モイモイ、サルミアッキだぁよ! 作:サルミアッキ まずい
だいたい3週間前。俺はバーヴァンシーと呪いを祓いに突撃した。
ただのファブニールもどきなので討伐への問題は特になかったけれど…ファブニールもどきが撒き散らした龍の呪いと言うべきものがここいらに溢れていた。
「マスター?おい、起きろよ」
「んん…わかった…」
そんなこと言えるようなことでもないような場所ではないのだったけれど。
一応義理の娘に当たるだろうトリ子とこの領域に引きずり込まれてはや6時間。ここから下手に出るのは危険だと判断したからだ。
「全く、厄介な呪いなんだよなぁ…」
軽い領域展開もどきならできるけど、モルガンさんみたいに呪術の解除みたいなことは到底できんからなぁ。
崩れる前にもう一度もどきを張り直し、最低限の時間は持つように変化させた。
「もともと私が強引に解呪したからなのが原因だからなんにも言えないのがゴミなんだよな…」
「見つけた直後に強引に祓うとは思えなかったけど…フェイルノート恐るべし…」
もともとこの娘の行動についてはいろいろ教育に関わってないから言うことはないけど、どうしようもないくらいヤバいことしかやってない。
「嫌悪した見た目だからって初手でぶっぱはやめなさい。カウンターやらミラーコートに勝てないじゃん」
いくらなんでも初見殺しに引っかかって死なれると困るんだよね、蘇生がめんどくさい。
「じゃあどうすりゃよかったんだよ…お母様に聞いても『なぜいつもお前はそうなのだ』としか言われないし…」
「はいはい、おちついてバー姉。そもそもモルガンさんめちゃくちゃ口下手なだけだから。あの人周囲の環境変えればなんとかなるの精神で頑張ってるだけだから」
「…?」
あんまり私も教えるの苦手なんだけどなぁ…それはさておいてちゃんと頑張って伝えないとね。
「んーとね、そもそもモルガンさんって普通に優しい人だったのは知ってる?」
「あのお母様が?冗談も程々にしとけ」
「冗談じゃないんだよね…多分モルガンさんから話してくれるのを待つのが一番だし話は控えるけど。…まあ、そういう理由で優しかった頃のなごりって言えばいいのかな、悪いことがあったときに人を疑わないんだよね」
だからといってあんな距離の詰め方はどうかとは思うんだけどね。こっちのメンタルは弱いんだからクリティカルを狙いに来ないでください。
「それで、何が関係してるんだよ?」
「人を疑わないってことは自分が悪いと考えるってこと。だけど他の人の場合でも自分が悪いって考えちゃうんだよ」
「…大半が理解できないんだが?」
「頑張って理解してね」
そこまで擁護もできないからなぁ。モルガンさんと最近知り合ったばかりなのにトネリコの過去を知ってるなんてバレてたらやばいし。
ストーカーじゃないというのは声高々に言いたい。
「話を戻すよ。バーヴァンシーのことを悪いって責めてるわけじゃないの。子育ての環境でやってなかった私が悪いんだーってなっちゃうのがモルガンさんなんだ」
「…だからなんなんだよ。そんなの今の状況とどう関係ある」
「んーとね、似た者同士の母娘って言えばいいかな」
かたや苦手な圧政を敷いてまで自分の愛したブリテンを続かせた冒険好きの妖精少女。
かたや人を攻撃することは苦手でも自分を愛した母のために頑張る善性の妖精少女。
どっちもどっちなところは本当に母娘なんだよね。
「まあもしモルガンさんと話すんだったら私が一緒に話したほうがいいかな。二人ともコミュニケーション苦手だし」
「…じゃあ、今日の夜。お母さまと話すの手伝って」
やっと彼女の素直な場所が出てきた。ちょっとよそよそしい気もするけど、いきなりできた父親としては上出来じゃないかな。
「わかったよ。もうちょっとワガママになってもいいんだからね」
とまあ、そんなわけで。
「あの、お母さま…」
「なんですかバーヴァンシー」
「私のサイン展が開かれるので警備をお願いしてもいいですか?」
……どうしてこうなった?
バー姉から聞いた話によると、自作したハイヒールを大手靴屋に持っていったら大ヒットしたらしい。ちなみに宣伝していた人の顔は黒いヴェールで隠れてわからなかったけど間違いなくモルガンさんだろう。
それでいいのか女王。
「まさか靴作りの才能があるとはね…そりゃ私の目を持ってしてもぎり見抜けたかもしれんけど予想外だわ」
「えっと、どうすれば…」
「サインの経験なんてないからなぁ…まあサインを書いてる間に目の前の人と話したらどう?」
「そんな恥ずかしいこと、できるわけないじゃん…」
ちなみに今日は水着の第二再臨。靴屋の店主に見えるがそれよりも凄いオーラを放っているのは間違いない。
「あぁ、うん…お父さまが近くにいるなら…」
こちらの裾をぎゅっとつまんでくるその可愛い仕草はものすごく庇護欲をそそる。確かにこれは子煩悩になってしまうのも仕方がない。
「まあ任せときなさい」
当然、同じ穴のムジナである俺もそう思うわけで。
大切な娘であるバーヴァンシーを誘拐されたりしないように全力で守るつもりだ。
「…終わったんだけど疲れた…なんであんな人数来るんだよ…」
「300人って結構な数字よな…まあ悪意のあるものは弾かれるようにしておいて良かったというべきか…」
結論から言えばほぼ俺の出番はなかった。モルガンさんの帷がかなり高性能であり、結構ヤバそうな男子の半分くらいは弾かれていた。呪術の秘匿?そんなことより娘の命が大切に決まってんだろ。
「どうする?この後予定とかないなら外で一緒に買い物でもと思ったんだけど…」
「えっと、この後モデルの撮影をしてほしいって言われまして…」
バーヴァンシーらしい言葉づかいじゃないのもなんだかなあ。調子が狂うけどこれくらいでいいのかなぁ?
しかしよく見ると近くにいる話しかけたそうな人の目を気にしている。イメージダウンを避けるためってことか。
「まあせっかくだしモルガンさんに写真撮って送ろうかな」
「…謹んでお受けします」
なんかめっちゃ嫌そうな顔されたしやめとくか。そんなえげつない格好とかならこのブランドぶっ壊さなきゃ(決意)
こちらの殺意に怖じ気づくことなくこちらに渡してきたのは水着。…水着?
「もうそろそろ暑くなってきたので水着を売り出したいと思いまして。バーヴァンシーさんならぴったりなのではないかと、ええ。それにそれに…」
見せられたのはガッツリ第一再臨のあれだった。リアルで見られるなら娘に嫌われても価値が…
…いや、ないな。トリ子の意思を優先しよう。
「…着るのはいいから着替え室をください。お父さまに見せる分には構いません」
するとどうやらノリ気なようで、いきなり水着をひったっくって軽やかに歩いていった。
「…わかりました。ありがとうございます」
結果、めちゃくちゃ赤面したバーヴァンシーが見れました。
「お父さま…てめぇ本当にこっち見んな。写真を撮ろうとするな!」
「まあまあ、どっちみち撮らなきゃいけないんだからさ。カメラマンとして頑張らせてもらいますよ」
いつのまにか素の口調に戻ってるなあなんて思いつつシャッターを押しまくる。推しが現実にいる時点で遠慮なんかいらねぇんだぁよ!
「…きゅう」
あ、倒れちゃった。流石にやりすぎたか…
後日、時々家の中でうろつくミコケルに尊死しかけたのはまた別の話である。
誰が来るんだろうね?
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FGОのフォーリナーが来るんだぁよ
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適当なコテハンが来るんだぁよ
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ムッコにお任せだぁよ
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サルミアッキだぁよ