この素晴らしい世界に"元"呪いの王を!   作:蠅頭

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第10話

 

『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報! 住民の方たちは今すぐ避難してください! 冒険者の方は今すぐギルドへ来てください!』

 

「話題に事欠かん街だな、この街は」

 

 宿儺は優雅にカフェでキャベツをむさぼっていた。

 朝から急に警報が着て宿儺はまたかと立ち上がる。

 

「デストロイヤー……確か三十億の賞金首の事ですね」

 

 同席していた裏梅がそう呟いた。

 

 デストロイヤー。正式名称起動要塞デストロイヤー。

 数百年前滅びた魔法大国ノイズで作られた超巨大ゴーレム。

 蜘蛛の形をしたゴーレムであり超合金で作られている。

 最も特徴的なのはほぼすべての魔法を無効化する魔法結界だ。

 これは爆裂魔法の一発や二発程度では崩れぬ防御力を持ち、高い魔法防御力を誇る。

 攻撃手段は逆に乏しく移動による轢殺と搭乗しているゴーレムによる投石やバリスタ程度で威力も低い。

 最も射線上に居る相手には大型モンスターだろうと轢き殺せるが。

 因みにデストロイヤーを作った国ノイズは暴走したデストロイヤーに真っ先に滅ぼされた。

 

「ギルドに向かうぞ」

「わかりました」

 

 宿儺と裏梅はギルドへと向かう。

 

 着いた先には既に人だかりがあった。

 

「皆さん、集まってくれて感謝します。これから対デストロイヤー作戦を考えます。その前にデストロイヤーを知らないという人は?」

 

 受付嬢ルナの言葉に何名かが手を挙げる。

 

 それによりルナが説明をする。

 説明を聞いて相手の強大さを思い知る。

 

「あの、落とし穴はどうですか?」

 

 ウィザードの少女が問いかける。

 

「新路上にある場合は迂回して、隠した場合落ちても跳躍して戻ってきます」

「……投石はどうだ?」

「搭乗しているゴーレムが迎撃します」

「空を飛んで乗り込むとか……」

「多数のゴーレムが待ち構えているので一人二人乗り込んだところで迎撃されるのがオチです」

 

 

(ふむ……俺ならば世界を断つ斬撃でやれるな)

 

 宿儺はそう考え、実際それは正しい。

 宿儺の世界を断つ斬撃は相手の防御能力の一切を無視する。例えデストロイヤーの魔法結界だろうと打ち破れる。

 世界を断つ解でデストロイヤーを真っ二つにすれば問題ないだろうと宿儺は考え発言しようとした瞬間カズマがアクアに問いかけた。

 

「なぁアクア。お前ならデストロイヤーの結界を破れるんじゃないか?」

「え? まぁ破れると思うけど……」

 

 アクアの何気ない一言にルナがいきり立った。

 

「破れるんですか?! デストロイヤーの結界を!」

「た、多分ね。魔王城の結界レベルじゃなければいけると思うわ」

「魔法結界を破れるならばあとは火力さえあれば」

 

「ふっふっふ。ならばこそ私の出番という訳ですね!」

 

 めぐみんがマントをばさっと翻した。

 

「我が爆裂魔法を持ってデストロイヤーを木っ端みじんにして見せましょう!」

「いや、流石に一人じゃ無理じゃないか?」

 

 カズマがそう言うとめぐみんはギクッと動きを固めた。

 

「……流石に我が爆裂魔法でも一発だけで破壊するのは……」

 

 そこに新しい者がやってくる。

 

「すみません、ウィズ魔道具店の店主です。私も冒険者としての資格を持っているのでお手伝いに……」

「貧乏店主さん来た! これで勝てる! 

 

 これならばやれる! と冒険者たちは雄たけびを上げるのだった。

 

 

 

 ■

 

 

「三十億の首、か」

 

 起動要塞デストロイヤーに賭けられている賞金は三十億エリス。

 冬将軍の三倍の値段、ベルディアの十倍である。

 

 倒せば豪遊して遊んで暮らせる額である。

 この街の冒険者約百名で割っても三千万エリスにも登る大金である。

 

 宿儺は前線に行きダクネスの後ろに立つ。

 

「スクナ殿か」

「なんだ、無駄に前に出てもデストロイヤーに轢き殺されるだけだぞ」

「……いや、私は前に出なければならないのだ」

 

 ダクネスは依然とそう言った。

 そこにカズマもやってくる。

 

「おいダクネス。お前が前に居ても意味ないから後ろに下がった方がいいぞ」

「カズマか……いや。私は引けない理由があるんだ。そうだな、今ここでなら言ってもいいだろう……私の本当の名はダスティネス・フォード・ララティーナという」

「ダスティネス……確かここら一帯を治める領主の名だな」

「お嬢様ってこと?!」

 

 カズマがマジかよと言った顔で驚く。

 

「みなには言うな。私は領主の娘だ。だからこそ領民の危機には先陣を切る必要があるんだ」

「……そういう理由なら、止めないで置くよ」

 

 それじゃあ、とカズマも去った。

 

 

 

 そして、デストロイヤーがやってくる。

 

「でかいな」

 

 現れたのは山のように大きい巨大な蜘蛛だ。

 背中部分は城のようになっている黒い蜘蛛。歩くだけで村などつぶれ街すら残骸とかし残るのはアクシズ教徒の身とされる災厄。

 

 

 アクアの解呪魔法セイクリッド・スペルブレイクが飛ぶ。

 白い光球がデストロイヤーへと飛び魔法障壁とぶつかり合う。

 数秒の拮抗ののち魔法障壁はパリンと破れた。

 

 それに合わせめぐみんとウィズが爆裂魔法の詠唱に入る。

 詠唱が終わり、放たれる。

 

 爆撃がデストロイヤーの両足を破壊し、デストロイヤーが地面を滑る。

 滑っていき──ダクネスの目と鼻の前で止まった。

 

 よし来た、と宿儺はすぐさま跳躍し空気の面を踏みながら飛ぶことでデストロイヤーの背中に到着する。

 それと同時にデストロイヤーから大きな音が鳴り響く。

 

『エネルギーが正常に消費されていません。緊急事態の為自爆機能を作動します。繰り返します。自爆機能を作動します──』

「くく、動けなくなったら自爆か。作った奴は頭がイかれてるな」

 

 宿儺はそう笑いながら接近するゴーレムたちを迎撃する。

 どれも今の時代で創れない独立稼働するゴーレムだ。

 今の時代は一部のクラス持ちが一時的に機能するゴーレムを作ることは出来るが永続的に機能し続けるゴーレムを作ることは出来てない。

 

 ゴーレムのパンチを宿儺は華麗に避け腹を殴って吹き飛ばす。

 二メートル程飛びゴーレムの腹がへこむ。

 

「思ったより硬いな」

 

 宿儺のレベルに合わせ魔力強化を含めた拳でもへこむ程度となれば相当に硬い。

 ならばと今度は解を浴びせれば容易く壊れた。

 

 宿儺は解と捌を駆使しゴーレムの集団を破壊する。

 

「うぉ、これあんた一人でやったのか!」

 

 そうして他の冒険者がやってきたころにはすべてのゴーレムを破壊していた。

 

「あぁ。先へと行くぞ」

 

 宿儺はそう言い先へと走って行った。

 道中ゴーレムは出ず硬い扉の身だが全て殴るなり蹴るなりして壊して進む。

 

「ここが最奥か」

 

 着いた先は玉座がある部屋だ。玉座には白骨化した死体がある。

 その傍には日記らしき物があり宿儺は読み始める。

 

(日本語で書かれているな……デストロイヤーを作ったのは転生者だったか)

 

 

 そうして読んでいくとデストロイヤー制作秘話が明かされる。

 

 気づいたら国のトップクラスの研究所長になっていた事。

 低予算で破壊兵器を作れと言われた事。

 設計紙に蜘蛛が乗ってきて潰してしまった事。紙は高価だから替えが無いのでそのままやけになって提出した。

 結果蜘蛛型の兵器を作ることになり製造が着々と進んでいった。

 そして動力炉が問題になり適当に伝説のコロナタイトでも持って行こい言ったら本当に持ってこられたこと。

 デストロイヤーに乗って酒盛りして酔った勢いで動力炉に設置しておいたコロナタイトに根性焼きしたら案の定暴走したことが書いてあった。

 

「馬鹿しかいないのか、転生者とやらは」

 

 宿儺は微妙な顔をした。

 

 読み終えるとどんどん足音が響いてきて冒険者たちやカズマ一行がやってくる。

 

「この人、未練もなく綺麗に成仏しているわね」

 

 アクアが死体を見ながら言った。

 

「いや、こんなところに一人残されて未練がないわけないだろ……」

「そうでもないぞ。これを読んでみろ」

 

 宿儺が日記を渡すとカズマが音読を始める。

 

「国のお偉いさんが無茶言い出した──」

 

 

 そうして読み終わると全員──宿儺とウィズ以外──「ざけんな!」と叫んだ。

 

 

 宿儺とカズマ、アクアとウィズは奥へと進み動力炉に辿り着く。

 

「これがコロナタイト……」

 

 動力炉に浮かぶのは赤く輝く球体コロナタイトだ。

 無限のエネルギーを発する鉱石である。

 

「どうする? 下手に刺激すると大爆発しそうだが」

「アクア、お前の力で封印とかは?」

「私そんなの出来ないわよ。担当が違うもの」

「でしたらテレポートさせるのはどうでしょう?」

「それだ!」

「ですがテレポート用の魔力が足りないですし、そもテレポート先が王都かダンジョンの二択でして……ダンジョンの方は入口なんでそこが吹き飛ぶとその……」

「どっちもダメじゃねーか! なんか他にはないのか?!」

「ら、ランダムテレポートっていうどこに跳ぶかわからない魔法はありますが……」

「じゃあそれだ! なんか白くなってきたしそれで!」

「ですが魔力が……」

「なら俺のを使え」

 

 宿儺が手を差し出す。

 

「ありがとうございます! ドレインタッチ!」

 

 宿儺から急に魔力を吸収していく。

 

(これが吸われる感覚か)

 

 これならば魔力操作の応用で抵抗できそうだ、と思いつつ魔力を与えていく。

 

「これで充分です! ランダムテレポート!」

 

 コロナタイトがシュン、と消えた。

 

 これでよし、と宿儺以外が胸をなでおろしデストロイヤーから降りていく。

 

「残ったこのデストロイヤー本体はどうする?」

 

 宿儺がカズマに問いかける。

 

「まぁ、そこはうちのめぐみんの日課の爆裂の大勝するとか、あるいはこれも金属の塊なんだから冒険者動員して採掘するとかやりようはあるな」

「ふむ、出来ればもう少し探索したいところだが……」

 

 そう言いながらデストロイヤーから降りて少し歩くと今度はデストロイヤーが赤く発行し始めた。

 

「な、なんだ?!」

「これは……デストロイヤー自体に溜まっていた熱が暴走しかけてるな。このままだと街が火の海だ」

「コロナタイトテレポートさせた意味ねー!」

 

 うぎゃぁぁとカズマが絶叫した。

 

「まぁ、そこのリッチーに爆裂魔法を唱えて貰えば──」

「おおっとちょっと待った──!」

 

 そこに冒険者に背負われためぐみんがやってくる。

 

「真打登場!」

「めぐみん! よしお前の爆裂魔法で本体を木っ端みじんにしてやれ!」

「ならば魔力は俺が提供しよう」

 

 そうしてカズマ経由で宿儺の膨大な魔力をめぐみんに移しめぐみんの爆裂魔法でデストロイヤーは木っ端みじんに消し飛ぶのだった。

 

 

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