ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》 作:北条 ゆう(いすわーる)
暖かなオレンジ色に染まる空。
落ち着いた夕暮れの光が、木ノ葉の里の小さな茶屋を柔らかく包み込んでいた。
「ところでさ、ナルト」
時に聞こえる、散歩道を行き交う人々の話し声。
「三年ぶりのわたしはどう? 少しは女らしくなっちゃった?」
サクラは柔らかな表情を浮かべ、少し照れたような口調で問いかける。
ナルトは、サクラのその姿を改めて見つめた。
以前の彼女は、どこか男勝りでサバサバした人当たりの強い印象だったが、今やその佇まいはすっかり大人の女性らしい。しなやかで落ち着いたオーラをまとい、人を思いやる寛容性を身に着けているように見える。
「(ていうか、再会した時から思ってたけど……)」
一方ナルトは内心で、
「(サクラちゃん、メッチャおっぱい大きくなってるってばよ!?)」
下世話なことを思いながらも、
「もう、すっかり大人の女性って感じだってばよ」
心の内を隠し、今日一番の
「そう? ありがと」
何でもないような表情で、でも顔をほのかに赤らめるサクラ。
師匠の賜物……反面教師だが……
自来也もといエロ仙人の、道中で散々目にした女性へのだらしない姿は『ああだけは、なりたくねぇってばよ……』とナルトに深い
「(何よ、ナルトのくせに……)」
散歩道を歩く人々の笑い声。
「(随分とカッコよくなっちゃって♪)」
二人は再会を、心から楽しんでいた。
夕暮れの紅。鮮やかな光。木ノ葉の里の街角に伸びる長い影。
茶屋の
「ちょっとお花
「おう! ……?」
茶屋を後にする決意を固めたナルトとサクラ。
「お花……どういうことだってばよ? ……まぁ、いいか。会計でも済ましときますか!」
茶屋でのささやかな会話。甘い空気感。交わされた
『サクラとの関係が、三年前のかつてとはまるで違うものになりつつあるのではないか?』
「(いい男アピールだってばよ!)」
ヒナタの一件による傷心も今は昔。どこへやら。
すっかり上機嫌なナルトは
「ん? あぁ、写真置き忘れて帰るとこだったってばよ」
会計を済ませ先程までいたテーブル近辺に戻ってくるナルト。
茶屋のテーブルの上にひっそりと置かれた写真が目に留まった。
「あやうく同期の『ぷらいべいと』が
ヒナタとその彼氏の写真。
数時間前にナルトの心を騒めかせたそれ。
『ヒナタの幸せを祈る』
当初それは
「(ヒナタ、俺も幸せになってやるってばよ!)」
むしろ彼の心を奮起させてさえ。
ナルトは写真を手に取りながら、茶屋でサクラが話してくれた数々の近況――友人たちの変わりよう――や、在りし日の懐かしい思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る。物思いにしばし
「……ん? よく見たら、写真二枚重なってるってばよ」
彼の指先がふと触れたのは、一枚目と二枚目の写真の重なりから生まれたズレによる段差。二枚の写真は軽く
何の気無しに、ナルトはペリペリと接着面を
「え?」
その瞬間から、彼の心臓の鼓動が激しくなった。日常が一変する。信じがたい。信じたくない光景。
青く
明るく恥じらうようなサクラ。ビキニ姿の。
「こいつ……誰だってばよ……」
そして《茶髪のイケメン》。ナルトは見たことも、聞いたこともない人物だ。木ノ葉の人間かも分からない。
そんな誰とも知れない男と、サクラは
成人女性顔負けの、見事な
そこには先程までナルトが見ていた彼女。優しさと儚さが交じり合うその面影はまるでなくて――
「遅くなってごめんね、ナルト。会計は割り――ヤバッ」
ナルトは言葉を失い、呆然。その写真。夏のサクラの写真に見入っていた。
トイレから帰って来たサクラ。彼女はナルトの側に近づいて来る際にその写真に気づいて……焦るようにナルトの手から写真を奪うと、高速で手帳の中にしまったのだった。
「あのさ……勘違いしないでね、ナルト」
茶屋を出て。
「その写真は、昔付き合ってた相手とのだから。大分前に終わった話だし、今はカレシもいないし……」
サクラは頬を赤らめながらも、必死に言い訳をしていた。
「それにさ……一線は越えていないから、安心して」
彼女の声はどこか震え、焦燥と後悔が混じっているようにも思える。
釈明の言葉の数々が、ナルトの内心に複雑な
「あはは……」
茶屋でのひと時。サクラが自分に対して語った、過去の出来事や今の近況。あるいは修行の旅での経験を語るナルトへの温かい眼差しと優しい言葉。
以前の、三年前の彼女とはまるで違う、一回りも二回りの成長した初恋の人の姿に、彼の心は大きく動かされた。
サクラの言葉の端々に、かつて交わした思い出や、今もなお自分に向けられている想いを感じたはずなのに……
「(サクラちゃんまで……)ダイジョブだってばよ」
だが――
「(過去のオトコっていうなら、手帳に挟んで今でも肌身離さず持ち歩いてた説明が付かないってばよ……)サクラちゃんほどの美人なら、カレシの一人や二人、いて当たり前だってばよ!」
その釈然としないサクラの言葉は、《許せない現実》が《受け入れざるを得ない現実》であると。それをまざまざと突きつけて来たのであった。