唐突にたくさんの方から感想や評価を頂いてひっくり返った作者です。
本当にありがとうございます。
かぽーん、なんて音は流石に聞こえないが、少年は現在そんな古典的な音が聞こえてきそうな立派なお風呂に入っていた。
汗をかいたあと着替えずにいたのが堪えたのだろうか。
少し涼しさを運んできた風に反応したくしゃみをカスなお姉さんに聞かれた少年は、『一旦お風呂入ってきたら?うちのお風呂、でっかいんだよ!』という一言に背中を押される形で一番風呂を頂戴する運びとなっていた。
見たことのないサイズのお風呂に、少年は普通にテンションが上がっていた。
鼻からゆっくり息を吸い込めば、檜木の香りが肺を満たす。
総檜木の本格的なそのお風呂は、とても居心地が良かった。
「はふ…」
お祭りに誘われ、家族を紹介され、見たことない大人たちに囲まれ。
少し強張っていた心の角が丸くなる心地のよさに、幸せのため息をつく少年の平穏はしかし、唐突に終わりを告げた。
ガラッと、浴室の入り口が開け放たれたのだ。
「!?!?」
「────!?す、すすすすすすすまない!?入ってると思わなくて…!これはその、事故で!?いや、私も見られてるんだからおあいこで!?ああいや違うそうじゃなくて!!!!す、すまない!本当に申し訳ない!」
「……えっと、はい…ぶくぶくぶく…」
少年は咄嗟に湯の中に沈んで、入ってきたその人物に背を向ける。
目を瞑るよりも早くボイジャーが目を塞いでくれたおかげで、少年は事故とは言え初対面のお姉さんの裸を見るという不祥事を回避することに成功していた。
おいふざけんなよ、そこはお約束だろ!見ろよ!という罵声がどこかから聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
裸の女の人が直ぐ側にいるという状況だけで、少年にとっては刺激が強すぎた。
ボイジャーもまた、箒が動揺しているうちに待機モードに戻ることで、自分の存在の秘匿に成功する。
あ、あぶなかった…と、少年だけでなくISまでもが揃って内心胸を撫で下ろすという、たぶん専門家とかが見たら普通にモルモット行きなリアクションをする二人は、そのままそっと浴槽の端っこへと移動した。
もっとも、少年の姿が視界に入った瞬間に自分の体を隠すことすら忘れるほどパニックに陥っていた箒が、男性によるISの部分展開、しかもISが自分の意志で勝手に起動するとかいう奇跡に気づくわけもなかったのだが。
なぜ私が一夏みたいなことを…!とかいう唐突な風評被害は、1年も経たないうちに現実になるのだけど、今その話も横に置いておこう。
箒は、最悪の未来を避けるなら速攻外に出て扉を閉めるべきだったのだ。
いや予想しろというのが無理だし、本当に事故だから箒は悪くないのだが。
「ひゃっほー!少年混浴しようぜぇぇぇええええ!?まさかの箒ちゃん!?いっくんから乗り替える…ってコトぉ!?ひどいよ箒ちゃん!少年の道着への着替えシーン覗こうとした私には拳骨振り下ろしてきたのに!自分は事故を装って覗くなんて!!!!」
「ちが、やめ…!」
冤罪セクハラカスお姉さんとかいう最悪の化物が乱入してきたことで、箒にとっての黒歴史化が確定してしまった。
「…は!まさか、私が『あれー?少年入ってたんだ気づかなかったなー。ま、もうこうなっちゃったんだし混浴しよっか!』作戦…もとい、事故を装うために脱衣所から少年の着替え持ち去ったのに気づいてたってこと…?箒ちゃん、恐ろしい子…!」
「やめてください!ほんとに!!!…というか姉さんのせいじゃないですか!どうしてくれるんですか!?」
何やってるんだろう。
…は!じゃないが、ほんとうに。
早く出ていってくれないとのぼせそうなんだけどな、と思う少年は、だんだんと自分の意識が遠のいてくるのを感じていた。
そもそも少年は今日寝不足で、クソ暑い中初めての剣道も経験し、汗で体を冷やしていたのだ。
そこにとどめの桃色ハプニング。
とっくの昔に、少年の許容量は超えていた。
あ、これやばい。
そう思った次の瞬間、少年の意識は暗転した。
「おー!これで少年の少年がみほうだ───!」
「姉さんバカなこと言ってないで早くタオル!…す、すす、すまない、ノアくん…!できるだけ見ないようにするから!」
「あー!箒ちゃんずるい!というかそんな焦らなくてもこの子には頼りになる友達が今も一緒だし、大丈夫だよ?」
「姉さん……妄想は大概にしてくださいね…」
「嘘じゃないのに!」
箒さんのヒロイン力高すぎ問題。
やはりツンデレ真面目系お姉さんはいい…。
ついでにそこにカスなお姉さんをひとつまみして妹の気になる人を逆ntrする展開でも美味しいし、姉にコンプレックス持ってる堅物な妹が急に独占欲出してかっさらっていて姉に勝ち誇り、カスなお姉さんの脳を破壊するBSSでもいい…。
まぁこれはただの作者の性癖開示であって今後の展開には全く関係ない話なんですけどね。