「あれ?前回のあとがきと言ってることが違うぞ?」と思った方。すいません。
大体デュエル内容の出来ている話に向けて書こうとしたら気がついたら某ナインボールがでしゃばりました。デュエル内容とデッキを即座に決めて新しく作りました。今回はあまり苦労しませんでした。
では、どうぞ今回もゆっくりご堪能ください。
……地面に倒れた妖精は、ぼんやりと今のデュエルを思い返す。
彼女は、何もできず、ただ一方的に攻撃されただけだった。
……圧倒的敗北。
彼女のデッキは全く歯が立たず、「決闘」にすらならなかった。
体は傷つけられ、意識も朦朧とする。
ああ、もうそのまま寝てしまおうか。そう思い始める。
でも、散らばったカードは誰でも拾うことが出来るだろうから、盗まれてしまうかもしれないと考える。
ふと、彼女のうっすらと開いていた目に、こちらへ歩いてくる男の姿が映る。
赤い帽子を目深に被った赤いジャケットの男は、傷ついた彼女の姿を見つけたのか走り寄ってくる。
彼女の意識は、その辺りで途切れてしまった。
その時考えていたのは、友達に貰ったカードだけは盗られないといいな、と言うことだった。
「……ちゃん、大ちゃん!」
聞きなれた友達の声で、私は目を覚ましました。
「……チルノ……ちゃん?」
話しかけて安心させようとしたけれども思っていたより声が出ませんでした。意識を失うくらいだから割とダメージがあったんでしょう。
「大ちゃん!よかったー!」
チルノちゃんは私が意識を取り戻したのに気がついて、思いっきり抱きついてきました。
勢いが強かったので、結構痛いです……。
「チ、チルノちゃん、痛いよ……。」
「意識が戻ったか、良かったな。」
チルノちゃんの後ろから現れた男は、意識を失う寸前に見た男の人でした。
「あ、この人がここまで連れてきてくれたんだよ!」
「そうだったんですか、ありがとうございます。私は大妖精です。貴方のお名前は?」
ふと気になって私が尋ねると
「ああ、俺は鹿野 遊太(かの ゆうた)だ。」
そして少し暗い顔になって
「……実は、気がついたらここにいたんだが、ここはどこなんだ?」
自分では見れないが、私はきっと何を言っているのか、といった顔をしていたんだと思います。
「え、ここは霧の湖の近くの私の家ですけど?」
そう答えると遊太さんは難しい顔をして、考え込んでしまいました。
「……やっぱり聞いたことないな。」
「もしかして遊太は外来人なんじゃないの?」
「そうだ、遊太さんはどこの方なんですか?」
「ええっと……俺はネオ童実野シティのシティの辺りかな。」
その言葉を聞いて私は確信しました。ネオ童実野シティなんて地名はこの幻想郷にはありません。よって私はこの人に説明することにしました。
「ここは幻想郷というところです。おそらく何かの原因でその場所からこちらに送られてきたんでしょう。」
それを聞くと遊太さんはしばらく呆然としたあと
「……まあ、よくあることか。」
そう、言いました。
「いや……よくはないと思いますけど……。」
自分の知らないところに突然飛ばされたというのに何故それを当然のように受け止めているのか私には全く理解出来ないです……。
「そういえばこれは君のデッキか?」
遊太さんが差し出した右手に持っていたのは地面に散らばっていた私の遊戯王カードでした。
「あ、これは!ありがとうございます!……それと、遊戯王はご存知なんですか?」
私が尋ねると、突然遊太さんはベッドに両手をついて楽しそうな顔になりました。
「当然だ!遊戯王は俺の人生だ!」
そこまで全力で言い切られると困るのですけれども。
「そーなんだ!じゃああたいとデュエルしよ!」
チルノちゃんがやる気になって自分のデッキを取り出しました。
「よし、いいだろう。」
遊太さんも乗り気で、背負っていたバッグの中をゴソゴソあさり始めました。
少し気になって体を起こして中を覗いてみた私は衝撃を受けました。
その中には大量のストレージボックス、デッキケースが入っていました。
……ですが、遊戯王以外のまともなものが入っていないと言う問題もあったんですけれども。
むしろよくこの装備で外からやってきて生きていたと思えます。
「……よし、今日はこいつにしよう。」
その中から取り出したのは金色の翼のあしらわれたデッキケースでした。
そしてその中身を慣れた手つきで左手に設置されたデュエルディスクに設置しました。
「あたいも準備できたよ!」
気がつくとチルノちゃんもデッキを自分のデュエルディスクに設置していました。
「そうか、それじゃ行くぞ。」
「「デュエル!」」
遊太 LP4000 チルノ LP4000
「先行はあたいよ!ドロー!」
チルノちゃんはカードを引き、そのカードを見ました。そして満面の笑みになりました。
「これはいいカードを引いたわ!あたいはモンスターをセット!カードを2枚セットして、ターンエンドよ!」
チルノ LP4000 モンスター 裏守備1 魔法罠2 手札3
「一体どれがいいカードなんだ……。まあ、ドロー。」
遊太さんは落ち着いてカードをドローしています。やはり慣れているようです。
「俺は手札からサイクロンを発動!その右側の伏せカードを破壊する!」
遊太さんが手に持っている魔法カードから、突風が巻き起こり、チルノちゃんの伏せカードを吹き飛ばしました。
「あぁ!私のグラヴィティ・バインドが!」
チルノちゃんがショックを受けている正面で、遊太さんはじっとチルノちゃんを見ています。何か気になることでもあるのでしょうか。
「俺は光の護封剣を発動!お前のフィールドのモンスターを全て表側表示にする!このカードは相手のターンで数えて3ターンのあいだフィールドに残る。このカードがフィールドに残る限り攻撃できない!」
手札からフィールドに置かれたカードから3本の剣が現れました。
そして、チルノちゃんの伏せられたモンスターが表側になります。
「あたいのモンスターは氷結界の御庭番だよ!」
表側になったことでフィールドに2本の刀を持った青い服の戦士が現れました。
「ふふん!護封剣はメイン2に発動するといいんだよ!あたい知ってる!」
「おーえらいえらい、俺は霞の谷のファルコンを召喚!」
遊太さんはチルノちゃんを適当に褒めて、モンスターを召喚します。フィールドに剣と盾を持った翼のある戦士が現れました。
「バトル!霞の谷のファルコンの効果によって、光の護封剣を手札に戻し、氷結界の御庭番に攻撃!」
霞の谷のファルコン A2000 氷結界の御庭番 D1600
「ぐぅ……あたいのモンスターが……。」
「グラヴィティバインドから何かしらのロックデッキ、そして見た目が氷っぽいから氷結界とは読めた。だから一応護封剣で確認して、再び手札に戻す。まあ【セルフ・バウンス】なら割と見る戦法だな。」
相手を見ただけで既にデッキを把握するなんていくらなんでも慣れすぎていると思います。
「それじゃ、光の護封剣発動、そしてカードを2枚セットして、ターンエンド。」
遊太 LP4000 モンスター 霞の谷のファルコン(A2000) 魔法罠2 光の護封剣 手札1
「よし!あたいのターン!ドロー!相手フィールドのカードがあたいより4枚以上多いじから、氷結界の交霊師を特殊召喚するわ!」
チルノちゃんのフィールドに長い髪をした女性が現れました。
「このモンスターがフィールドにいる限り、1ターンに1度しか相手は魔法罠を発動できないよ!」
「あーそれは予想通りだ、そいつを対象にしてセットカード発動!デモンズ・チェーン!そのモンスターは攻撃できず、効果は無効だ!」
今のモンスターに鎖が巻き付き、動きを止めます。
「うえぇ!?うーん、それじゃ氷結界の軍師を召喚してターンエンドよ!これで護封剣は1ターン目ね!」
チルノ LP4000 モンスター 氷結界の交霊師(A2200) 氷結界の軍師(A1600) 魔法罠1 手札2
「俺のターン、ドロー。……。」
遊太さんはカードをドローして固まりました。
「ふふん、どうやら何も出来なくて困ってるみたいね!」
チルノちゃんは余裕そうですが、私は見てしまいました。
彼が口角を上げて、にやりと笑ったのを。
「……俺は手札から、インフルーエンス・ドラゴンを召喚!」
フィールドに金属質な青い色の竜が現れます。
「霞の谷のファルコンにインフルーエンス・ドラゴンをチューニング!」
「お!シンクロだ!」
チルノちゃんはワクワクしてますけど、正直そんな場合じゃないと思います。
「霞に住まいし雷神よ、今こそ我に力を授けよ!」
竜の体が消え、代わりに現れた3つの緑の輪が、鳥獣の戦士を囲み、その中心にまばゆい光が生まれます。
「シンクロ召喚!現れろ、霞の谷の雷神鬼!」
中から現れたのは翼のついた巨大な鬼でした。その鬼は現れると同時に大きな声で吠えます。
「そして、手札からビックバン・シュートをチルノの氷結界の交霊師に装備!」
「え?なんであたいのモンスターに?攻撃力が上がったし貫通効果もついたよ?」
「ビックバン・シュートにはもう一つ効果がある。このカードがフィールドから離れたら、装備してたモンスターは除外される!俺は雷神鬼の効果発動!フィールドのカード1枚を手札に戻し、攻撃力を500アップする!もちろん戻すのはビックバン・シュート!」
鬼の巻き起こした風によって、装備カードが手札に戻り、チルノちゃんのフィールドの交霊師は除外されました。
「ああ!交霊師が!」
「さて……手札に戻ったビックバン・シュートを氷結界の軍師に装備!ここで伏せられたリビングデッドの呼び声を発動!インフルーエンス・ドラゴンを蘇生!インフルーエンス・ドラゴンの効果発動!雷神鬼をドラゴン族にする!そして、雷神鬼にインフルーエンス・ドラゴンをチューニング!三の牙を持つ竜よ、その炎で敵を焼き尽くせ!シンクロ召喚!出でよ、トライデント・ドラギオン!」
現れたのは頭が三つある巨大な真っ赤な竜で、チルノちゃんがとても小さく見えます。
チルノちゃんも呆然としていてもうこれは駄目そうです。きっとあの様子じゃ伏せてあるカードはブラフなんでしょう。
「こいつの効果!自分フィールドのカードを2枚まで破壊できる。そしてその数だけ追加攻撃出来る!俺はビックバン・シュートとリビングデッドの呼び声を破壊!そしてビッグバン・シュートの効果により氷結界の軍師も除外だ!そしてバトル!食らえ、トライデント・ドラギオンで三連打!」
赤い竜のそれぞれの口から、物凄い熱量の炎が吐かれ、チルノちゃんを襲いました。
トライデント・ドラギオン(A3000)×3 チルノ LP4000-9000=-5000
「い、いやぁぁぁぁぁぁ!」
チルノちゃんは炎に包まれて、LPをあっという間に失いました。
……え?炎に包まれて?
「わぁぁぁ!遊太さん!チルノちゃん溶けちゃう!」
「え、あれ?実際のダメージになってる!?」
遊太さんはびっくりしてましたが、すぐにデュエルディスクを止めました。
炎は消えて、そこにいたチルノちゃんは若干溶けかかっていました。
「……たいも……。」
「え?チルノちゃんなんて?」
チルノちゃんが何か言ったので、私が聞き返すとチルノちゃんは勢い良く起き上がりました。
「あたいもせるふばうんすする!」
「チルノちゃん……強かったのはわかったけどすぐ影響されるとデッキ内容が……。」
「いや、氷結界ならそうでもない。こいつを使えばすぐ出来る。」
そう言って遊太さんは一枚のカードを取り出しました。あれだけのカードの中からいったいどうやって望んだカードを取り出したというんでしょうか。
「氷結界の虎王ドゥローレン?……おお!氷結界だ!」
チルノちゃんはモンスターを見るなり顔を綻ばせました。まさか自分の使っている氷結界だなんて思っていなかったのでしょう。
「ただ、セルフバウンスをするならそれなりにいじらないと伝道師を利用したリビングデッドの使い回しとかロックカード手札に戻して自分は攻撃出来るとかくらいの利点しかないな。」
それって充分な利点だと思うんですけれども……。
「それじゃ、それとあたいの持ってるこのカードを……。」
交換を持ちかけようとしたチルノちゃんを制して遊太さんはドゥローレンを渡しました。
「大抵のカードは持ってるからいいよ。そもそもこいつは余ってる。」
ドゥローレンはそれなりにレアなカードだと思いますが、遊太さんにとっては対したことのないカードのようです。
ドゥローレンがチルノちゃんの手に渡り、チルノちゃんが大変喜んでいるところで遊太さんは私の方に向き直りました。
「……で、忘れてたけど大妖精、お前なんであんなところに倒れてたんだ?」
「なんでここまで連れてきておいて倒れてたことを忘れてるんですか!」
「い、いやぁ……聞こうと思ってたんだけど新しいインフェルニティループを考えてたらすっかり忘れちゃって……。」
「私のことはインフェルニティのループよりどうでもいいんですか!」
ここまで遊太さんをすごい人だと思っていましたが、今まで積み上げていたところに川が流れるくらいの勢いで吹き飛びました。この人完全にダメな人です。
怒ってても仕方ないので、私は深い溜息をして落ち着く。
「……えぇっと……。」
私はゆっくりと少し前のことを思い出し始めた。
(続く)
……ええ。【ファルコンビート】をお使いの方ならわかると思いますが。
インフルーエンス・ドラゴンってなんだよ、と思うかと思います。
実はトラドラで止めまで決めてガリガリ書き終えて、ふう、と一息ついたらですね。
トラドラ「素材が間違っておるぞ。儂はドラゴン族素材じゃ。」
と、いうことで急遽ブラックスピアさんから変えました。
ブラックスピアからのファルコン蘇生は強力ですから必須カード、そしてドラグニティと言ったらトラドラという安直な考えでしたすみません。
それと、大妖精主観で進めるにあたり、口調を変えたので、読みにくくなったり誤字脱字直し損ねが大量発生している可能性があります。ごめんなさい。
とりあえず、主人公はこんな感じの割とデュエル脳の某カードゲームも出来るギャルゲーの人です。基本的にデッキは私がTFで作って使ったことのあるデッキの中で、お気に入りのものです。【ファルコンビート】は主にshow me your moves!の人のせいです。つい霞の谷のファルコンの攻撃の時にファルコォォォォン!パァァァァンチ!と叫んでしまうのは仕様です。
私は保存したデッキ数は80くらいの、デュエル番付大体クリアくらいの微妙な廃人度です。
しかし禁止制限が変えられないので、紫炎の狼煙が3積み出来たり、メンマスカームが出来たり、インフェのトリシュループが出来たりします。よろしくないです。
ただ、ハリケーンが止められなさすぎて怖いです。対破壊カードを伏せていた状態で進化の繭をハリケーンされた時の絶望はすごかったです。
さて、余談はこれくらいにして、次回はもしかしたらデュエルまでたどり着かない可能性があります。話中心となるかもしれません。
それでは、次回もどうぞよろしくお願いします。