この素晴らしい世界に"元"呪いの王を!   作:蠅頭

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第7話

 

 ベルディアを倒した翌日、宿儺と裏梅はウィズ魔道具店に来ていた。

 今頃ギルドではカズマパーティが借金を背負っている頃である。

 

「ウィズ魔道具店へようこそ宿儺さん!」

 

 店に入って開口一番にアンデッドの王リッチーであるウィズは笑顔で宿儺を出迎えた。

 

「邪魔するぞ」

 

 宿儺はこいつほんとにアンデッドなのだろうかと疑問を持ちながら店内を見て回る。

 店内には高級魔道具が多数置いてある。どれもこれも駆け出しでは手が届かない一品ばかりだ。

 

 宿儺はあるポーションに興味を持ち手に取ってみる。

 

「これはなんだ?」

「それは衝撃を与えると爆発するポーションです!」

 

 宿儺はそっと慎重にポーションを元に戻した。

 次に隣のポーションに手を伸ばす。

 

「そちらは水と混ざると爆発するポーションです!」

 

 またも宿儺はそっと元に戻す。三つ目に手を伸ばす。

 何となくわかる答えを聞いてみる。

 

「そちらは蓋を開けると爆発するポーションです!」

「この店には爆薬しか売ってないのか?」

 

 思わず裏梅が突っ込んだ。

 

「いえそこの棚が爆発系統のポーションが置いてあるだけですよ! ほらこちらには魔法を強化するポーションがあります。ただ強化しすぎて自分にも効果が及びますが……」

「産廃しか置いてないのかこの店は」

 

 宿儺が思わずと言った風にツッコミを入れた。

 

「まぁいい。今日は消耗品を探しに来たんだ……王都に行かずこのレベルのポーションが補充できるのはいいな」

 

 宿儺は基本己の身一つで戦うタイプの戦闘者だ。

 だが武器を使わないという訳ではなく、全盛期には神武解と飛天を使っていた。

 その為武器でも売っていればと思ってきたのである。

 

「うーん。申し訳ないですが武器は売ってないですね……基本消耗品だけです。ただ装飾品は売っていますよ。例えばこちら、願いが叶うチョーカーです!」

「願いが叶う? 大それた謳い文句の商品だな。具体的にはどんな効果を持つ?」

「はい! こちらは装備者の願いを汲み取りその願いが叶うまで絶対に外れません! そして時間経過とともにチョーカーがしまっていき最終的には窒息死してしまうのでそうならない為には願いを叶えるしかないというアイテムです!」

「呪いのアイテムの間違いじゃないのか?」

 

 この店には変な物しか売ってないのだろうか。宿儺はこの店の将来を心配した。

 

 

 

 ■

 

 季節は巡る。この世界に来た時は秋の前ごろだったが時間が経てば当然季節が過ぎる。

 秋が過ぎて冬となり、このアクセルの街も冬景色となった。

 

 ギルドで雪精討伐の依頼を受けた宿儺と裏梅はアクセル外れの草原に来ていた。

 雪精というのは精霊種の一種だ。手のひらより大きい雪玉に目が描かれている精霊であり倒すと春が半日早くやって来ると言われている。

 今も宿儺の周囲をふわふわと浮遊している。

 

「あれ? 宿儺さんも来てたんですか?」

 

 そこにカズマ達一行もやってきた。

 

「ああ。俺は雪精討伐の依頼を受けてきてな」

「そうなんですか、俺たちもその依頼受けて来たんですよ。よかったら一緒に討伐しません?」

「別にいいが……死ぬ気か?」

「え」

 

 宿儺はこいつ本気か? と信じられない者を見る目で見る。

 

「え、雪精って弱いモンスターって聞いてきたんですけど……」

「……知らないようなら教えてやるが、雪精を倒すと上位の精霊である冬将軍がやって来る。そいつは魔王軍幹部並みに強いらしいぞ」

「マジすか?! ちょ、みんな何で黙ってたんだよ!」

 

 カズマが振り返り仲間たちに問い詰める。

 

「上位の精霊ともなれば我が爆裂魔法で吹き飛ばすに相応しい相手! 是非とも相手したく思いましてね!」

「私は冬将軍が気になって……それ程の強さを誇るモンスター。ああ、それを相手にしたら私はどうなってしまうんだろう……!」

「私はほら、雪ってようは水じゃん? だから水の女神である私なら大丈夫かなーって」

 

「んな理由で俺を来さすんじゃねー!」

 

 オーマイガー! とカズマは嘆いた。その姿に宿儺はちょっと同情した。

 

「まぁいい。そこでうずくまってろ。始めるぞ」

 

 宿儺は解を放ち周囲に居た雪精全てを討伐する。

 

 そして、やって来る。

 

「ほぉ……」

 

 宿儺はこの世界に来て初めて感じた強者の気配を前に心躍った。

 

 出現したのは正に冬将軍、という外見のモンスターだった。

 厳つい鎧武者でありその手には刀を握っている。

 全身が雪色の将軍と言ったところだろう。威圧を放っている。

 

 そのプレッシャーによってカズマは身が震えめぐみんは死んだふりをしダクネスは身震いしアクアはすかさず土下座の姿勢をとった。

 裏梅は変わらず宿儺の後ろに控えている。

 

「いくぞ!」

 

 宿儺は駆け出すと同時に解を放つ。

 見えない飛ぶ斬撃のはずが冬将軍は何かしらのスキルか魔法で感知したのか斬撃に対し刀を置くことで防いだ。

 あえて斬撃より遅く走った宿儺は殴打に入る。

 

 四つの拳を使った怒涛の攻めだ。並大抵の者ならこれで肉ミンチになる拳の攻撃である。

 

 だが冬将軍は刀でほとんどの打撃を防ぎ、その身に受けても平然とした。

 宿儺は習得したスキルで非実体の相手にもダメージを与えられるし、魔力を纏う呪術式の身体能力向上術によって非実体にも干渉できる。

 しかしその拳を受けても外見上では一切ダメージが入っていない。

 

(本当にダメージが入ってないか、即座に肉体を治しているか、どちらだ?)

 

 宿儺はそう考えつつ打撃を辞めない。

 

 だが流石に鬱陶しく思ったのか冬将軍は冷気の衝撃波を放つ。

 それにより宿儺は多少飛ばされ体に霜が出来る。

 

「龍鱗、反発、番の流星」

 

 宿儺の下の口が詠唱をした。

 五条悟を終わらせた最強の一撃が来る。

 

「解」

 

 世界を断つ斬撃。

 しかしながらそれは容易に回避された。

 何せあからさまに詠唱するわ呪力──この世界では魔力の為が発生するわで何かしますよと公言してるような物だ。

 一定以上の実力者ならば回避は可能である。

 

 上に跳んで避けた冬将軍は空を蹴って宿儺へと急接近する。

 宿儺と同じ空気の面を蹴っての移動である。

 

 宿儺は拳に見えない斬撃を纏わせ迎え撃った。

 

 拳と刀がぶつかり合う。

 

 硬い金属同士がぶつかった様な異音が響き渡る。

 

「うぉぉぉ! 退避!」

 

 その光景を見ていたカズマ達一行は宿儺と冬将軍から離れる。

 

 こんな戦いに巻き込まれてたまるかと言った風に。

 

「いいぞ、魅せて見ろ、冬将軍!」

 

 宿儺は心躍り気合を入れて冬将軍の腹を殴った。

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