作者はその謎を追うべく、夜渡りとして夜の雨の中へと分け入り───
はい、すみません。
過去一性癖丸出しな、おねショタパートです。
さて。
世界が変わり、少年を取り巻く環境も変わった中で、一番大きな変化は戦闘訓練をするようになったことだろう。
「はぁ…はぁ…ぐっ」
ふらつきながら、少年は目線を逸らさない。
真剣な顔つき。
本気になった男の子の目線を受け止めた千冬は、身体の奥に妙なむず痒さを感じたが、気の所為だと頭を振る。
自分は一桁年齢の子どもに欲情するあの変態とは違う。
「もう一回、おねがいします」
「…ノア。あまり無理はするな」
「これは、むりじゃないです…と思います」
たしかに、時に軍の指導もしてきた千冬の目は少年はまだ出来ると判断している。
だがそれは、感情を削ぎ落としたものの見方をした場合であり、千冬との戦闘訓練前に朝からIS学園の教員である山田先生とのISによる高機動戦闘訓練をこなし、基礎体力を上げるための走り込みもしていることを考えれば十分休んで良い状態だった。
だが、約一ヶ月で苦手な算数含め理系科目の義務教育課程を終わらせた少年の根気は、心配を無下にすることへのバツの悪さこそあれど、折れる様子もない。
「…それに、これはひつようなことです」
そう。
少年が戦闘訓練を行うことに、束も千冬も難色を示しつつ協力するのは、それが必要だからだ。
それが例え少年の親の思いを踏みにじることになったとしても、弱いままではいられない。
世界に認知されてしまった少年は、否が応でもトラブルに巻き込まれていくことになるだろう。
なら、少年の言う通りなんでもやるべきなのだ。
ISなしの生身の戦闘訓練。
それも、最後の手段だと考えて疲労の蓄積した状態での戦闘訓練。
攻撃よりも時間稼ぎと防御に重きを置いた、授業としても実施されているその訓練に、少年はサボることなく学園の誰よりも真剣に取り組んでいた。
「はぁ…はっ、んんっ」
「……………」
だが、その…なんだろう。
自分に組み伏せられ、力の差を理解しながらも、諦めずになんとか抜け出そうともがく少年を見下ろしながら、千冬は内心頭を抱えていた。
肘と膝のサポーターにヘルメットという、いくら10月中旬の屋内とはいえ暑苦しい格好にも関わらず、髪を結うようになったことで色気の増した汗ばむうなじ。
訓練用に用意したという少しダボついた白いTシャツ…の緩い胸元、汗で透けて見える肌。
時折服が捲れてさらけ出される成長途中の上半身(天災がエロいとのたまう薄く割れ始めた腹筋)。
整わない息に、疲労で上気した頬。
だと言うのに、相手からもらえる経験はすべて吸収しようという貪欲に相手を求める爛々と輝く瞳。
…ぶっちゃけ、エロかった。
最初こそ噂の少年の訓練風景を遠巻きに見ていた生徒たちだったが、噂が噂を呼び、段々と応援ではなく少女たちによる視姦のような、ねっとりとした目線が集まるようになったあたりで、少年少女の健全な生育に悪影響を及ぼすという判断のもと少年と千冬は訓練場所を移していた。
それはいい。
千冬としても、雑音がまったくない環境での訓練は気合も入る。
だが、狭い密室。
二人っきりで邪魔の入らない環境。
互いの汗の匂いが混じり合って、なんだか妙な気分になる。
むわぁ、とか。
モワァ…みたいな、スケベな空気になりつつあった。
そして、少年の素質もまた問題だった。
真面目に取り組めば取り組むほど、知識と経験を吸収し、成長していく可能性の獣。
2ヶ月前には喧嘩すらしたことのなかった少年が、純粋な打撃のみで手加減しているとはいえ防御も回避もうまくなって人類最強の攻撃から身を守れるようになる。
そのとんでもなさ。
なんなら、最近はゴム製のナイフでの反撃すら覚え始めていた。
「まだ、負けてない…っ」
「…ははっ」
千冬の豪脚による薙ぎ払いをくぐり抜けて、超前傾姿勢の少年が自分に向かって飛び込んてくる。
その射殺さんばかりの瞳に、千冬は自分の口元が獰猛に裂けるのを自覚する。
これだ。
これが問題なのだ。
向上心があり、上達の早い生徒は教師として大歓迎なのだが、少年のその素質は千冬にとっては毒に等しい。
おそらく束と千冬が少年に惹かれてやまないその本質は、ともすれば孤高になりかねない自分に比肩できる可能性を秘めた素質と、それでいてまだ開花前で何者にも染められていないが故に、自分で無垢な少年を染めていけるという仄暗い確信。
機械とすら心を繋ぐ少年の感応能力に引き摺り出されるように、人類最強という頂点の普段は見て見ぬ振りをしている内なる暴君が顔を覗かせるのが問題だった。
自分を超えてみせろと叱咤しながら、その全力を出した目の前の仔犬を上回り、へし折り、組み伏せたい。
屈服させたい。
そんな加虐的な欲求が少年を前にすると抑えられない。
なんなら純粋に少年に向かって性欲を向けるカスな変態お姉さんよりも拗らせ始めた千冬の攻撃が直接的な打撃ではなく、絡みつくような締め技が増える。
そもそも、感応能力ということは自分の精神状態は少年の心に影響されたものであり、つまりは少年が誘惑するのが悪い。
という責任転嫁まで初めてしまった千冬はもう止まらない、止められない。
胸に閉じ込め、太ももではさみ、組み伏せて目障りな
そして、噛みつかれて甘い声を漏らし、耳に吹きかけられる千冬の言葉と吐息に
「…千冬さんのバカ…」
「……す、すまない…」
最近箒を真似て髪を伸ばしていて、毎朝頑張って癖っ毛を結うようになった少年が、乱れた髪に手ぐしを通して整えている。
最近見慣れてきたが、生徒間でこんなうさ耳つけた清楚な少女が男の子とか性癖壊れる。
歩く性癖破壊子兎と呼ばれるようになってきた少年の乱れた姿に、思わず喉を鳴らした千冬を少年は呆れたように見つめていた。
そのジト目に普通に怯む千冬は、その後束に『ちーちゃんも人のこと言えないじゃん、ぶー!ぶー!…ふっふっふ、なんてね!ちーちゃんの嫉妬を煽るためにわざとキスマつけといてよかったー。ねぇねぇ、今度二人で少年食べようね!』と言われて自己嫌悪で1日寝込んだ。
少年は逃げた。