ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《後編》

 日もすっかり落ちて……

 木ノ葉の家の軒先は柔らかな夜の空気に染まっている。

 今日一日に起きたあまりにも重い現実を胸に抱えながらも、ナルトの側にはサクラいる。二人は先程の茶屋からの帰り際での出来事などどこへやら、笑い合いながら和やかに話している。

 わざとらしく。

 

「じゃあね、ナルト。疲れてるだろうし、今日は早めに寝なさいよ」

 

「おう! またな、サクラちゃん!!」

 

 サクラを春野家へと送り届けると、ナルトも家路へ。

 

「……」

 

 先ほどとは一転。暗く、とぼとぼとした足取りで……

 

 

 

「ただいま」

 

 家の扉を開けると――

 

「おかえりだってばね!」

 

「おかえり、ナルト」

 

 廊下の先に待つ懐かしい姿。

 波風 ミナト、そしてクシナ。

 

「今日帰ってくるって聞いてたから、もう準備は出来てるってばね!!」

 

「母さんが腕によりをかけてご馳走(ちそう)を作ってくれたぞ! 実は父さんも少しだけ手伝った」

 

 温かな灯りとぬくもり。

 

「あはは! それは楽しみだってばよ!」

 

 波風 ナルトの両親が、家が、ナルトが何より大切にする家族(宝物)が、永く厳しい旅路からの主人公の帰還を祝福していた。

 

 

 

 波風家。穏やかな光に包まれ、温かい家庭のぬくもりが感じられる空間。

 クシナが丹精込めて作り上げたご馳走は、家族みんなの心と胃袋を満たして――

 今まさに後片付けの時間が訪れていた。洗い物をするクシナの背中が、奏でる水音の静かなメロディーが。リビングには、先ほどまでの和やかな夕食の余韻(よいん)が残り、柔らかな明かりが波風一家を照らしていた。

 

「ナルト、今日のことを聞いたよ」

 

 一見普段通りの、三年前のかつてと何も変わらないいつも元気いっぱいで笑顔を絶やさないナルト。

 

「オビトとリンからね。君が今日、サクラと茶屋で楽しそうにデートしていたってね」

 

 だが時折どこか沈んだ表情を浮かべ、心ここにあらずといった様子だった。

 ミナトは、ソファに座るナルトの隣にそっと腰を下ろし、穏やかな眼差しで息子に話しかける。

 『母さんにはちゃんと内緒にしているから安心して』

 付け加える。

 

「『里に帰ってきたなら、まず両親の元に帰ってくるのが筋ってもんだってばね』って、ね。分かるだろう? なにせクシナの異名は」

 

「《赤い血潮のハバネロ》……ははっ、おっかねぇ」

 

 ナルトは一瞬、目を伏せ、複雑な感情を内に秘めたまま、静かにミナトの方を見た。

 

「ありがとだってばよ、父ちゃん。おかげでデートを満喫(まんきつ)できたってばよ」

 

 ミナトの瞳には、息子の心の痛みに気づき、何とか力になりたいという父親の深い愛情の念が(こも)っていた。

 クシナは洗い物をしている。(せわ)しなく後片付けをする姿が、日常の一コマとして穏やかに流れている。

 

「ナルト。人生っていうのは、楽しいこともあれば、思い出すたびに心がざわつく瞬間もあるものだ。だけどね、君が笑顔でいられる時間も、これからたっぷりとやってくる……どんな複雑な状況でも、僕たちはいつでも君の側にいる」

 

 息子の瞳がほんの少し輝いたように、父には思えた。

 いつの間にか洗い物を終えた母が、やさしい微笑みを浮かべ、ダイニングテーブルでそっと親子の会話に耳を傾けていた。

 

 

 

 夜の静寂が木ノ葉の里を包み込む。

 穏やかな風が木の葉を揺らし、遠く見える星々が淡く(またた)いている。

 ナルトは今日の出来事と交錯(こうさく)する想いを抱えながら、夜遅く気づけば眠りに落ちていた。

 夢の世界へと。

 

 

 

 広がる青空と燦燦(さんさん)と輝く太陽の下で、ベンチに座るサクラが楽しげに笑っている。隣に座る茶髪のイケメンが彼女に寄り添う。

 風が二人の髪を優しく()で、白い石畳と芝生が(まばゆ)く輝いていた。

 

「(眩しすぎだってばよ……)」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 暗闇。

 ナルトの目は、固く閉ざされている。

 だが拳はぎゅっと強く握られていた。

 胸の奥に渦巻く悔しさと嫉妬(しっと)が、彼の全身を駆け巡り、震わせる。サクラの笑顔、彼女とともに過ごす楽しいひとときが、決して自分のものではないことを痛感し、胸の痛みが果てしなく増大していく。

 

「大好きなんだろう?」

 

 その時、不意にナルトの肩に、温かい手の感触が伝わった。驚き振り返ると、そこには慈愛(じあい)のこもった眼差しの、頼もしい父の姿があった。

 息子の心の闇を理解し、すべてを包み込むように静かに佇んでいた。

 

 

 

「!!」

 

 深夜。

 ナルトは夢から覚めた。暗闇の中で自分の心臓の鼓動だけが。現実へと引き戻された。

 目覚めたナルトは、天井を見つめながら、自分の内面に浮かぶ数多(あまた)の思いに耳を傾けた。修行の日々が忙しく、遠い存在になってしまったサクラ。

 手をかざす。

 

「まっすぐ自分の()()は曲げねぇ……」

 

 声色には痛みと、だがそれだけでない何かが、強い決意が。

 目を軽く閉じ、深く息を吸い込む。

 かざした手を握りしめる。

 

「それがオレの()()だ」

 

 

 

 ――どれだけの年月が経ったであろうか。

 木ノ葉隠れの里。忍者学校(アカデミー)には未来へと続く希望が息づいていた。

 朝露(あさつゆ)が淡く草花を()らし、澄み渡る青空とそよ風が新たな芽吹きを感じさせる。

 アカデミーの広々とした校庭は、日々の厳しい稽古(けいこ)や楽しげな談笑が交差する場所。

 

「――――――――」

 

 そんな校庭の一角、木々や草むらに囲まれた広場に、ひときわ目を引く少年がいた。

 《生ける伝説》と呼ばれる人物にそっくりな顔立ちで、無邪気な笑みを絶やさない彼は仲間たちと(たわむ)れている。

 そして何より……

 

 

【挿絵表示】

 

 

「で、オレが産まれたってわけ、だってばさ!」

 

 目を引くのは、彼の鮮やかなピンク色の髪。

 桜色の風合いを(たた)えたその髪は、見る者すべてを()きつけ、ひと目で『ただ者ではない』ことを物語るのである。

 

 

【HAPPY END】




・あとがき

 という訳で、ナル×ヒナNTR――もとい《パラレルワールド世界線『ナル×サク超ハッピーエンド』》小説でした。
 お楽しみ頂けましたでしょうか?

 元々は大長編として書き上げるつもりだった小説なのですが、他に取り組んでいるオリジナル小説などもあり、考えた結果《前・中・後編で完結小説》になりました。

 一応この三編で完結してはいますが、元の大長編小説を今回のように一部分切り取って、それ自体で物語が成立するような形で、そのうち連載出来たらな、とも思っています。

 その際には、こちらを《完結》から《連載》に戻して掲載しようと思っていますので、もしよろしければ、お気に入り等して頂ければ、幸いです。

 高評価、感想などもお待ちしております(⁠◕⁠ᴗ⁠◕⁠✿⁠)
 オリジナルのファンタジー小説や、完結済みの二次創作小説なども投稿しているので、もしお時間がよろしければそちらも。
https://syosetu.org/user/160354/


 あと実は、ちょっとしたおまけイラストをX(twitter)の方に掲載させて頂きました。
 サクラが持っていた写真の答え合わせのようなイラストですので、もしよろしければXの方、よろしくお願いします。
https://x.com/Houjou_Yuh

 最後に、ここまで読んでくださってありがとうございます!
 お気に入り、高評価、感想等、大変励みになっております!

 また皆様とお会いできる日を願って
 有難うございました!!
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