――Side 氷室直哉
黒兎隊を引き抜いてもうすぐフランスにあと1時間で到着しようとした頃
「……おん?」
メールの着信通知がきたので確認すると
【コレISと言うにはゴツくなぁい?】という路藤原からのメールと
【月輪完成と死屍累々】という簪ちゃんからのメール、
そして【ドイツでの活動について】という日本政府からのメールが来ていた。
「どうしたの?」
しれっとオレの頭に胸乗っけながら聞いてくる一夏。
「3件ほどメールきてて、1つが路藤原、1つは簪ちゃんから。あと一つがたぶん日本政府からの抗議と一枚噛ませろっていう利権狙いのメール」
「なるほど?」
「……このままフランスに亡命したらどう?」
「いや、フランスは……オランダがわりかし近いから勘弁」
シャルの提案にオレは反射的に返す。
「? 何かオランダに地雷があるのか?」
今回の一件でオレにある程度心許したのか、壁がほぼ無くなったラウラが問いかけてきた。
「……クラリッサと似たような……ね?」
「なるほど、女絡みですね。もしやこっ酷く振ったのでしょうか……?」
クラリッサの言葉にあー、とクラリッサと仲直り?後の女子トークで出会いから今に至るまでかいつまんだあらまし聞いてた女性陣がなんか納得していた。
解せぬ()
「いや? 女好きな女子高の王子様みたいな娘……仮称『王子様』がな、『王子様のたくさんいる彼女の一人』を人質取られて良いように嬲られてたから、横から失礼して人質救出と犯人撃破をしたらなんか惚れられだ。んで、厄介事の予感しかしなかったので偽名だけ告げてその場別れたんだけど、その後からフランスやスペインにその『王子様』やその彼女連中が出没するようになってな……。前者は距離詰めてくるし、後者は『王子様』誑かした悪い魔法使いみたいな扱いで殺しに来るから……ちょっとねぇ……」
「……その時直哉変装とかしてたの?」
どうした一夏急に。
「いや?」
「……世界で4人……今3人だけど……。それだけしか居ないIS男性操縦者について、連日ニュースになったし、顔も名前も公表されてるんだからIS学園に居るって判明してるでしょ? ならIS学園ある日本に足を伸ばしてもおかしくないんじゃ……?」
それは……ありえなくもない……のか……?
「可能性が否定できない……」
アカン。
「よし、この話はおしまい! ってことでメールチェックだ! あとセシリアは胃痛案件あるので今のうちに飲み慣れた胃薬用意しておくように」
「!?」
オレはメールに目を通し始め、路藤原には高機動重装甲兵器はロマンだし、タックルの威力高いだろとか返信し、簪には刀奈(楯無の本名。楯無は襲名制らしい。芸能の人かな?)に試運転手伝ってもらうよう返しておく。
日本政府のメール内容は『黒兎隊の日本国籍取得の手続き完了したので指定の役所に受け取りに来るよう』という一方的通知。イラッとしたので自由国籍と現在作成予定なし、これ以上の不必要な干渉をするなら自分の国籍の正式移動を考えると返信しておく。
あーもう、胃が痛い……!
さっさとフランス案件終わらせて安全地帯に逃げておかなきゃ(使命感)
「相当参ってるねアレ……っと、父さんに連絡しておこうっと」
「おそらくフランスはそのオランダの娘がいたから足が遠のき気味になって、ドイツはクラリッサや我々がいたから結果的に欧州にいる時間が減った……?」
「それはソレとしてイギリスでの胃痛案件って何ですの? 私の胃も破壊されそうなので今のうちに聞いておきたいのですが……」
オレは無線取り出す。
「束さんや、セシリアを操縦室の手前にある給湯室に送るから今のうちに情報共有よろ」
『オッケー』
「ということで逝ってこい」
「なんか不穏な当て字で行って来いとおっしゃりませんでした???」
そう言いつつセシリアは操縦室手前の部屋に入っていく。
着陸の少し前に悲鳴が上がったが、是非もないよね!(現実から目そらし)
――Side シャルロット
久しぶりのフランスは、ボクの記憶と何ら変わりない。
空港からオープンカーで目的地へと進んでいる。
チャラ男風の変装のため直哉は金髪のウィッグとサングラスを掛けてラフな服装という変装中。
束さん(本人から『もうすぐ身内になるしそう呼んでヨシ』と言われた)は何故かアリス風エプロンドレスwithうさみみの格好ではなく、何故かポニーテールに黒服、サングラスにインカムつけてるさながらSP見たいな格好をして、運転している。
ボクは直哉の隣でに座っており、時折黒服束さんからの目線を感じる……いや提案してきたの束さんですよね???
ちなみにボクはチャラ男に良いように弄ばれてる女というコンセプトでカットソー+ホットパンツに小洒落たサンダルという露出過多なコーデになってる。
ちなみに黒髪のウィッグしてるから、顔見慣れてないとボクだって分からないだろうな……。
それはそれとしてこの痴女スタイルのボクを父さんが見たら卒倒しないかな……?
そんなことを思いながら、本社に到着。
束さんが車停めてる間にボクたちは本社のエントランスホールへ。
受付の人が場違いなチャラいカップルに思わず二度見してる……なんか、その、ごめんね???
暫くエントランスホールを観て回り、束さんが合流したら受付へ。
「すまない、社長さんに会いに来た」
「へ? アポイントとかはありませんよね?」
宇宙猫顔しても直ぐに立ち直る辺り、うちの会社ちゃんと適材適所出来てるんだなぁと受付さんを見て感心する。
「ああ、弾丸的訪問ですまないな」
あ、アイコンタクトされた。
そして直哉がカツラとサングラスを外す
「――男性操縦者の1人、氷室直哉と」
「ISの生みの親、天災博士こと篠ノ之束だよー」
くるりと一回転と共にいつもの服装に戻る束さん。
「あと、デュノア社長の娘のシャルロットでーす。お父さんに取り次ぎお願いできるかな?シャルロットが来たって言えばわかると思うから」
そしてボクがカツラとサングラス外して名乗ると、受付さんがカートゥーンのキャラみたいにアゴ外れた顔をする。
「……はっ! 申し訳ありません。今直ぐ社長に取り次ぎます!」
受付さんの言葉放置で二人共悪戯成功したと喜んでる……。
ボクはお願いしますと頭を下げる。
……あれ? もしかしてボク暴走列車2両を制御しなきゃダメなヤツ?
――Side アルベール・デュノア
私の可愛い娘から、今日は本社にいて欲しいと言われたので社長室で執務片付け、食事をとり、それでも暇なので部屋の資料を整理したりしてると――受付からシャルロットとMr.氷室、そして篠ノ之博士が来たとの連絡が来た。
「シャルロットは兎も角、男性操縦者の氷室直哉に彼の2番目の妻とも噂されるISの第一人者が何故唐突に訪問してきたのかしら……」
普段は自他企業の婦人と共にお茶をしてることの多いロゼンダが珍しく会社に居て受付からの連絡に間髪入れずやってきたのが妙でならなかったが――それは後で良いか……。
「さてな……ドイツで黒兎隊が篠ノ之博士の要請でドイツ軍から『出向』という形でIS第二世代コアの試験運用に携わると先ほどニュースで見たから、ソレに関連してるかもしれないかな。……我が社にメリットがあればなお良いのだけれどね」
「ええ、『私の可愛いシャルロット』が篠ノ之博士にひどいことされていなければいいのだけれど……」
今の言葉に違和感しか無かった。
「――ロゼ、1つ聞きたいことが――」
私がそう言い終わる前に、社長室のドアが開く。
そしてそこには氷室直哉と篠ノ之束、そして私の娘のシャルが居た。
執務机から立ち上がりら声をかけようとした瞬間――
「――動かないでください。この人の頭が弾け飛ぶところが見たいなら止めませんが」
自分のこめかみの横で、撃鉄が引かれる音がした。
目を丸くする3人の姿が見える。
目線を横に向けると、私に拳銃を突き付けるロゼンダ……いや、【ロゼンダに変装した誰か】がいた。
「……ごめんなさいね、シャルロットさん。貴女には恨みないのだけれど――イレギュラーを殺すための尊い犠牲になってくださいな」
その言葉と共に、何処からともなく十数人のフルフェイスの武装した女性たちが現れる。
「……何のつもりだ」
「――ただ、目を覚ましただけですよ。女無くして立ち行かぬこの世界は女性に支配されるべきだと」
やはり背格好も化粧もロゼンダそっくりだが……声が違う……。
コレでよしんば助かったとしても、ロゼンダに篠ノ之博士の矛先が向きかねない……!
「……だからMr.氷室を殺すと言うのか? 篠ノ之博士を敵に回すことになるぞ……!」
「男など石を投げれば当たるほどあふれてます。そんな野蛮な男でなく、もっと優れた種の男の方がお似合いですよ」
「……」
篠ノ之束博士の顔が(・∀・)から微動だにしてないんだが、怒りがメーターを振り切っているからではないだろうか。
「さて、ココで自殺してくださる? その方が私たちが汚らわしい獣の返り血を浴びる可能性が減るので。ああ、日本のハラキリとやらで苦しんで死ぬなら全然構いませんよ?」
ロゼンダに変装してる犯人がくつくつ嗤うと周りの女兵士たちも嗤いだす。
「……! ……!」
シャル、とても人とは思えない修羅の顔してるぞシャル!
氷室に惚れ込んでる云々聞いていたがそこまでだったのか!
「嫌なら嫌で構いません。このフロアのあちこちに先月廃棄されたばかりの核燃料を使ったダーティボムがありますので、数人の誰かが持つスイッチで爆死してもらうだけのこと」
「ヤダ……オレ、恨み買い過ぎ……」
すごい余裕そうだね??
「その時は爆弾の1つの真上に座ってるこの人がいの一番に死にますし、貴方がダーティボム持ち込んだとして、速報流せるよう準備してありますのでご安心を」
えっ、嘘、私の椅子の下に爆弾貼り付けられてたの!?
「もし物理的に生きてたら社会的に殺してやると二重の殺害宣言とはたまげたなぁ」
「――良い加減、自殺か爆死、好きな方選んで――」
犯人がそう言いかけた時
派手に私の後ろのガラスが吹き飛び
「あ」「あっ」「「ああっ」」
なんか気の抜けた声がしたかと思ったら――爆発音と共に私は意識を失った――。
目を覚ましたアルベール。
病院にて娘とMr.氷室、篠ノ之束から事の顛末を聞き、
頭を抱え、何処かに囚われていたらしい妻を助けてくれた氷室に感謝する。
それと同時に娘が彼の嫁になると宣言し、父親として複雑な心境になる。
娘が思ったより早く巣立つらしいと思いつつ、孫ができたら顔見せに来てほしいなと思ったあと、束からとんでもない提案等をされて情緒が破壊されることになる……
次回 インフィニット・ストラトス+3-1
第十九話『デュノア社本社爆発事件(後編)』
※予告内容は変更される場合もあります。
次回もお楽しみに!