一部世界の歪みで他作品の事件等の時系列もゆがんでたりします()
『実は姉なんです』
――Side ラウラ
「――実のところ、みなさんと違いヴォーダン・オージェに適応できず、失明し、殺処分を待つだけの身となったところを束様に拾われたのが私となります」
「つまり……私の姉……!?」
「おおむね間違ってないかと」
クロエ・クロニクルを紹介された日の翌日、黒兎隊で食事していたら彼女がやってきてそう告げた。
「なんと……妹分を知らずにのうのうとわれわれは生きていたと……!」
何故か副隊長たちが頭をかかえだした。
「代わりに旦那様から新しい眼をいただいたおかげで、不思議な力を使えるようになったり、束様に愛をもらえたので問題ありませんよ? 単に7人だけとなったヴォーダン・オージェ適応者作成計画にて生まれ、残っている7人の1人としてお伝えしておきたかっただけですので……」
……冷静に考えて私が末っ子なのか……
兎の名が入ったどこぞのカフェ店員が年下の子にお姉ちゃん呼びするよう要求する気持ちが今なら少しわかる気がした。
あと何故か一夏や箒、エクシアから妹分居たら良いのにという愚痴で盛り上がるようになったのはココだけの話である。
『とある少女の回想』
――Side ???
「愛してる。――あぁ……やっと言えた……ごめんね、こんなに遅くなって……」
身体が冷えていく、生命が零れていく。
もうすぐ、私は、死ぬんだ。
でも……最期に、可愛い2人の子供に……愛してるって言えた……。
もう、心残り……は……
「――ふむ、よもやよもやだ」
遠のく意識が何かに掴まれ、引きずり戻される感覚がした。
「アンタは誰だ!?」
「今は彼女の蘇生が先だ。あとで話す」
身体の熱が戻ってくる。
それと同時に痛みが戻ってきたが、なにか温かい光がそれを取り払ってくれた。
「!? 出血が止まって傷口が塞がってる!? 縫合もしてないのに!? アンタは一体……」
「少し奇跡を起こせる人の形をした化け物とでも言っておこう。しかしこれでは血が足りぬな……やむを得んか」
口の中になにかが流れ込む。
「何飲ませてるんだよ!」
「エリクサー」
「ふざけてるのか!?」
「人の命がかかってるときにふざけるほど私も人でなしではないよ」
喉を触られる。
喉を触れる手の不思議な動きで、私は意識してないのに液体を飲んでいく。
液体が胃にたどり着くと同時に胃の中から熱が広がり、凍りついたように動かなかった手足が少し動くように。
「!? 母さん!」
「まだ動くなよ。神秘の霊薬を飲んで体力と失った血は戻りつつあるだろうが動き回るに必要な血がたりておらんからな。動いて倒れてケガでもしたらそのままお陀仏は後味悪いにもほどがある」
アクアの声に全身を動こうとしたけど、止められた。代わりに手を少し動かしたら、アクアが私の手を握ってくれた。
注がれたなにかが終わったのか、喉に流れる液体は来なくなった。
だけど胃に流れ込んだなにかは私の生命を取り戻すように身体に力を取り戻してくれてる。
ゆっくりと目を開けた。
そこにはフードのついた長いローブに白い仮面の人が立っていた。
手も包帯まみれで、私には誰なのかわからない。
……でもファンサービスの何処かで、握手したことあるような……?
「動くな! 警察だ! アンタが彼女を刺したのか!」
玄関に警察官が3人立っていた。
拳銃をフードの人に向けていた。
「違う! この人は!」
アクアが否定してくれたけど
「――否。だが事情聴取には応じられん。今の私は死んだことになっているからな」
そう言うと足元に何かを落とす。
フラッシュ焚かれた時みたいな光が私たちを包む。
光が消えたあとには、その人は居なくなっていた。
「くそっ!犯人と思わしき人物に逃げられました!血を踏んだ跡を本官は追跡します!」
1人が血の跡を追いかけて去っていき、1人が私を、1人がアクアとルビーに声掛けとかをしていた。
……よかった、私、まだ2人のこれからを、見れるんだ……!
涙が、零れていた。
アレから8年。
隠し子云々で炎上したり、歌える女優に転向したりして(いい意味でも悪い意味でも)それなりに有名になったけど――あの日の恩人にまだ会えていない。
もしかしたら私やルビー、アクアや社長さん、ミヤコさんの誰が何処かで合ってるのかもしれないけど、誰も恩人に気がついていない。
『婚姻法における限定的重婚許可につきまして――』
「うわ、本当に可決しそうになってるじゃん。氷室……だっけ? あの人1人のためにこんなことするんだ……」
「ISを動かせる希少な男の人で、IS生みの親の篠ノ之博士やISの初代世界チャンピオンである織斑千冬さんの妹さんと実質婚姻してる人を繋ぎ止めようと国は必死なんだよ。最近だとフランスのデュノア社の社長令嬢とか、貴族籍を喪失したとは言え、イギリスの名門貴族の娘さんのために奔走したとかニュースになってるし」
トースト食べながら2人がなにやら話してる。
よし、お弁当完成っと。
さて、今日もお仕事頑張らないとなー。
「今日は新しい曲のレコーディングの準備だから音楽受け取って、楽譜見てイメージ確認したら終わりだし、早く終わるかなー。2人は?」
「オレは監督のところで手伝い。今は暇だしな」
「私は番組のロケ1つかな。あの料理上手にできるかなってヤツ!街中で実演オッケーか交渉するのがメインだから顔出しほとんどないけどね!」
元気に答えてくれるルビー。
うんうん、元気があって良いよね。
「なんでそんな変なものを……」
「代わりに同じ局でやってるMステで新生B小町の枠ねじ込んでもらったから!」
イチゴ社長もアレコレ頑張ってるねぇ。
私も頑張らないと……。
『待ち合わせにて』
――Side 氷室直哉
「さて、待ち合わせの場所はココだから……」
待ち合わせにならない変わった場所にて待っていると――
「あの、すみません!」
声のした方を向くと金髪に赤い瞳の娘がロケのカメラやマイクさんと共にコチラに向いていた。
「『新生B小町』のルビーと言います。今『あの料理できるかな』という番組のロケをしてまして、参加いただけないでしょうか!」
「……待ち人いるので、その人に連絡してからなら?」
「ありがとう御座います!」
オレは手早くロケに捕まったので、待ち合わせ場所で料理してるからよろしくと連絡すると、OKとスタンプが返って来る。
「大丈夫そうなので早速やりましょうか」
「ではスタッフさんを準備お願いします!」
ルビーの言葉でスタッフが動き、簡易キッチンと食材が並べられていく。
「今回のお台は?」
オレはアルコール消毒しながら問いかけると
「なめろうですね。自信の程は?」
と答えとともに聞き返された。
「んー、メインの材料次第?」
オレはにっと笑ってから少し間を開けて調理を開始する。
――Side 桐藤ナギサ
都内に迎えに来ると言うことで待ち合わせの場所に向かってる途中、氷室さんから連絡が来ました。
……ロケに捕まって待ち合わせ場所で料理をしてる?
待ち合わせには問題なさそうとも書いてあったので、取り敢えずOKとスタンプを押してから、そのまま向かいます。
「す、すごい!手元が見えない……!」
目と鼻の先だったのでさっさとたどり着くと、どうやらなめろうを作ってるようです。
って、食材混ぜ合わせての仕上げが終わりましたね。
「お、ナギサ、ちょうどいいところに」
彼の声で野次馬さんやロケしてた人たちが私のほうを向いたのですが……あれ? コレ直哉さん的に問題ないのでしょうか。
「途中味見したから大丈夫だと思うけど、食べてもらって良いか?」
食器からティースプーンサイズで掬って差し出してきたので、私は彼の隣に行ってそれを受け取り一口。
「……まさになめろうですね。白米があればなおよし、冷やしたお皿に盛り付けて出してもらえたなら最高でしょうか」
「高評価ですねぇ。どれ、私も一口……旨っ!? 粘り気あるレベルまでしっかり叩かれてるのに、味に少しだけコントラストあるし、薬味の匂いもしっかりある!」
「均一すぎるより、ほんの少しムラがある方が味の印象は強くなるらしいから最近はそれ意識してるんだよね」
「なるほどなるほど。ご飯が欲しくなる素晴らしい完成度。料理『なめろう』としてはもちろん正解! 対応ありがとう御座いました! 残りはスタッフがおいしく食べますのでご安心を!」
「お役に立てたのなら何より。それじゃ、行こうか、ナギサ」
彼は私の肩を手を回し、番組の人たちを背に去ろうとして
「あ、そうだ」
途中で足を止めてから口を開いた。
「――ルビーさん」
「あ、はい、なんでしょうか」
「――今のあなたを見て改めて思いましたよ。8年前の今日、アイさんを助けられてよかったと。――おかげで彼女のB小町としての引退ライブも観れましたしね」
彼はサングラスを外し、紅い瞳を見せた。
「――えっ?」
「――アイさんに伝えてください。あの時急ぎで治したせいで、お腹に傷残っちゃったから水着とかの撮影できなくしてごめんなさいと。もしあの傷をきれいに治したいなら、オレ――氷室直哉にツベッターの公式アカウント経由でIS学園公式アカウントに連絡くださいって」
「えっ!? ちょっと!? それなんで――」
「居たぞ!」「捕まえろ!」
「おっと、やっかいな黒服の人に見つかっちゃったのでまた今度!」
私は彼にお姫様抱っこされた。
ほぼ同時に視界の隅に見えた黒服がコチラに駆けてきてるのが見えた。
「それじゃ、安全運転心がけますが、舌噛まないようご注意を」
彼がそう言うと、ふっと視界の景色が一変した――。
――Side 星野瑠美衣
「ちくしょうめ!逃げられた!」
「あそこで捕まえられたらよかったのに!」
「あのビルにいるぞ!囲め!!」
黒い服の物騒な人たちが通り過ぎていく中、私はようやく再起動した。
「……あの人、ママの命の恩人だったんだ……ちょっとディレクターさん!休憩良いですか!」
「え? あ、うん。 材料処理とかもあるし」
私はロケ用の車に乗り込み、家族のラインで今の一部始終を伝える。
すると2人から直ぐに反応が返ってきた。
斎藤社長に連絡するとか、お腹の傷知ってるの誰だっけという答え確認とか色々あったけど……当事者とか、血塗れだったから念の為傷を確認した医者とかほとんど知らないはずだから、多分彼がママを助けた人で間違いないと返ってきた。
……改めてお礼を言わなきゃ。
あの人がいなかったら、私たち家族はバラバラになってたかもしれないんだから……。
『弱い立場を利用した鮮やかな貢ぎ……これが、貢マゾ……!?』
――Side 氷室直哉
途中影分身と変化でナギサお姫様抱っこした分身をデコイにしながら飛雷神で学園に戻る。
空いてる教室なので誰も居ない。
そして彼女をお姫様抱っこから降ろして立たせると、少し距離を置いてから土下座をする。
「どうしたのです!?」
「いや、ほとんど許可もなく女の子抱きしめたりしましたし、黒い蠍……今はネオ・スコーピオンかな……ソイツらの下部組織連中に顔覚えさせるという特大のガバやらかしたのでナギサさんの立場危うくしたかなと……」
「……なるほど……ではこちらの書類に損害賠償として4000万円と記入してもらえれば」
コチラにわざわざ歩み寄り、1枚の紙とペンを差し出してきた。
仕方ない、オレは言われた通り書こうとして――
「名前書く欄無いからって小切手の金額書かせようとしないで!?」
「では、サラリーマンの生涯年収といわれてる二億を……」
「なんで金額増やそうとして――」
オレは叫びかけたが――
「私、もう裏の世界の怖い人に顔覚えられたんですよね? 私のような護衛も居ない小娘が狙われたらひとたまりもないのです。これはお金しか持ってない私が直哉さんに囲ってもらうための支度金なんです。4億円、受け取ってもらえますよね?」
肯定する→貢ぎマゾとオレの歪な関係確定!
拒否する→金額が上がって再度選択肢 or 変なやつに貢ぎマゾなってしまう可能性発生?
詰んだんじゃないのー?(コックカワサキ風ボイス)という幻聴が聞こえ、汗が出て来た。
ナギサさんは満面の笑みでこちらの答えを待っている。
「……お互い、尊敬し合える関係を築けることを願ってます……よ……」
「ふふっ、ご安心を。私としても理由のないお貢ぎはしませんから」
理由を見つけたら今みたいに貢ぐんですねわかります(理解したくない)
――Side エクシア・エヴァーガーデン
「とうとうISに関係ない人が囲われたわね……」
乱さんが複雑そうな顔をしながら、昼休みの食堂にてそう零しています。
……華音さんは……日本の代表候補生枠にねじ込まれてるのでIS無関係ではないですね。
「日本の長者番付ぶっちぎりの1位である資産家西澤家には流石に勝てないが、番付の一桁に入ってるあたり、才覚あるんだろうけど……お金持ちだからって……」
「……女の子囲いすぎ……フケツな気がします……」
……乱さんとヴィシュヌさんが複雑そうにしてますね。
「99人の恋人が居た私にも刺さるなぁ、その言葉」
「旦那様の相手は束様も腰にくるそうなので、むしろ増やして欲しいですね。あわよくば……とも思っています」
ロランさんとクロエさんは問題なし……でしょうか。
「……っ!……!」
華音さんは罰ゲーム中なので論外っと。
……それはそれとして桐藤ナギサさんを学園でどのように扱う予定なのでしょうか……謎です。
事務員とあたりにしたりするのでしょうか……?
次回予告
『高度なお貢ぎ攻防戦?』
桐藤ナギサの学園案内ついでに手籠めにする直哉!
手籠めに何故か便乗する娘たち!
そんな彼に学園長から連絡が届いてて――?
『8年越しのありがとうと――?』
都内にある更識家系列の個室がある居酒屋にて、とある3人と対面する直哉。
そこで告げられる8年越しの感謝の言葉。
一方とある青年は2人の青年と遭遇し――?
『直哉、実家に帰る/歩く現場猫案件チョビン!』
阿鼻叫喚の寮再編成を横目に直哉が日帰りでカミンコ博士のところに帰ることに。同行希望者を連れて帰ると博士はめんどくさそうに、チョビンは兄貴分として彼らを出迎える。
トンチキな発明品などを見せる中、ある装置の説明で、氷室直哉が生まれた経緯がチョビンにより暴露される。
第三十四話『臨海学校準備編 その4』
※予告内容及びタイトルは変更される場合もあります。
次回もお楽しみに!