ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第一章 最終話:新たなる運命》

 幻術が解け、オビトたち三人は激しい眩暈(めまい)と共に、現実の、地下空間の冷たい地面に(ひざ)をつく。

 

「……狂ってる」

 

 しかしカカシは肩で息をしながら、ほどなく震える声で吐き捨てる。

 

「お前は狂っている、マダラ! そんなのは、生きてるなんて言わない……ただの、まやかしだ……!」

 

 カカシにリンが続く。

 

「私は、夢の中で幸せになりたいんじゃない!」

 

 自分の胸に手を当て。そこに宿る磯撫の温もりを確かめるように抱きしめ、マダラへ毅然(きぜん)と相対する。

 

「この二人と一緒に、本当の空の下で生きていきたい……たとえ、そこに苦しみがあったとしても!」

 

 そしてオビトは立ち上がる。

 

「じいさん……助けてくれたのは感謝する」

 

 マダラを(にら)みつけ、手を振り上げ言い放つ。

 

「けど、そんな計画には乗らねえ! 俺は火影になって、この地獄って言われる現実を、自分の力で変えてみせる……夢なんかに逃げねぇ!」

 

 マダラは怒るでもなく、ただ哀れむように。

 

「若いな。今は……その理想に酔っているがいい……だが俺には分かる……」

 

 マダラは、魔像に繋がれた自らの命の管を見つめながら、

 

「お前たちは必ず戻ってくる。この世が耐え難い地獄であることを真に理解したその時……俺の意志を継ぐことになるのだ。自ら望んで、な」

 

 最後に呪詛(じゅそ)のように、言葉を投げかける。

 

「ゆえに……今は行け! せいぜい光の中で足掻(あが)け!!」

 

 三人は老人を一度も振り返ることなく、地上へと走り出す。

 

「俺はこの闇の底で、お前たちを待っているぞ!!」

 

 

 

 夜、里への帰路、深い森の中。

 ()き火の()ぜる音が、静寂に包まれた野営地に小さく響く。

 カカシが周囲の警戒に当たり、オビトとリンは簡素な夕食の片付けをしている。

 

「……あれ?」

 

 そんな時、ふとオビトが自分の《右目》に手を触れた。

 

『不便だろう』

 

 リンとカカシを救出し地下拠点へと戻ってほどなく、マダラはそう言って古びた眼帯をオビトに手渡し、オビトはそれを失明した右目に巻いていた。

 

「……見える」

 

 今、その眼帯の隙間から、あり得ないものが漏れ出していることにオビトは気づく。

 

「おいっ! リン、カカシ! 右目が見えるぞ!」

 

 《光》が漏れ出していることに。

 オビトがゆっくりと、その眼帯を解く。

 開かれる右瞼(みぎまぶた)

 

「そんな、馬鹿な……!」

 

 そこには《イザナギの代償として光を失った》はずの、赤く輝く写輪眼。視力が蘇った。

 駆け寄って来たカカシが信じがたいものを見るようでオビトの目を(のぞ)き込む。

 

「ははっ、本当に見える! 見えるぞ!!」

 

 濁りのない鮮明な写輪眼の紋様(もんよう)

 

「そうか、あの爺さん……最後に俺たちに幻術をかけた時、こっそり治療してくれたんだな」

 

 オビトの脳裏(のうり)に、あの偏屈(へんくつ)で、悲観的なことばかりを語り、

 

「……チッ、なんだよ。散々不吉なこと言っておいて……結局これかよ。ツンデレじいさんめ」

 

 しかし何だかんだオビト達の世話をやき、こうして五体満足で送り出してくれた老人の姿が浮かぶ。

 

「……あんな風に追い出されなきゃ、ちゃんと『ありがとう』って言えたのにな……」

 

 オビトは照れくさそうに、寂しそうに笑いながら、鼻の頭を指で(こす)る。

 

「よかったね、オビト!」

 

 リンも、オビトの視力が戻ったことを心から喜び、(やわ)らかな微笑みを浮かべる。

 

「言葉はぶっきらぼうだったけど……マダラさん、本当はとっても優しい人だったのかも」

 

 一方、カカシは二人の無邪気な言葉を聞きながら、複雑な表情。

 《うちはマダラ》。伝説の忍にして――

 

「……どうした、カカシ?」

 

 木の葉を裏切った大罪忍:うちはマダラ。

 ありのままの事実を里に報告すれば……間違いなく暗部が動く。

 《マダラは殺害される》。

 里に忠誠を尽くすべき、里の皆の模範(もはん)となるべき上忍:はたけカカシ。

 

「……いや、里にどう報告しようかと悩んでいたんだが……」

 

 オビトに声をかけられ、カカシは視線を虚空(こくう)の闇からオビトとリンへ、仲間達へと戻す。

 

「マダラの生存なんて報告しても、誰も信じないだろうしな……里には『変わり者の隠者に救われた』とだけ伝えようかなと思ってな」

 

 今の自分たちがあるのは、うちはマダラ、彼のおかげであることは否定しようのない事実。

 

「彼の静かな余生を邪魔(じゃま)することもない」

 

 三人にとって、マダラはもはや《伝説の忍》ではない。

 《口は悪いが、世話焼きで風変わりなお人よし》。

 オビトは取り戻した右目の視界を楽しみ、リンとカカシはその様子を、片や愛おしそうに、片や感慨深く見守るのであった。

 

 

 

 外道魔像に繋がれたまま、うちはマダラは左の眼を静かに閉じている。

 彼の脳裏には(はる)か遠方、《木ノ葉の里の光景が鮮明に映し出されている》。

 祖母と再会し涙するオビト、仲間たちに囲まれ照れ笑いを浮かべるカカシ、そして苦難を乗り越え完全な人柱力として舞い戻り賞賛を受けるリンの姿。

 

「……ククク。実に瑞々(みずみず)しい」

 

 マダラはオビトの右目を治療したのではなかった。

 与えたのだ。予備(ストック)の写輪眼を。

 マダラの左目の対となる、右目の写輪眼を。

 

「希望に満ち溢れた、反吐(へど)の出るような輝きだッ!」

 

 マダラが、オビトの視界を一方的に共有させる《監視の眼》。

 オビトが愛する者を見守るその瞳はその実、マダラが里を覗き見るための秘密の窓であった。

 

「上手クイキマシタネ、マダラ様」

 

 傍らの地面から、陽炎(かげろう)のように黒い影が這い出してきた。マダラが《己の意志を形にした分身》として作り出した特別なゼツ。

 黒ゼツである。

 

「オビトハアナタヲ完全ニ信ジ切ッテイル。アノ《右目》ガ、監視ノ眼ダトモ知ラズニ」

 

 黒ゼツの卑屈(ひくつ)な、しかしどこか冷徹な声が響く。

 

「フン……あやつがイザナギで運命を捻じ曲げたのは想定外だったが、結果として最高のコマが手に入った」

 

 マダラは闇の中で(くちびる)を歪め、

 

「三尾を完全に制御した小娘。写輪眼を持つ小僧。オビトを含めたあの三人の(きずな)が深くなればなるほど、それが壊れた時の絶望は深く、悲惨なものなる」

 

 残酷にほくそ笑んだ。

 

「ソノ通リデス、マダラ様。スベテハアナタノ《月の眼計画》……《無限月読》ノタメニ」

 

 黒ゼツは慇懃(いんぎん)に頭を下げる。

 

「(……ソウダ、(オド)レマダラ。オ前ガ世界ヲ絶望サセヨウト、救オウト……ソンナコト、ドチラデモイイ)」

 

 だがその黄色い眼の奥には、マダラさえ知らない冷酷な計算が渦巻いている。

 

「(スベテ《大筒木カグヤ(母様)》ヲ復活サセルタメノ長イ長イ歴史ニ沈ム、些事ニ過ギナイノダカラ……)」

 

 マダラの陰謀。三人の若者の(きずな)

 黒ゼツにとってはすべて、大筒木カグヤ復活のためのコマでしかない……

 

 

【挿絵表示】

 




・あとがき

 著者の北条ゆうです。
 お読み頂き、有難うございます。お楽しみ頂けましたでしょうか?

 さて、ここでお話のストックを貯めるため、週一回連載を一度休止したいと考えております。
 キリの良いところまで書き上げましたら、週一回更新を再開する予定です。

 高評価、お気に入り、感想などなど、とても励みになっております!
 そして全ての読者の皆様、本当にいつも有難うございます(⁠^⁠^⁠)

 さて最後に宣伝を……
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 それでは、またお会いできる日を願って!
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