ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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第一章
《第一話:夢現(ゆめうつつ)


 降りしきる雨は、血の(にお)いを(はら)んで重く(しず)んでいた。

 深い霧が立ち込める森の奥、静寂を切り裂くのは、無数の金属音と、荒い吐息(といき)

 

「ハァ、ハァ……っ!」

 

 はたけカカシは、(ふる)える右手でクナイを握り直した。その(てのひら)は自身の血か、それとも敵の返り血か、ぬるりとした熱を帯びている。彼の隣では、のはらリンが立ち尽くしている。

 青ざめた顔で。

 

「カカシ……もう、いい」

 

 彼女の腹部、そこに刻まれた封印式が、内側から(あふ)れ出す禍々(まがまが)しいチャクラに呼応して、どす黒く脈動している。

 

「私を……《殺して》。このまま里に帰ったら、私の中の三尾が、里のみんなを――」

 

「黙れ、リン! お前は絶対に、俺が守る……!!」

 

 カカシの叫びは、霧の中に(むな)しく吸い込まれていく。

 

「(守れなければ……俺はオビトに顔向けできない……)」

 

 二人を包囲する霧隠れの暗部たちは、感情を排した仮面の奥から、獲物を追い詰める猟犬のように冷たい視線を送っていた。

 

「……無駄だ、写輪眼のカカシ。その娘は、《三尾の人柱力》は今や我が霧隠れのもの。木の葉に戻れば、我が里が封印術式に仕込んだ術が発動し《三尾が暴走》するぞ!」

 

 逃げ場はない。

 

「大人しく娘を引き渡せ、はたけカカシ! 己の命、その娘の命、()しく思うのならな!!」

 

 カカシは覚悟を決めた。

 

「愚かな……ならばその命、散らすがいい!」

 

 カカシは左目の写輪眼を見開き、右手に千鳥を凝縮させる。青白い電光が(やみ)を照らし、激しい鳥の鳴き声を彷彿(ほうふつ)とさせる甲高い音が周囲を震わせる。

 対する霧隠れの忍たち。一斉に水遁の印を結んでゆく。

 

「(オビトなら、きっと……)」

 

 そして少女は、リンは覚悟を決めた。

 

「(私もすぐそっちにいくね、オビト)」

 

 《死ぬ覚悟》を。

 

 

 

 降りしきる雨の中、千鳥の光を(まと)ったカカシの右手が、リンの胸を(つらぬ)いていた。

 霧隠れの暗部たちに、破れかぶれの特攻をしかけようとしたカカシ。

 しかし、無惨(むざん)にもその捨て身の突撃は、自らの守るべき対象を一撃で葬り去ると言う絶望的な結末に終わった――

 

「やめろぉぉぉぉぉ!!!」

 

 かに思われた。

 その瞬間、世界が(ゆが)んだ。

 

『イザナギ』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 森の木々が爆ぜるような轟音(ごうおん)と共に、一筋の影が空間を切り裂いて飛び込んできた。

 地底の闇。己の体の崩壊も(いと)わず駆け抜けてきた少年。

 うちはオビト。

 

「間に合え……間に合え、間に合えッ!!」

 

 彼の右半身が……正確に言えば、右半身を構成する白ゼツの組織が、無理な駆動(くどう)によってひび割れ、白濁(はくだく)した体液を()き散らしていた。だが、オビトに痛みを感じる余裕などない。視界の(はし)で、千鳥の雷光がリンの胸に届こうとしているのが見えたからだ。

 

「リィィィィンッーーーー!!」

 

 オビトの右目が、沸騰した油を流し込まれたように熱く焼ける。

 脳裏をよぎるのは、マダラから教え込まれた世界の理ではない。ただ一つ『リンに笑っていてほしい』という、子供じみた、しかし純粋(じゅんすい)ゆえに神にさえ届くほどの執念だった。

 

「……!?」

 

 カカシが目を見開く。自分の右手は、リンの胸を貫いてはいなかった。

 

「……オビ、ト……?」

 

 それどころか、リンの体に刻まれた封印術式に組み込まれた《三尾暴走のトリガー》は最初から存在しなかったかのように跡形もなく消え去り、暴走しかけていた三尾のチャクラも静かな湖面ように、嘘のように()いでいる。

 

「悪い。遅くなった」

 

 カカシとリン。二人の間に割り込んだのは、うちはオビト。

 オビトの背中に、驚きと喜びの入り混じったリンの声が(つむ)がれる。

 オビトはゆっくりと振り返った。その右目は白く(にご)り、光を失っている。しかし残された左目には、柱間細胞よりなる人造の左目には、力強い生命の輝きが宿っていた。

 

「久しぶりだな……リン、カカシ」




・あとがき

 お久しぶりです。作者の北条ゆう(いすとわーる)です。

 まとまった量が書けましたので、当初の予定通り長編小説として連載を再開したいと思います!

 前・中・後編で書き上げた《タイトルの物語》と世界観を共有するナルトIFストーリーです!
 よろしくお願い致します(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

 ところで、件の《前・中・後編》の物語を先頃、漫画化しました!
 pixivかX(twitter)で読めますので、よろしければそちらも(⁠^⁠^⁠)

【pixiv】
https://www.pixiv.net/artworks/139369024
【X】
https://x.com/Houjou_Yuh

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 それでは、またお会いしましょう。
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