航空宇宙隊作戦記   作:えぴっくにごつ

6 / 6
エンドチャプター:「作戦完遂」

「――弾薬倉開けェッ」

「開放ッ」

 

 僅差で自分等を救い、すぐ間近を飛び抜けて行ったジョウサク等のFfq-421を見送りつつも。

 ローンワンダラーでは同時進行で、「射撃投射」のための準備が進む。

 

 ヴァディシの張り上げた指示により、操作が行われ反映され。JEF型機の腹に備える弾薬倉(爆弾倉)のハッチが開放。

 そして、機が抱えていた複数発の巨大な弾体。大型宇宙艦船等の撃破を主目的とした、「超速弾体」がランチャーアームにより下がり準備状態を取る。

 

「フロントラインがやったッ、敵巡洋戦艦轟沈ッ」

 

 その最中にも、副機長が眼下に見えたものに叫ぶ。

 ローンワンダラーより少し前に出る形であった、僚機のDF機が。今まさに、誘導弾弾体を叩き込み、敵の巡洋戦艦を撃破轟沈に至らしめていた。

 

 他、各個判断で進入したDF機の誘導弾弾体による攻撃が。

 敵駆逐艦、フリゲートクラスを傷つけ、轟沈に至らしめている。

 

 帝国軍艦艇はいずれも強靭堅牢な船体と、優れた技術により生み出された各シールドの防御を持ち。間違っても軟なものでは無い。

 しかし、各機によって行われた苛烈で執拗な「波状攻撃」が。その強靭堅牢な敵艦たちをしかし削ぎ崩し、突破口を抉じ開けたのだ。

 

「照準手ッ!」

「調整中、間もなく――」

 

 各方からの報告を聞きつつも、同時に発したヴァディシの促し訴える一声。

 それにミュータント系の照準手の彼から、進行状況を知らせる声が返される。

 

 ミュータント系の彼の覗く、機首部に備えられる物々しい照準器は。その向こうに敵旗艦――シュティルビオンの巨体を、すでにほぼ捉えていた。

 

「――捉えた」

 

 そしてミュータント系の彼の、静かに上げた一声と。

 照準完了を告げる電子音が鳴り響いたのは同時。

 

 だが、直後瞬間。

 巨大なエネルギーの炸裂が、主砲クラスからのそれが。機の前方側方の間近で炸裂。

 ローンワンダラーを包み込んだ――

 

 

 

「直撃ッ!」

 

 ローンワンダラー機を狙い襲ったのは、まさしくシュティルビオンの主砲の一撃であった。

 シュティルビオンの指揮指令空間で、オペレーターの一名が張り上げる。

 

「屠ったか――!」

 

 それを聞いたリャケシエは、忌々しい敵の撃破を半ば確信。

 その可憐な顔にしかし不敵な笑みを作り、発し零す――

 

 

 

「――いや、大丈夫だ」

 

 しかし――ローンワンダラーは健在だ。

 衝撃に破片による傷は軽くは無かったが、紙一重の差でシュティルビオンの主砲の一撃を回避。

 巻き起こり広がっていた爆炎を、しかし堂々とその機首に機体で割り、ローンワンダラーは出現。

 

 そしてその照準席で、ミュータント系の照準手の彼が。

 まるで向こうの敵艦隊に、シュティルビオンに。そのリャケシエに、帝国兵たちに返答するかのように一声を紡ぎ。

 

「離撃――ッ」

 

 そして、超速弾体の発射装置であるハンドルレバーに。その大きな手で、力を込めた――

 

 

 照準手の彼の操作は、すぐさま反映される。

 複数発の超速弾体は機の腹、弾薬倉より伸びたランチャーアームより順次離れ。真空中にばらけるように放たれ。

 それぞれは同時に噴射したスラスターにより、方位照準の微調整がすかさず行われ。

 各超速弾体のその切っ先が。敵艦の方向を向き、捉えた――

 

 ――瞬間。

 

 超速弾体の内の一発が合図とするように、そのメインブースターを点火。

 それは爆発的な推進を生み出し、超速弾体をまさに打ち上げの様で押し出した。

 

 ――母機により、迎撃が非常に困難なまでの超近距離へと接近進入し。

 敵のその眼前より、超速弾体を叩き込む。

 それが航空宇宙隊、戦闘飛行群の戦法。

 

 次々に点火し、飛び出した超速弾体群。

 瞬くが早いか。点火からすぐさま音速を越えたそれぞれは。ローンワンダラー機から敵艦――シュティルビオンの間をまさに一瞬で飛び抜け。

 

 そして。シュティルビオンの懐、眼前へ飛び込んだ――

 

 

 

「――敵、弾体を投射ッ!!」

「全火砲ッ、迎撃を――!」

「誘導妨害展開を――!」

 

 シュティルビオンの艦内、指揮指令空間では。

 パニックの様相で各要員が、対応のための声を張り上げ。飛び掛かる様相で行動に掛かっていた。

 

「だめ……――速過ぎる――」

 

 しかし、その最中。

 空間の中心で立つリャケシエは、艦橋の向こうすぐに。すぐ間近に迫る超速弾体に目を釘づけにしていた。

 そして一瞬の後、超速弾体は艦のまさに眼前へと至り飛び込む。

 

「帝国、万歳……っ――」

 

 そしてリャケシエが零せたのは。儚さを含む声色での、その一言だけ。

 

 そして――

 

 ――超速弾体は、シュティルビオンのど真ん中に直撃。

 

 巨大な爆発が、爆炎が。シュティルビオンの巨体のど真ん中で巻き起こり。

 次にはそれは、艦体を真っ二つに分断。

 

 そして艦を、さらに拡大した巨大な爆炎で包み込んだ――

 

 

 

「――ッォオッ」

 

 ローンワンダラーはエンジンを最大出力にて吹かし、急速離脱。

 シュティルビオンへの着弾から、誘爆により発生した巨大な爆炎に衝撃を、背後に感じながらも。ギリギリの所でそれを逃れ、離脱に成功していた。

 

「ッァ――各機、報告上げろッ」

 

 離脱から、機体姿勢の復元。機体の損傷状況の確認。他、必要な各行動を片手間に行いながらも。

 ヴァディシは通信にて、指揮下の飛行群各機に安否、損害状況の報告を要請する。

 

《フロントライン、損害ナシ》

《トリーズナー――》

 

 各機から、無事を報告する通信が順次上がって寄越され。

 同時にローンワンダラー機の近くにいたDF機やGP機の各機から順次。

 合流からの再編成行動に掛かる様子を見せ始める。

 

 そしてその戦闘後行動を行いつつも、各機各員の視線は。この宙域で、最後の時を迎える敵艦隊を見届けている。

 

 眼下には、壮大なまでの雄姿を誇った敵艦隊。シュティルビオンを旗艦とする、機動戦術艦隊の。

 しかし傷つき果て、巨大な爆炎に飲まれて行く儚い光景が見える。

 

「盛大だが、もの悲しいな――」

 

 その光景から。ローンワンダラーの操縦室の内で、皮肉気と倦怠感交じりで誰かが零した――

 

 

 

《――各機、各飛行班、合流して再編せよ。長居は無用だ、宙域より離脱する――》

 

 指揮官機のローンワンダラーよりの、指示の通信が聞こえてくる。

 それを聞き、ジョウサクは自身も合流再編成すべく。愛機のFfq-421の操縦桿を操っている。

 

「――じゃあな」

 

 そしてしかし同時に。

 ジョウサクは、愛機の操縦席から眼下の向こうに。果てて爆炎に飲まれて行く敵艦隊を、その中心のシュティルビオンを見つつ。

 

 此度の戦闘作戦を締めくくる様に。簡易な敬礼を向けて、そう一言を零して向けた――

 

 

 今回に置いて、脅威は排除され。

 ジアの、JE側の勝利と終わった。

 

 苛烈で、紙一重の如き戦いであったが。彼等その確たる精神が、勝利への道を切り拓き、導いたのだ。

 

 これは、その彼等の戦いの一幕の記録だ――




以上です。

ショートフィルムアニメに影響されて、宇宙戦争の一幕をオリ設定を練り込んで描いたお話でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。