【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア!   作:Cran

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焦凍君が体術使っている印象があまりないですが、ヒロアカ原作でエンデヴァーさんに物理でしごかれていましたし個性が使えない場面は山ほどあるでしょうから個人戦闘も鍛えられていると思います。

なお、前話のあとがきに追記しましたが、予告詐欺になりました。すみませぬ。

高評価いただきました、やたー!

・ご指摘いただき、なぜか轟君が1学年上になっていたのを修正いたしました。ありがとうございます! あやうく、原作に存在しない時空を捏造するという難業に挑むことになるところでした。2年生になった緑谷たちと公子筆頭の1年生たちの生活って完全オリジナルになるじゃないですか。面白そうですけど。


2回目の中学生時代⑤~轟焦凍との友人付き合い・前編~

(楽しい!)

 

 焦凍としては、先ほどまで行われていた公子の演武という名のストレス発散の様子を見ていたこともあり薙刀ありで相手をしてほしかったようだが、それではと薙刀を片付ける様子には特に口を挟まず、互いに素手同士のやりあいになることが決定した。

 

 そうして始まった手合わせだったが、公子にとって幸運なことに、それは思いがけず心から楽しめる時間になった。

 

 何しろ、この轟焦凍という少年、華奢そうに見えるが存外に鍛えられているし、身のこなしもしっかりしていて、なかなか退屈しない相手だったのだ。

 

(お父さんとは体格も動き方も違うから新鮮だし)

 

 荒事に慣れているとはいえ薙刀の扱いについては消太は専門ではないし、公子は我流ながらも自身のスタイルを確立しているため、訓練でもそこには下手に口出しをすることはしない。ただ、もしも武力が必要になった場合でも得物が使えない状況などはいくらでもあり、格闘戦ができていて損をすることはないため、格闘術については消太なりに訓練をつけていた。

 特に、彼も公子も武器を使用する際に片手なり両手なりが塞がる共通点があるため、特に足技については重点的に指導されている。

 

 そして、公子はこの手合わせでも足を主体にすることとしていた。足は届いても手が届かないあたりの距離を保つことを意識し、円を描くように攻め立てる。

 

「薙刀ってのか。それを持ってた時にもやっちゃいたが、武器なしだと蹴りがメインなのか」

「手はどうしても武器を使ってると埋まっちゃうしね。格闘だと足のが慣れてる。そういう轟くんは手技が主体なのかな」

「近距離だとそうかもな。どっちかに決めてるわけじゃねえけど」

 

 焦凍は公子の蹴りに合わせて踏み込んで打点をずらし、威力が殺されたそれを防ぎながら内に入り込もうとするが、見越していたようにすっと後退される。

 

「ちっ、早えな」

「そっちもうまいこと合わせてくるね」

「あんたにいわれてもな」

 

 そんな風に、息継ぎの合間に口を出し、動き回りながら手や足も出し、避けたり捌いたり受けたりが続く。本気のぶつかり合いというわけではなくまさに手合わせであり、お互いの実力を試しあう遊びのような意味合いが強い。なので、手や蹴りも当たったら少しは痛いくらいの力しか込められていない。

 

 打撃だけに限定するわけでもなく、どちらも投げや絞めも試みようと、それぞれ相手が伸ばした手足を捉えようとするような攻防も混ざる。手合わせ、組手というよりは、ちょっとした踊りとも見えなくもないそれに、見学者がいればそこそこの小銭を投げ入れてくれていたかもしれない。

 個性*1ありの条件だったら、さぞかし目を楽しませる光景になっただろう*2し、お小遣い稼ぎにはなりそうだ。

 

「あ、そういえば、名前。あんたじゃなくて名前で呼んでほしいな。相澤とか公子とか、キミちゃんとかでもいいよ、なにがいい?」

「ちゃん付け以外なら、どれでもいい」

「ふうん?」

 

――どうでもいい。

――それじゃあ、――のは、勝手に決めちゃうよ?

――別に、公子が決めたんならそれでいいよ。

 

「……じゃあ、公子で! って、あ」

「しッ!」

 

 意識の中を通り抜ける何かに気を取られた公子の隙を縫って、距離を詰めた焦凍が腕を取って引きつつ足を払い、その体を地面に引き倒す。

 

「あー……。あーあ」

 

 やられたー。と、芝の上に転がされた公子は、不満そうに見上げる。

 

「ようやく一本取った」

 

 初めて見た時からあまり動かないが、いまは少しうれしさが伺える表情に見える。口を尖らせながら、差し出された手を取って立ち上がり、髪や体についた芝をぱたぱたと叩き落とす。

 

「なんかずるい」

「話し中でも手合わせ中だから、隙見せたらそりゃあな」

「いいけどさ。私も逆だったらやりそうだもん」

 

 あはは、焦凍を見る。

 目を合わせると、「ん?」とばかりにそらすこともなく平然と見返してくる。

 

(子犬かな?)

 

 いや、子犬ならもっと期待した目になる。おやつ? とか、ご飯? とか、散歩? とか。そういえばそんな子が身近にいたような気もする。そして改めて確認すると、少しばかり息は乱れており汗ばみもしているが、やはり子犬ではない。

 

(弟……ううん、弟はもうちょっとなんか違う気がする)

 

 とりあえず、子犬でも弟でもない轟焦凍くんに微笑みかける。

 

「まあ、改めて。私は相澤公子で、月城中学校1年生。私は焦凍って呼ぶね。焦凍は?」

「もう名前は名乗らなくてもよくねぇか? 凝山中学校の1年だ。あんたは年上かと思ってたけどな」

「き、み、こ」

「公子」

「よろしい。まだ少し時間あるし、そっちもよかったらちょっと座ろっか」

 

 薙刀入りのバッグを置いてある木の根元の方を示すと一緒に移動し、腰を下ろす。

 水筒を取り出して三口ほど飲んでから、ふっと気が付いた。確か走っているときに見かけた焦凍は手ぶらだったはずである。

 

「飲む?」

「ああ、わりぃ」

 

 やはり手ぶらで、そしてのども渇いていたらしい。

 

「それで、普通に付き合っちゃったけど」

「ああ」

「いきなり手合わせを求められたりして、公子ちゃんびっくりしたよね」

「そのわりにゃ普通に見えたけどな」

「大人の余裕ってやつ?」

「同学年だろ」

「それはさておき」

 

 ふむ、と思考を巡らせる。そういえば、あんたもヒーロー目指しているのかどうかとかを最初にいっていた。

 

「ヒーローになるために身体とかも鍛えていて、訓練相手が欲しかったってとこ?」

「まあな。訓練相手がまったくいないってわけじゃねえが」

「ふうん、私もお父さんがヒーローだから訓練見てもらってるけど、忙しいしあんまりちょくちょく付き合ってもらうのも気が引けるんだよね」

 

 時間は7時と少し。朝の散歩や運動にやってきたであろう人たちがちらほらと見受けられる。老人に連れられた犬と目が合ったので手を振ると、あちらは尻尾を振って返してくれる。

 

「公子の親もヒーローか……、どうりで強えわけだ」

「焦凍もね」

「だいぶ手加減してたろ」

「そうだね、でも、手を抜いてはないよ」

「そりゃあなんとなくわかる」

 

 手加減と手抜きは違うのである。

 

「でも、そっか。“も”ってことは、きみの親御さんもヒーローなんだ」

「ああ。……だけど、できりゃ、あのクソ親父の世話にはなりたくはねぇんだ。サイドキックの人がたまに見に来てくれてるけど、それも結局はクソ親父つながりだからな」

 

 助かりはするが本意ではないということだ。

 

「いろいろあるんだねぇ」

 

 何か事情があるのだとは思ったが、公子は特に深くは聞かない。明らかに困っていたり悩みがあったりするのなら話は別だが、知り合ったばかりの仲なわけで。ひとまず分かったのは、どうやらこのヒーロー志望の少年は、ヒーローを目指しておりトレーニングはしているものの、対人での戦闘訓練を行うなどといった機会はさほど満足には得られていないということだ。

 

 体力のほどや技量の高さから、おそらく同じ志望の同年代の仲間などもおらず、自己鍛錬ばかりでくすぶる気持ちもあったのだろう。

 

「まあな。それで、俺を追い越していったあんまり見ねえ奴がここで物騒なもん振り回してた。なんとなく付き合ってくれるんじゃないかと思ったら、ついな。悪い、唐突だった」

「別にいいよ」

 

 朝の運動で訪れた公園で見知らぬ美少年に声をかけられた、と表現するにはなかなかに殺伐とした出会いの事情を解いてみれば、そんな具合であった。

 

「じゃあ、また遊ぼうか。明日あたりもここ来れる?」

「こっちはありがてぇけど、いいのか?」

 

 成長期はこれからなのか、座っていても高さの差がそれなりにあり、少し上目遣いになる格好で焦凍が首をかしげる。今度は表情に少し期待がにじんでいる。

 

「私も楽しかったし、訓練に飢えてるのはおんなじだしね。晴れてたら今日と同じくらいの時間にここに集まろ。スマホ持ってる?」

「ああ。あんまり使ってねぇが」

「ん。……はい、これでオッケー」

 

 端末を借りると、手早く互いの連絡先を登録する。

 

「こっちでは同世代の友達は初めてだからさ、これからよろしくね!」

「ああ。よろしく」

「私は帰るけど、焦凍はまだここにいる?」

「いや、俺も帰る。気は進まねぇが、ちゃんと出席しないと雄英高校に行くのは難しそうだからな」

「あー」

 

 やっぱり雄英かー、この辺住まいでヒーロー志望ならそりゃそうだよねと。

 

 自分もおそらくは卒業後の進路は雄英高校にするだろうから、互いに順調にいったら同じ高校になるわけだ。これは、物語ではよく存在が確認される幼馴染とやらの出会いといえるのだろうか。

 

「それじゃ、焦凍がにゅっと湧いて出たあの角までは同じだね。一緒に走ってこ」

「俺はモグラか何かか?」

「あははっ」

 

 ぼやくような声を尻目に、公子は先に走り出し、焦凍もすぐに続く。

 

「最初も思ったけど、やっぱ早いな、お前」

「き、み、――」

「公子」

「よろしい」

「そっちもさっき、俺をきみとか呼んでなかったか?」

「まだいい慣れてないから多少はね」

「俺はいいのか……?」

「ほら、うだうだいってると置いてっちゃうよ。見えなくなっちゃったら焦凍の負けね。そしたら次に会う日はしょーちゃんって呼んじゃうからね」

「絶対負けねぇ……!」

 

 青春の一幕なのかそうでもないのか、少なくとも長い付き合いになりそうな子供たちの走っていく姿を、暖かみを増した朝の光が柔らかく包んでいた。

 

 なお、この日のこの邂逅がなされた結果、イレイザーヘッドの胃痛の種が増えることが決定したのだが、それはまだ誰ひとりとして、しらないことである。

*1
公子は“個性”のワードではあまり認識はしていないが

*2
開幕ムドだの開幕全身凍結だのの瞬間決着がなければ




なんだか甘酸っぱいような気がしましたがそんなことはないですね!
個性ありならどちらも即死技を持っているため非常に緊張感のある戦いになりそうです。
互いに初見でのガチ勝負だったら公子があっさり負けるかな?

次回は、今度こそ、親御さんからのご挨拶です。
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