カスなお姉さんとやさいせいかつ。   作:ひつまぶし太郎

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あくまでこの小説は健全なおねショタ小説であり…という話。
いつも感想とここすき、評価ありがとうございます。


⑤けんぜんなはなし

 

 

朝。

僅かな重みを右半身に感じながら目を覚ました少年は、朝日に目を細めながら伸びをする。

その拍子に、自分の左手首からじゃら…という音が聞こえたことに違和感を覚えて視線を向ければ、自分の左手と壁が鎖で繋がれていた。

 

「……?」

 

少なくとも、寝る前はこんなものなかったはずだ。

というかあってたまるか。

ならば犯人に聞くしかないと、少年は起きた瞬間から感じていた右側の重みに顔を向ける。

 

「おはよ♡」

「…………………………………おはようございます。これなんですか?」

「束さん特製少年監禁チェーンのつけ心地はどうかな?大変だったんだぁ、少年のことを起こさないように壁に取り付けるの!まさしく愛だね!」

 

それって本当に愛なのだろうか。

まぁ、愛なのか。

この人がそういうのならそうなのだろう。

寝てる間にベッドに入り込んできていた怪異に疑問を持つことなく、ついでにその言葉を素直に受け止める少年は、だいぶ寝起きで頭が回っていなかった。

少年は重たいまぶたをこすり、頭を傾ける。

伸びた髪が肩にかかり、ついでにそのまま少年は重力に逆らうことなくベッドに再び倒れ込んだ。

 

昨日は本当に忙しかったのだ。

突如降って湧いたもう一人の男性操縦者。

一人目と二人目の比較として身体検査が行われ、一夏の適性検査、基本操作のレクチャー、騒がしくなった学園内を落ち着かせるための説明会、全世界に向けた記者会見、入学試験の調整。

流石に今日くらいは昼過ぎから予定があるとは言え二度寝が許されるだろうと、少年は思っていた。

 

「あ、あれ…怒んないの?」

「…べつに…きょうは…おひるまでは…おやすみ…ですし……?…束お姉さんのキコウっていつものことですし…なれたし…またおきてからかんがえま……………すぅ」

「私がいうのもなんだけどこんなやばい状況なのに適応するの早くない?って、ちょ、まっ」

 

むにゃむにゃとあくび混じりに話す少年は、鎖に構うことなく束を抱き寄せると、そのまま首元に顔を埋めた。

そこに深い意味はない。

寝心地の良いポジションを無意識に求めた結果、近場にちょうどいい抱き枕があっただけだ。

 

「あわ、あわわわ…」

 

ただ、自分からならいくらでもアプローチ出来るしセクハラもできるのに、恋愛偏差値も防御力もペラペラな束には刺激が強すぎた。

え、なにこれすごい。

というか近い。

もしかして夢でも見てる?

あ、いい匂い。

これちょっとくらい触ってもバレないよね。

つーか食べてよくない?

これで生殺しってマジ?

 

頭だけはフル回転なのに少年からの拘束を堪能したくて、あと耳にかかる少年の吐息に全身に甘い痺れの走る紙装甲さんは結局首まで真っ赤にして、借りてきた猫のように抱かれるがまま。

そして、すでに半分夢の中へと落ちている少年が自分のしでかしに気付くはずもなく、爆弾発言とともに完全に意識を手放した。

 

「だから、このまま」

「ひゃ、ひゃい…」

「───いっしょにねよ?」

 

束は死んだ。

少年の敬語なし囁き添い寝ボイスに脳がオーバーヒートしたのだ。

 

ついでに少年のベッドのシーツも死んだ。

正体不明の汁気が溢れたからだ。

 

 

「……少年が悪いんだよ…」

 

少年はその二度寝中、突如下半身に甘い刺激が走り、最初はぬらぬらとしたなにか生暖かい別の生き物に襲われているような緩い快楽だったそれが徐々に強くなっていき。

自分でも聞いたことのないような甘い自分の声に耳を犯されながら、体が弓なりに反り、その先を求めるように腰をくねらせ、差し出し、逃げられない、逃がしてもらえない気持ちよさを前に舌を突き出しながら喘ぐしかできない夢を見た。

目を開ければ、目にハートマークを浮かべ、見たこともない淫靡な表情の束が少年を見下ろし、見せつけるように白く粘つく何かを飲み込む光景を見たような気がしたが、強烈な快感と深い睡魔は全ての罪と記憶を曖昧にして攫っていった。

 

 

 

 

ふひっ、おはよう少年!何してるかって?これはね、ピロートークっていう大人の営みだよ。うんうん。ピロートークってのはえっちのあとにするやつだからね、逆説的にさっきの添い寝と✕✕✕が本番だったっていうことになるよね。つまり少年の初めては私がもらったってわけで、これはもうほんとに大勝利ってやつなんだよねー!ふふっ、セッ───

 

…という、二度寝から目が覚めたら異常なくらい興奮していた兎を無視して、ボイジャーの助けを借りて拘束から抜け出した少年が向かうのは職員室。

 

今日は、入学試験の説明を受けることになっていた。

ただし、『少年の入学試験』の説明ではない。

少年はとっくに筆記試験も実技試験も突破している。

今から行われるのは、試験官をやるにあたっての注意事項と採点基準の説明だった。

 

あと、少年が実技試験を担当する『専用機持ち』の入学候補生たちとの顔合わせ。

彼女たちにとってこの試験に落ちるということは専用機の剥奪を意味しているため、少年の責任は重い。

同時に、気合い充分な少年もまたこの試験で負けることがあれば、あっという間に入学資格とボイジャーを剥奪されることになっていた。

 

合格基準を満たせば勝ち負けは関係ない受験生よりも重たい制約。

政府の仕掛けてきた分かりやすい悪意を前に、それでも、少年の瞳に不安はなかった。

 

少年はもう一人じゃない。

うさ耳姿のボイジャーを一撫でしてから、軽く息を吸い込んで少年は職員室の扉を開いた。

 

 

季節は11月。

そろそろ冬の足音が聞こえてくる。

 

閉められた扉の向こうに消えた少年を見送るように、枯れ葉が風に揺られていた。

 

 




夢だったのか、現実だったのか。
恋愛でのショタがかっこよくお姉さんをメロつかせるのはいい。
だが、本番でショタがお姉さんに勝てるわけ無いだろという思想の作者です。
ちなみに少年はこれ以降同じ夢を何度も見るようになり、気を抜くと束さんの口元に目が吸い寄せられて腰がむずむずするようになります。

こんだけ落としといて、責任取らずに少年が誰かと一緒になったらキタニタツヤ様の『ずうっといっしょ!』みたいな状態に束さんがなります。
その後、天災のぱわー(呪詛&感応能力の悪用)により、奥さんと過ごしているのに束さんの顔が浮かぶ、営み中も奥さんが束に見えてくる…寝てる時も束が夢に出てきて、現実も悪夢も全て境界線が曖昧になっていく少年は、常に束の幻覚と幻聴に電車でも会社でも誰といても性的に犯されるようになり、いつの間にか奥さんが本物の束さんと入れ替わってることにも気付かずに生きていくことになります。
そして、幻覚と幻聴に与えられる快楽でどろどろになり、何でも束のいうことを聞くようになった壊れた少年を見て、束さんはこれでずうっと一緒にいれるね…と言いながら、嬉しいはずなのに泣くのでした。
大切なものってなに?
自分が壊したものです…という。
美しいべ…(最悪)。

怪文書はさておき、今回の感想やここすき頂けると嬉しいなと思います。
中身がないって?
日常系なんです、許してください。
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