フヘンの愛   作:イベリ

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トガちゃん……


逢魔と渡我

「エイト君!いつもの!」

 

「はいはい、ここ座って。」

 

大きな一軒家にて、早朝からどったんばったんと大騒ぎ。それほど急がなければいけない時間ではないのに。それもこれも、前日に興奮気味に入学初日の様子を夜中まで語っていた幼馴染のせいなのだが。

 

いつものように、彼女の髪を梳かし、彼女のお気に入りのツインお団子ヘアーに纏める。

 

「はい、できたよ。」

 

「ありがとう!あっ!遅刻する!」

 

「駅まで送っていこうか。」

 

「いい!エイト君!トガ、行ってきます!!」

 

「おぶっ……はい、行ってらっしゃい。」

 

熱烈なハグをなんとか受け止めて、手を振って彼女を見送る。

いつものように慌ただしく済ませた食器を片付け、髪をマンバンに結って朝の支度を行っていると、携帯の呼び出し音が響く。

 

「もしもし、逢魔です────はい、はい…わかり、ました。向かいます。」

 

通話を切って、時計を眺める。目的地まで1時間もかからない。指定時刻まで2時間超。学校は休みだなと、考え担任に連絡をした。すると「行ってこい!お前が推薦取れば俺の実績になる!ガハハハ!!」という元気な回答を頂きめでたく出席扱いにしてやるとの事。職権乱用にも程がある。未だになぜあの教師が教員免許を取れたのか、疑問だ。

 

そんなことを考えながら、折角だしゆっくりするかと、ソファに深く腰かけ、アニメを流した。

 

幼馴染が元気よく二日目の登校を迎えた朝。その日、急遽来年受験予定の志望校に呼び出されることになった。

 

「失礼します、本日にお約束しました、逢魔詠斗(おうま えいと)です。」

 

「おお、君が逢魔少年か!待っていたよ!私はオー……八木!教師見習い!」

 

「逢魔です。よろしくお願いします、大八木先生。」

 

「八木デス!!」

 

「急遽呼び出したのによく来てくれたのさ!」

 

時間通りに職員室に行けば、ガリガリ金髪、骸骨のような瘦せぎすの元気な男性と、喋るネズミに詠斗は出迎えられた。

 

何故、ネズミが喋って、しかも二足歩行で移動しているのか。抱き上げてまじまじと見つめ、そしてようやくその答えに辿り着く。

 

「……動物に、個性って宿るんだ。」

 

「おお!よくわかったね、逢魔少年!その通り!ここにいらっしゃる根津さんは────」

 

「ネズミなのか、犬なのか、熊なのか!果たしてその正体はぁ……!!校長さ!!」

 

ハイテンションなネズミの自己紹介にも、眉ひとつ動かすこと無く、詠斗はじっくりと思考を回し記憶を探る。

 

そして、数秒した辺りでその名前に思い当たるものがあった。

 

「そうか、道徳教育の。どこかで聞いたことがあると思いました。」

 

「おや、私の論文…いや著書かな?」

 

「はい「ヒト狭間」を。人間とは、人権とは。黎明期直後の個性社会における人の定義については、とても興味深いものがあった。個性を持つ人を保菌者と呼んだり、混沌とした時代の考えに触れることが出来る……貴重な知見でした。」

 

「おや、ずいぶんと読み込んでくれてるね!あれ、700ページくらいあったと思うけども。」

 

「僕も少し思うところがあって、そういう分野に手を出していた時期がありました。」

 

「……ほうほう、勤勉なことは良い事なのさ!因みに、あの著書について質問はあるかな?」

 

「はい。個性黎明期より異形型は差別の対象とされてきました。しかし、昨今異形型のヒーローに加え核兵器レベルの抑止力を持つオールマイトの台頭により明確なヒトというイメージが、定義がより曖昧になっているように感じます。著書では─────」

 

「す、ストップだ!逢魔少年!その、詳しい話は本題が終わってからにしよう!その方が、何かと面倒もないだろう!ねえ、根津校長!!」

 

「おっと、そうだったね!」

 

「失礼しました。その通りですね。」

 

なんとか八木が会話を止めて談話室に向かう。

 

ようやく席に着くと、なにやら根津がカチャカチャ用意し始めたと思えば、どこから取り出したのか熱々のティーポットと、カップを3つ取りだし、紅茶を淹れはじめる。

 

「さぁさ、腰掛けてくれたまえ。紅茶をのんでリラックスしよう!今日はそう固い話でもなく既に決まっていることを君に話すだけだしね!八木くんも、ほら。」

 

「いただきます。」

 

「え、えぇどうも……あ、いい香り。」

 

暫くの談笑、その後に本題なのさ!と書類を4枚ほど取り出す。

 

拝見します、と声を掛け書類を流し見ていく。そこには、驚く事が書き記されていた。

 

「『勧誘(スカウト)推薦』…ですか……でも、僕諸事情で出席数足りてないですよ。」

 

「安心して欲しいのさ!君の為に作った、特別制度!既に教師過半数から承認済みさ!成績は全く問題ないしね!」

 

「いやはや、私も驚いたよ!なんと賛成9割!君は、将来を現役のプロにすら期待され、この制度を我々に作らせた!君には、それだけのポテンシャルがあるという事さ!」

 

2人の剣幕に若干気圧されつつ、詠斗はふむ、と顎を抑え思案した。

 

「実技、及び筆記試験の免除。思い切りましたね。」

 

「ああ!個性修練度、体術練度の高さ!全てが高水準!現場にいあわせたプロに聞いた話だけどね!」

 

「現場に居合わせた…?」

 

「正直、この間の事件を聞いた時は驚いたよ。まさか、単独で…しかも無傷で退けるとは!ヒーローも後遺症もなく治癒して見せた希少性も含め、我々は君には特別措置が必要だと考えた。」

 

「ぶっちゃけ!君が試験に出るとほかの受験生を食い散らかしてしまうのさ!」

 

「食い散らかす」

 

あんまりにもな言い方だが、これについては教員は満場一致の同意見だった。

 

詳細は省くが、重傷のヒーローとネームドヴィランに遭遇し、それを撃退。

 

重傷のヒーローもその場で治癒。なんとか一命を取り留めた。

 

スカウトの理由はこの事件だけではないが、おおよそこれだけの実力を持つ学生を放っておく理由がないのだ。

 

しかし、当の本人は『単独で退ける』『居合わせたプロ』このふたつのキーワードにより、漸く思い出した。

 

「なるほど、アレですか。」

 

「えっ、忘れてたの?」

 

「はい。」

 

冷たく言い放った様子を見て、八木は呆れと安堵が混ざるため息を吐き出す。

 

「なにかありましたか。八木先生。」

 

「いや、話には聞いていたが、良かったと思ってね。なんでも数分、奴と会話したとか。それで感化されていないか…もちろん疑っていた訳ではない!だが、奴の思想や…狂気の熱というのは時に抗い難いものもあるからね。」

 

「なるほど、懸念もごもっともです。お気になさらず。人を殺す程の信念というものに関して僕はわからないけれど、確かに奴は奴のやり方で世界を変えようとしていた。」

 

けれど、と詠斗は俯きながら続ける。

 

「────僕にとってはどうでもいい事だった。僕は、彼女の夢を支え、穏やかに過ごせればそれでいい。そして、彼女が誇れる人間でありたい。それだけなんです。」

 

それが、僕のヒーロー科への志望理由です、と2人をまっすぐ見た。銀河が揺蕩うような不思議な瞳を、八木も根津も見つめ返す。

 

「いい目だ。揺るぎない物があると言うのは強い。」

 

「なるほど、それが君のオリジン。そういう訳だね?大切にするといい。」

 

根津と八木が返す言葉に、詠斗は目を細めながら少し視線を外す。

 

「……正直、そう受け入れられると思いませんでした。」

 

「まさか!その歳で、譲れない絶対があると言うのは素晴らしい事だ。何も誰もがわた……ルマイト!のように、知らぬ人まで救いたいと思っている訳ではないさ。もちろん!そういうヒーローもヒーロー活動はしっかりしているから、そこは忘れずにね!」

 

「はい、それはわかっています……ワタルマイト?」

 

「オールマイトォ!!ガールフレンドを支えたいってのは、それだけ凄いことなんだぜ!君は、多くのヒーローにはならないが、彼女のヒーローにはなれる!そうだろう?」

 

「……えぇ、そう、ですね。そう、ありたいです。」

 

感情の読めない表情は、氷のように閉ざされたまま。彼は終わった事だと話題を変える。

 

「そうだ、折角なので被身子に会っていこうかと。授業風景とか見れますか、見学。」

 

その話題を振った瞬間。二人が全力で目を逸らした。

 

「……なにか、あったんですね。」

 

「あぁ、いや、そのぉ〜、えっと…渡我少女は!全く!これっぽっちも悪くない!というかむしろ優秀!万能!元気!可憐で笑顔も素敵!将来人気のヒーローになれると断言できるよ!」

 

ピクリとその言葉に反応した詠斗は、その日初めての薄い微笑みを見せた。

 

「……そうでしょう。八木さん、貴方は被身子をよく見てくれている。きっと、いい教師になれる。」

 

「あ、え、そ、そうかなぁ…!」

 

テレテレと身体をくねらせる八木に、うんうんと頷きながら、詠斗は踵を返す。

 

「断言します。絶対にいい教師になれる。なんせ、貴方は被身子の魅力をたった一日で理解しているのだから─────という訳で、被身子のクラスに行きます。」

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!ちょっと待って!ごめん!本当にごめん!もう隠さないから!!」

 

「彼女の担任が被身子君以外を全員除籍したのさ!よって、今現在1年のヒーロー科は彼女一人なのさ★」

 

「校長ーー!!?」

 

もう隠すのは困難と判断した根津がヒートアップする前に観念し、洗いざらい話すことにした。

 

「彼女の代のヒーロー科はそもそも1クラスしか取れなかった。」

 

「こう言っては悪いが、ここは最高峰。基準に満たなければ篩いにかけられる。何とか残った原石達も、さらに荒い篩いにかけられて脱落していった。そうして、1年は彼女を残し、たった一人となってしまったのさ。」

 

「なるほど……理解しました。別に隠すことでもないと思いますが。」

 

要は資質がなかったということだ。それだけの事。被身子にはそれがあり、その他大勢にはそれがなかっただけなのだ。

 

「そして、特別措置として来年……要は君の代のクラスに組み込む事にしたのさ!」

 

「……留年、ということですか。一人で授業をさせる訳には行きませんし…当然というのはおかしいですが、対処としては妥当かと。」

 

ふむ、と現状を理解した詠斗は彼らの本来の目的を理解した。

 

「なるほど、今日呼ばれたのは後者が本題ですね。決まった事をわざわざこうして口頭で伝える意味は無い。良くも悪くも喜怒哀楽の激しい彼女の説得に力を貸せ、という事ですね。」

 

「その通り!話が早くて助かるのさ!」

 

「そうと決まれば、早速行きましょう。」

 

心做しか、彼の足取りが軽く見える。これまで表情が無に等しかった彼だが、案外可愛いところもあるじゃないかと、八木は彼の後ろ姿を見て微笑んだ。

 

「…………ふふっ、そう心配することもないんじゃないかな、相澤くんも。ねぇ、校長先生!」

 

「あぁ、彼もまた、誰かを想うヒーローの卵というわけさ。」

 

彼の後ろをついて行きながら、1-Aの教室に向かう。

 

ガラリと扉を開ければ、ぐでぇ〜っ、と溶け落ちたように脱力する被身子の姿が見えた。

 

うあ~、だの、ぬお~だの唸っている彼女の真正面にしゃがみ込んで、声のトーンと表情とはかけ離れたはっちゃけた身振りで自身の存在をアピールした。

 

「彼、意外と愉快ですね。」

 

「彼もまた、まだ15の子供という事なのさ。」

 

「被身子、ほら起きて。僕が来ちゃった。」

 

「うあ~……エイト君が見えます~……この教室に一人残されるのが寂しすぎて幻覚が見えてきました。」

 

「現実だぞ~、渡我少女~!おーい!!」

 

未だに衝撃から立ち直っていない被身子は、詠斗の顔をグニグニと弄り倒す。すると、漸くこれが現実だと理解したのか、ガタンガタタッ!と机を吹き飛ばしながら立ち上がる。

 

「エイト君!!?ナンデ!?」

 

「俺が呼んだ」

 

「相澤先生!?いたの!?」

 

すると、教室の隅っこでゼリー飲料を吸いながら寝袋に包まった男が声を発し、それに被身子が肩を跳ね上げて反応する。遅れてそちらに目を向けた詠斗は、ゆっくりと頭を下げた。

 

「相澤先生ですね、逢魔です。よろしくお願いします。」

 

「はい、相澤です。必要なことを必要なだけ。君は合理的だね。では話を始めます。二人とも、席に着け。」

 

「エイト君気を付けて!この先生、気に入らなかったらすぐに除籍してくるよ!」

 

「大丈夫。君を除籍にしなかった確かな慧眼がある。問題ないよ。」

 

「えっ、もしかして今トガは褒められました?」

 

「褒めてる褒めてる。」

 

「おい、静かにしろ。」

 

コソコソと喋っていると、相澤が睨みを利かせ2人を黙らせる。

 

「……では、説明を始める。今回逢魔を呼んだのはお前達の家庭環境を鑑みてだ。これから学校の決定に保護者の同意が必要な場合、申し訳ないがお前達2人の同意をもって決定する方針とする。こういうのは本来良くないんだが……それと渡我。お前、来年逢魔と同じクラスがいいか?」

 

「当たり前です!……えっ!いいんですか!なら、トガは先生をまるっと許します!」

 

「言質取ったぞ。まぁ、これは俺からの誠意…そう思ってくれ。お前の1年間を俺たちの都合で奪うわけだからな。」

 

「達って……相澤くんが気がついたら除籍してたらしいのに……」

 

「なにか?」

 

「ナンデモアリマセン!!」

 

ちゃっかり責任を教師全員のものだと宣言する相澤に抗議する八木を、ひと睨みで黙らせる。

 

「この1年。無駄に過ごすも有意義に過ごすもお前次第……という訳で、自己鍛錬をするならウチの演習場を使う許可をやる。逢魔、ついでにお前も使え。渡我の今の力はお前の能力に依存してる。拡張させとけ。」

 

「いいんですか。まだ、僕学生じゃありませんけど。」

 

「特例だ。お前の個性誰も使い方教えらんねぇんだよ。技術体系も全部お前が1から作ったもんだ。現状、常に使えるお前の個性伸ばした方が先がある。元々の個性は後々でいい。その方が合理的だろ。」

 

「なるほど。」

 

理解しました、と頷く詠斗に、よし。と相澤は話を続ける。

 

「来年度、お前たちは1-Aに組み分けされる。担任は俺ね。」

 

「はいっ!!トガはお断りします!!」

 

「残念!決定事項だ。」

 

「エイト君!再来年も1年生頑張ろうね!!」

 

「ははは、もう僕と君以外残らない前提なのか被身子。」

 

お断りの言葉も華麗に受け流され、既に来年の絶望の未来を見てしまった被身子を慰める。

 

「大丈夫。来年も同じようになれば流石に雄英側も僕たちを2年も留年させる訳が無い。別の方法…飛び級は無いとしても進級はさせるはずだから。そう気にしなくていい。」

 

「理解が早くて助かる。来年度もこうなったら、お前達には二人で授業を受けてもらう。本来飛び級で仮免、プロに移ってもいいんだがな。実力は足りてても、心構えや法律については教えなきゃいかん。」

 

非合理的だねと呟きながら、相澤は二人に資料を渡す。

 

「訓練施設やマップは在校生に聞け。現2年のヒーロー科連中に何かあったらお前たちのサポートをするように言っておく、頼ってやれ。あと、サポートアイテムが必要なら、俺からパワーローダー先生に掛け合えるから、俺に声かけろ。施設と時間は存分に使え。」

 

「わぁ、至れり尽くせり!エイト君と一緒のクラスになれるし、留年も悪くないです!」

 

「渡我少女、それはちゃんと考えたほうがいいよ?」

 

「一般社会なら高1留年はヤバすぎる。良かったなヒーロー科で。」

 

「この人反省してません!やっぱセンセー嫌いです!!可愛くないです!!」

 

「オッサンに可愛さを求めるな。」

 

ヒーロー科でよかったと心底感謝した被身子は、やはりこの男は敵だと喉を鳴らし威嚇をする。

 

何やかやとあり、話が終わり2人が帰る支度を完了させ、教師陣に頭を下げる。

 

「トガ、今日は帰ります!明日からの計画をエイト君とねりまくります!」

 

「では、僕も。」

 

仲良く手を繋ぎながら帰った二人を見送る。その場に残った相澤が、根津と八木に詠斗の様子を尋ねる。

 

「逢魔…あいつはどうでした。」

 

「あぁ、思ったよりも愉快な子でね。確かに感情の機微…それもあるが、興味の優先順位かな。それが他者よりもずっとはっきりしているようだ。それも彼女といれば問題ないと思うよ。」

 

「そうですか…俺も今日まで危惧していましたが……杞憂で終わりそうで何より。しかし、彼らの家庭環境は劣悪に過ぎる……それゆえの依存に近い物もあるかもしれません。」

 

「ああ!言い換えれば、お互いを支えている得難い関係。だからこそ、我々が支え、彼らをより良い方向に導いてやらなければいけない。」

 

「正直、あの家庭環境でよくああも真っ直ぐに育ってくれたと言わざるを得ない……だからこそ、これからは我々が先達として、導いてやらねば…!!」

 

そうですね。それだけ呟いた相澤は仕事があると急ぎ職員室に戻る。

その道中、本当に自分の杞憂で終わったのか、未だに拭えぬ不信感に、胸のつっかえが取れることはなかった。

 

(杞憂……本当にそうなら、それで構わない…見極めは奴の入学後になるが…)

 

こればかりは仕方がない。合理的に行こう。そう懸念を忘れ、仕事に集中することにした。

 

そんな相澤の背を見つめていた八木は、不意によじ登ってきた根津校長を頭に乗せながら、ある少年に思いを馳せていた。

 

「八木君────いいや、『オールマイト』……彼では"後継"足りえなかったかな?」

 

ボンッ!と煙を出し八木の全身が隆起。煙の中から現れたのは真逆の筋骨隆々の大男。

 

日本における不動のナンバーワンヒーロー『オールマイト』その人だった。

 

「えぇ、思想も私とは真逆。彼は象徴に足りえない……というよりも、なる気がないでしょう。加えて、彼には今まで研鑽を積んできた彼自身の強力な力が存在している。私の個性は不純物になってしまう可能性がある。」

 

「そうか。では、継承は彼に?」

 

グッと拳を握ったオールマイトは、その拳を見つめたまま、いつもの笑みを浮かべる。

 

あらゆる感情が交差する中に、彼という光を見出したのだ。もう、揺らぐことはない。

 

「えぇ……私は、もう決めていたんです…彼に────緑谷少年に託すと!彼こそ、私の後継に相応しい!!」




トガちゃん…真っ当に幸せになってくれ…
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