ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第九話:襲撃者(しゅうげきしゃ)

 里の喧騒(けんそう)から遠く離れた、洞窟の奥にある秘密の診療所(しんりょうじょ)

 その夜、木ノ葉の空には不気味なほどに巨大な満月が()え渡り、木の葉がざわめく音がどこか不吉な予兆を(はら)んで鳴り響いていた。

 

「……ッ、はぁ、はぁ……!」

 

 結界に守られた奥の間。四代目火影・波風ミナトの妻、クシナが苦しげな吐息(といき)()らしていた。

 

頑張(がんば)って、クシナさん! あと少しよ!」

 

 出産。

 それは人柱力にとって、尾獣の封印が最も弱まる危うい瞬間。

 

「クシナさん、落ち着いて。封印は私が必ず抑え込むから!」

 

 四代目火影:ミナトと助産師の(かたわ)らで、リンがチャクラを(てのひら)に凝縮させ、懸命(けんめい)に母体を支えていた。

 リンはクシナの腹部に手を当て、額に汗を浮かべながら封印式の安定に全神経を注ぐ。

 

 

 

「……カカシ」

 

 洞窟診療所の、たった一つの出入り口。

 二一歳になったオビトとカカシの二人が周囲を警戒している。

 

「感じるか?」

 

「ああ、空気が重すぎる」

 

 カカシは左目の写輪眼を(あら)わにし、クナイを逆手に構える。

 隣に立つオビトは、右目の写輪眼を(するど)く光らせ、暗闇(くらやみ)の奥に(ひそ)(わず)かなチャクラの揺らぎさえも感じ取ろうとする。

 

「「……ッ!!」」

 

 ――ドォォォォン!!

 地響きと共に、体を奥底から()るがすような爆発音が辺りに響き渡った。

 一帯の松明の灯りが一斉に消え去る。

 

「カカシ、来るぞッ!!」

 

 オビトが(さけ)ぶと同時に、漆黒の闇から《それ》は現れた。

 

「……ッ?!」

 

 黒い装束を(まと)い、顔には不気味な渦巻状の仮面。

 

「お前――」

 

 オビトたちの命の恩人:うちはマダラ。

 その側近であった、オビトが最も親しくしていた白ゼツ《グルグル》。

 襲撃者の姿は、そのグルグルと瓜二つ。

 

「……何者だっ!?」

 

 しかし、そこから放たれるプレッシャーは、グルグルとは比較にならない。

 放たれるオーラは凍りつくような、《死》そのもの。

 

「木遁・大樹槍!」

 

 オビトが地を()り、印を結んだ。

 地面から鋭い木の杭が襲撃者へ向けて()けるが、仮面の男はその攻撃を紙一重で、しかし計算され尽くした軽々とした身のこなしで受け流した。

 

「オビト、下がれ!!」

 

 カカシが雷光を手に宿し、突っ込む。

 しかし――

 

「なん……だとッ!?」

 

 仮面の奥。その左眼。

 仮面の襲撃者の眼が赤く燃え上がった。

 写輪眼。

 無駄のない、流れるような動き。

 雷切はいともたやすく見切られ、襲撃者はオビトとカカシの間を風のように、音速で駆け抜けていった。

 

「「クシナ(おば)さん!!」」

 

 それはオビトたちが、あの地下拠点で目にした《うちはマダラ》の身のこなしに酷似(こくじ)していた……

 

 

 

 診療施設に侵入した仮面の男。

 その視線が、結界の奥で産声を上げたばかりの赤子と、衰弱したクシナを捉えた。

 

「ミナト先生!!」

 

 追いかけて現れたオビトの叫び。

 

「……!!」

 

 走り込んできた仮面の男が、助産師から赤子を奪い取る。

 

「!!」

 

 飛雷神の術。

 オビトの叫びで一瞬のうちに戦闘態勢を整えたミナトが、瞬身で仮面の男から赤子を取り返した。

 だが――

 

「九尾……」

 

 仮面の男にとって、それは全て想定の範囲内。

 

「引き抜かせてもらうぞ!」

 

 男の指先が横たわるクシナの腹部に()れた。

 

「?!」

 

 その声に、オビトの心臓が()ねた。

 聞き覚えがある。

 いや、そんなはずは……

 

「……っ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああッッ!!」

 

 次の瞬間、クシナの口からこの世のものとは思えない咆哮(ほうこう)が。

 

「やめろぉぉぉ!!」

 

 クシナの体から禍々(まがまが)しい膨大(ぼうだい)なチャクラが(あふ)れ出す。

 九尾の封印が、内側から食い破られるようにして崩壊(ほうかい)していく。

 

「「「やめろぉぉぉ!!」」」

 

 オビトが、ミナトが、カカシが仮面の男に突進する。

 

「「「ぐはッッ!」」」

 

 だが仮面の男を中心に、衝撃波(しょうげきは)が発生し、三人、そしてリンや助産師も含め全てを洞窟の壁に叩きつけた。

 クシナの背後には、巨躯(きょく)(きつね)、巨大なチャクラの集合体たる九尾が実体化しつつあった。

 仮面の男が印を組む。

 

「九尾を……奪ったのか!?」

 

 現れた巨大なチャクラが真っ二つに()かれ、一方が影の奔流(ほんりゅう)となって男に吸い込まれていった。

 カカシの眼が、驚愕(きょうがく)で見開く。

 残りの一方は光をまとい、クシナへと戻って行く。

 

「……四代目」

 

 仮面の男は奪った《影のチャクラ》を己に収めると、仮面の奥で冷たく嘲笑(あざわら)った。

 

「里を救うか、妻を救うか」

 

 高速で印を結ぶ仮面の男。

 

「残された時間は短いぞ」

 

 《口寄せの術》。

 奪われた《九尾》が木ノ葉の里の中心街に突如(とつじょ)出現する。

 大災害が、里を(おそ)う――




・あとがき

 お楽しみいただけていたら幸いです。

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 それでは、またお会いしましょう。
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