フヘンの愛   作:イベリ

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トガヒミコ


ごーりてききょぎ

突如言い渡された除籍勧告に戦慄する1年A組。しかし担任の相澤はそれを当然というかの如く平然としている。

 

「では丁度いい。まずはボール投げからやっていく。青山から始めろ。」

 

ある生徒は、その壁を当然として受けいれ。

 

ある生徒は、その壁に胸を踊らせ。

 

そして、ある生徒は顔を青ざめさせた。

 

(まずい…このままだと僕は除籍確定…!!)

 

チラリと唯一とも言える友達二人を見ると、やけに落ち着いている。あの反応からすると、さっきの相澤が言っていたことは嘘。

 

(事情があって渡我さん以外居ない2年生…恐らくあの二人の反応の感じ、除籍にしたのは本当なんだ…!?)

 

だとすれば、心底不味い。

 

力を制御できないにしても、最下位は避けることは出来るかもしれない。しかし、以前の2年生全員が自分のように個性を制御できないわけが無い。

 

(…つまり、除籍は最下位に限らず他の要素も含めて素質がないとされれば、除籍させられる…!!でも…!)

 

逆を言えば、素質があれば最下位であったとしても除籍をされない可能性がある。

 

こういうテスト向けでない人達もいるわけだし、判断基準はそこだろう。

 

しかし、緑谷にはその素質を示す手立てがない。

 

現状詠斗が試験前に言ったように、1発芸で終わってしまう。それはヒーローとして終わっている。

 

どうすべきかと悩むも、緑谷は取り敢えずさっきの彼の言葉を反芻した。

 

「骨を満たし、肉を包み、更にその上から押さえこむ……エネルギーの操作、そして制御。僕に出来るのはオンとオフ、引き出したエネルギーの分配に、そして強化場所の指定……そうか、そうだ!それができるなら逢魔君と同じことが出来るはず…まずは強化位置の指定をより精密に内部をまで…ぶっつけ本番でやるしかないけど──────」

 

自分の番が来るまでに、ある程度を仕上げる。詠斗のエネルギー操作を肩代わりしてくれたあの日から、オンとオフを繰り返し、100パーセントならばいつでも引き出し、それを分割。両腕に集中させることはできるようになった。

 

つまり50パーセントの力を別々の場所で使えるようになっている。

 

であれば、それをより精密にできるようにするだけだ。

 

彼はずっとヒントを示してくれていた。自分なんかの成長を促す為に、答えを直接教えるのではなく、回りくどく、学べるように。

 

「ありがとう…逢魔君…!!」

 

拳を強く握った緑谷は、より精密な操作を少しの時間でものにする為に、エネルギー操作を始めた。

 

その様子を少し離れた位置から見ていた麗日お茶子は、被身子の隣でほへーと、間の抜けた声でつぶやいた。

 

「フルスロットルやね。」

 

「イズク君、あれ辞めた方がいいのです。オチャコちゃんは、試験の時にイズク君に助けられたんだったよね?」

 

「ヒミコちゃん!そう!あっ、あの時はありがとうね!私のせいで怪我したイズク君を治してくれて!凄いね!回復もできて、攻撃もあんなに!でもさっき、血を飲んだら変身できるって言ってたけど、さっきはいつ血を飲んだの?」

 

「私の個性は他に役に立たないんだけどね……それは、このピアス。エイト君が作った…んー、魔道具でいいのかな。これで唇を舐めると唾液がエイトくんの血に限りなく近いものに変換されるの。」

 

べっ、と出した舌先に通されたピアスを指して、軽く説明をすると、麗日は驚きながらもとてつもない人物がいるもんだなとあんぐりと口を開けてしまった。

 

「えぇ……逢魔君万能過ぎひん?なんでも出来るんやね…」

 

「絵がとっても下手くそです!終わったら描いてもらおう!」

 

「あ、え、そうなんや…勝手になんでも出来そうな印象あったんやけど……誰が見てもイケメンやし、表情もあんまし変わらへんから……でも親しみやすいんやね!」

 

「そうなんです!エイト君は優しくてカッコよくて親しみやすいのです!」

 

「おっ、おお!?ヒミコちゃん!もしかして逢魔とはそういう関係なの!?お似合いだと思ってたけど!」

 

「はい!ミナちゃんは見る目があります!」

 

「うっひょー!!キタキタ!」

 

「逢魔君の事大好きなんやね、ヒミコちゃん。」

 

「うん!」

 

ニパー!と笑顔を浮かべて大好き!と表現する彼女に、女子勢はホッコリしている。そんなこんなもあり、女子は女子でコミュニティを作っているらしい。

 

それに反して男子と言えば。被身子の舌ピアスを見て

 

「舌ピアス……いいよね。」

 

「それには大いに同意するけど、不躾に僕の物をそういう目で見るのは辞めて欲しいかな。知り合って早々のクラスメイトをぐちゃぐちゃにしたくはない。」

 

「お、お前物騒だな!?」

 

「モテたいなら性欲は隠すといいらしいよ、エロ葡萄」

 

「み・ね・た!峰田実だ!エロ葡萄じゃねぇ!!てかなんでお前オイラのことモテないって決めつけてんだよ!」

 

「幻想を見るより現実を見なよ。」

 

「ちっくしょうこのクソイケメン万能野郎!!」

 

「お褒めいただき光栄だね。」

 

血涙を流しながら詠斗を睨む峰田実を興味深げに眺めていると、ちょいちょいっ、と肩が叩かれる。

 

「なぁなぁ、ヒミコちゃん逢魔の彼女なん?なんだよ〜、可愛いから連絡先欲しかったのに!あ、俺上鳴電気!よろしくな!」

 

「よろしく、電気。君は慧眼だね、女を見る目は確かな様だ。大切にするといい。」

 

「お、おお…お前すげぇ真顔で惚気んのな……あっ、俺次だから行ってくるわ!」

 

「頑張ってくれ。」

 

次々と呼ばれる生徒達を眺めながら、詠斗は端で力の制御を行っている緑谷を見た。

 

(エネルギーのオンとオフは随分とスムーズになった。部位の指定ができるなら、後は骨格、筋肉にそのエネルギーを移すだけ…さて、ぶっつけ本番だけど……乗り越えてくれるかな。)

 

エネルギーの流れを見る限り、緊張はあるし拙い部分も多い。しかし、着実に成長しているのは見て取れる。

 

八木がしていた無駄だと思っていた行動も、こうして花開くというのは興味深かった。

 

いつだったか、被身子が花を育て、芽が出て、蕾をつけたことに一喜一憂していた事を思い出した。

 

「育てる楽しさ……なのかな、これが。」

 

内に湧くほんの、一滴程度の僅かな揺らめき。取り戻したと思っていても、それは極僅か。

 

儘ならない物だとは思うが、自分の個性による弊害は思いの他大きいのだと改めて実感する。

 

そうこう考えていると、緑谷の番が来た。スススッと相澤の隣まで移動し、耳打ちする。

 

「先生、止めないでくださいね。」

 

「……確信があるのか。」

 

受験の採点を行っていた相澤は、恐らく緑谷を見込みなしと判断するかもしれない。けれどそんなことは無い。彼の10ヶ月、そして彼の純粋な素質。きっと自分なんぞよりもヒーローに向いている。せっかく集中しているし、邪魔をして欲しくない。

 

「僕が見ている。これじゃ、理由になりませんか。」

 

折角できた無駄を楽しむ機会を、奪うな。

 

その視線を理解したのかしていないのか、相澤は溜息を吐き出した。

 

「………アイツがもし、自爆覚悟でぶっ壊したら、お前諸共除籍だ。」

 

「えっ!?」

 

「結構。そうはなりませんので。」

 

「逢魔君!?」

 

「と、言うわけで出久君。君の両肩に僕の高校生活もかかってるから。」

 

「重すぎるよ!?」

 

あまりにも軽く除籍を受け入れる詠斗に、緑谷は正気を疑う。しかし、詠斗は無表情のままに問いかける。

 

君はそれでいいのか、と。

 

「じゃあ、やらないのかい。出久君は出来ないからと、身体をぶっ壊して、除籍されて満足かな。」

 

「──────」

 

「あの10ヶ月は無駄だったのかな。君に教えた個性の使い方も、全て無駄にするかい。」

 

「………っ」

 

「君に期待をした僕は…あの人は間違っていたという事かな。」

 

グッと握ったボールが軋む。

 

悔しくてたまらなかった。彼の言葉がじゃない。彼にそんなことを言わせてしまった自分に憤った。

 

使い方も曖昧な力、出力の制御すらできない。

 

だが、彼は期待してくれていた。自分なんかに。

 

だから、だから──────

 

「───────行きます。」

 

信じて、期待して、手を貸してくれた人達に報いたい。

 

(電子レンジの卵……それは内側から振動によって発生する水蒸気に殻が耐えられないから………全くの間違いじゃない、イメージはこれでいい!)

 

100%の力を引き出し、それを体内で分割。右手と踏み切る脚に力を分配。

 

(引き出した力を外側にすぐに出すんじゃない!それじゃ外から加わる圧力に耐えられずにぐちゃぐちゃになる!逢魔君の言葉を思い出せ!)

 

骨を満たし、筋を強靭に、そして包む

 

徐々に分散した力が暴発仕掛けても、それを抑え込む。

 

(骨格強化…20%…!筋繊維強化…20%…!!外装強化…10%!!)

 

現状緑谷がリスクなし、かつ制御可能なエネルギー量のすりきり一杯。

 

「ワン・フォー・オール【ペネトレイト】10%…ッ……!!」

 

外装のみに力を集中させるのではなく、内部から力を浸透させて、バランスを保たせた、今の全力、本来の約10%の出力。しかし、緑谷出久にとっては大きな一歩。

 

詠斗の想定通り、彼が出せる力は現状限界10%。見ればわかる。彼のエネルギーの操作の拙さも、成し遂げた事も。

 

「正解だ、出久君。」

 

伝えたかったことは正確に伝わっていた。きっとこれが、彼のはじめの一歩。その1歩に立ち会えた事に、詠斗はほんの少しだけ口角を上げた。

 

その様子を見ていた被身子は、同じように詠斗を見て、嬉しそうに笑った。

 

(エイト君…口角が4°上がってる……笑ってる。楽しいんだね、イズク君と一緒にいるの。)

 

外で笑っているところなど、久しく見ていなかった被身子は、我が事のように嬉しかった。

 

まぁ、それはそれとして嫉妬した。

 

「私といる時は10°上がっています!」

 

「ど、どうしたんヒミコちゃん…?」

 

そんな被身子を他所に、緑谷は覚悟を決める。

 

「行きます…!!」

 

ふわりとボールを投げた緑谷は、落下してきたボールに狙いを定め、拳を振り抜く。

 

全ての感謝を込めて。

 

「SMAAAASHッ!!!!」

 

その咆哮と共に、ボールは勢いを持ったまま飛んで行った。

 

「おお!あの時のパワー!」

 

「イズク君すっごぉ……」

 

ピピッと、相澤の計測器に記録が届く。

 

「───────450メートル、動けるな?」

 

相澤の言葉に、グッと拳を握りしめ、精一杯笑ってみせる。

 

「はいっ!!」

 

「やったね。僕の高校生活も、これで安泰かな。」

 

「あはは……ありがとう、逢魔君。」

 

「なに、できるとわかっていた。まぁ、失敗してたら君は被身子に死ぬほど恨まれてただろうけど。」

 

「逢魔君!?」

 

ははは、と抑揚の無い笑い声の後に、1人緑谷に向かって飛び出す影が視界の端に映る。

 

「どーいう事だデクテメェッ!!ワケを言えェッ!!」

 

「うわあああッ!?」

 

金髪の、緑谷の幼馴染という男──────爆豪勝己が、鬼の形相で爆発でターボをかけながら突撃してきていた。

 

このままでは乱闘騒ぎになってしまう。

と、相澤がすかさず首に巻いていた特殊武装を解いた。

 

射出された捕縛布が意志を持つように操られ、爆豪を雁字搦めにして止める。そして、相澤自身の個性で、爆豪の個性を抹消する。

 

「がぁっ!?なん、個性が……使えねぇ…!?」

 

「折角詠斗君がニコニコで楽しそうにしてたのに、邪魔しないでください。」

 

((((ニコニコで楽しそう……?))))

 

基本的に誰と話している時も無表情のままの詠斗の表情の変化などわかるはずもなく、被身子の言葉に首を傾げたクラスメイト。

 

「お前の個性は今消した。」

 

「消した…!?」

 

その言葉に、緑谷だけが相澤の正体に気がついた。

 

見ただけで対象の個性を停止させる個性を持つ、ある意味現代社会において最強のヒーローの名を。

 

「消した…ゴーグル…まさか、抹消ヒーロー【イレイザーヘッド】!!?」

 

「余計な事をするな。俺はドライアイなんだよ……!!次、許可なく個性を使ったらお前から除籍にするぞ、爆豪。」

 

『個性凄いのに勿体ない…!!』

 

「……チィッ!!」

 

相澤言葉の後、すぐに拘束は解かれ、地面にそのまま落ちる。そんな爆豪に近づいて、詠斗が声をかける。

 

「ヤンチャも、過ぎればヴィランと変わらない。力の使い所はよく考える事だ。その力は、何のための力なのか。」

 

「…っ…!!!」

 

詠斗の言葉に激昂しかけながらも、生来のみみっちさで舌打ちをしながら退く。

 

彼にとっては、路傍の石だった幼馴染が、気がつけばダイヤモンドの原石のように見えてしまった事が、信じられなかった。

 

恨みがましく緑谷を睨みつけながら、爆豪の胸中は荒れていた。

 

(道端の……石ころだったろうがッ……!!)

 

トラブルもありつつ、誰も怪我なく、8種目が終了する。

 

「では、パパっと結果を発表する。」

 

ホログラムで表示された20人分の成績表。

 

「緑谷、緑谷っ……9位……!」

 

まさかの総合成績9位という好成績を叩き出した緑谷は、自分の成長を初めて実感した。しかし、その反対に最下位となった者の表情は絶望1色だった。

 

「20位……オイラ…オイラぁ…」

 

1番身長も低く、個性も身体能力に活かしにくい峰田は最下位となってしまった。

 

聞けば彼の個性、とてつもない性能をしているのだが、この試験は不利すぎた。

 

しかし、詠斗は確信していた。

 

「ちなみに、除籍はウソな。」

 

『……………ハァッ!!!?』

 

「君達の実力を最大限引き出すための合理的虚偽ね。」

 

『ハァ───────ッ!!?』

 

「ま、だよね。」

 

「逢魔お前知ってたんかその反応はよォ!?」

 

「ははは、そりゃね。よかったじゃないか。エロブドウ。」

 

「お前オイラの名前それで固定させるつもりかよ!?」

 

どうやら、今回のクラスは初日即除籍、とはならなかったようだ。

 

「とは言ったが、最下位組。上鳴、耳郎、葉隠、峰田。今日最高峰の実力を知り、どれだけ離れているかも理解したな。お前達、基礎能力もなきゃ出来ることも出来ん。というわけで、最下位組と希望者に限るが、渡我と逢魔に指導つけてもらえ。」

 

「えっ、私やるんですか!?」

 

「そうだ。不満か?」

 

「ふ、不満じゃないですけど、なんで!」

 

はぁ、とため息を吐き出した相澤は被身子にピッ、と指を指す。

 

「お前、どんなヒーローになるっつったか覚えてるか。」

 

「え?えっと、個性カウンセラーとか、指導とか…そういうことも出来るヒーロー…?」

 

「そうだな。つまり、それは教員にも結びつく。お前は実力は申し分ない。今すぐにプロになってもランキング入りできるポテンシャルがある。お前達2人とも、プロと遜色がない個性の扱いに、体術も正直タイマンでは俺もやりたくない。となると、お前に必要なのはなんだ?」

 

「指導力とか……あとは、他の個性に対する理解度…あっ!」

 

そしてはたと気がついた。誰かへの指導は、被身子の夢に直接繋がっていることに。

 

「気づいたか、やってくれるな。」

 

「は、はいっ!頑張ります!」

 

「逢魔は…」

 

「文句も何も。交友の幅も広がるし、僕のインスピレーションの元にもなる。希望する人がいるなら喜んで。体術でも個性の扱いでも。」

 

「良かったな、お前ら。ほとんどプロの指導が優先的に受けられるぞ。言っておく、今の渡我を育てたのは間違いなく逢魔だ。」

 

皆がゴクリと唾をのんで二人を見る。

 

「では解散。教室にカリキュラム等あるから、読んどけ。」

 

そうして去っていく相澤の背中を眺め、教室まで戻って集まってると、峰田はドっと溜まっていたものを吐き出す。

 

「オイラ本当に今日除籍されるのかと思ったぜ…」

 

「2年生がいないという情報を加味すると、それもあながち嘘ではなかったのかも知れませんわ…すみません、放課後の補講、私もよろしいですか、ヒミコさん。」

 

「おっ、モモちゃん!いい所つきますね!私は次の日に通学したらもうクラス1人もいませんでした!もちろん!頑張ろうね!」

 

「うげっ!?やっぱりマジなのかよ……とはいえ、これから補習かぁ…」

 

「ウチも、それはちょっと憂鬱かな。あっ、アタシは耳郎響香。宜しく、逢魔にヒミコちゃん。」

 

「よろしく。」

 

「よろしくねキョーカちゃん!早速!補習は何をしようか考えてたの!」

 

「ホント!?私も自力はあげなきゃって思っててさ〜!あっ、自己紹介まだだったね!私、葉隠透!」

 

「ケロ、私もいいかしら。蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。」

 

「うん!よろしくトオルちゃん!ツユちゃん!」

 

「逢魔だよな!俺、切島鋭児郎!お前、近接も強いんだろ!指導つけてくれよ!」

 

「俺も俺も!あ、俺は砂藤力道!」

 

「俺もいいかな!俺は、尾白猿夫。佇まいから只者じゃないとは思ってたけど…」

 

「俺も頼みたい。俺は障子目蔵だ。」

 

「俺も!瀬呂範太ね!」

 

「こ、口田甲司…!ぼ、僕も、い、いい、かな…?」

 

「もちろん、鋭児郎に、力道。猿夫に目蔵。範太に甲司。」

 

一人一人の名前を呼びながら、顔を記憶していく。そして、障子と口田を交互に見て、手を差し出した。

 

「目蔵に甲司、同じ異形型同士、仲良くやろう。」

 

『えっ、逢魔って異形型なの!?』

 

その驚愕に、そういえばと思い出したのか、詠斗は言ってなかったね、と続けた。

 

「いい機会だ。被身子の個性もお披露目された事だし、僕も言おうか。」

 

「A組トップ2の個性…見た目じゃわかんねぇけど、異形型なのか…気になるぜ! 」

 

「といっても、僕は個性だけなら没個性もいい所なんだ。」

 

「あ、あれで没個性とか言うなよ!?俺たちの立つ瀬がないじゃん!!」

 

「いやぁ、それを差し引いても個性だけなら君たちの性能の方が遥かに上だよ。」

 

詠斗は黒板にカツカツとチョークで、自分の個性の詳細を書いていく。

 

「僕の個性は【炉心】、特殊な心臓が無限のエネルギーを生み出し特性の操作や体外での操作がある程度可能というだけ。ただ、それだけ"しかない"個性なんだ。魔法もぜーんぶ副産物。」

 

どう、弱いでしょ。という詠斗の気持ちを、誰も理解することは出来なかった。




あ、ヒーローコスチュームどうしよう…
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