ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

11 / 18
第二章
《第八話:時は過ぎゆく》


 薄暗い地下通路に『パチャリ』と水滴(すいてき)の落ちる音が反響する。

 かつて絶望の(ふち)にいたオビトを救い上げたその場所。

 

「おーい、じいちゃん」

 

 マダラの地下拠点(きょてん)

 

「里で一番人気の、みたらし団子買ってきてやったぜー」

 

 三人がこの洞窟(どうくつ)を旅立って、数年の時が経った。

 変わらぬ湿り気と、カビ(くさ)さ。

 

「オビト、あんまり大声を出さないの」

 

 だがどこか懐かしさを感じさせる古びた香り。

 

「マダラさん、最近は横になってお休みになっていることが多いんだから」

 

 先頭を歩くのはオビト。

 二〇歳を迎え、念願の上忍へと先頃昇進した彼。その体躯(たいく)(たくま)しく成長し、木ノ葉のベストを着た姿も様になっている。

 しかしその声色だけは、初めてこの場所で目覚めた時と同じ、真っ直ぐな少年のままだった。

 

「わりぃ、つい(くせ)でさ」

 

「もう、オビトったら」

 

 オビトの後ろに続くリンが、彼をたしなめるように微笑(ほほえ)む。

 彼女の背には医療(かばん)()れていた。

 三尾の人柱力として研鑽(けんさん)を重ねた日々は、彼女に深い慈愛(じあい)と、(りん)とした力強さを与えている。

 

「ふん……相変わらずだな。お前たちも、ここも」

 

 最後尾を歩くカカシが、斜めに付けた額当てに手を当てながら溜息(ためいき)をついた。

 非番の日、二人に強引に連れられてここまでやってきた彼は、今や《コピー忍者》写輪眼のカカシとして里内外にその名を(とどろ)かせる。

 

「あれ……?」

 

 だが三人が洞窟最深部、マダラと外道魔像の座す拠点中心部へと足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

 

「じいちゃんはどこだ?」

 

 いつもなら、外道魔像に繋がれた老いた伝説の忍:うちはマダラが、威圧感を放ちながらオビトたちを迎え入れるはずだった。

 しかしその場所に、マダラの姿はない。

 

「あっ、みんな。いらっしゃーい」

 

 オビトたちが首を傾げていると、影の中からひょっこりと、奇妙な渦巻状の顔を持つ白ゼツ:グルグルが姿を現した。

 

「グルグル、じいちゃんはどこだ?」

 

 グルグルはオビトと特に仲が良い白ゼツであった。

 オビトの問いに、グルグルは肩を落とす。

 

「マダラ様なら、あっち……」

 

 いつも明るく愉快なグルグルが、神妙な様子で答えた。

 

「ちょっと前にね……死んじゃったんだ」

 

 オビトの手から、竹皮に包まれた団子が滑り落ちた。

 

 

 

「マダラ様、最後に言ってたよ」

 

 簡素な(ひつぎ)

 そこには静かに横たわる老忍の姿。

 

「オビトたちが持ってきた団子を一つだけ食べてね、『……甘すぎる。俺の求めた夢は、こんな味ではなかったはずなのだがな』って。そう言ってさ……珍しく、少しだけ笑ってた気がしたな」

 

 しんみりとした口調でグルグル。

 

「この間まで……まだあんなに口うるさく説教してたじゃねぇか、じいちゃん……」

 

 魔像から伸びていた管はすべて外され、まるで長い任務を終えたかのように、静かに目を閉じているマダラ。

 オビトが(ひざ)をつく。(ほほ)を涙が伝う。

 リンはそんなオビトにそっと寄り添い、目を()せる。

 

「……」

 

 カカシは二人からは一歩引いた位置で、伝説の忍の最期の姿を静かに見つめていた。

 

「(里にとっては恐怖の象徴……だが、俺たちにとっては――)」

 

 不器用で偏屈(へんくつ)で口うるさい……命の恩人。

 歴史以上に確かな、(まぎ)れもない真実。

 

「じいちゃんがくれたこの体、大事にするよ」

 

 三人はグルグルと協力して、地下拠点近くの森の少し開けた場所に墓を作った。

 華美な装飾はない。簡素な墓標(ぼひょう)。ただの平らな石に、オビトがクナイで『じいちゃん』とだけ刻んだ。『うちはマダラ』と書けないことに、もどかしさを感じながら。

 

「アンタが(あきら)めた世界を、俺が火影になって変えてやる」

 

 降り注ぐ木漏れ日が、冷たい石の表面を温める。

 三人は並んで立ち、長い間、沈黙のまま手を合わせた。

 

「天国から見守っててくれ、じいちゃん」

 

「マダラさん、ゆっくり休んでくださいね」

 

「俺たちを救ってくれて……有難うございました、マダラさん」




・あとがき

 こんにちは。作者の北条ゆう(いすとわーる)です(⁠^⁠^⁠)
 思ったより早くまとまった量が書けました! 連載を再開したいと思います!

 高評価、お気に入り、感想など頂けると、嬉しいです(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
 それでは、またお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。