ナルト「三年ぶりだってばよ!」 サクラ「ヒナタならカレシ出来たわよ?」 《NARUTO -ナルト- 異彩伝 ~新たなる運命~》   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第五話:若者と老人》

「俺の名はうちはマダラ。かつて千手柱間と共に、お前たちが住まう木ノ葉の里を創った男だ」

 

 洞窟内の松明(たいまつ)が揺れる。

 老いた、しかしその気高き傑物(けつぶつ)の顔を照らし出す。

 

「……っ!!」

 

 カカシの息が止まった。

 おびただしい圧を(ともな)う静寂。

 

「馬鹿な……」

 

 名を聞き、思わず身を(すく)めてしまったカカシ。

 だがいつまでも(ひる)んでいる訳にはいかない。

 

「マダラは……うちはマダラは初代火影様と終末の谷で戦い、《死んだ》はず」

 

 マダラは自嘲(じちょう)気味に笑う。

 

「アカデミーの教科書にだってそう書いてある!」

 

 熱を込めた反論。

 だがそれを受けて、老人はそっと、枯れ木のような指で魔像を示した。

 

「柱間との戦いの後、俺はこの地へと流れ着いた。そしてこの外道魔像に己が体を繋ぎ、何とか生命を(つな)ぎとめた」

 

 敗者。

 

「小僧、お前の言う通り。一度は死の(ふち)を俺は彷徨(さまよ)った。だが運命というやつは……どうやらこの俺に地獄を見続けていろと言っているようだ」

 

 歴史の闇に消え去った《悲劇の英雄》。

 

「魔像に繋がれ、生き(はじ)(さら)しながら、生命の残滓(ざんし)(すす)る日々……オビトを救ったのは、お前やそこの小娘を救ったのは、言うなればそう……気まぐれだ」

 

 マダラは決して口にはしない。

 『リン誘拐(ゆうかい)の主犯である霧隠れの里を操った《黒幕が自分》である』ことを。

 

「戦場で()ちていく若芽(わかめ)を見るのは忍びなかった。ただそれだけの話」

 

 余生すべてを捧げた《月の眼計画》についてさえも。

 

「そのような些事(さじ)よりも……今はただ、己の力を蓄えることに専念することだ」

 

 平和を願い、そして敗れ去った。

 今や暗い洞窟に一人(さみ)しく住まう、瀕死(ひんし)の世捨て人。

 

「俺のような《負け犬》に、なりたくなければな」

 

 カカシは気まずそうに、マダラから目を()らす他なかった。

 

 

 

 地下の片隅(かたすみ)。地下水の()き出る冷たい水場の近くに腰を下ろし、リンは深く瞑想に入っていた。

 

『……』

 

 彼女の意識は、外界から遮断(しゃだん)されて……自身の内側。果てしなく続く静謐(せいひつ)な湖の底へと沈んでいく。

 

『磯撫』

 

 その暗い水底に、巨大な三つの尾を持つ甲羅(こうら)の影が、岩山のように鎮座していた。

 

『今日も、話を聞かせて』

 

 リンが心の中で呼びかけると、巨大な水輪が広がり、磯撫の瞳がゆっくりと開いていく。

 

『リン……』

 

 三尾の心象空間。

 かつてリンの封印式に刻まれてしまった霧隠れの術式は、この空間をかき乱し、荒れ狂う嵐のようにリンと三尾の信頼関係をズタズタに引き裂いた。

 

『君が僕を兵器ではなく、一つの生命として尊重してくれていること、良く分かった』

 

 だが今や凪いでいる。三尾の強大なチャクラも、安定している。

 磯撫の声は地鳴りのように響くが、そこには拒絶の意志はなかった。

 

『あなたが持つ大きな力と、私の医療忍者としての力が合わされば、きっと誰も傷つかなくて済む世界を作れる……』

 

 リンは恐れることなく、その巨体に一歩ずつ近づいていく。

 

『だから、私に力を貸して。義務じゃなくて、あなたの意志で』

 

 リンがその巨体にそっと触れた瞬間、彼女の全身を清涼(せいりょう)で力強いチャクラが駆け抜けた。

 

『いいよ、リン』

 

 三尾とリンの顔に、共に確かな信頼に基づいた微笑みが浮かんだ。

 

『あの日少年が……オビトが眼を犠牲(ぎせい)にして運命を書き換えた時、僕もまた一つの可能性が見えた気がしたんだ』

 

 巨大な前足がリンの目の前に差し出される。

 

『君がその純粋な意志を貫くというのなら、僕もまた君の盾となろう……のはらリン。僕らの力で乱世を、この水面のように穏やかな世界にしてみせようよ』

 

 かくして三尾:磯撫と心を通わせた完全な人柱力():のはらリンが誕生したのである。




・あとがき

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 それでは、またお会いしましょう。
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