――Side 氷室直哉
IS学園生活1日目の帰りのホームルームにて
「クラス代表を決めてもらう。自薦他薦どちらも問わない。ああ、氷室は学園の総意で却下対象だ。打鉄装備とは言え、本気の私と打鉄装備で互角に渡り合い、生身で打鉄装備の私を撃墜した規格外を代表に据えるなど、パワーバランスもへったくれもないからな」
「「「「「えええええ!?」」」」」
とんでもないブッコミが発生した。
「そんなバカな!」「生身の人間が!?」「千冬様を撃墜!?」
「――なら証拠を見せるか」
千冬先生は徐ろにプロジェクターを起動し、映像を流し始める。
『なんか感覚が鈍るな……』
『貴様くらいだぞ、そんなことを宣ったのは』
打鉄を纏うオレと千冬先生が軽く会話?をしてる第三者視点の映像。
ある程度すると試験開始のブザーがなる。
その瞬間に先生が瞬間加速でオレに接敵するが――
『IS初心者にその殺意はどうなんで?』
まるで数コマ飛ばしたかのようにオレは千冬先生の攻撃に鍔迫り合いをしていた。
『貴様一体この10年の間に何があった!』
『……さてね。あの時電話にも出なかった貴方と篠ノ之博士に語る言葉を持ち合わせていないもので』
『っ! もう千冬お姉さんと呼んでくれないのだな』
「おいやっぱりお前十六夜朧では」「「「今は映像見る!」」」「アッハイ」
インターセプトされかけたが、女子生徒の圧で一夏は黙らされた。
その後まるで鏡合わせのように動き、剣戟が繰り広げられる。
顔をしかめてるのは千冬先生、合わせてるように見えるのはオレ。
……客観的に見ると負けイベかつ舐めプしてくるクソボスのソレである。
うーん、悪人にしか見えない。
コレは女の子からモテなくても仕方ないですね。(諦念)
するとブザーが鳴り響く。
『……時間経過しましたけど、合格ってことでよろしい?』
『いや……お前の本気を見たい。底の見えんその力の一端を見せてくれ』
『……』
『おい何故ISを外した! まさか本当にISが足枷だとでも言うのか!』
『限界まで調整しても感度悪いとボヤいた初代ガ〇ダムの終盤アムロの気持ちが分かる気がします。少なくとも互いが地に足着いた状態なら――ISよりこっちのほうが楽だ』
どこからともなく黒い太刀を取り出したオレは腰のベルトにソレを佩く。
『……怪我をしても知らんからな!』
遠慮無くバーニアを点火して加速し肉薄する千冬先生。
オレはその場で太刀の柄に手を添える。
『八葉一刀流、七の型、無想覇斬』
一閃というにふさわしい加速でオレたちは交差する。
オレの頬に軽く赤い筋ができるが――
『……コレは本気だが全力じゃないな? フフフ、世界最強の座でもてはやされた私が恥ずかしくなってきたな』
打鉄の装備がバラバラになり、非固定ユニットが地面に落ちる。
千冬先生は崩れるパーツからヒョイっと脱出すると、ガラガラと音を立ててISの残るパーツも崩れ落ちた。
『……打鉄の修理費用はお前の保護者に請求しておくからな』
『は? そっちが本気出せ言ったのに!? 嫌だよ博士に小言ネチネチ言われるじゃんか!』
『当たり前だ馬鹿者!誰がISをコアと私だけ残して切り刻むと想像できる!』
『コレならそのスーツも切り刻んで真っ裸にしてやったほうが良かったかな……』
『貴様はどこの石川五右衛門を目指してるんだ???』
「――とまあ、こんな感じだからな。」
そこから先、もう少し醜い言い争いが合ったがさすがに見られたら不味いと思ったのか千冬先生は映像を止める。
「しれっとISの絶対防御貫通してる……前代未聞だって……」「アレで全力じゃない……?」「合成……ってわけもないみたいだし……」
「――その男は危険すぎる! 今すぐホルマリン漬けにし、遺伝データを研究に回すべきだ」
のか夫が立ち上がりそう叫ぶ。
「そいつ血や髪の毛を各国に提供してるし、ホルマリン漬けにしたら日本がヘイト買うだけだそ」
「日本国民なら日本にその身を捧げるべきじゃあないのか!」
千冬先生の言葉に論点をずらしにかかるのか夫。
「今現在自由国籍で治外法権のIS学園に身を置いている。そんな言い方されたら別の国のほうが良いかなとオレ考えちゃうんだが?」
「ぐっ……家族がいるはずだ。それを見捨てる血も涙もない人間なのか!」
「(いい加減煩いな)家族はもう居ない。――オレをこれ以上縛ろうとするなら牙を剥くことになる。筋も通さず一方的に好き放題言いやがって」
少し圧をかけるとヤツは露骨に動揺する。
「……さて、氷室がいわゆるバグキャラだと認識できたところで――クラス代表を決めるぞ。自薦他薦問わない」
千冬先生がそう告げると思い出したように
「……路藤原はどうする?」
と問いかけた。
「コアと骨格しか無いISか、私を拒否する訓練機。実質乗れない二択しか持ち合わせてない私にISに乗れはちよーっと酷な気がするのだけれど?」
「愚問だったな。……路藤原も外す。残りの面々から自薦他薦でやっていけ」
「織斑君がいいかなーと思います」「同じく!」
と一夏を推していく面々。
「……なんで僕の名前が挙がらないのかな?」
貼り付けた笑顔の裏でイライラを募らせるのか夫がそう零す。
「なら自薦すれば良い」
「ぐぬぬ……」
千冬先生のど正論に歯噛みするのか夫。
「今のところ他薦の織斑だけだが、このままなら確定するぞ」
「ソレは認められませんわ!」
千冬先生の言葉を遮るのはセシリア・オルコット。
「なんだ?自薦するか?」
「ええ、もちろん。イギリスの代表候補生でもある私を差し置いて、極東の……いえ、ISの知識もロクにない人に代表を譲るなどあってはたまりませんわ!」
千冬の言葉にセシリアが頷く。
途中でオレを見て侮辱的発言を飲み込んで言い直したな。
直前に代表候補生と名乗ってたのもあるかもしれないが……いい傾向だ。
「間違えて捨てたのはそうだがそんな言い方ないだろ!」
「実績と実力が裏打ちされてる私と、知識も実績もない織斑さん。どちらが代表にふさわしいか、今一度落ち着いて考えれば分かるはずですわ。――それと天上院さん。そんな隣の女子生徒に自分を推薦するようみみっちく圧をかけるような紳士あるまじき行為をするなど、情けないにもほどがありますわよ」
「なんだと?」
あーあ、めちゃくちゃだよ()
しゃーない。千冬先生の出席簿連打が始まる前にゴリ押しするか。
「――それなら天上院、織斑、オルコットの3名で対戦すれば良い。ISの実力を見た上で決選投票すれば、各自の能力や将来性を総合的に各々が判断した投票になるだろうからな」
先生たちにどうです?と水を向ける。
「……1週間後にアリーナを取った。氷室の提案なのは少し複雑だが、それで行くとしよう。――ああ、怖気づいたなら辞退してもいいぞ?」
「十六夜朧の「氷室直哉だ」言う通りだ!オレはやるぞ!」
「なら実力を知らしめて差し上げますわ」
「僕を推薦しなかったこと後悔させてやるからな……!」
とりあえずココでリアルファイトが始まらなかったのでヨシ!(現場猫)