ではどうぞ
第二十三話 主人とメイドと約束された勝利の剣(後始末と帰国と)
――Side 氷室直哉
「目を覚ましたら国籍を失い、眠る前には存在しなかった世界で5人といない男性操縦者様の庇護下にあるなんて……想像の斜め上をすっ飛んで行きましたね……」
プライベートジェットに急造した医務室にて頭を抱えているのはチェルシーの妹、エクシア・カリバーンもとい、エクシア・ブランケット(16)である。
ちなみにチェルシーはエクシアの膝下で滂沱の涙を流している。
「ちなみに心臓病始め体の病気は8割治療されてたからなおくんが残りをキレイに治したって。なお君の色に染められてる……羨ましいなぁ」
「おめー病気や怪我ほぼしない生体サイボーグみたいな肉体してるくせになにいっとるんだか……」
束の後半の言葉にツッコミ入れつつ咳払い。
「つーわけでオレのところでセシリアとチェルシーと共に面倒見るからよろしく」
「私も直哉さんのメイドとして働かせてもらいますわね」
慎ましく暮らせば数代は余裕で生活できる金を持ちながらも、セシリアは働くつもり満々らしい。
「私、チェルシー・ブランケットもとい、チェルシー・エヴァーガーデン。咎人として日の下を歩けぬ身からこうして贖罪することを赦され、妹、そして妹分と共に生きることを叶えてくださりました旦那様に尽くすことをお約束致します」
いつの間にか復活してたチェルシーがそう宣う。
うんうん、有能なメイドや秘書は何人か居ると助かるしな。
――Side ???
「「はっ!? 私たちの従者ポジションの立場を脅かす何かが現れた気がする」」
「どうしたの本音、変なもの食べた?拾い食いはダメだって言ってるよね?」
「かんちゃんが辛辣すぎる!さすがにそんなことしないよ!!!」
「虚も……熱あるなら休む?」
「普段からその仕事ぶりであれば私ももう過ごし休む事もできたんですがね……」
――Side 氷室直哉
「……死屍累々だな」
巨大ベッドに力尽きる娘たちを見てそう零す。
一晩で二桁人(シャル、ラウラたち黒兎隊の6人、セシリア、チェルシー、エクシア)の花を手折る畜生の快挙をやらかした挙げ句、一夏もキャパオーバーで沈黙させ、束も横でうつ伏せで気の抜けた声を漏らしている。
「そう思うなら手加減しない??」
束がうつ伏せから顔を横に向けながらそう問いかけてきた。
「コレでも手加減している。……そうか、かの獣殿の自分が全力を出せば壊れてしまうから本気で愛せないと苦しんでいたが、今ならわかる気がする」
「なおくんの方がリアルターミネーターしてる気がする。昼間のセリフを今ブーメランしてあげるね」
「……本来なら一夏や千冬先生より耐久とか無いはずなんだがな……」
「数奇な結果でそうなっただけだしね。そろそろ束さんも寝るよ〜。あ、近いうちにウチのコ転入させるから、お世話よろしく」
「!? ウチのコ……!?」
振り返ると束は眠気で意識を手放そうとしてるところだった。
「……黒兎……の、関……係……( ˘ω˘)スヤァ」
「……束、暫くオレと一緒に行動してたよな……ってことは……」
オレは冷静に今その子束のラボでぼっち状態では?となり、起きたらきっちり聞き出すことを静かに決意した。
――Side 篠ノ之箒
「なんですこの電話帳みたいに分厚い紙束は」
「1週間不在だった分の授業分プリント類だ。来週までに提出するように」
およそ1週間ぶりに帰国した直哉たち。
最初の授業にて国外に行っていた面々に織斑先生が死刑宣告の如き大量のプリントを直哉たちに叩きつけた。
直哉以外は困惑か絶望の顔色になっているが――
「なら今直ぐ終わらせてもいいんですよね?」
「物理的に無理なことを言わないほうがいいよ氷室君。ああ、獣畜生には自分の限界がわからないのかな?」
なんか天上院が煽っているが直哉たちはガン無視。
「……やれるものならな――」
そう言った瞬間――風が吹き荒れ、凄い勢いでプリントの空欄が埋められていき、気がついたら総て終わっていた。
「採点お願いします」
「……あとでな」
織斑先生はそう言いながらプリントの束を回収する。
それを見た山田先生がわたわたしながら授業が再開する。
……やはり姉さん同様に直哉も超人の類では……?
――Side 氷室直哉
放課後になり、生徒会室にて
「結論だけ言えばこっちは平和だったな。強いて言えば生徒会長や簪に天上院がつきまとっていたから私と鈴が簪の側に居てヤツ避けになってたくらいか?」
「なんかあたしたちがいると『暴力系ヒロインは論外』とか言って避けるのよね。いや、手が出るの少し早いのは自覚してるけど、暴力沙汰起こしてないし……」
遠征組(オレ、一夏、ラウラ、シャル、セシリア。なおオレ以外は机で宿題捌きながら会話を聞いてる模様)が学校留守組(箒、鈴、楯無に簪、のほほんさんに虚さん、ゲスト?に千冬先生と山田先生)に学校のことを聞いていた。
「職員室は山田先生が狙われていたから御局の先生はじめ誰かしらが山田先生に目を光らせていたから問題ない」
「……私ナチュラルに流されて手籠めにされそうって言われてません?」
あれー?と首かしげる山田先生。
あんまり言ったらダメだがアホウドリ*1に近いナニカを山田先生から感じるので早いうちに囲ったほうが良いまである(畜生思考)。
「あとは寮の新設が学校名義で来てるけど……」
楯無の言葉に千冬先生と山田先生が首を傾げる。
「……そんな話通達されてないな」
「寮なんて私たち職員に影響するはずなので何も言われてないのは不自然かなと……」
「あっ(察し)。たぶんオレが理由です……かねぇ。犯人は束で」
その言葉に一同がなんか納得したような顔をする。
「……その寮に寮生移して、今の寮リフォームついでにウチの黒兎隊やセシリアの家族の居場所にするつもりだろうか?」
「束のことだからそういう目的だろうな。オレたちは一応自由国籍に加えてモナコやリヒテンシュタイン、ニュージーランドの国籍保持してるし、居住は最近セキュリティ強化したカミンコ博士のところに住み着いてるから優先度低い気がするんだがな……」
「……リフォーム予定の今の寮管は変更予定あるのか?」
「え? ……なさそうですね」
「なら学園長に相談ついでに口添えしてこよう。正直あの夜な夜な現れる天上院の生霊や天上院の世話が疲れたし」
すん、とした顔で楯無から新寮についての書類を手にすると山田先生と共に去っていく。
「……新しい寮管兼天上院のハニトラ要員で新規教員ねじ込むわね」
少し考える素振りしたあとそう楯無が零す。
「それが良いかと」「ん、妥当」「さすがたっちゃん先輩だ!」
天上院はこれを喜ぶか嘆くのか……いや先に学園長に話通すのが先だろうが……。
そう思いながら、IS学園の日常に戻ってきたのであった……。
「――あ、遠征組に言い忘れてたが、来週学年別タッグマッチトーナメントの1年生の部がある。直哉はソロで、他はペアを作り前日までに参加申請するように」
翌朝のホームルームにて次イベはソロプレイが確定しました。
ちなみに生身禁止のため、オレにとっては実質縛りプレイである。
少女たちは模索する。
自分が勝利をもぎ取る方法を。
男は変わりつつある環境に戸惑いながらも趣味で心を落ち着かせたりを試みる。
愚者は歓喜する。
手駒(と本人だけ思ってる)から都合の良さそうなヤツがおり、近い内に学園にくると知って。
束の間の平穏の間に、学園でも変化が起きていた――。
次回 インフィニット・ストラトス+3-1
第二十四話『学年別タッグマッチトーナメント その1』
※予告内容及びタイトルは変更される場合もあります。
次回もお楽しみに!