この素晴らしい世界に"元"呪いの王を!   作:蠅頭

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宿儺ならこれくらい出来るやろの精神で強化してます


第3話

 

 それから宿儺は冒険者として活躍した。

 多数のモンスターを倒し、功績を打ち立てた。

 何故か宿儺という異形の存在に対してアクセルの住民はそこまで不快感を示さなかった。

 これには理由が二つある。

 一つは男たちの知られざる秘密であるサキュバス店の存在と、半ば公然の秘密となっている貧乏店主と呼ばれるリッチの存在が理由だ。

 元よりこの街には異形を受け入れる余地があったのである。

 更に宿儺は外見は怖いがみだりに人に手を出したりはしないというのも合わさった。これには宿儺が今生は人の為に生きて見ようと考えているのも理由だが。

 

 かくして宿儺は平和的に異世界生活を送っていた。

 

「ふん!」

 

 宿儺は森の中で叫びと共に拳を振るった。

 放った拳はライオンの顔をしたモンスターに命中し、大きくのけぞらせる。

 

 巨大なモンスターだ。最低でも三メートルはあるだろう。

 顔と胴体はライオン。尻尾には蛇、背中には蝙蝠の翼が生えているモンスター、キマイラと呼ばれる上位のモンスターだ。

 

「くく、身体能力だけはあるようだな」

 

 宿儺はニヤリと笑う。

 この世界に来てから毎日宿儺はモンスターと戦い、そして満足していた。

 見た事の無い種族との戦い。見聞きしたことの無い存在、モンスターとの戦いだ。

 宿儺は元より戦いにある程度の快楽を持つタイプの人間である。正確には自身の知らぬ未知なる力を持つ者に対する悦楽だが。

 その為見る者全て未知で構成された異世界というのは実に宿儺にとって素晴らしい環境だった。

 

 キマイラが痛みと共に叫び、空へと逃げる。

 

「逃がすか」

 

 宿儺はジャンプし、空中で空気の面を踏んで跳ぶことで二段ジャンプをし、キマイラに殴りかかる。

 左下の腕でキマイラの顔を掴み、残る腕でキマイラを殴り続ける。

 

「そぉーれ!」

 

 宿儺は上の両腕で拳を作り、頭からダブルスレッジハンマーを殴りつけ、地面に落下させる。

 宿儺はすぐさま下の手で掌印を結ぶ。

 

「嵌合・貫蛇(かんじゅ)

 

 巨大な──牛にも似た顔つきの角の生えた蛇が生じる。

 非常に巨大だ。顔だけで三メートルはあるだろう。体全体の長さは十数メートルはある。

 

 巨大な貫蛇は突撃し、地面に落ちたキマイラに突撃する。

 

 衝撃が生じ、土煙によって貫蛇とキマイラが見えなくなる。

 だが貫蛇はキマイラをその牙で食い掴み、宿儺が浮遊する上空へと持ってくる。

 

 宿儺は拳を構える。

 

 貫蛇による突撃と宿儺の拳がぶつかった。

 強大な一撃だ。超スピードで動いてるときに超威力のパンチを喰らったのだ。キマイラは無事では済まない。

 貫蛇は口を放し、絶命したキマイラが地面へと落下する。

 

「これでクエストクリアだな」

 

 宿儺は飛行し、裏梅の居る地面に向かって飛んでいく。

 

 宿儺はこれまでの生活で十種影法術の式神全てを再度調伏していた。

 新しく与えられた十種影法術は式神が全てリセットされた状態だ。玉犬・渾も居ない状態である。

 そこから全ての式神の調伏の儀を済ませ、全ての式神を使えるようにした宿儺は十種影法術で新しい拡張術式の練習をしていた。

 

 嵌合・貫蛇と今している飛行もその一環である。

 

 嵌合・貫蛇は名の通り貫牛と大蛇を合わせた拡張術式、不知井底(せいていしらず)と同じ類の術式である。

 飛行は宿儺は五条悟との戦いで万象の水生成能力を式神を顕現させずに成立させた。ならば鵺が持つ飛行能力を式神を顕現せず出来るのでは無いか、という思考の元試した結果できたのが飛行である。

 瞬発力で言えば空気の面を捉えて跳んだ方が早いが、長時間の飛行や上下左右全方位に飛行出来るという点ではこちらの方が優れている。

 

「終わったぞ、裏梅」

「流石は宿儺様。もう終えられましたか」

 

 裏梅が仰々しく礼をする。

 

「今日は帰るとしよう。見新しい物も無いしな」

「はっ」

 

 

 

 ■

 

「あ、裏梅さん! 今度うちに来てくださいよ!」

「宿儺さん! この前はありがとうございました!」

 

 アクセルの街に帰った宿儺と裏梅の二人はその様な歓迎の言葉を受ける。

 これは宿儺がここ最近活躍したのと、裏梅が元より活動していたのが原因だ。

 裏梅は宿儺が来る大分前からこの世界に転生しており、既に高位の冒険者として活動していた。

 それでも尚アクセルに留まったのは転生者は必ずこの街に来るからであり、宿儺を一人待ち続けていたのだ。

 裏梅は容姿も優れており、そんな人物が活躍していれば嫌でも話題になる。

 

 宿儺は宿儺でここ数日で高レベルの依頼、先程受けた発情したキマイラの番の討伐やマンティコアの討伐等を受けていた。

 更に宿儺は通りすがりの初心者殺しという名の通り初心者には脅威のモンスターに襲われている冒険者一行を助けたりなど、善行も積んでいた。

 

 このことから宿儺に着いて受けいられつつあるのである。

 まぁIFの話になるが堂々と悪魔とアンデッドとヴァンパイアと巨大なハムスターが謳歌してても誰も気にしない街なのであまり関係は無かったかもしれないが*1

 

 宿儺と裏梅は街を歩ていく。その姿はある種微笑ましく思えるものだった。

 

 

 

 ■

 

『緊急警報! 緊急警報! 冒険者の皆さんは正面門の前に集まってください!』

 

 宿儺が冒険者ギルドに併設された酒場でつまみを食っていると、そんな警報が流れた。

 はて、何があるのだろうかと裏梅を連れギルドを出ていく。

 警報に律義に冒険者達がギルドを出て、他の宿や食事処に居た冒険者達も駆け出す。

 釣られ宿儺も駆け出し、裏梅も走って着いて行く。

 

 そして開けられている門前に集まった宿儺は見知った顔──カズマを見かけ声をかける。

 

「おい小僧。これは何の催しだ?」

「あ、宿儺さん! 聞いてくださいよこれキャベツ狩りですって!」

「は?」

 

 カズマの言葉に宿儺はお前は何を言っているんだ、という顔をする。

 裏梅もゴミを見る目でカズマを見る。

 

「いや俺も信じられないですよ! けどこいつが!」

「カズマさんは知らないでしょうけどね! この世界のキャベツは飛ぶのよ! 刈られたくない、食べられたくない……その一心でね!」

「理解できん」

 

 宿儺が理解を諦めようとした時、裏梅が口を開いた。

 

「あながち嘘でも無いかもしれません……この世界では秋刀魚が畑から採れるそうです」

「???」

 

 宿儺は顔にはてなマークを浮かべる。どういう世界だこれは、と。

 そして異世界とはこういう理不尽な物なのかもしれない、と無理くり納得させる。

 

「「「「「キャベツ狩りだァァァァ!!!」」」」

 

 冒険者達の雄たけびが響いた。

 宿儺が視線を正面門の向こうに向けると、そこには飛来する大量のキャベツの姿があった。

 

「……どうやら異世界とやらは本当にキャベツが飛ぶのだな」

 

 さてどうするか、と宿儺は考える。

 

「さぁ大量に取るわよカズマさん! 一玉一万エリスよ!」

「マジかよ!」

 

 アクアとカズマがそんなやり取りをする間も冒険者達は対キャベツ戦に勤しむ。

 

「ふむ……こうするか」

 

 宿儺は魔力を爆発的に高め、放出する。

 それは巨大な魔力の奔流だ。衝撃波が生じ冒険者達は怯み竦む。

 だがキャベツ達にとっては充分な威力を発揮し、キャベツ達は落下する。

 

「うお、すげぇ……」

 

 カズマが一見宿儺の威圧でキャベツが倒れた様に感じ。恐怖に唾を飲む。

 

「布瑠部由良由良」

 

 宿儺は上の手で掌印を結ぶ。

 呼び出されるは最強の式神、八握剣異戒神将魔虚羅。

 三メートルの巨大な人型の式神。肌は白く、和風のズボンを付けた外見。頭部には後頭部から尻尾のような物が生え、目の部分には羽が二対生えている。

 右腕には剣のような物が付いている、十種影法術で呼び出される最強の式神。

 

「キャベツを収穫しろ」

 

 宿儺がそう指示を出すと魔虚羅は大人しくキャベツを回収していく。

 宿儺も腕を使ってキャベツを回収し、回収ボックスに投げ入れる。

 裏梅もまたキャベツの回収をする。

 

 一度宿儺が魔力で撃ち落しても尚、キャベツはまだまだ来る。冒険者達は新しく来たキャベツ達を回収していく。

 

「異世界とはこんなことばかりなのか?」

 

 宿儺はそう愚痴を零す。

 

 尚魔虚羅は変に適応してカンガルーみたいな袋が生えた。

 結果、宿儺は一日で四百万エリス稼いだ。

 

*1
このファンのオバロコラボ

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