――Side 織斑一夏
朝の食堂にて
「むむむ……」
私は思案を巡らせていた。
「どしたのおりむー、悩んだような顔してるね」
何処からともなく現れたのほほんさん。
本当に神出鬼没だね()
「んー……トーナメント戦どうしようかなって」
「しののんとりんりんでコンビ組んでるし、私はかんちゃんと組んでるしなぁ……ろとさんはどう?」
ろとさん……? ああ、路藤原さんか。
「あら、私の肌艶の秘訣聞きたいのかしら?」
路藤原さん今いきなり現れなかった?
「ろとさん相変わらず空耳すごいねぇ」
「貴女は貴女で相変わらず辛辣ねん」
「「HAHAHA」」
仲いいのか悪いのかイマイチわかんないや(思考放棄)
「んで、コンビ云々の話だけど……私は今フリーだし、アリといえばありよん。ポジションとしては中衛から後衛に分類される立ち回りがメイン。だから一夏ちゃんが前頑張ってくれるなら、隙間からOIGAMI(競技用低威力弾頭モード)で相手を撃ち抜いたりできるとおもうわん」
「うわ、実弾防御がガチガチでエネルギー系防御もそれなりにある重量の四脚タイプと防御貫通できる一夏で組まれたら大変……でも長期戦の殴り合いに向いたガチタンと唯一の装備で消耗するから短期戦向いてる白式って言い換えると組み合わせとしては微妙な気がするわね……」
朝食を持ってきて同じテーブルの席に着く鈴がそう零す。
「確かにそうかも……?」
眠そうにおかしつまみながらのほほんさんが頷く。
「私視点は自分の欠点を的確に突ける一夏ちゃんを味方にするって戦略的視点だと悪くないのよねん。だから私的には他の人のお誘いよりも優先度は高いわねん」
なるほど……。
「息の合う人と組んで連携による勝率アップを狙うか、自分の弱点を突ける人を抱え込んで敗北の可能性下げるか、あるいは自分のスタイルを補える人を選んで安定性を狙うか……このあたりどう選ぶか考え、駆け引きすること含めてトーナメント戦の意義な気がするのよね」
「なお約1名はソロプレイを強制された模様」
私はしれっとそう呟く。
「なおなおIS装備縛り、アセンブリ変更禁止、刀等近接武器禁止にミサイルと有澤装備禁止で武器がサブマシンガンくらいしかないって嘆いてたよ」
「逆にそこまで縛らないと私たちに勝ち目ないと織斑先生から判断されたってことよね……規格外だわん」
全員揃って揃って遠い目をする。
「ま、取り敢えず私として一夏ちゃんのISは天敵だし、味方にしておきたいから早めに言ってくれればタッグは組めると思うわん」
「検討しておくよ」
「私は待てるほうだけど、いつまでも……とは行かないのよ。だから――決断はお早めに、ね」
――Side 天上院のか夫
「しかしなんでコイツ僕の専用機のクセして僕を拒否してるんだろう。天邪鬼かな?」
僕はキアラと共につまらない授業をぶっちしながら屋上で性欲発散していた。
「(それは貴方が簪お嬢様からほぼ無理矢理奪い取った上、他人にヘイトなすりつけようとしたからかと……強いていえば)ISにも自我があると言われておりますし、そこからのか夫様を何らかの理由で拒否してるのかと」
何らかの理由?そんなのこのコアの勝手な理由では?
「唯一無二の男性操縦者の僕を拒否するとかへそ曲がりにも程があるよ」
「あるいは女性じゃないと嫌という特異なコアの可能性……?」
「あー、あり得そう。僕が選ばれし存在とは言え、基本女しか使えないしね。篠ノ之博士はそのあたり天災言ってるのに解決できてないし、天災(笑)なのかもしれないなぁ」
でもさすがにそろそろ使えないのは困るんだよな……専用機が使えないとか情けないとか思われかねないし。
「そういえば良いニュースと悪いニュースがありますが……如何いたしますか?」
思い出したようにキアラが聞いてきた。
「……悪いニュースから」
マズイものはさっさと片付けるに限るし。
「天上院華音さんが編入試験を受けて合格したとか」
「はあ? あの出来損ないが???」
僕の数倍勉強に時間をかけるくせに実績が僕に及ばない俗物な、政略結婚の駒かヨスガネタにできそうな見てくれ以外取り柄のない年子のアレが?何やってんだあいつ。
「わけわかんね。あいつ何考えてるんだ?大学までエスカレーターなお嬢様学校でコネ作ってオレの嫁候補や妾候補見繕っておけって言ったのに……」
「……私は噂で聞いただけですので何とも……」
あんな俗物が入ってきたら僕の評価が下がりかねないから家に言っておかないとな……。
あー腹が立つ
「いいニュースは?」
「――天上院家の出資のおかげで学園に新しい寮ができるそうです」
「? それがいいニュース?」
僕が聞き返すと
「いえ、最後まで聞いてくだいませ」
と返してきた。
この学園(一部例外ありのため実質だが)全寮制寮かつ、寮が隣接してるとはいえ3つある。
かといって振り分けは学年別でも法則性もあまりないから変わってるよな……。
そこに寮が新たに増えるのか……。
「織斑先生及び他寮監は担当の寮の継続し、他教員も対応が困難とのことで――その寮管に私の伝手で信頼できる貴方様好みの人をねじ込めそうだと我が家……宮守の家から連絡が来ました」
ほう、それは朗報だ。
やはり僕のような優れた選ばれし男には複数の女が侍るべきだからね。
「それは良い。ちなみにどんな感じの?」
「(性癖拗らせている上にある程度泳がせたら不倫訴訟ちらつかせして金をむしり、その金で飲む打つ買うするゴミ夫の居る地雷物件な)色香のある、のか夫様好みの素敵な女性とのことです」
写真を見せられた。
……艦これの鹿島そっくりだった。
この世界たまにいるよな、アニメキャラみたいな娘。
いや、この世界がその類いの世界だから妥当なのか?
まあそれはそれとしてコレは良いな。欲を言えば同年代以下のほうがいいが……見た目が良いし、『使う』なら問題ないだろう。
「あともう一つ朗報?がありまして――如月重工から、ISの機体について私経由ですが打診がありまして、今のISコア及び機体と交換という形でなら、如月重工の確保してるコアで新機体を用意できるとの連絡が来てましたわ」
最近自分宛ての手紙見るのだるいからキアラに確認投げてたけど、ちゃんとチェックしてくれてるようだな。
さすが僕の第一妾候補だ。尽くしてくれるね。
しかし如月重工はたしか……
「よし、話進めようかな。もちろん倉持研には何も言わなくていいからね」
「……よろしいので? 何も連絡なしに進めてしまうと倉持研との関係悪化が予想されますが……」
「僕が動かせないコア寄越す時点で僕に喧嘩売ってるからね。総理大臣になり次第、真っ先に解体するリストにしてあるし。いずれつぶす連中にどう思われようと関係ないし」
もしかしたら僕に切られたことで立場が危ういこと自覚して、キアラ用の専用機作ってゴマすりしてくるかもだし。
もちろん貰うだけ貰って切り捨てるけど。
「……では、ある程度のすり合わせをした上でのか夫様に報告できるよう致しますわ」
今日も獣畜生が居るからベストじゃないけど――いい一日と言えそうだ。
――Side ???
「クソッ……何故あの人の妹が私じゃなくてアイツなんだ!」
ロッカーを思わず殴り、凹ませる。
歯ぎしりしていると端末から通信を知らせる音がした。
「……Мだ」
『お疲れ様。スコールよ』
「用件はなんだ。今苛ついてる」
私は最初から手短に話すよう暗につげる。
『あの面倒な黒い蠍から奪取したISモドキを8ダースほど生産できたから、今度の襲撃に使ってちょうだい』
「前回黒い蠍の生産工場から奪取したやつを14体率いたがボロ負けしたぞ。ソレなのにまた同じ轍を踏めと?」
『前回のは解析終わってないのを急造で色別やOS書き換えた最低限の動きと装備品だったし(震え声)、前回より数も質もマシよ』
「……まあいい。私は織斑一夏を始末するために繋がると思って働くとしよう」
そういって通信を切る。
……端末の待ち受けになっているのは、氷室直哉と幸せそうなツーショットをしている織斑一夏の写真だ。
自分の妄執を忘れぬために、そして私が居るはずだった場所への羨望を憤怒の薪へ変え続けるためにも――。
織斑一夏は考える。利用し利用される協力の路藤原か、自分の戦闘スタイルと真逆のセシリアか、多様な武装で翻弄するシャルロットか、特殊能力を搭載したエネルギー兵器主体のラウラか……。
一方氷室直哉はしょぼんぬ顔で元日本代表候補だった山田先生に射撃戦の訓練相手をしてもらうことに。
途中で千冬先生も山田先生に加勢して理不尽極まりないことに。
どうしてこうなった???
次回 インフィニット・ストラトス+3-1
第二十五話『学年別タッグマッチトーナメント 開始前その2』
※予告内容及びタイトルは変更される場合もあります。
次回もお楽しみに!