インフィニット・ストラトス+3-1   作:月神サチ

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第十三話 クラス代表対抗戦(の後始末)

――side 天上院のか夫

 

気が付いたら、見知らぬ天井だった。

 

「……?」

 

僕は男女の織斑と鳳に道理を説いてあげていたはずなのに、何が起きた???

 

起き上がると点滴がつけられていた。

 

もう起きたし引き抜いて問題ないだろうと引き抜く。

 

うっ、痛い……。

 

起き上がり、周りを見回す。

 

個室のようだ。ベッドが自分の部屋のモノより数段劣るのは不満だが、大部屋みたいなところじゃないだけマシだろうか。

 

起き上がるとーー

 

「あれ? 打鉄がない? どっかに落としたかな?」

 

ブレスレットになってる待機形態の打鉄もない。

 

弱ったな。あとで返却しておいて知らん顔しておこうと思ったのに。

 

ドアを開けてさっさとこんな病的に白い場所からおさらばしようとしたらーー。

 

「目が覚めたようだな」

 

ドアが開いてブリュンヒルデがそこにいた。

 

ーー背後に肩で息してる先生とか医者や看護師がいる。

 

んーーたぶん記憶がないけど、アリーナの天井が剥がれ落ちたとかで僕が庇って怪我からの今に至るとかに違いないし、お礼を言ってあげましょうかね。

 

「おやおや、名誉の負傷をした僕のお出迎えご苦労様ーー」

 

「ーー名誉? アリーナの観客席に頭ぶつけて気絶してるところを教員が見つけたんだがどこが名誉とでもいうのだ?」

 

は?

 

は?

 

 

は?????

 

「アリーナの観客席で気絶? 何を言ってるのかわかりませんね。織斑さんや鳳さんから聞いてないので? 僕が華麗にアリーナを襲った敵のISを撃破したこと!」

 

「何を言っている? 織斑と鳳が苦戦していた無人のISモドキは騒ぎを聞きつけて寮からアリーナにすっ飛んで道中の無人機をガン無視した氷室が全部倒したぞ?」

 

は?

 

は?

 

 

は?????

 

 

「――それは事実なんですか? 氷室の奴がお二人を脅してだましているとかは」

 

「それはないと思うぞ」

 

「そんな、あんな獣畜生、二人を脅しているに決まってーー『天上院』」

 

織斑千冬の顔を見るとーーそれは修羅というにふさわしいソレが背後に見えていた。

 

「ーー理由もなくクラスメイトを侮辱するのが貴様の家のやり方か? 少なくとも歴代の天上院家はそんなことしてなかったと思うがなーー」

 

天上院の家名を出せば黙ると思われてるだろうがそうはいかない。

 

「そんなわけない! 僕の使った打鉄のログに残ってるはずだ!」

 

「使った打鉄? 妙だな。打鉄の訓練用のモノも教員が使う非常用も貸し出しなどされてないはずだが」

 

「…………????」

 

どういうことだ? 訳が分からない。ーーあ、でも!

 

「オレの専用機! こいつのログになら真実が残ってるはず!これを解析して下さい!」

 

「……そういうなら預かるがーー何も得られなくとも文句言うなよ?」

 

僕の言葉を疑うなんて、事実だと明らかになったら土下座させて頭踏みつけてやる。

 

しぶしぶ専用機(なぜか僕が使えない欠陥品)を預ける。

 

「それからここは都内の大病院の一室だ。良かったな、VIP専用の病室だそ」

 

「――? 僕は特別なんだしこのくらいの待遇当然では?」

 

太陽は東から上ってきてると言われても、頷くしかできないと思うんだけど……何が言いたいんだろう。

 

他の教師も医者とかも困惑してるし。

 

「そうか。――あと一つ伝えておこう。貴様の素行について、上は監視をつけるべきではないかと言っている。あまり変なことはしないことだな」

 

「なっ!?」

 

僕が素行不良みたいな認識になってる!?

 

教師陣の頭はどうなってるんだ!?

 

第三者のいるところで僕の悪評流すなんて!

 

「どちらにせよ、あと数日は安静にしておけ。睡眠中に何度か脳波の異常が見られたと言うしな」

 

そう言うと織斑先生は他の学園教師と共に去っていく。

 

――何においても氷室、氷室、氷室……どうしてあんな獣畜生が僕を差し置いて優遇され、重んじられているのかわからない。

 

ヤツは――もしかして転生者で、女に対する絶対的洗脳能力を持ってるんじゃ……?

 

そうに違いない!

 

ヤツをいち早く抹殺し、僕という主人公がこのIS世界に燦然と輝く希望に、全てを遍く照らす絶対正義として君臨しなきゃ……!

 

そのためにも黒い蠍の彼らに有益な情報を渡していかないとな――。

 

 

 

 

 

――???

 

薄暗い地下室にて

 

日本で言う『還暦』を過ぎている老人たちが過半を占める円卓に座っている。

 

「オズボーン、データは取れたかね?」

 

片目を戦場で失った、眼帯の男が問いかけてきた。

 

「ああ、セオドール。我々の開発した『モドキ』は搭乗者の最終防衛ラインである『絶対防御』の再現以外は概ね同等のモノが完成しているとカタログスペック、実データ共にほぼ裏取りができた」

 

「篠ノ之博士やはりすごいね。でもソレを含め、ISを彼女は本来の目的のために使えてない、嘆かわしい限りね」

 

「しゃーない、ISが女しか――4人ほど例外いるけど――基本使えない。それにこの青い星の資源は無限だと思い込んでいるモノがほとんど。ぶっちゃけコジマ粒子作ったりクレイドル作ったほうが我々の目的達成に手っ取り早い気がするよ」

 

「それではこの星が汚染されてしまうだろうがアンポンタンめ!そんなことしようものならオレが先に貴様を叩き切ってやる!」

 

利害の一致がなければ敵同士でもおかしくない連中を取りまとめるのは苦労する。

 

おかげで私の髪はすっかり白髪に……いや、40年近くの組織なのだから妥当か……。

 

「それより『コロニー建造』についてと『巨大兵器』の建造については?」

 

思考を切り替えた私の言葉に一人の男が口を開く。

 

「前者は貴様のインテリオル、セオドールのトーラス、私のところのラインアークのISを使って建造してるよ。表向きは多国籍民営の宇宙ステーション建造としてね」

 

「後者はドイツのいくつかの企業にロシアのペーパーカンパニーと提携させ、ロシア国内にて各パーツを製造している」

 

「む? 有澤重工はどうした」

 

私の問いかけに報告してくれる同志が歯切れの悪い様子で告げた。

 

「前から専用機の開発が忙しいと言ってた上、先日再度打診したら『わが社の最高傑作を2門も3人目殿がお買い上げしてくれたのでそっちはあと!』とのことだ」

 

「「「「「……弾薬費とコストが列車砲といい勝負してるロマンしかないあのOIGAMIを???」」」」」

 

「オレだって聞き直したけど復唱されたからそう答えるしかねぇんだわ」

 

「あそこがダメなら他を当たるしか無いな……。そちらは私が引き継ごう。あとは一つ議題について確認したら今回の定例会は終わりとする」

 

私は周りを見渡すと、全員が頷く。

 

「最後の議題は――IS学園の表の内通者の扱いだ」

 

「オレは切りたい。正直今回の襲撃はデータ取り目的だったから良かったが……情報が傍受されてるリスク考えたら今のうちに尻尾切りしておきたい」

 

「だねぇ。」

 

「向こうが勝手に情報を流してくれる分には聞いておけば良いんじゃないか?」

 

「それに加えて多少ブラフを噛ませた情報を流してどの情報を掴むか調べるのが良いと思うがな」

 

「個人的に我々を見下してるので爆殺したいくらいですがな」

 

「いやいや、切るのはいかんヨ。アレの遺伝データがISの生体認証パスしてるのは確かなのだからネ。せめて子供を作らせてソレの遺伝データでも動くか確認しないとネ」

 

「ならば多数決だ。現状維持、手を切る、更に支援する……情報の受け取りだけは2番目とする。まずは現状維持だ」

 

ほとんどが手を挙げた。

 

「残りを聞くまでもないな。では現状維持の方針で行くとしよう。。向こうが勝手に流してくる情報を見つつ、必要ならブラフ入りの情報を与えてやるとしよう」

 

「「「了」」」

 

「あと亡国企業案件はセオドールに回せ。セオドールの決定で損害が出たなら私とセオドールから補填を回す。以上だ。――総ては青き星のために」

 

「「「青き星のために」」」

 

 

 

 

 

――Side 氷室直哉

 

「――それじゃ、今回の襲撃事件について、独自に情報まとめたいと思います。司会進行は何故かオレ。参加者は担任の千冬先生に副担任の山田先生。それと各所で戦闘した1年の専用機持ちのオレ、一夏、セシリアに鈴と生徒会長の強権で楯無、あとはISの第一人者の束でお送りします」

 

わ〜と拍手してくれたのは束だけである。

 

ちなみに天上院は病院(さっき千冬さんが戻ってきたところ。なんか専用機回収してくれた、ナイス)で、路藤原はまだ有澤重工からフレームが届いてないから戦闘に不参加である。

 

「――とりあえず、簪ちゃんから引き離され、新しい主に対しボイコットしてるこの子から、ことのあらまし見てもらいましょうか。束、よろしく」

 

「オッケー」

 

束がプロジェクターに端末と待機モードのISを置く機械を取り出して接続する。

 

そしてそこには誰かと会話するいかにも怪しい様子から、一夏たちに吐き気を催す邪悪な行いをしようとしてたところまでが映される。

 

「……アイツ今から殺して来るか」

 

「機持ちはわかるよちーちゃん! でもコレを使えばなおくんの仇で各国を悩ましている二大テロリストの片割れ『黒い蠍』を一網打尽にできるかもしれないんだから!」

 

と千冬先生の腰にしがみついて踏みとどませる束。

 

「……むむむ」

 

「千冬姉、どうどう」

 

「気持ちは十分分かりますから……」

 

一夏と楯無の言葉で席に戻る。

 

「――なので今回の事はもみ消し、次の行動で一網打尽にしたいと思います」

 

「まあ、コレ公表したら中国(ウチ)と日本の外交問題とか、性別云々を声高に叫んでる国と日本が外交問題になりかねないし、仕方ないと思うわ」

 

頬杖付く鈴が頷く。

 

「あと、監視として更識の部下の1人で1年の他クラスのコを彼に宛がうらしいが……本当にいいのか?」

 

「寧ろ搾り取って干乾びさせてくれると思うから、問題無いかなって……玉の輿にもなるし、ある意味ウチの問題児だから……」

 

「なら良いんだが……」

 

オレはそうつぶやいたあと

 

「纏めとして今回の襲撃事件、アリーナでの出来事はもみ消し、天上院にはこのISでの監視と更識の部下で他クラスの娘をあてがうことで監視とする。あとは各自不審な行動についてオレに専用回線で報告する……でいいかな?」

 

オレの纏め兼確認で頷く。

 

コレで一段落……かな。

 

フランスで恋人面してたシャルロットとも、ドイツで都合のいい女でいいから別れたくないと泣きついてきたクラリッサとも関係(いや、どっちも気がついたら彼女自称して周知されてるというホラー現象だったのだが)を何とか終わらせることができたし、あとは場を整えて一夏に返事をしないとな……。

 

 




穏やかな日常が戻ってきた頃、転校生がやってきた。

その顔を見た瞬間、お互いに不穏な空気になる転校生ズと直哉。

決着つけたはずの因縁、まだ相手からしたら終わってないみたいですが……?


次回 インフィニット・ストラトス+3-1
第十四話『仏独からの使者/直哉、現場猫かもしれない』
※予告内容は変更される場合もあります。
次回もお楽しみに!
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