【再稿】ペルソナ3でハム子のヒーローアカデミア! 作:Cran
新キャラとのエピソードとなります。長さは焦凍くんほどにはなりません。
そして、評価10いただきました! もらったことございませんでした。
他にも評価やお気に入りをいただいています。喜びの舞を捧げます。
また、多数の誤字のご指摘、ありがとうございます。とても助かります。
見直しが足りない……。妖怪誤字職人を祓いたい。
入学から、なかなか同級生に心からなじめなかった公子だが、別にコミュニティーを乱すような問題を起こすといったこともなく、仲のいい友達とはいえなくとも、ある程度の付き合いは行えている。
授業態度についても、消太との共同生活で早寝早起きの習慣がすっかり身についてしまったこともあり*1授業中の居眠りなどもなく良好であるし、ミニテストの結果や宿題の提出にもこれといった問題はなく、すっかりと明朗快活で運動も勉学もできる非常に優秀な生徒といったイメージが定着している状態だ。
休み時間でも花に蝶々が集まるように女生徒がやってきて、アニメやドラマ、ゲーム、先生の授業への論評や噂話、ヒーローや敵の事件等の話などを公子を中心に繰り広げて、内面的な年齢差に、世界レベルで違う*2ギャップのある話題差にあまりついていけず、公子に少々の疲労を与えてくるのが常である。ゲームならば最近消太が公子の気晴らしの一環として与えてくれているのだが、自主訓練や家事、宿題の片付けなどをしているとなかなか時間が取れず、たまにクラスメイトが同じゲームをやっているのが分かり多少話が弾むことがあったとしても、進行速度の問題ですぐにこちらについても話についていけなくなってしまうのが悲しいところである。
さて、そんなあまり精神的には休みにならない休み時間であるのだが、本日は少しいつもと様子が違っていた。
「相澤ちゃん、大丈夫ー?」
「ぅー」
「これは駄目っぽいー……」
公子に声をかけ、登校時よりひどいその反応にあちゃーっと額をたたいたのは、隣席の少女である。猫の異形型で、全身ではなく、身体の複数個所に分かれる格好*3で個性が表れている。彼女は猫好きの公子からの心の距離も近く、よく抱き着かれている。
1時間目からどんどんと調子が悪化しており、3時間目が手前となった今となってはこの始末で、机に突っ伏している状態である。
「みーちゃん、きつい……だるい、頭痛い……おなか空いた……」
元気印の公子にしては珍しい、絶不調である。
どれくらい不調かといえば、朝の走り込み兼、焦凍との対人訓練もキャンセルにしてしまうくらいには不調だった。
「普通のひとは体調が悪い時は食欲わかないと思うんだけどねー」
そっとしておいてくれオーラをまとう公子に同級生たちも、思いやりによってそばに近寄らずにいる。そんな中でみーちゃんこと虎乃美衣は、公子たっての希望でよしよしとその頭をなでていた。
「いつから?」
「起きたときからー」
「あたしの手じゃよくわかんないけど、熱はないんだよね?」
「ないと思うー」
「お酒でも飲んだ?」
「みりんなら昨日の夕食に使ったー」
「んー……何時に寝た?」
「10時ー」
「ひとより早いけどちょっと遅めだね」
「ゲームしてたー」
「生理?」
「ちがうー」
「うーん」
うにゃーんと擬音がつきそうな心配げな表情で首をかしげ、タタタタッと端末をたたく。
「相澤公子選手、春風邪が候補にあがりましたー」
「ゃだー」
確かにこの最近は寒暖差も激しく、気圧も乱高下していたため、体の調子を崩しやすい気候ではあった。
「相澤ちゃんにも弱点があったんだねぇ」
「弱点のない子*4はほとんどいないの……」
「1時間目も2時間目もしんどそうだったし、先生にいっておいてあげるから帰った方がいいよ」
「お昼おうちない……給食食べたい……」
「うんうん、そうだね、おなかすいたもんね。じゃあ、とりあえず保健室いって休んで、ご飯食べたら帰ろうね。ね?」
「ママぁ」
「そこはおねーちゃんにしとこ?」
υ´• ﻌ •`υ
美衣の付き添うとの言葉に感謝しつつも、授業を受ける時間を割かせるのも忍びないため遠慮して、公子はひとりで保健室にやってくる。
だがしかし。
「先生がいないねー……」
残酷にも保健室の入り口には『不在のため職員室へ』と記載された札が下がっていた。つまり、施錠されているし中には入れない。
「雄英でもあっちの学校でも全然そんなことなかったから油断した……」
慣れている生徒ならまず職員室に向かったのかもしれないが、公子が前の時に通っていた学校ではアニメや漫画に出てくる典型的なマッドドクターのような言動の養護教諭が、常時といっていいほどに保健室に詰めていたし、雄英高校ではリカバリーガールの交代要員*5が複数いるといった環境を見慣れていたこともあり、保健室に教員が不在である可能性など考慮せず、まっすぐに来てしまったのである。
そして、さらに残念なことに保健室は1階で、職員室は2階である。
「やっぱりみーちゃんに来てもらってたらよかったかぁ」
後で話したら、だからいったのにー、とかいわれそうである。
少し悩むが、養護教諭の戻りまでそんなにかからないことを期待して、入り口の横に腰を下ろす。少し目立つかもしれないが、次の授業の鐘がなるまですぐのため通りかかる生徒もいないだろうとの判断である。いまの体調で上り階段には挑みたくない。そんな気力はない。
「そういえば、あの頃はわりと体調を崩すこと多かったな」
休みを挟みはするけれど、ほぼほぼ連夜の迷宮探索と敵退治。疲労が溜まれば体調不良にもなるというもので、元気印なのに保健室の利用回数は上位に入る。養護教諭にとってもモルモット的な意味で優等生であった。
ふー、と長い息をつくと、うつむいた姿勢で保健室の主が戻ってくるのを待つ。
そんなところに、おずおずと声がかけられる。
「あのー、大丈夫です?」
気づくと、少し癖のある灰白色の髪の女子生徒が横におり、覗き込むように公子を見下ろしていた。リボンの色から2学年だ。美衣に似て、縦長の瞳孔をしている。
「ありがとうございます、先輩。その、ちょっと体調が悪くてしんどいので、保健の先生が来るのを待ってるんです」
あはは、と眉を落として力なく笑うと、その先輩は思わずといったように公子に鼻を寄せて、何かつぶやきながら匂いを嗅ぐ。
「血の匂い……?」
「えっ? わ?」
予想外の挙動に少し慌てると、どうやら先輩も自身の行動が想定外だったのか、両手を上下に振って弁解する。ぶんぶんと。
「あ、や、ごめんなさい。ええと、あの、なんでもないのです。待ってると冷えちゃうし、保健の先生呼んでくるね!」
「え、ええー?」
ぱたぱたと焦った様子で職員室に駆け出していく*6その背中に意味もなく手を伸ばすが、少し小柄な先輩は意外なほど素早い動きでささっと見えなくなってしまう。
「汗はかいてないけど、なんか、臭かった?」
あとに残された公子は、なんだか恥ずかしい思いに熱が高くなったかもしれない。顔にも手をあてて縮こまる。
ほどなく、先ほどの先輩に連絡を受けた養護教諭が到着し、たっぷりと授業2つ分の休息をとり、給食をいただいたのちに帰宅となるのだが、それが養護教諭からの連絡を受けてお迎えに来た消太に伴われるものになったことは、公子には想定外だった。
「給食目当てに残るな、馬鹿娘」
とは、その消太の開口一番のお叱りである。
給食を食べてから帰りたいですとの希望を受けいれて養護教諭がそのように対応したのだが、見事に消太にも伝えられていたのである。体調が悪くて帰宅といった場合に保護者に連絡を入れるのはいわれてみれば当然だが、公子としてはせめてそこの部分は伏せておいてほしかった。
「調子が悪いのなら、ちゃんといえ。最初から休め。非合理的だ」
それもその通り。
最初から自宅で休んでいたのであれば、消太が校長の指示で早退して引き取りに来ることもなかった可能性が高い。
本日に予定されていた授業や業務は別の教員が引き継ぐ*7ことにもなったわけで、二重の意味で身の縮む思いをする公子であった。
そんな体調不良騒動であったが、そこを皮切りに、公子は自分の行動先でちょいちょいと、保健室前で声をかけてくれた先輩の姿を見かけることとなる。
後々に教えられたその名前は、
というわけで、新キャラは2名。猫娘のみーちゃんとトガちゃんです。
みーちゃんはオリジナルで、一般人枠。ある程度、仲良くできている子もいるよということで。
トガちゃんは同じ中学校です。公式で通っていた中学校が明確になったら(あるいは私が知らないだけで明確にされていることがわかったら)修正をするかもしれません。
次回は、自己紹介です。