貞操逆転世界に転移したら、彼女いない歴=年齢の俺が清楚系美男子としてモテだした   作:荒井竜馬

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第27話 勘違いしたという勘違い

 翌日。俺たちは近くのショッピングモールに来ていた。

 

 鈴鹿と何度か来たことのあるショッピングモールなのだが、今日はいつもと大きく違っている点が一つあった。

 

「……な、なんかいつもよりも近くないか?」

 

 いつもは俺と手を繋いでいる鈴鹿だが、今日は腕を組んできていた。

 

 距離がぐっと近づいただけでなく、時折双丘に腕がかすめることがある。

 

 当然、彼女がいない歴=年齢の俺にとっては、あまりにも刺激が強すぎる。

 

血の繋がった妹なのだと何度自分に言い聞かせても、双丘の柔らかさと血の繋がりは関係がないらしく、心臓はうるさいままだった。

 

……こんな調子で今日一日、俺の心はもつのだろうか?

 

 俺が本気でそんな心配をしている隣で、鈴鹿は嬉しそうに笑っていた。

 

「今日はここ数日の寂しさを埋めてくれるんでしょ? それなら、こうしないとっ」

 

 鈴鹿はそう言って、さらにぐっと俺に体を寄せてきた。

 

「っ!」

 

 俺はぴたりと体をくっつけられて、体をビクンッとさせてしまう。

 

 俺が体をカチカチにさせて緊張してしまっていると、不意に鈴鹿が俺に妖艶な笑みを浮かべた気がした。

 

 ……いや、気のせいか? 普通は兄に妖艶な笑みなんか見せないよな?

 

「伴教くん、どうかしたの?」

 

 鈴鹿はこてんと首をかしげて不思議そうに俺を見ていた。

 

 やっぱり気のせいだったみたいだな。

 

 俺はそう考えつつ、近すぎる距離にいる鈴鹿を見ないように視線を逸らす。

 

「い、いや、どうかしたのもなにも、これだけ引っ付かれると歩きにくいんだけど」

 

「えー、しょうがないなぁ」

 

 すると、鈴鹿はしぶしぶといった感じで、少しだけ距離を取った。しかし、組まれた腕はそのままだった。

 

「う、腕は組んだままなんだな」

 

「そりゃあね。せっかくお出かけなんだし、お兄ちゃんがフリーじゃないってことをいろんな人に見てもらわないと。休日のショッピングモールだし、お兄ちゃんの学校の人もいるかもしれないしね」

 

 鈴鹿はそう言って、目を細めて辺りを見渡していた。

 

「な、なるほど、な」

 

 ……一瞬、鈴鹿は俺に気があるのではないか? と本気で完全に勘違いしそうになってしまった。

 

 鈴鹿はただ偽カップルを演じてくれているだけなのに、変に意識してしまうところだった。

 

 いや、血の繋がった妹だし、そんなことあるはずがないとは思っていたが、これだけボディタッチがあると勘違いちゃうって。

 

彼女いない歴=年齢の男が女の子に腕を組まれて、何も思わないはずがないだろ!

 

 俺は大きな勘違いをしていたことを誤魔化すように頬を搔く。それから、仕切りなおすように咳払いを一つした。

 

「す、鈴鹿はどこか行きたい場所とかあるのか?」

 

「うーん、とくにはないかも。伴教くんはどこかある?」

 

「いや、ショッピングモールなんて、本屋かゲーセンを少し覗くくらいしかしたことないぞ」

 

 前にいた世界でもショッピングモールには何度も行ったことはあった。

 

 もちろん、服や雑貨に興味があって行ったのではない。単純に大きな本屋があったからよく行っていただけだ。あとは、本屋の帰りにアニメのキャラの景品があるか眺めに行っていただけ。

 

 だから、女子とのショッピングモールの過ごし方なんか考えたこともないのだ。

 

 まぁ、ショッピングモール以外も女子とどう過ごしていいのかなんて分からないけど。

 

 俺がそんなことを考えていると、鈴鹿が眉根を下げて首をかしげる。

 

「あれ? 伴教くん、ゲームセンターに行ったことなんかあったっけ? 私、一緒に行った記憶ないんだけど」

 

「え? あっ」

 

「……伴教くん?」

 

 俺は口を滑らせたと気づいた時にはすでに遅く、鈴鹿の目つきが少し険しいものになっていた。

 

 な、なんか前にも似たようなことがあった気がするな。

 

「うん、あれだ。それこそ、入院する前に来たことが、あったり?」

 

「小学生の男の子がゲームセンターに? もしかして、一人で行ったんじゃないよね?」

 

「ど、どうだったかなぁ。友達と一緒だったかもしれない、けど」

 

「友達と? 友達って、誰のこと?」

 

「い、いや、やっぱり、一人だったかな!」

 

 俺はとっさに誤魔化そうと考えたが、俺が転移してくる前に仲良くしていたという友達の名前が何も出てこなかった。

 

 慌てて言い直したが、鈴鹿は俺を怪しむようにじっと見ていた。

 

「……伴教くん。小さい男の子が一人でゲームセンターに行くのが危険のは分かってるよね?」

 

「それは、まぁわかる。恐喝とかされるんじゃないかっていうのはあるよな。あれ? でも、男ヤンキーがいないのなら問題ない?」

 

「伴教くん、それは女の子の場合。男の子は別の危険があるんだよ」

 

「別の危険?」

 

 鈴鹿は俺が首をかしげていると、ため息を吐いてから意を決するように顔を上げた。

 

「……分かった。それなら、これからゲームセンターに行こっか」

 

「え、ゲームセンターでいいのか?」

 

「いいよ。ゲームセンターにしよ。これからのお兄ちゃんのためにも」

 

「俺のため?」

 

 鈴鹿はそう言うと、俺の腕を引いてゲームセンターに向かって歩き出した。

 

 あれ? どこか既視感を覚える展開だな?

 

 俺はそんなことを考えながら、鈴鹿にゲームセンターに連れていかれるのだった。

 

 

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