モイモイ、サルミアッキだぁよ!   作:サルミアッキ まずい

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第十話

「は〜い!じゃあこれから転校生を四人紹介していきま〜す!!パチパチパチ〜」

 

 

なんにも聞こえない。教室内に数人くらいいるはずなのに誰も拍手も騒ぎ立てもしない。まさか呪術師ってこんな感じに精神がすり減ってくものだったのかな…?

 

そんな恐怖を抱えつつも、前の扉から教室に入る。

 

「まず普通の3人から紹介しよう。五条マヨ、五条トネリコ、バーヴァン・シーだ!全員五条姓だけどマヨだけしか血が繋がってないからね」

 

「マヨってあだ名なんだけど、本名の方は言いたくないからマヨのまんまで大丈夫。これからよろしく」

 

「マヨの友だちなのでついてきました、トネリコです。キャスターとして頑張りますね」

 

「えぇっと…お父さまの娘のバーヴァン・シーです。これからよろしくお願いします」

 

それぞれつっこまれそうな自己紹介ではあるけど、普通にもともといた生徒もおかしかったから違和感はなかった。

パンダの説明ただのパンダだけじゃ不足してるよ。

 

 

「さて、それじゃ馴染んだところで本命の転校生を紹介しようか。乙骨くんで〜す!」

 

入ってきた弱々しい感じの少年に拍手はしておこう。件の特級被呪者ならどんな人間かを把握しないと。

殺すことはしないけれどどんな手段を取る人間なのかってのは最低限知らないとね。

 

「…ふぅん。お父さま、これって何か気をつけることってあるか?」

 

「別に何にもないよ。今は深く考えずにいたほうがいい」

 

ちょっかいを出さなかった俺とは違いクラスメイトは完全に乙骨くんを脅している。いじめられっこの気質があるのかな?

 

『憂太あぁ!』

 

「はい、とまあこんな感じに乙骨くんは彼のことが大好きな里香ちゃんに呪われてま〜す。まあ解呪できてから進路を考えるって感じ?」

 

ふむふむ、絶対に戦いたくないタイプのゴリ押しタイプだ。無敵貫通が無いだけありがたいけど。

 

「すじこ」

 

「そうだよなぁ。先生、今日の遠征ってどうなるんだ?」

 

「ほぼ変わらないよ?そうだね…うん、トネリコと真依、憂太とマヨがペアでバーヴァンシーはソロでお願い」

 

ふむふむ…確かに最悪ソロでもなんとかなるし、モルガンさんのスタイルはバーヴァンシーより共闘に向いてる。納得はできる人選だ。

 

「わかりました。じゃあよろしくね、乙骨くん」

 

「うん!お願い、マヨさん」

 

差し出された手を握る。…まあ、乙骨くんの人となりはかなり呪術師向きではないかな。

善人なんてこんなところにいちゃダメなのに。

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ、もしやばくなったらオレのこと呼んでね。マヨがいるからほぼなさそうだけど」

 

「ん、了解」

 

悟さんから送り出されたのは小学校。かなり小さい呪いが多いから最初の任務には合っている。

普段の行いがちゃらんぽらんだったとしてもちゃんと彼女は教師なのだ。

 

「じゃあお互いに索敵しながら進んでこうか」

 

とはいっても並みの呪霊だと乙骨くんの呪力で逃げちゃうからなあ。呪いが発生するタイミングを見極めるくらいで充分かな。

 

「術式とか呪力についても知らない、であってるよね?」

 

「そうですね…」

 

「わかった。じゃあ軽い説明だけしちゃおうか」

 

呪力は単なる力であって術式とはその力を加工して何らかの別のものへと変えるものが術式らしい。かといってそこまで加工できるものは術式の範囲内なら何でもいいらしい。

極端な話をすれば食料を生み出す宝具の再現が高ければ食糧問題まで解決できるのである。最もそんなものは使った時点で目をつけられるので使用しないが。

 

「例えばそこにいる呪霊に対して呪力だけで殴るとこんな風に倒れる」

 

ちょうどいいところにいた靴の呪霊を柏手で押しつぶす。

 

「こんな風に力任せでやるのが呪力。まあちょっとオーバーキル気味だけどこんなもんでしょ」

 

ごそっと呪力が減るのも久しぶりな気がする。ロウヒおばあちゃんのトレーニングは本当に効率的だったんだな…

そんなロウヒおばあちゃんのことを思い出しながら取り出すのは術式のこもった塩分過多の飴─サルミアッキ。

 

「で、これが持ち運べる術式のサルミアッキね」

 

ひょいっと投げて呪霊の体内にぶちこむ。世にもおぞましい絶叫を挙げて苦しみながらサラサラと白く灰になった。

 

「えっ?」

 

「まあ本来ならこんな風に塵とか残さずに消えていくんだけどね、サルミアッキだからこうなるんだよ」

 

「なんでこうなるの?」

 

サルミアッキの術式がどんなものなのかは知らないけどロウヒおばあちゃんが付けたんだし大丈夫だよね、って感じである。

 

「知らないよ。術式をこういう風に刻むとかはロウヒおばあちゃんの専売特許だし…ま、今度紹介するよ」

 

「う、うん。五条家ってみんな凄いの…?」

 

「さあ。バーヴァンシーとトネリコさんと悟さんは凄いけど…俺はそこそこ微妙なんじゃない?」

 

なんせ短期決戦以外はてんでダメな術式である。虎の子は日に3回しか使えず、火力を出すならそのタイプのスキルを重ねがけしないと話にならない。

 

総合して考えるとスレで思ったギャンブルがしっくり来る気がするんだよね。サポートならまた変わってくるんだろうけど。

 

「中にいる子供の救出が最優先だし早く行こうか。イレギュラーが起きないとも限らないしね」

 

そんなことを言った直後、ふと上からハサミが落ちてきた。なんだ、ただのハサミか。

 

「図工室の呪霊か…それくらいならなんとかなるかな」

 

金具の留め部分に向かってサルミアッキを投げ、灰にする。弱い呪霊ならサルミアッキを食べさせなくても充分である。

 

「ま、走って中に入ろうか」

 

 

 

 

 

 

中にいたのは原作と変わらない二人の小学生。…だったけれど、本来とは明らかに違った。互いにもたれかかる姿。音が立たないくらいに静かな状態。傍らに転がり落ちている首。

紛れもなく死んだ状況で彼らは見つかった。

 

「…乙骨くん、残念だけどこういうのが現実なんだよ。せめて遺体だけは持ち帰ろう」

 

…しかしなんで死んでしまったのだろうか。確認して原因は調べておかないと。

 

死体には丁寧に首ごと切り開かれた痕跡がある。明らかに計画的な殺害だが動機はないはずだ。

 

(シザーマン?何らかのアサシン?いや、それなら俺達も気づくような状況になるはず。殺された理由くらいはわからないと推理の方向が定まらない)

 

じゃあ、と考えるより先に行動。乙骨くんは優しいから一人一つと運ぶつもりだろうけどそうはいかない。

 

「乙骨くん、こういうこともあるって割り切れちゃダメだよ」

 

死体を2つ抱えて、俺は乙骨くんに忠告する。

彼ならまだこちら側に来なくて済む。

 

「人の死を割り切れるってこと。それは相当の精神がすり減ってないとそうはならない。平和でいるなら…いや、呪術師(こっち)に成らないのなら絶対にその忌避感を捨てないでね」

 

そう思うと、この二人の死に顔はまだましに見えた。死んだとはいえ、眠っているような安らかな顔だ。これがもし凄惨な顔ならどうなっていただろうか。

 

 

 

 

 

こんなことを考えていたからだろうか。

それとも注意が疎かになっていたのだろうか。

あるいはその両方なのか。

どちらにせよ事実は変わらない。

 

 

 

 

その下手人に乙骨は殺されてしまったのだ。

誰が来るんだろうね?

  • FGОのフォーリナーが来るんだぁよ
  • 適当なコテハンが来るんだぁよ
  • ムッコにお任せだぁよ
  • サルミアッキだぁよ
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