「――弾薬倉開けェッ」
「開放ッ」
僅差で自分等を救い、すぐ間近を飛び抜けて行ったジョウサク等のFfq-421を見送りつつも。
ローンワンダラーでは同時進行で、「射撃投射」のための準備が進む。
ヴァディシの張り上げた指示により、操作が行われ反映され。JEF型機の腹に備える弾薬倉(爆弾倉)のハッチが開放。
そして、機が抱えていた複数発の巨大な弾体。大型宇宙艦船等の撃破を主目的とした、「超速弾体」がランチャーアームにより下がり準備状態を取る。
「フロントラインがやったッ、敵巡洋戦艦轟沈ッ」
その最中にも、副機長が眼下に見えたものに叫ぶ。
ローンワンダラーより少し前に出る形であった、僚機のDF機が。今まさに、誘導弾弾体を叩き込み、敵の巡洋戦艦を撃破轟沈に至らしめていた。
他、各個判断で進入したDF機の誘導弾弾体による攻撃が。
敵駆逐艦、フリゲートクラスを傷つけ、轟沈に至らしめている。
帝国軍艦艇はいずれも強靭堅牢な船体と、優れた技術により生み出された各シールドの防御を持ち。間違っても軟なものでは無い。
しかし、各機によって行われた苛烈で執拗な「波状攻撃」が。その強靭堅牢な敵艦たちをしかし削ぎ崩し、突破口を抉じ開けたのだ。
「照準手ッ!」
「調整中、間もなく――」
各方からの報告を聞きつつも、同時に発したヴァディシの促し訴える一声。
それにミュータント系の照準手の彼から、進行状況を知らせる声が返される。
ミュータント系の彼の覗く、機首部に備えられる物々しい照準器は。その向こうに敵旗艦――シュティルビオンの巨体を、すでにほぼ捉えていた。
「――捉えた」
そしてミュータント系の彼の、静かに上げた一声と。
照準完了を告げる電子音が鳴り響いたのは同時。
だが、直後瞬間。
巨大なエネルギーの炸裂が、主砲クラスからのそれが。機の前方側方の間近で炸裂。
ローンワンダラーを包み込んだ――
「直撃ッ!」
ローンワンダラー機を狙い襲ったのは、まさしくシュティルビオンの主砲の一撃であった。
シュティルビオンの指揮指令空間で、オペレーターの一名が張り上げる。
「屠ったか――!」
それを聞いたリャケシエは、忌々しい敵の撃破を半ば確信。
その可憐な顔にしかし不敵な笑みを作り、発し零す――
「――いや、大丈夫だ」
しかし――ローンワンダラーは健在だ。
衝撃に破片による傷は軽くは無かったが、紙一重の差でシュティルビオンの主砲の一撃を回避。
巻き起こり広がっていた爆炎を、しかし堂々とその機首に機体で割り、ローンワンダラーは出現。
そしてその照準席で、ミュータント系の照準手の彼が。
まるで向こうの敵艦隊に、シュティルビオンに。そのリャケシエに、帝国兵たちに返答するかのように一声を紡ぎ。
「離撃――ッ」
そして、超速弾体の発射装置であるハンドルレバーに。その大きな手で、力を込めた――
照準手の彼の操作は、すぐさま反映される。
複数発の超速弾体は機の腹、弾薬倉より伸びたランチャーアームより順次離れ。真空中にばらけるように放たれ。
それぞれは同時に噴射したスラスターにより、方位照準の微調整がすかさず行われ。
各超速弾体のその切っ先が。敵艦の方向を向き、捉えた――
――瞬間。
超速弾体の内の一発が合図とするように、そのメインブースターを点火。
それは爆発的な推進を生み出し、超速弾体をまさに打ち上げの様で押し出した。
――母機により、迎撃が非常に困難なまでの超近距離へと接近進入し。
敵のその眼前より、超速弾体を叩き込む。
それが航空宇宙隊、戦闘飛行群の戦法。
次々に点火し、飛び出した超速弾体群。
瞬くが早いか。点火からすぐさま音速を越えたそれぞれは。ローンワンダラー機から敵艦――シュティルビオンの間をまさに一瞬で飛び抜け。
そして。シュティルビオンの懐、眼前へ飛び込んだ――
「――敵、弾体を投射ッ!!」
「全火砲ッ、迎撃を――!」
「誘導妨害展開を――!」
シュティルビオンの艦内、指揮指令空間では。
パニックの様相で各要員が、対応のための声を張り上げ。飛び掛かる様相で行動に掛かっていた。
「だめ……――速過ぎる――」
しかし、その最中。
空間の中心で立つリャケシエは、艦橋の向こうすぐに。すぐ間近に迫る超速弾体に目を釘づけにしていた。
そして一瞬の後、超速弾体は艦のまさに眼前へと至り飛び込む。
「帝国、万歳……っ――」
そしてリャケシエが零せたのは。儚さを含む声色での、その一言だけ。
そして――
――超速弾体は、シュティルビオンのど真ん中に直撃。
巨大な爆発が、爆炎が。シュティルビオンの巨体のど真ん中で巻き起こり。
次にはそれは、艦体を真っ二つに分断。
そして艦を、さらに拡大した巨大な爆炎で包み込んだ――
「――ッォオッ」
ローンワンダラーはエンジンを最大出力にて吹かし、急速離脱。
シュティルビオンへの着弾から、誘爆により発生した巨大な爆炎に衝撃を、背後に感じながらも。ギリギリの所でそれを逃れ、離脱に成功していた。
「ッァ――各機、報告上げろッ」
離脱から、機体姿勢の復元。機体の損傷状況の確認。他、必要な各行動を片手間に行いながらも。
ヴァディシは通信にて、指揮下の飛行群各機に安否、損害状況の報告を要請する。
《フロントライン、損害ナシ》
《トリーズナー――》
各機から、無事を報告する通信が順次上がって寄越され。
同時にローンワンダラー機の近くにいたDF機やGP機の各機から順次。
合流からの再編成行動に掛かる様子を見せ始める。
そしてその戦闘後行動を行いつつも、各機各員の視線は。この宙域で、最後の時を迎える敵艦隊を見届けている。
眼下には、壮大なまでの雄姿を誇った敵艦隊。シュティルビオンを旗艦とする、機動戦術艦隊の。
しかし傷つき果て、巨大な爆炎に飲まれて行く儚い光景が見える。
「盛大だが、もの悲しいな――」
その光景から。ローンワンダラーの操縦室の内で、皮肉気と倦怠感交じりで誰かが零した――
《――各機、各飛行班、合流して再編せよ。長居は無用だ、宙域より離脱する――》
指揮官機のローンワンダラーよりの、指示の通信が聞こえてくる。
それを聞き、ジョウサクは自身も合流再編成すべく。愛機のFfq-421の操縦桿を操っている。
「――じゃあな」
そしてしかし同時に。
ジョウサクは、愛機の操縦席から眼下の向こうに。果てて爆炎に飲まれて行く敵艦隊を、その中心のシュティルビオンを見つつ。
此度の戦闘作戦を締めくくる様に。簡易な敬礼を向けて、そう一言を零して向けた――
今回に置いて、脅威は排除され。
ジアの、JE側の勝利と終わった。
苛烈で、紙一重の如き戦いであったが。彼等その確たる精神が、勝利への道を切り拓き、導いたのだ。
これは、その彼等の戦いの一幕の記録だ――
以上です。
ショートフィルムアニメに影響されて、宇宙戦争の一幕をオリ設定を練り込んで描いたお話でした。