を確認する公子だが、これは、この世界にまろびでて自我を確立して以降、それまでの自身の記憶がいろいろとなくなっているらしいことや、思い出せるときがあったりすると分かった最初のときから、習慣にしているものの一環だ。その日そのときにあったいろいろなこと、特にだれかとのつながりや思い出、接触したひとたちの名前や姿、それらに自分の心境や感じたことなどを記した分厚い日記のようなものだ。中学校入学以前からのものなので、もう何冊目になるかもしれない。

 

 基本的に朗らかで細かいことは気にしない様子の公子にしては綿密で繊細なものだが、その行動の原動力は消太もわかっているつもりだ。何しろ、親族や戦友の記憶すらあいまいになったり忘れてしまっていたりするのだから、それに縋り付きたくなったり、今度こそは失うまいと思ったりして、しかるべきだ。記憶を失うということは、そのときの己やそのときのつながりも全部、なくしてしまうということだ。許可を得てみた消太もうなるくらい、それこそある一瞬で記憶を失っても取り繕えるくらいには書き込まれた日記になっているのは、表面には見せない彼女の孤独感を表しているものなのかもしれない。

 

 それをひととおりみて、閉じて、公子がいう。

 

 まあ、彼女の周辺の人物たちが想像したことがあるかないかはわからないが、とりあえず、公子の次のセリフはそんなには予想できていなかったのではないだろうか。

 

「あのねぇ……」

「ああ」

 

 うーん、と声を漏らす。

 

「とりあえず、日記のここの献立の部分、ほとんど記憶がないや」

「……ヒミコと菓子を一緒に作っていた菓子か。初めてうまくいったとヒミコが喜んでいたやつか?」

「んー……、うん、心当たりがない、かな」

「……」

「……まずいよね?」

「お前、今後、“ペルソナ”の通常使用以上のやつは禁止だ」

「あー……」

 

 ペルソナで存在を召喚する際の無茶の代償。

 

 おまえ自身

 

 


 

 

「帆も錨も下りきっていないのに、船は眠りにつくことはできない。錨が上っても帆を張ってもないのに、沖に船は漕ぎ出せない。

 また、改めて君が決めた先へと航海に出るために、きっと君は、しないといけないんだよ。過去を克服して、いまを信じるだけでいい。そんな、本当の絆を結ぶこと」

 

 誰かがつぶやく。

 

「僕は、君たちに幸せになってほしいんだけどなあ」




「どうだったんだ?」
「うーん、トガはキミちゃんが起きたあたりで朝練に出されちゃったのでわからないんですよね」
「……別に、無事ならいいけどよ」
「大変な患者だそうですしねえ」
「遅れてきてから何をするかと思ったら、うだうだくっちゃべってんじゃねェ、あれか、俺らなんざ気にする必要もねえってか!?」
「か、かかかかかっちゃん、なんか深刻そうだし」
「アァァァ!?」
「ひえ」

 訓練を始めてから急加速度で張り合ってくるかっちゃんに、それにも追随する出久くんに、律儀にハム子をまねて付き合うヒミコと、おのがままにふるまうショートくんと、全体監督や壁役としてため息をつく消太さん。






「……何? オールマイトの根治治療だと?」
「ええ、そうらしいです」
「どこからの情報だ」
「ネズミだそうで、隠語らしく、意味は分かりませんけど」
「……支度をしろ」
「は?」
「その治療に立ち会う。申請を」
「は??」
「彼の秘密を知っている私だからこそ、その治療が何らかの謀略だとしても対処することができるはずだ」
「そのガンギマリの目でいわれても」
「では、いってくる」
「いや、待って、サー」
「私の予知では、私がいなくてもまわる事件しか起きない」
「いやそうではって、待って、待ってサー。いま予知してませんよね? してませんよね?」
「直感だ」
「待ってください、スーツケース持たないで、まだ空っぽです! バブルガール、ヘルプ! 支援をー! ヘルプー!!」






また入院手術でして。その間、更新はかどるかなあ。
ひとけた入院予定なのであまり変わらないかも。
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