ドラゴンクエスト7は、ドラゴンクエストの中でも一番好きな作品なので、小説投稿サイトに投稿するのは初めてでしたが勇気をだして投稿してみます。
第一話「留学生」
ボクの名前はアルス。漁師町で生まれた漁師の子。将来立派な船乗りになるため王立グランエスタード学校に通ってます。
今日は朝からクラス中が賑やかだと思ったら、友人のキーファ王子がいつものように大きな声で「今日海外のお姫様がこの学校に留学生としてくるんだってさ」とさわいでいた。
もしそのお姫様が美人だったら、キーファ王子がねらうかもってクラスの女子達がざわついている。そんな事には関心がないので、アイラ先生から借りた『伝説の英雄』って本をひらき続きを読み始めたんだ。
バサッ。急に誰かに本を取り上げられた。アルス「邪魔しないで!」
マリベル「あんたはこんな時でものんきに本なんか読んでて相変わらずのアルスだわ。」マリベルは留学生が来ることでクラス内の人気に変化がおきることにナーバスになってるみたいだった。
始業のチャイムがなるとキーファ王子以外は席についた。ガラガラガラ。アイラ先生が部屋に入ってきた。すると少し間をおいて、高価な学生服を着た見目麗しい少女が背筋をピンート張って入ってきた。
第二話「お昼ご飯」
アイラ先生「今日から一緒にこのクラスで勉強をすることになったグレーテ姫様です。ではグレーテ姫ご挨拶を。」
グレーテ「わらわは遥か遠方の芸術の都マーディラスから幾千の海原を越えて青春というものを味わいに来たのじゃ。皆の者よろしゅう。」
グレーテの放つ華やかさときらびやかさに教室の誰もが声をあげたが、アルスだけは静かにしていた。グレーテは教室のこれから級友になる生徒達が喜んでいるのを見て満足したが、1人だけ静かにしている少年の予想外の態度に興味を覚えた。
一限目は社会科だった。キーファ王子は将来国を担わないといけないはずだから必死に勉強に取り組んでいたが、まだ教わってもいない国について、グレーテはすらすらとまるで見てきたかのようにアイラ先生の質問に答えていった。舌を巻くクラス一同。眉をひそめるマリベル。
午前の授業が終わり昼食の時間になった。各自めいめいお弁当を持ってきていたが、グレーテ姫にはなんと付人達が教室に入ってきて御前を並べた。あいつすげーなと驚嘆するキーファ王子。自然とグレーテ姫の周りに人が集まり出した。
そんな中、グレーテ姫は何食わぬ顔ですっと席を立つと、お弁当を広げ昼食をとろうとするアルスの前に来た。
グレーテ姫「なんじゃこの貧相な料理は。みたことない料理じゃ。」
アルスはグレーテ姫が、ある料理をじっと見つめているのを知って「良かったらこれどうぞ」とアルスの母自慢のアンチョビサンドを渡した。それを口にほおばるグレーテ姫。
グレーテ「見た目はあれじゃが悪くない味じゃった。褒めてつかわす。お礼にそなたをわらわの友人となる権利を与えてつかわそう。これでジジ色の生活から抜け出すための一歩前進じゃ。」グレーテ姫はアルスには訳がわからないことを言いながら席に戻った。
そのやりとりを見ていたマリベルはなぜだか自分でも理由がわからなく腹が立った。
第三話「マリベルの癖っ毛」
一日の授業が終わった。グレーテ姫はクラスのみんなとおしゃべりをしたかったが、国務の処理が今日も控えておりますと付人に促され、早々に借りているグランエスタードの別荘に帰っていった。
マリベルはアルスのかぶっている頭巾を後ろから思いっきり力任せに叩いた。
アルス「痛いじゃないかマリベル。暴力はよくないよ。」
マリベル「ふん。アンタ勘違いしてない?お姫様から声をかけられたからって調子にのるんじゃないわよ!」
アルスは自分は何も悪くないのによく昔からマリベルからちょっかいをだされていたので、気にせずキーファ王子と帰路についた。
校門前でグランエスタード島で動物農場を営んでいる家の年少組のガボとばったり出会った2人。
キーファ「おーいガボ。今日も釣りでもしにいこうぜ。」
ガボ「にいちゃんたちのつるさかな おいしいから いく」
こうして男3人で夕暮れまで釣りにいそしんでいた。
帰宅したマリベルだが、なぜか気持ちが落ちつかずむかついていた。アルスの頭をもっと殴っておけばよかったとさえ思った。
マリベル「それにしてもあのお姫様、おしゃれで見た目も悪くないし勉強もできるし。あーあ あたしもお姫様に生まれたかったな」と愚痴をこぼしながら癖っ毛をまっすぐにしようとそのオレンジの綺麗な髪に櫛をいれながら鏡を見つめていた。
第四話「学校内の噂」
王立グランエスタードは別名「エデンの学校」とよばれ、様々な教養と実技教育で世界に名をはせているリベラルアーツの名門校として名をはせている。
校長は性的少数者にも深い理解があると有名なオルゴ先生。教頭は白髪白髭のあだ名が「神様」。そして学校の作業を支えているあだ名が「かみさま」の用務員。各分野に造形の深い先生達もそろえている。
そんな先生の中でも一際目を引くのが、フォズ先生だ。フォズ先生はまだ幼いながらキャリア教育の専門家として将来を嘱望されている。剣術と踊りではアイラ先生が。音楽ではジャン先生。美術ではバロック先生。歴史学は考古学の先生。言語学、錬金術、数学、博物学はアズモフ博士。当代きっての有名講師が勢揃いしている。
年少のガボはまだ自分の持っている感情を言葉にできるほど成長していないが、フォズ先生のことが好きらしいというのは学校の者なら当事者の2人をのぞいてよく知られている噂だった。
第五話「美術の授業」
クラスの注目がグレーテ姫ばかりに集まっている。それもそのはずで、グレーテ姫は才色兼備のたいへん優秀な生徒だと入学後数日で知れ渡ったからだ。もうすでにグレーテ姫ファンクラブなるものまで結成されている。ただ、グレーテ姫に唯一の弱点があるとすれば絵の才能が壊滅的なことだった。
マリベルなどは美術の時間になると普段より大声で場をしきるようなことをしだしている。そんなマリベルをみて、何か「ヤケド」をしないか心配をするのがアルスの常であった。
マリベル「あら?グレーテ姫。これは何の絵ですの?」
グレーテ姫「これは先日アルスから頂いたお魚の料理の絵じゃ。」
マリベル「えっ?これがアンチョビサンドですって?どう見てもこげた石にしかみえないんだけど。ぷぷぷ」
マーディラスではグレーテ姫は癇癪もちとして有名だった。それを知らないグランエスタード学校の人達はグレーテ姫の突然の激昂に驚ろいた。
グレーテ姫「わらわは芸術の都から来たのじゃ。こんな草深い島国までわざわざ来たのに無礼であろう!」
教室の空気が一気に凍った。キーファはすかさず仲立ちに入ろうとしたがかえって火に油をそそぐだけだった。
グレーテ姫「バロック先生。わらわの崇高な絵を評価してたもれ。」
バロック先生「姫。真の天才の作品は凡人には理解されえぬものです。わたくしもこれまで」
バロック先生の言葉がいいい終わらないうちにグレーテ姫の高らかな勝利の笑い声が教室内に響いた。
マリベル「アルス、ちょっとあんた。こんな絵かかれてどうすんのよ!」
アルス「母さんの料理を絵にしてくれてうれしいよ。」
マリベル「きーーーなんですって!?あんたまさかこのマリベル様にたてつくわけ?」。マリベルは怒りのあまり教室の扉をけって外に出ていってしまった。
グレーテ姫「ほほほ。さすがはわらわが認めた友じゃ。我が目に狂いはなかったの。」
授業が終わりマリベルが教室に戻ってきたがその日はずっと不貞腐れていた。
下校の時間になった。アルスは家に帰る前にマリベルの家に寄った。
アルス「さっきはごめん。」
マリベル「あんたなんかから謝れることなんて何にもないわよ。その顔見たくないから早く帰って!」
アルスはマリベルの言葉通り帰宅した。
今日のことは一生根に持つんだからねと思うし、アルスが謝ってきたことがさらに癪にさわった。でもあの役立たずのアルスが最後は自分に会いに来てくれたことは、認めたくないけど少しだけ嬉しいマリベルだった。
第六話「世話好きのガボ」
アルスたちの上級生に武器屋の息子のオルカという男がいた。オルカは熱心なマリベル信者でありマリベルの言うことならなんでも従った。
ある日、オルカはマリベルとグレーテ姫の人気の勢力図を変えようと一計を案じた。それは学校に行く途中で捕まえた虫の子供を姫の机の中にいれるというものだった。
オルカ「へへへっ。これが上手くいけばあの姫さんまた怒り出してファンが減るぞ。」
生き物が大好きなガボは鼻がよく効く。校庭でいつも感じない初めての匂いがした。ガボはその匂いに釣られて校内を進んでいくと、ちょうどオルカがグレーテ姫の机にその虫を入れたところだった。オルカは怪しまれないようにすぐにその場から立ち去った。
ガボ「めんこい虫だな。オラきにいった。」ガボはその虫を皮のカバンにいれて家に持ってかえることにした。
ガボはまたアルスとキーファ達と一緒に下校した。
ガボ「にいちゃんたち きょう めんこいむし つかまえたんだ。」
キーファ「虫か。昔はオレもよくつかまえたな。ちょっと見せてみろよ。」
アルス「なかなか個性的な虫だね。」
キーファ「なあもう名前はつけたのか?」
ガボ「チビィ」
アルス「いい名前だね。」
今日アルス達の教室で何も事件が起こらなかったことを知ったオルカは不安になった。もしかして姫の机に虫をいれたの誰かにバレたのかと。
オルカは事前にマリベルにグレーテ姫にギャフンといわせてやると約束していただけにメンツがつぶれてしまった。
マリベルはどうしてあたしの周りにいる男って役立たずで嘘つきばかりなのかしらと嘆息した。
後日、チビィはガボの動物農場の人気者になり、ガボの育ての親の木こりに富をもたらした。
第七話「魔法の授業」
朝礼が始まった。
オルゴ校長「みなさーん。今日は待ちに待った魔法の先生が本校にいらしてくれました。紹介します。伝説の英雄として名高いメルビン先生です。」
メルビン「このような名門校で若い方たちを相手に魔法を教えれることに栄誉を感じてござる。このメルビン。老骨に鞭打ち手取り足取り皆様の学業を助けますぞ。」
今日からグランエスタード学校で魔法の勉強ができる。アルスは魔法が使えなかったが、魔法を使えるようになりたいと思う気持ちは誰よりも強かった。マリベルはメラを使えることを理由に、ことあるごとにアルスを見下してきたが、マリベルも含めてみんなで魔法の勉強ができることがいかに素敵なことか心の中で感じていた。
メルビン「えー今日からこのクラスでも魔法を教えるメルビンでござる。まずは魔法の基本的な仕組みとMPとの関係について説明するでござる。」
グレーテ姫「わらわは初等魔法しか扱えない。楽しみじゃ。」
キーファ「よし!オレだって剣だけじゃなくて魔法も極めてやる!」
マリベル「お爺ちゃんだけど、ちゃんと魔法教えられるのかしら。」
教室内から様々な声があがった。
魔法の授業が回を重ねていく。そしてついに魔法の実践練習が始まった。
キーファ「オレは魔法はからっきしダメだわ。」
マリベル「ほーこれがイオっていう範囲魔法なんだ。初見で成功したあたしってもしかして天才?」
マリベル「アルスあんたはどこまで使えるようになったの?」
アルスは精神を集中させて、メラを失敗して怪我をした生徒に魔法を唱えた。「ホイミ!」
魔法の詠唱が終わるとほのかにあたたかい光がアルスの手からあふれ生徒の傷が癒えた。
マリベル「あんたすごいじゃない。いつもどんくさいアルスが魔法を使えるようになるなんて明日雪がふるわ。」
アルスは生まれて初めて魔法に成功して身体中から喜びが押し寄せてきた。これでもし将来、漁に出て誰かが怪我をしても治せると思うとアルスの心は希望にみちあふれた。
メルビン「みなさんが最初につかえる魔法はうまれたときに決まってござる。ですから人によって成功した魔法が違うはずでござる。また今日成功しなかった生徒もまだまだ始まったばかりでござるからあきらめぬよう精進を。」
アルスが我を忘れて喜んでいると、マリベルが近寄ってきた。
マリベル「ねぇアルス。さっき大きい魔法使っちゃって指怪我しちゃった。治してくれる?」
アルスはためらいなくマリベルにホイミを唱えた。
夜ベッドで横になったマリベルはぼーとしつつ、あぁ結局、アルスの魔法の一番最初の相手にはなれなかったなと思いながら、魔法の授業で疲れたマリベルは深い眠りに落ちていった。
第八話「全校集会」
最近、アルスは魔法の授業を通して使える魔法を少しずつ増やしていった。そんな中、今日は全校集会でフォズ先生によるキャリア教育の授業がひらかれることになっていた。
グレーテ姫「これアルスや。わらわはそなたの後ろに座りたいから あない いたせ。」
アルスはグレーテ姫がなぜそんなことを言ったのか理由がわからずじまいだったが、素直に従った。それを見ていたマリベルはイライラを隠せないでいた。
フォズ「在校生徒のみなさん。今日はお集まりくださりありがとうございます。今日は皆様の進路についてお話しをいたします。」
キーファ「進路といってもな。オレはオヤジから跡を継ぐように言われてるしな。どこかにオレをここから連れ出してくれる美人が現れないかな。」
マリベル「キーファ王子。そんな親泣かせなこと冗談でも言わないでよ。」
キーファ「まあな、そうなんだろうけどな。」
マリベル達からすこし離れた前方にアルスとグレーテ姫は座っていた。グレーテ姫は時折り前屈みになりながらアルスの耳もとにささやいている。
グレーテ「アルスや。そなたは外の世界は知りたくないかえ。もしそなたさえよければ、マーディラスに招待しようぞ。マーディラスが気に入ったなら一生わらわのそばにいてもよろしいぞえ。」
アルスは自分は船乗りになることしか考えたことがなかったから、びっくりして頭が真っ白になってしまった。
フォズ「というわけで、様々な職業を経験することで今まで出来なかったことができるようになります。ですから自分が将来やりたい仕事に役立つ職業を経験しておくことは、皆さんのような平和な時代に生きる若者にとって大切なことなんです。」
マリベル「ねぇキーファ王子。さっきからアルスとグレーテ姫は何を話してるのかしら。」
キーファ「さあね。でもグレーテ姫も将来国を背負うことになるから苦労話でもしてんじゃね?」
どこか納得のいかないマリベルは後でアルスから姫と何を話していたのか直接聞き出そうと思った。
学校生活は今日も平穏に過ぎていく。けれど水面下では乙女達が火花を散らしていた。
第九話「青春時代の風」
マリベル「アルス今日は逃さないわよ。あんたあのお姫様のことどう思ってるのよ?」
アルス「仲良くしてもらってるお姫様。」
マリベル「アンタってほんとバカね。あたしが言いたいのはそういうことじゃなくて」
校庭の木影で2人が話し込んでいるのを見つけたガボが近寄ってきた。
ガボ「また ふうふ げんか してるの?」
マリベル「こらガボ!どこをどうみたらあたしとアルスが夫婦なのよ!っていつからそこにいるのよ?」
マリベルは今の話をクラスの女子なんかにきかれずに済んで良ったと神様に感謝した。
「どうですかな?この木陰は」。現れたのは用務員の「かみさま」だった。
かみさま「ほっほっ。若者はいつだっていいものだ。青春に幸あれ。」そういうと「かみさま」は立ち去っていった。
なんだか出鼻をくじかれた気分のマリベルはアルスを解放した。
授業が終わると、グレーテ「アルスや。家に帰ってから独りでわらわが書いたこの文(ふみ)を読んでたもれ。」 と手紙が入った封筒を渡してきた。
気になったアルスは帰宅し二階に上がると、早速グレーテ姫の手紙を開いて読み始めた。
「アルスや。わらわのグランエスタードでの留学生活は今日で終わりじゃ。何せわらわがいないと国務が滞ってな。すぐにでも帰国せねばならぬ。おそらくそなたがこれを読んでいる頃には、わらわは洋上の人じゃ。
今にして思えば、この地で学んだこと。経験したこと。学校の行事。今では全てが輝かしく懐かしい。運動会ではそなたがわらわの手を握り心を合わせて踊ったことを昨日のことのように鮮明に覚えておるぞえ。
そなたが船乗りになりたいという硬い決意は見事じゃ。そなたもわらわ同様、親の意志を引き継ぎ自らの責任に向き合う姿勢はそのままわらわの心に通ずる。
だからこそじゃ。わらわはそなたと離れるのがつらい。心が引き裂かれそうじゃ。なあアルスや。そなたさえよければ、わらわはいつでもそなたがマーディラスに来ることを国をあげて歓迎しよう。必ずまた会えると信じてこの手紙をしたためよう。だからさよならはなしじゃ。
わらわの青春 アルス殿へ 真心を込めて グレーテより」
アルスはこれがどのような想いでかかれたのか、ぼんやりではあったが理解できた。これからも船乗りになる決意は変わらないだろう。でも世界中の海に将来でかける日が来たら、いつの日かマーディラスに訪れる事もあるかもしれない。
アルスはグランエスタード城に全速力で走って向かった。城の屋上に辿り着くと北西の方角に白い帆を張った帆船が小さく見えた。
王城からは落日が海に沈む景色が広がっていた。少し冷たさを増した風を体に受けながら、アルスはその帆船が水平線から消えて見えなくなるまでしばらくたたずんでいた。
ドラゴンクエスト7の主人公のアルス、幼馴染のマリベル、マーディラスのお姫様グレーテ姫の三角関係はゲーム中にも直接的ではないですが、ぼやかされて描かれています。もし世界が平和でこの三人が出会うとしたら、どんな関係になるのかよく空想していました。もしこの続きを書くとしたら、もう少し年齢が上がってそれぞれが大人にもう少し近づいた時を書いてみたいと思っています。