航空宇宙隊作戦記   作:えぴっくにごつ

1 / 6
チャプター1:「母なる星のため〝迎撃〟せよ」

 ――惑星ジア。

 それが、その者等の故郷たる惑星。

 

 その母なる星にて、文明を築いた人々は。ついに果てしない宇宙へと飛び出した。

 

 新天地を目指し、切り拓くための新たな旅路。

 

 ――しかしその最中で起こった、一つの邂逅。

 

 それは母なる星を脅かす、強大なる「大帝国」との遭遇。そして衝突の始まりであった。

 

 迫り来る魔の手より、母なる星を守るべく。

 惑星ジアの人々は、苛烈な戦いへと身を投じる事となる――

 

 

 

 惑星ジア。

 様々な生命、そして人種種族が存在する、広大な宇宙の内の揺り籠。

 

 そのジアに住まう人々によって起こされ、発展し拡大を遂げた各勢力、国家、コミュニティは。

 最近になってようやく、母なる銀河系にて自在な活動ができるまでにこじつけ。。

 外宇宙への一歩を踏み出した所であった。

 

 ――だが、それから間もなく起こったのは。友好的では無い――「敵」となる存在、文明勢力との邂逅であった。

 

 

 「レギュリオン大帝国」を名乗るその文明勢力。

 高度な文明に技術、そして強大な国力を携え。銀河を越えて広大な宇宙を股に掛ける、宇宙帝国国家。

 

 そのレギュリオン大帝国は、実態は異様なまでの野心を抱く侵略国家だ。

 宇宙の広く、遥かな果てまでを、その手中に収めることを目的と掲げ。

 保有する巨大で強大な軍事力をもって、侵攻拡大の手をいくつもの銀河へ、宇宙中へと伸ばし広げ。

 あらゆるを飲み込むまでの勢いで、その版図を拡大していた。

 

 

 その大帝国とのファーストコンタクトは、早々からの不穏の最たるものとなり。

 そして大帝国から突き付けられた、過大すらを越えた要求――事実上の従属を命じる通告は。

 

 しかしここまでの歴史にて、あらゆるに抗い続けて来たジアの人々に。大帝国を「反逆」すべき大敵と決定づけさせた。

 

 会談、交渉の決裂から。それをも見越していたのだろう、大帝国はジアに宣戦布告。

 そして布告と同時に、ジア側の掌握圏に大規模攻勢を開始。

 

 その、強大で恐るべき大帝国の侵略の手に。

 未だに母なる惑星ジアの内での、統一政府も持たず。今にあっても手探りでの宇宙開拓の時にある。

 広大な宇宙の内では赤子にも等しい惑星ジアは。

 

 

 しかし、その誕生からの歩みの内で宿し携えた。

 比類無き。あらゆる巨大恒星よりも輝き、あらゆる希少鉱石よりも強靭な――「精神」と。

 底なしの、困難な運命へ――「反逆」する信念の元。

 

 〝衝突〟することとなる。

 

 

 此度は、その彼等の。戦いの一幕を描く――

 

 

 

 ――惑星ジアの存在する、母なる銀河系。

 その内の、しかし帰る場所たる太陽系を遠く離れた、また異なる別の恒星系。

 

 その恒星系内でも最大クラスの、巨大なガス惑星を向こうに見て背景とし。

 そして伴う衛星が近くに存在してまた見え。さらに周辺には、まばらなデブリ帯が広がっている。

 

 そんな光景が周りに広がる宇宙空間。

 その一点。衛星とデブリ帯の近くに、唐突に発生して見えたのは。その光景を不自然に捻じ曲げる「空間の歪み」。

 それが発生して見えたのも、しかし一瞬。

 

 ――その直後。

 大から小までいくつもの存在、物体が。まさに突然の様相で、立て続けに空間へと出現した。

 

 それは――ジャンプ現象。

 またはワープとも呼ばれる、超技術現象によって行われた超空間航法。

 

 そして現れたのは、多数の〝宇宙機〟。それ等の成す群体、隊形だ。

 

 超空間航法からジャンプアウト、通常宇宙へと出現した宇宙機の数々。それが成す編成隊形。

 

 それは、この恒星系より遠く離れた、惑星ジアを母なる星とし。

 そのジアに存在する各勢力、国家、コミュニティの内でも。最大規模を持つ巨大な合同体。

 

 

 Joint East――略称 JE。

 または東州合同とも名称される、大洋を拠点とする合同体。

 

 そのJEの組織する、有事組織の一つ。

 航空宇宙隊、JE ASF。

 

 

 その編成運用する、〝航宙戦闘飛行群〟だ。

 

 

 ――宇宙部隊における編制形態、軍務形態などは。かつてより物語、創作上では海軍に倣う形のものが多く描かれてきた。

 

 そしてジアの各国々や、連合共同体などが、宇宙に進出するに伴い編成した宇宙軍組織もまた。多少の差に違いはあれど、それに倣う形で海軍式に準ずるものを採用。

 

 さらには、この広大な宇宙で接触を果たし、戦端を開く事となった大帝国軍のそれもまた。

 その形は、海軍式のそれに倣い類似するものであった。

 

 しかしそんな各例の内。

 JEにあっては宇宙において戦いを担う組織を、独自の形態で編成。

 元より、航空宇宙隊――諸外国における空軍組織が、宇宙分野を同時に担っていたこともあり。

 その流れのまま、宇宙作戦におけるあらゆる形、在り方は空軍式を倣った。

 

 そこには、JEが航空戦力(空軍)偏重のきらいがあり。

 そして同時に、宇宙を「海」ではなく、「空」と例え考える文化が主流であったことも大きかった。

 

 

 そんな背景経緯を持つ、JE 航空宇宙隊の航宙戦闘飛行群を形成するは。大小から形式まで様々な、各宇宙機。

 

 その詳細概要、内訳を見て行く。

 

 

 まず一番に目を引くは、全長数百rw(m)はある巨大な宇宙機。

 惑星上の大海での王者である戦艦すらを、優に越える大きさを持つそれは。

 縦長の流れるような、全翼機のそれである形状を持つ。超大型のシャトル機。

 

 ――Lsr-140 ジェーエンシャルフライト型宇宙機。

 

 敵対する大帝国からは、位置づけとして「巡洋戦艦」クラスと認識分類されているが。

 

 JEにおける正式な形式区分は「長距離作戦機」。

 ジアの諸外国からは「超重爆撃機」とされるものであり、そのそも「艦」ですらない。

 

 そのジェーエンシャルフライト型(以降、略称JEF機)が、まず一機。

 

 

 続けて見えるは。

 全長100rw程、今のJFE型より大分小型のシャトル型宇宙機が。

 しかしさらに何か、そのシャトルの倍以上はある。縦長でごてごてとし、そして多数の武装装備を持つ、宇宙ステーションのような構造物を引っ張る。

 そんなような全形の宇宙機。

 

 ――Lsr-533 ダイアストロフィズム。

 

 「地殻変動」の名称を持つ、JEの「巡行作戦機」――諸外国の形式に当てはめれば、「重~中型爆撃機」。

 見た目にある通り。シャトル機が武装プラットフォームをけん引する形を取った機体。

 略称、DF機。

 大帝国からは、軽巡~駆逐艦クラスで認識される機体。

 

 それが三機。「指揮官機」であるJEF型の周りに随伴する形で隊形を作り、「飛行」している。

 

 

 さらに見えるは、DF機のシャトル部よりさらに一回り小柄の。全長70~80rw程のシャトル型宇宙機。

 その機体下面、腹には。数発の大きな誘導弾体、ミサイルを抱き装備している。

 

 ――G-1098 ガン・プレーン。

 略称、GP機。

 「火力作戦機」――実態を諸外国の呼び方で表せば、「重攻撃機」。

 

 大帝国からはコルベットクラスで認識されているそれが、四機。

 飛行群の外周りを囲うように、また随伴飛行している。

 

 

 まず見えるそれ等の「大型機」が、飛行群の主力だ。

 

 

 そしてさらには、その飛行群主力に一瞬だけ遅れる形で。しかしほぼ同時に続々とジャンプアウトして現れたのは。

 数十機の宇宙機。

 主力の大型機各機よりも大分小型で、その分の身軽さを見せつけるそれ等は――「戦闘機」群。

 

 飛行群の直援の戦闘機隊だ。

 

 その戦闘機隊の多くの機は、ジャンプアウトからすぐに飛行群本隊の周囲に合流。援護のために展開配置。

 いくつかの機は、飛行群本隊の近くを飛び抜けて越えて。前衛を担うべく、その前方へと進出していく。

 

 

 そんなそれぞれの行動を見せる、各戦闘機の内の一機。

 

 ――Ffq-421 ショウゲキ、制宙戦闘宇宙機。

 

 元は、惑星の大気圏内を活動の場とする大型ジェット戦闘機。

 しかし(比較的)余裕のある大型の機体を利用し。無理くり大型航宙エンジンを複数基増設搭載。

 他、宇宙戦闘機として運用可能とするための改造を施され。宇宙へと駆り出された経緯を持つ機体機種。

 

 無線識別「アイザック4」の、その操縦席内にて。

 

 

「――ジャンプアウトの影響ナシ。そんじゃぁ、開始だな」

 

 

 ――ジョウサク コフア。

 航空宇宙隊、予佐(諸外国の大尉と少佐の間の階級)は。

 

 眼下に飛行群主力の隊形を眺めつつ。

 同時に、その大分に険しい造形の顔に、なにか不敵な色を見せて。

 

 これよりの「作戦」開始に向けて、そんな言葉を紡いだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。