――Side 更識簪
「私は――3番目の選択肢、選んでいいの?」
そう問いかけると、彼は頷く。
「まあ貸イチでオレの紐付きになるっていうデメリットがあるがな。それでもいいなら止めはしない。悪魔のような提案をするオレの手を取るかは自分で決めろ」
そう言って彼は手を差し出してきた。
……彼の顔と手に何度か視線を往復させたあと、意を決して手を取る。
「契約成立だな。今日からよろしく、共犯者さん」
えっ、共犯者……?
なんか本音がはわわわ言ってるけどどうしたんだろう?
「のほほんさんは楯無さん呼んでおいて、オレ楯無さんの連絡先持ってないから」
「あ、はぁい」
直哉の言葉に頷いて去っていく本音。
色々わからないけど、彼の手を取ったのは……間違いじゃないはず……。
「簪ちゃんを泣かせたと聞いて!」
「お嬢様!話殆ど聞いてないじゃないですか!」
お姉ちゃんと本音のお姉さん……布仏虚さんだ。
あ、握手の手が離れた。
「む? 貴方は……自分氷室直哉言います、楯無さんに事情説明やらのために授業中のほほんさん経由で呼び出しを強行したこと申し訳ない」
「これはこれはご丁寧に。私は布仏虚と言います。妹がお菓子を集っているとか……後日改めて菓子折りなどを……」
なんか大人同士の挨拶みたい……。
「それで、簪ちゃん泣かせたのはどこのどいつかしら?
「お嬢様!どうどう!」
「私はウマじゃないわよ!」
「お姉ちゃん、落ち着いて」
「はい、落ち着きました」
私の一言で急に落ち着いた。ちょっと怖い。
「なんか奇人を見る目で見られてる気がする!」
「お嬢様、残念ですが妥当です」
「ひん!」
「落ち着いたようなので状況を説明します」
――Side 氷室直哉
要点掻い摘んで説明した
・日本政府から日本代表候補生解任のメールが来た。
・ほぼ同時刻に倉持研からISコア返還請求が来た。
・そのメールを見てオレにヘルプ飛んできたのでのほほんさんとともに早退からのすっ飛んできた。
・メール確認したら自分既に専用機あるのにオレの枠として回収するとあったので様子見から割かしガチ目に介入を決意。
・抵抗か、泣き寝入りの二択だったので、氷室紐付きになるかわりにコアを別途用意して、今のコア熨斗つけて返す提案をした。
・簪ちゃんが第三の選択肢を了承したので、なんか暴走しそうな楯無さん呼び出して事情説明(今ココ)
「ご理解いただけた?」
「頭では……それはそれとしてコア本当に用意できるの?」
【疑惑】と書かれた扇子広げる楯無。
まあそうなるわな。
「ISコアの個数が増えてないのは束がコアに使う材料を集められてないから。んで、オレはその材料を全部用意できる。実際材料提供と遺伝データ提供を対価にISコアの469Nを提供してもらってる。」
オレはISを展開する。
「気になるならIS繋げてコアの製造関連の情報を調べると良い。満足したらついでに仲直りとかしておくよろし」
「「アッハイ」」
「のほほんさん達は整備室の掃除しといて」
「理由あんまりわからないけど……わかったわ」
「よーし、がんばるぞー」
4人が動き始めたので通話を始める。
『もすもすひもねす?』
「オレだクソ兎」
『おー、ナオ君!どうしたの?束さんと気持ちいいことしたくなったとか?』
「今度後ろ穴に突っ込むのはスピリタスにしようか」
『ごめんごめん、ソレはさすがに私でもヤバいから。……んで、なんの用かな?』
「材料を複数個分……5つ分用意するからISコアを1つ発注したい」
『今丁度1つ完成してるのがあるから、【転移】で来るなら渡せるよ』
「話が早くて助かる」
『それはそれとして……したくなったから……ダメ?』
「今からは時間がない。……こっちの時間の21時までにケリつけて色々片付けるからその後転移でそっち行くで良いか?」
『オッケー。夜は三つ指ついて待ってるね♡』
「十年前の一件で恨みはあるが、今のオレがあるのはソレのおかげでもあるからな。正直複雑だよ、まったく。……それじゃ、直ぐ行く」
通話を切って振り返ると、すごく近い位置に4人がいた。
「……今から持ってくるから、無断外出について他言無用で頼みます」
「簪ちゃんのためなので、今回は見て見ぬふりするわね」
【是非もないよね!】という扇子を広げる楯無。
「私は何も見てませんよ。ええ」と虚さん。
「お姉ちゃんに同じく〜」とのほほんさん。
「……きょ、共犯者なんだから、私は直哉のどんな悪い事も見て見ぬふりするよ……♡」なんか悪の道に進めた手前言っちゃいけないけど、なんか変な扉開いてる気がする簪ちゃん。
まあとりあえずヨシ!(現場猫感)
オレは即座に【飛雷神の術】を発動した――。
――Side 更識楯無
ありのまま起こったことを話すと、氷室君が瞬間移動?をし、カップラーメンできる時間の間に戻ってきてISコアの『473N』を持ってきたわ。
……あるキャラの説明風に説明しようとしたけど、そこまで瞬間的じゃなかったわね。
「ところで番号の後ろのNは何を意味してるので?」
虚ちゃんが聞きたいことを先に聞いてくれたわ。
「オレ用の追加改修がされてるって証。まあ基本的に他のISと同じと思ってくれればいい」
なら大丈夫……かしら?
「ならこのコアは……申し訳ないけど返すことにするね」
「んで、返還するにあたってさ〜このメンバーで倉敷研に凸しない?」
……合法的に憂さ晴らしさせてくれるようね。
「楯無さんはお察しの通り簪ちゃんの姉兼更識家当主という親と身内のポジで、オレはISコアの受け渡し先という名目で、二人はそれぞれの主の付き人として同行できるはずだ」
「そして動くなら早いほうが良いと……」
虚の言葉に頷く直哉君。
「ということで簪ちゃん、連絡とアポイントメントよろしく」
「わ、わかった」
このあと3時に担当が受け付けできるとのことで、急いで書類の準備やら外泊の手続きを済ませて突撃を敢行したのよね。
正直とってもスッキリしたわね。
――Side 更識簪
場所はIS学園の第四整備室。
熨斗つけてISコアを返却したあと。
メンバーは出かける前と同じ5人。
「コレで簪ちゃんは日本代表候補生から外れ、【ISコア第二世代試験運用被験者】の1人と相成りました」
「コレ喜んでいい……んだよね?」
「今ネットで動画上がって、SNSとか掲示板とかニュースが大混乱してる時の人になってることについて、ストレスで胃がマッハしなければ?」
聞き捨てならないワードがたくさん聞こえた気がする。
「どういうこと?」
「向こうで確認してる間に『ならそれっぽいことでっち上げてよくない?あながち間違いでもないけど』ってなって、オレの連絡とともにあの駄兎がいくつかのサイトに匿名アカウントで【第二世代に相当するISコアを製作したことと、氷室直哉および更識簪をそのコア運用の被験者としたこと】を動画で本人出演の元公開したからね」
「その辺聞いてな……それらもひっくるめてフリーハンド出したんだね、あの時の私」
私の言葉に直哉は頷く。
手を取った時点でその辺りの許可も出したことにされてるようだ。
毒を食らわば皿までとはよく言ったものだろう。
「【手を出した場合加害者の背後関係徹底的に洗って報復を行うのでそのつもりで】……とも声明だしてますね。ISの生みの親で色々な実績もちノ声明は間違いなく抑止力になるでしょうね」
「……私もロシア代表辞めてそっちに移ろうかしら」
「簪ちゃんの窓口兼盾として鎮静化するまでだめです」
「デスヨネー」
お姉ちゃんの自然な表情……久しぶりに見た気がする。
……そういえば代表候補生じゃなくなったけど、クラス代表……どうしようかな……。
――Side ???
「くそっ!どうなってるんだ!」
ゴミ箱が蹴り飛ばされる。
「更識簪とオレより先に仲良くなってるとかふざけるなよ!あいつにヘイト押し付けてオレが優しくしてコロッと落ちさせてついでに楯無も落としてハーレムの一員にする予定だったのによ!」
「あの腐れ畜生風情が……!前世と違いエリートの生まれで努力もしてきたボクが何故袖にされてあいつがモテるんだよ!くそっ!才能チートと魅力チート、イケメン補正もあってココに来るまでそこそこの女なら取っ替え引っ替えできたのに……畜生!!」
机に置いてあった花瓶を床に叩きつけてから、フーッ、フーッっと息を吐いてから続ける。
「……まあいい。オルコットやデュノアのような金も権力もある雌なら他にも居る。黒い蠍を使って二人の兄を消してでも嫡男に登りつめたんだ。僕なら2人たらしこんで都合のいい奴隷に仕込むことくらいワケがないはずだ……!」
今更登場人物紹介
天上院のか夫
曽祖父から父まで3代総理大臣を輩出する名門天上院家の嫡男。
兄が2人居たが事故や無差別殺人などでどちらも亡くなっている。
テロリストの【黒い蠍】と繋がっており、使用人の一部が彼らの息がかかった者のため、繋がりについては隠されている模様。
実は前世持ち(インフィニット・ストラトスについてはかなりにわか)で転生時にカオスな邪神にチートをいくつか貰っている。
なおチートや補正について、邪神からは説明されてない模様。
所有チート
才能チート【18歳になるまでの間勉強などがすぐに覚えられる】
魅力チート【本人の善性と善なる行動に応じてプラスの補正がかかる、死刑級の犯罪をやらかしていると全ての行動に魅力デバフがかかる】
イケメン補正【女性にモテる行動に補正がほんの少しかかる。魅力チートが発動中は補正率が大幅に上昇する】
次回予告
アリーナに集う3人のクラス代表候補生。
氷室は呑気に自前のポップコーンを販売する自由人ぶりを発揮!
彼らのバトルの結果は一体――!?
次回 インフィニット・ストラトス+3-1
第七話『クラス代表決定戦』
※予告内容は変更される可能性があります。
高評価、感想大歓迎!
次回もまた見てね!