仕事に慣れる為プラベに集中してました。頑張ります。
『さぁっ!!じゃんじゃん行くぜ第4戦!彼の者は黒の中の黒!漆黒の中の漆黒!闇黒を切り裂く一筋の闇!!その名を────!!』
プレゼント・マイクの入場に招かれ、舞台に漆黒が降り立つ。
『漆黒の勇者!常闇踏陰率いるパーティの入場だぁぁっ!』
仲間を背後に、先頭に立つ漆黒の勇者は、鋭い視線で詠斗と見つめ合う。
「ついに来たか、
「ついに来たぞ、
勇者、常闇踏陰。個性『ダークシャドウ』を従える、詠斗、被身子の万能達に迫らんとする1人。
あの爆豪が、模擬戦の最中に『ふざけんな』と愚痴を漏らしたほどだ。
「ついに、始まるんだ…A組最強と全能の戦いが…!」
「うんっ、逢魔くんの強さはよく知ってるつもりやけど……勝てるんじゃないかって。」
「どうだろうか…ただ、勝機があるのではないかという、期待を持ってしまうのは、理解できるよ。事実、俺もそうだしな。」
自分で戦うわけではないのに、手にじっとりと汗が滲む。しかし、緑谷、麗日、飯田三人の興奮も無理はなかった。
常闇踏陰は、A組において最強だ。あの爆豪勝己も、轟焦凍も、一歩ステージを先に登っていた彼に、タイマンでは敗北を喫していた。
「ってぇ……まだ始まってなかったか。」
「あ、かっちゃん!?なんで動けるの!?あんなに渡我さんにボコボコにしてされてたのに……」
「あ?そらテメェ、気合だ気合。」
「……かっちゃんも大概おかしいよね。」
「何がおかしいんじゃこんくらい普通だわ。」
「……ねぇ、なんかあの二人普通に喋ってない?」
「なにか、あったのだろうか…?」
流石のタフネスを発揮した爆豪が治療もそこそこに、空いていた緑谷の隣に座り、当たり前のように話し出した事に、不審な目を向ける麗日と飯田。
そんな目線も何のその、爆豪はそのまま続ける。
「……んで、どう見る。ヒーロー博士。」
「なんとも言い難いかな。僕は詠斗君の本気を知らないから……骨抜君たちにも、別に本気ってわけじゃないだろうし…でも、近接戦に限れば、常闇君が勝利する可能性は十分ある。サポートアイテム込みなら、あの二人を除いた近接戦最強は彼だ。」
「……あの野郎、俺のハウザーも防ぎやがったからな。」
その言葉を聞いていた誰もが、常闇踏陰の最強に異を唱えることはなかった。
舞台の中心で、今か今かと開始の合図を待つ両者達。
「みんな、準備万端って感じだね。」
「クククッ……我ら闇が魔王に挑もうとは……あぁ、だがそれもまた…!」
「ふっふっふっ…以前までの僕たちだと思っていると、ガっと行っちゃうからね!」
「……あ、これは僕もなにか言ったほうがいい感じ〜?」
熱量に違いがありそうだが、それでも皆が詠斗との戦いを楽しみにしていたことは間違いがなさそうだ。
「構わない、どうか存分に、戦いで示してくれ。」
『はいっ!それでは、勇者のフミカゲくんは意気込みをお願いします!』
ゆったりと詠斗を見た常闇は、徐にフードを被る。
「今更に言葉は不要だろう…だが、敢えて言おう────お前に、お前達に感謝を。今の俺が、俺達があるのはお前たちのお陰だと、そう思っている。」
「……照れるじゃないか、そう真っ直ぐな感謝には慣れてないんだ。」
「だからこそ、様子見などせず、はじめから全力をぶつけるとしよう。逢魔詠斗、渡我被身子…お前たちという壁に、俺達の闇がどこまで通じるか……試させてもらおうか…!!」
「来るといい、君の闇で、僕という闇を呑み込んでみろ。」
ミッドナイトが、鞭を振り下ろす。
『両者構え──────開始っ!!』
「行くぞッ、ダークシャドウ!!」
「アイヨッ!」
「薙ぎ払え、『
ミッドナイトの合図と共に、ダークシャドウのシルエットが変化していく。
ガチャガチャっ、とダークシャドウの両腕を翼のような、機械仕掛けの巨大な腕鎧が展開される。禍々しい黒に染まるソレは、彼の一回り以上の大きさを持っているが、重さを感じている様子はない。
「ダークシャドウの防御と攻撃を両立した新形態ってところか。ダークシャドウを武装させることで、彼を外界から密閉……本来の弱点である『光』も克服した竜の両翼……しかし、カッコいいな。」
「やはり、お前とは魂の波長が合うようだ。」
「変身・変形は男のロマンだもの。」
常闇の背中から展開される翼腕をダークシャドウが纏い操る事で、常時最高のパフォーマンスを出せるようになった。
『おわぁ!?なんだありゃあ!ドラゴン!?ねぇドラゴン!?カラスなのに!?』
『常闇君の翼腕!あちらも私、発目明が作りましたベイビー!名を【竜装】!まるで巨大な竜の腕のように、彼の個性の大きさに合わせ、自動展開、自動収納を実現!さらにさらに収納時は小型のリュックサイズまで────』
『はーい、メイちゃんセリフ長いのでココまででーす。』
『トガさん!今いいところです!あっ、力つよすぎ────』
「ふぅむ……明ってば天才。メリッサといい勝負……いや、若干ベクトルが違うか。」
実況席が若干ドタバタしているようだが、常闇はただ詠斗を観ていた。
「今までの俺達だと思うなよ。どうか、お前の力が俺の想定を上回っていることを祈る。」
「言うじゃないか……面白くなってきた。」
「吹出!早めに頼むぞ…!」
「なる早でがんばるよぉ〜ッ!」
「何かやりますよ、と敵前で言うもんじゃないよ。」
「お前は今のやり取りで、最後まで見届けようと長期戦を見越したはずだ。」
「あー、正解……効果絶大だよ。」
掛け声と同時に吹出が後方に陣取り、その間に凡戸、前衛に常闇とその影に潜む黒色。
綺麗な直線の陣形を成した4人に、ほぅ、と感心した。
(綺麗な布陣だ、だがその分役割もわかりやすく欠点もある。)
前衛を潰せば、この陣形は瓦解する。
「被身子じゃないが、ちょっとなめすぎじゃないかな。玩具を貰って気が大きくなった?」
「さぁな、試してみるがいい!ダークシャドウ!!」
「アイヨッ!!」
一直線に詠斗に突撃したダークシャドウが、その巨腕を振り下ろす。
横に飛び退きソレを回避した詠斗は、着弾点の惨状を目にしてハハッと笑う。
「ははは、当たったら死にそ。」
「ほざけ!この程度何ともないだろう!!」
「かもね。」
再び振り下ろされた巨腕を真横に殴りつけて逸らし、一歩の踏み込みで肉薄。常闇の懐に入り込む。
「ッ!!」
「やっぱり、超近接が苦手だね。ま、踏影は肉弾戦の才能ないしね。」
グォッ、と風を切る詠斗の拳が腹に吸い込まれる。
着弾の音が響き、その痛みに膝をつく─────事はなく、常闇の外套の漆黒が、その打撃を受け止めていた。
「────くくっ、くくくっ……ぬかったな魔王…!」
「予想はしていたが、いい対策だ。」
黒色支配、個性【黒】は、黒そのものに潜む個性。故に黒が無ければ無力であり、黒があればその分飛躍的に強くなる。
「クヒヒッ……忘れるなよ、逢魔。俺が、いるぞ…!」
常闇の影から、ヌルリと這い出た黒色が攻撃を防御。そのまま詠斗を拘束しようとする寸前、詠斗が手を振りほどき攻撃を中断。一気に飛び退くことで、巨腕の餌食となることはなかった。
詠斗とてダークシャドウの攻撃をまともに喰らえば、しっかりとダメージにはなるだろう。ソレをわかっている黒色は、防御・拘束に徹し、活路を開く方針のようだ。
作戦を理解した詠斗の口元は、薄く笑みを浮かべていた。
「思ったよりずっと良い布陣だったか。見くびっていたよ。」
「陰に潜み、影を持って魔王を討ち滅ぼそう…!」
「我らこそが、真の闇だ…!」
ぶわりと広がった翼腕が、再び詠斗に迫る。
「おいおい、そんなもんじゃ当たらないよ。」
「本当に、そう思うか……逢魔よ…!」
巨大故に軌道が読みやすく、避けやすい。数度の拳打を回避し、大振りの一撃からカウンターを決めるために、上空に飛び上がった瞬間、翼腕がありえない軌道を描き、捻じ曲がった。
「なっ─────ぐッ…!?」
詠斗の側面に激突する拳はそのまま振り抜かれ、予想以上の衝撃に目を見張った。
吹き飛ばされた事を理解する間もなく地面に叩きつけられるが、直ぐ様転身。続け様の攻撃を完璧に躱して互いに距離を取った時、ミッドナイトのポイントコールに会場が沸騰した。
『クリティカルヒット&ダウン!勇者パーティーに5ポイント!』
『うおおぉぉぉぉぉッ!!!遂に!勇者パーティーのポイントが半分に到達!勝利に王手かぁ!?』
『逢魔が生徒たちの成長を知らない事を加味しても、今のは良い攻撃だった……だが、ココからだろ。』
『フミカゲくんとシハイくんのコンビって正直初見殺し性能高すぎるからなぁ〜、私も今のはトップギアに入れてないと普通に躱せなさそう。』
湧く実況と会場。それは、クラスメイトも同じだった。
「っしゃぁ!!ザマァみろ能面野郎ッ!!殺せ常闇ッ!!」
「かっちゃん、私怨が混じってるよ……でも、流石常闇君だ!A組B組含めてトップなだけはある…!」
遂に勝利に近づいたかと、クラス席も湧く中。取蔭と拳藤だけがが怪訝に詠斗を見つめていた。
「どう思う?切奈。」
「んなわけないっしょ……だって、あのヒミコちゃんが何でもありなら一回も勝った事ないんだよ?いくら近接が苦手とは言え、奥の手は確実にあるでしょ。つーか、近接が苦手ってもレベル違うし、正直当てになんないわ。」
「まぁ、だよねぇ……私も同感かな。」
嫌だなあ、と呟いた拳藤は、予感を感じながら試合を見守った。
「……王手に、一歩近づいたか。」
「我が半身よ、油断はするな…奴は魔王。どのような手があるかもわからん。」
黒色の言葉に頷いた常闇は、クツクツと笑う詠斗を警戒した。
「正直、ここまでとは思わなかった…本当に、成長したね。威力、速度共に申し分ない。プロヒーローの中でもココまではそういない。」
「光栄だ、お前に褒められるのはな。」
「支配は、黒そのものを操れるようになったのか……となると、影そのものを操れそうだ。その前提で考えるなら、硬度の操作も自在かもしれない。影を刃に、盾にできる…どう?」
「………!」
「ふふ、その前提で動くとしよう。」
当たり前のように自身の成長を見抜かれた黒色が顔を顰め、予想が当たっていたことを確信した詠斗は、不気味な薄い笑顔を浮かべる。
「今の状態で戦うなら不利だ。ダークシャドウのパワーは、今の身体強化と技量だけじゃ覆せない火力になった。」
「らしくもない、諦めると?」
「まさか、こんな楽しい時間をここでやめるわけ無いだろ?」
差し出した右腕に今までとは違う、黄金の魔法陣が輝く。
「奥の手、その一つを……お見せしよう。」
警戒した常闇は構えを解かぬまま、詠斗の右手のなかに現れた、果実に目を奪われていた。
黒檀と見紛うほどに美しく、濡れ羽根のように艶があるその果実は、掌に収まる大きさとは対照的な存在感を放っていた。
「……果実…なのか?」
「これは【
「知恵の果実………楽園の禁忌か…!」
「ふふ、博識だね。まるで神話博士だ。」
『おわ…何あれ、複雑すぎて何も見えないんだけど……エイトくん夜なべして作ってたのそれ…?』
「せいかーい、そして……知恵とは元来人が持つ原初の武器であり、その知恵の具現こそが、僕の最大の力だ。」
手に収まる果実を握り潰せば、ザラザラと砂粒の様に崩れ、その一粒一粒が淡く発光し、意思を持つ流砂のように蠢いた。
「【
詠斗の詠唱に従い、ソレらは詠斗の左腕で形を成した。
「大盾……?」
果実と同色の円盾。美しい満月のような完璧な円形と、流線を持つ円盾は、詠斗の上半身をすっぽりと覆い隠してしまう程に巨大で、正面から見ただけでもその厚さがわかる。
内側にある2つの持ち手を掴み、軽く持ち上げ、感触を確かめた詠斗は軽い調子で向き直った。
「お待たせ、踏陰。」
「……一体、お前の個性はどうなっている。果実の大きさと釣り合ってないぞ。物理法則すら無視できるのか?」
「まさか。アレ、とんでもなく重いんだよ。コレ、200キロ以上あるから。」
「馬鹿か?」
「……僕も思った。」
「そ、そうか………」
「気を取り直して、宣言しよう。ここから、攻撃の一切を受けず、君達を打倒しよう。」
『魔王、逢魔詠斗!まさかの宣言!!もう半分取られたら不味いのに、行けんのか!?』
詠斗の宣言に盛り上がる会場の熱にあてられ、常闇のボルテージも頂点に達する。
「くっ、ははっ、ははは!!それを踏み越えてこそ、勇者というわけか!!」
「そのとおり、僕を超えてみせろ。」
「抜かせッ!!ダークシャドウ!!」
「アイヨォッ!!!」
言葉も言い切らぬまま肉薄するダークシャドウは、あらん限りの力で拳を振り抜いた。
「オラァァァァァッッ!」
「さぁ、試運転だ。いこうか【バルトーン】」
凄まじい衝撃波が地表を撫で、詠斗の毛髪が荒々しく翻るが、詠斗の立ち姿が揺らぐことはなかった。
構えた盾ごと打ち砕かんと振り抜いたはずの拳が、不自然なほどに、それ以上振り抜けず、弾き返される。
「うん、いい感じ。」
「ダークシャドウ!?」
「ハ、ハジキカエサレチマッタッ…!」
驚愕する常闇の表情に、詠斗はニヤリと口元を吊り上げる。
「僕は、基本的に流れに身を任せてる。その流れに乗って楽しそうな事をやってるつもりなんだ。でもさ、この期間で僕自身の欲求はとてもシンプルだってことに気がついた。」
盾が詠斗の意思に従うように蠢き、バキンッ、と上下に分裂。両腕を肘の上まで覆いつくす【バルトーン】は、重厚なガントレットに姿を変えた。
その漆黒の身には、一切の装飾がないにも関わらず、武骨でありながらもどこか厳かな気品を感じさせた。
「コノクソォッ!」
「まてっ!ダークシャドウ!!」
負けん気を見せたダークシャドウが、常闇の静止を振り切って再び拳を振り抜いた。
「うんうん、フィットしてて、いいね。コレなら行けそうかな。」
少し考える仕草を見せたあと、詠斗は迫る拳に向かい、打突部分に輝く光輪を叩きつけた。
想像の遥か上をいく威力に負け、ダークシャドウの腕が上に跳ね上がる。
「フミカゲッ……ダメダ!オシマケタ!!」
「ッ…!手を、抜いていたのか…!?」
「手を抜いていたというのは心外だ。しっかりとみんなに向き合って、最適な壁となれるように懸命に戦っているよ。あー、そうそう、僕の欲求について─────」
「ダークシャドウッ!!」
やけくそ気味の薙ぎ払いをやれやれと首を振った瞬間。左の薙ぎ払いをアッパーカットで殴りつける。
「イデェッ!?」
「ぐぅッ…!!?ぬおぁぁぁっ!?」
「常闇ッ、ダークシャドウッ!」
薙ぎ払いを弾き飛ばされ、それに引きずられるように常闇も後方に飛ばされる。
「僕の欲求はね、己の肉体を躍動させる力と力のぶつかり合いがしたいのだと………君になら、これも使っていいかな思ってね。」
何とか体勢を直すも、陣形の目前まで押し返されてしまった常闇は、まだかと吹出に視線を送る。しかし、帰ってきた文字による返答は、芳しくなかった。
「さぁ、ヒーロー。仲間を守り、僕との殴り合いをどれ程続けられるかな?」
「……すまん、凡戸…陣形を崩す。お前も前に出てくれ!」
「わかった〜!常闇君ほどじゃないけど、僕もパワーはあるからねぇ〜。」
不敵に、傲慢に、詠斗はガントレットを勇者達に向けた。
長くなりそうな場合小分けにしてみます。どっちが見やすいかアンケ出しますのでよろしくお願いします。
PS遅くなってごめんなさい。
1話の長さのちょうど良さ
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10000文字くらい!
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5000文字くらい
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もっと細かく!