ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第三話:うちはマダラ》

 湿った土の匂いと、外道魔像が放つ重苦しい沈黙が、地下の広間に満ちていた。

 しばし息を切らすオビトたち三人。見つめるマダラ。

 

「……本当、ギリギリだったぜ」

 

 オビトは右目の光を失いながらも、どこか高揚(こうよう)した面持ちで、守り抜いた二人を見つめている。

 

「カカシ、お前の雷切が見えた瞬間、心臓が止まるかと思った」

 

 オビトは震える手でリンの肩を掴み、その温もりを確かめるように微笑(ほほえ)んだ。

 

「あの時は頭が真っ白になって……まるで、これから起こる《リンが死ぬ未来を予知》したみたいな、変な感覚だった。間に合って本当によかった……」

 

 その言葉を聞いた瞬間、カカシとリンの間に、戦慄(せんりつ)が走った。

 

「オビト……私、あの時……」

 

 二人の記憶は、オビトの言葉とは決定的に食い違っていた。

 カカシの右腕には、確かにリンの胸を貫いた衝撃(しょうげき)と、生温かい血の感触が。

 リンもまた、心臓を電光に焼かれ、死の訪れを確かに感じていたのだ。

 

「ククク……めでたい小僧(こぞう)だ。それを《間に合った》と呼ぶか」

 

 リンが困惑の想いを()らそうとしたその時、暗闇を這うような笑い声が響いた。

 うちはマダラ。

 彼は目を細めて、三人を見つめる。

 

「オビトよ。お前が視たのは《予知》などではない。それは、確かに起きた《現実》」

 

「は? 何言ってんだよ、じいさん」

 

 バカにしたような口調のオビト。

 だがマダラはそれに動じる様子もなく続ける。

 

「お前は、その娘が死んだという現実を、己が執念で塗りつぶしたのだ」

 

 その圧倒的な言葉の重みで、場を支配する。

 

「本来あるべきであった運命を、《望む未来()》に。上書きしたのだ、現実を幻で、な」

 

 マダラは腕を動かす。

 

「うちはの瞳術には、世界の因果を()じ曲げる究極の禁術がある」

 

 指がオビトの右目を指し示す。

 

「名を《イザナギ》……《不都合な現実を幻とし、望む結末を現実とする術》だ。お前はその娘を失うという地獄(じごく)を受け入れられず、無意識に禁術の領域へと足を踏み入れた」

 

 オビトは自分の右目に手を当てる。

 

「その右目が光を失ったのは、運命を書き換えた対価だ」

 

「……イザナギ……俺が、運命を書き換えた……?」

 

 呆然(ぼうぜん)とするオビトの(かたわ)らで、カカシが低く(うめ)いた。

 

「現実を()り替える術? そんな、馬鹿(ばか)なこと……」

 

 だがマダラはそれ以上語らず、ただ冷徹(れいてつ)に、そして強い好奇心を持ってオビトを観察していた。

 

「(……計算違いだ。絶望の極致(きょくち)において、この小僧は闇に落ちるのではなく、世界そのものを否定し、拒絶(きょぜつ)したか)」

 

 マダラの当初の計画では、リンが死に、カカシが絶望するさまをオビトに見せつけ、この世を地獄と認識させるはずだった。

 しかし、オビトが放ったイザナギは、マダラの描いたシナリオさえも消し去ってしまったのだ。

 

「(だが……それもよかろう。耐え(がた)い現実を拒絶し、自分にとって都合の良い理想へ書き換える。それは俺が目指す《無限月読》、その本質と同じものだ……)」

 

 マダラは、魔像に繋がれた管を揺らし、不気味な光を瞳に宿した。

 

「(今はまだ甘い夢に酔っているがよい……だが次に耐え難い悲劇(ひげき)が訪れたとき……オビト、お前は必ず俺と同じ答えに辿り着く)」

 

 歓喜に(ひた)るオビト。拭いきれぬ違和感を抱えるカカシ。そして己の内に眠る巨大な尾獣の胎動(たいどう)を感じるリン。

 地下の闇は、静かに彼らを飲み込んでいく……




・あとがき

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 それでは、またお会いしましょう。
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