総力戦編 第13話です、お楽しみください
『番組の途中ですがクロノス報道部より臨時ニュースです!
先ほどカイザーコーポレーションが運営するアビドスカジノ、宿屋の地下室へ【覆面水着団】を名乗る者達が強盗に入った模様です!
詳細はまだ入っておりませんがカジノには10億を超える金銭が保管されているという噂もあり…
いやぁ私もあやかりたいですね!
勢いのままに次のニュースです!ミレニアムサイエンススクールが開発している有人仕様型超巨大決戦兵器【サージタウス】の起動実験が近々行われると…え?放送妨害?
カイザーが作ってるくっだらないエンタメよりこっちの方が視聴率とれるでしょ…あ、あー!離してください!私にはこの情報を発信する義務が──あー!』
始まりましたか、想定より遅かったですね
用済みとなったアビドスカジノ『宿屋の地下室』もこれでカタがつきます
元理事も現場に戻ってるでしょうし…ええ、カジノと一緒に消えてもらいましょう♪
サージタウス格納庫にて望み通りの情報が流れてきたことに一安心
特に見たい番組があるわけでもないのでテレビを切って見回りに戻る
「ちょっと一息…ぐびぐび…ん?なぁこのコーヒー、味がしないんだぞ…?」
「ウタハさん、それは整備用のオイルです。狂ってないで作業をしてください」
「ウタハ先輩、あと少しなんで頑張ってください。私も頑張りますから」
「ありがとうございますハレさん、ですがあなたが一生懸命打ち込んでいるのはキーボードではなく差し入れのモナカです。パソコンはこっち」
「あれー…?」
既に限界突破しているエンジニア部とヴェリタスを追い立てつつミセス・アバンギャルド──リオさんに進歩を確認。
「…で、どうです?」
「特に問題無いわ、こちらでもミスチェックはしているけど確認できない。流石ね」
・・・これでミスが無いってどうなってるんですかね?休ませる必要が無いのはラッキーですが
「いや悪魔ですかあなた達は!?チヒロ!エンジニア部も!こんなことやらなくていいから全員休みなさい!」
怒鳴り散らしながらヒマリさんが入ってくるが知ったことではない、むしろこれはウタハさん達が望んだことだ
「あう、いや、いいんですヒマリ部長…これは完成させないと…」
「そうだ…そもそもこんな大きなプロジェクト…私たちだけじゃひっくり返ってもできなかった…
も、もし完成させることができれば…トリニティとゲヘナ、双方の信用と資金援助が手に入るんだ…
そうなればサージタウス以外の開発だって思いのままに…それを考えるだけで──ふふふ、嬉しい…嬉しいなぁ、ふひははっ、あはははっ、うひゃはははは!!」
ふーむ、小切手を渡したあの日から誰も寝ていないと聞いていましたが意外と頑丈ですねぇ、キヴォトスのヒト達って。
「こ、こんなバカな…!」
左右の瞳がそれぞれ別の方向を見始めている彼女達に若干怯えながらも騒ぎ立てるヒマリさん、流石にうるさいのでリオさんに車椅子の電源を切ってもらいトキさんに回収依頼。
去り際にまた喚いていましたがリオさんの
『本人達が望んでいるのなら応援すべきでは?』という曇りのない瞳に焼かれて消えていった
エリドゥの一件から変わりはしましたが常識はズレたままですねこの人。こちらとしては都合がいいので助かりますが
ピリリリッ
電話…
「少し出てきます」
「ええ、こっちは任せて」
リオさんにその場を任せ、一旦格納庫の外へ
シロコさん…にしては早すぎますね?相手は──黒服さん?
カジノでの会合以降、まるで避けられているように──いえ実際に避けられている。不気味に微笑む爆弾岩を冒険者達が避けるように。
そんな彼がいったい何の用でしょう?
「…もしもし?」
『………』
──この相手は
「彼ではありませんね、誰です?」
『………』
「ワタクシも忙しいんです、イタズラならもっとかわいそうな人にやりなさい
もしくは《おしおき》でもしてあげましょうか?」
淡い死の力を手の平へと集中させながらそこを見る。
アウルの視線は既に手元には無く、その注意が払われているのは一見何もない場所。
「………やれやれ、こんなもの使わずに直接話したらどうですか」
ほぼほぼ必要無いと確信してはいたものの万が一を考えて準備をしていた死の呪文。結果から言って解き放たれることは無かった
「──初めまして、私はゴルゴンダと申します」
ぬるりと現れたのは背を向けた肖像画を持つ首のない男。
その異質さから一目で黒服と同類とまでは分かったがそんな彼らが自分に何の用だろうか
「背を向けた状態での挨拶となる無礼をお許しください、わたくしにはこれ以外の方法がありませんので」
「別になんとも思ってませんよ。で?あなた達は何の用でワタクシの元に?
正直ゲマトリアから嫌われていると思ってましたが」
「嫌悪してはいません、黒服は知りませんが少なくとも私はギュメイ先生や梔子ユメより貴女に興味がある」
「まあそういうこった!」
うわ、うるさっ
「ああ失礼、こちらはわたくしの身体を代行してくれている『デカルコマニー』です」
「はぁ、どうも」
ベクセリアにいた時に作った
「わたくしたちは言うなれば、お互いにお互いが『虚像』と『非実在』を象徴する相棒であり、記号なのです」
「記号?」
「はい。全ての記号がそうであるように、デカルコマニーと私もまた、自らによってのみ存在することは叶いません。いつ何時も記号というものは、その中に解釈によって導き出される『テクスト』を含んでいるのです。」
「………小難しい話は苦手なんですが」
「いいえ、貴女は既に理解している
貴女という記号は1つだけだがそれを観測し、解釈する存在の数だけ貴女のテクストが存在する
故に貴女が鳥山アウルという人間だとしても、ある観測者にとって鳥山アウルは存在しないかもしれない」
「そういうこった!」
「………」
…現キヴォトスにて鳥山アウルが元帝国軍第二将と知っているのはサクラコさんとギュメイさん、ナギサさんに…そして勝手な覗き見をしたセイアさんのみ。
セイアさんが誰かに話した可能性も無くはないですが…ゲマトリアは知らないはず。
『探り』か、あるいはただの『おしゃべり』か
どちらにせよこちらから伝えることは何もない
「ええそうです、これはわたくしたちだけの問題ではない。なにせ存在するものはことごとく記号なのですから
それこそがわたくしとデカルコマニーが見ている『世界』の在り方…」
「…自己紹介のためだけにここに来たと言うのならそろそろお帰り願いたいんですが…
その『問題』の中にワタクシ──いえ、この地が含まれていると?」
「その通りです、今海からこの地に向けて『記号』の変種が近づいて来ている
ここを目指しているのか、はたまた別の場所を目指しているのか、そもそも目的地など無いのか、それは分かりませんが」
「………」
元カイザー兵を使った警戒網はキヴォトス全域に浅く広く、張り巡らせている
が、流石に海上までは把握できていない
例の鯨の魔物…ならここまで大袈裟にするとは思えない、とするとそれとは違う何かが…?
「パロディ、オマージュ…まぁそういったものとも思えるかもしれませんがそれだけではありません。
言うなればこれは現代の都市伝説、怪談…あるいは俗に『クリーピーパスタ』と呼ばれる、本来無意味なお話が自ら『崇高』の境地へと至った非常に稀なケースなのです」
「…ただのホラ話が、いつの間にか自分で意味と存在を獲得したとでも?」
「いえ、そうではありません。ですが方向性自体は合っています。
要すれば『神秘』も『恐怖』も無いままに胎動した新たな『崇高』…無限に繰り返される中で偶然に意味を孕んで誕生した、稀有なテクストを持ちうる記号のはずだった」
…うん?
「はずだった?」
「………奇跡とも呼べる崇高の誕生はそれで終わらなかった
この世界だけで完結したはずの記号とテクストに、後から紛れた異物。
私たちにはまだ解読できない、それはキヴォトスの外にも中にも無かったものでしたので」
「そういうこった!」
「故に私は貴女と会えたことを嬉しく思う。かの記号から私たちには見えなかったテクストを読み取るやもしれないのだから」
「………」
終わった後で答えを聞きたい。そう言って2人の奇妙な男たちは消えていった
「──やれやれ、終始意味不明でしたね」
理解不能というより理解するのが面倒なだけだがそんな彼女も1発で理解できる連絡が届く
ピリリリッ…
…リンさんからですか
「…ギュメイさんが戻ってくるまで、適当に済ませるわけには行かなそうですねぇ」
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◆ クロノス報道部より臨時ニュース。
トリニティ自治区内の海岸から30㎞ほど沖に謎の巨大不明生物が出現。
ゲルニックのパートナーは決まってない方が味が出ると思っている作者のルルザムートです、ハイ。
今更ながら登場しているガナン三将軍にはそれぞれ『よく一緒にいる生徒』を決めています
ギュメイならユメ、ゴレオンならチェリノもしくはアケミと言った感じに。
ただゲルニックにはその固定のパートナーというのをこの先も作らないようにしようかな、と思っています
もちろんパートナーやコンビを作らないわけではなく、場合によってギュメイ以上に色んな生徒、組織、大人と絡みを作ろうかと。
関わる人間の数だけ鳥山アウルという顔の見え方が増やせるのでね、ヒッヒッヒ…
それではまた明日…