ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第一四話:覚醒(かくせい)

 里から遠く離れた、在りし日マダラの住処(すみか)であった地下拠点。

 マダラの墓は、その拠点近くの森にある。

 静寂(せいじゃく)に包まれた、木漏(こも)れ日の降り注いでいた、森の少し開けた穏やかなその場所。

 

「……空だ」

 

 だがそこは、今や掘り返された土の生々しい臭いと、冷たい風が吹き抜ける虚無(きょむ)の空間へと変わり果てていた。

 墓標が(むな)しく倒れ、埋葬したはずの棺は掘り起こされ、(ふた)無惨(むざん)に開け放たれていた。

 

「そんな……嘘だろ」

 

 オビトがふらふらと棺に近づき、カカシに続き確かめる。

 棺の中にあったはずの老いた忍の(むくろ)は、やはりない。

 リンは口元を両手で(おお)い、無情な現実を前に立ち尽くす。

 

「実はなオビト……ミナト先生が言っていたんだ」

 

 衝撃を受けるオビトとリンの二人に対し、カカシは意外にも冷静であった。

 むしろ合点がいったというような様相。

 

「森で戦ったあの男に、ミナト先生が螺旋丸を食らわせたらしいんだが……」

 

 だがもちろんカカシの声は低く、痛みを(こら)えているよう。

 

「ダメージを負った肉体が瞬時に再生したらしい……さながら飛び散った紙屑が、吸引機に引き寄せられるように」

 

 カカシは棺の底にある、不気味な術式の残滓(ざんし)を睨み()えた。

 

「《禁術・穢土転生》。死者を復活させ、術者の意のままに操る()まわしき禁術だ」

 

「……ふざけんな」

 

 棺近くで(うつむ)くオビトの口から、低く漏れるような声が出た。

 

「死体がないのは、誰かがマダラさんの遺体を盗み出し、それを個人情報物質として死者蘇生したからだ」

 

 カカシは続ける。

 

「これは俺の憶測だが……地下拠点の秘密を知る《悪人》が、マダラさんを無理やり蘇らせ、《仮面の男》として使役しているんじゃないかと思う」

 

「ふざけんなよ!!」

 

 オビトの叫びが、森の静寂を切り裂く。

 

「ふざけんなよ!! じいちゃんは……あのじいちゃんは、最後は笑って死んだんだぞ! 団子が甘すぎるって文句言いながら……やっと眠れたんだ! なんで……なんでそんな、化け物みたいに死人を(もてあそ)ぶようなことができんだよ!!」

 

 『自分を救ってくれた恩人の尊厳(そんげん)が、顔も知らない悪人によって(けが)されている』

 その事実が、オビトの胸の内で()(たぎ)るような怒りと、耐え難いほどの悲哀へと変わる。

 

「許さねぇ……絶対に……!!」

 

 ドクン、とオビトの心臓が跳ねた。

 脳内を、これまでにないほど冷たく、鋭いチャクラが駆け巡る。

 

「あ、が……あぁぁぁあぁぁぁッ!!!」

 

 右目が焼けるように熱い。

 オビトの視界が真っ赤に染まり、三つの巴が狂ったように回転を始めた。

 

「オビト?! どうしたの?」

 

 オビトが右目を押さえて(ひざ)をつく。

 リンがオビトにかけより抱きしめようと――、

 

「……すり、抜けた……だと?」

 

 したが、オビトの体は陽炎(かげろう)のように()らめき、リンの手はその体を虚しく通り抜けた。

 《万華鏡写輪眼・神威(カムイ)》。

 前を向いたオビトの視線のその先。

 空間が()じ曲がり、木の葉や小石が(うず)に吸い込まれるように消えていく……




・あとがき

 来週は、第二章最終話です。

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 それでは、またお会いしましょう。
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