総力戦編 第17話です、お楽しみください
「スピーカーの音量を最大に…!──今地上で戦っている人はみんな退がって!ここからは私が戦う!」
『よし、聞いたなお前ら?来たばかりだが退がるぞ、おい便利屋!お前らも来い!』
意外とあっさりネル先輩が退いてくれたおかげで他のC&Cメンバーやゲヘナ生も下がってくれた、これならすぐに全力が出せる!
花岡ユズを乗せ、ついに稼働し始めたサージタウス。それまでただ歩くだけだった黒い怪獣はその機神を前にした瞬間、初めて脅威となる存在を認識した!
『…………』ビカッ
「っ!」
ペロロジラの目から放たれた光線を飛び退いて回避し、側面から超速の連射矢によって反撃。
一瞬よろめいたものの、やはり通常兵器では効果が薄い…
「っ、武装変更!【シャイニングボウ】チャージ!」
まるで映画のスパイがセキュリティビームを避けるようにペロロジラの光線を回避しながら弓矢を装填。
装填が終わると同時に地上を丸ごと薙ぎ払う勢いで放たれた光線を跳躍で更に回避、排熱により無防備になった背部を捉えた!
「っ【シャイニングボウ】!」
内部電源を消費して装填された光の弓矢群が爆裂し、黒い肉片がボトボトと降り注ぐ
当然それらもミニペロロジラとなって復活していくがパイロットは見逃さない!
「──────」ガチャガチャガチャガチャ…
四方八方に飛び散るそれらが動き出すより早く迅速に処理。
本体とは違い、ミニペロロジラは通常兵器で倒せることは聞いていた
これなら行ける
数えるのが面倒になるほど蠢いていた小さな怪獣達は台風のように叩きつけられる弓矢の嵐によって削り取られていき、何もできないまま消滅していく…
無数に飛び散ったそれらは本来とても1人で対処できるようなものではない。
だがサージタウスの巨大兵器にあるまじき機動力と、それを十全に発揮させたパイロットの天才的手腕が不可能をひっくり返した!
『ザザッ…ユズ聞いて!その機体、サージタウスは巨大ロボットでありながらひたすらスピードと攻撃範囲を突き詰めた言わばスピードアタッカーだよ!
でもその代わり装甲が脆いから1発も喰らっちゃダメ…ようはアレ、超速超火力の紙耐久キャラ!』
『お姉ちゃん言うのが遅いよ!っていうか伝えてなかったの!?』
「いいよ、大丈夫。それより矢が無くなりそうだから矢の輸送機を回してほしい」
確かに初めて知ったが特にやる事は変わらない、わざわざ攻撃を喰らうメリットなんて無いんだから全部避けて全部当てればそれでいい
『あ!矢…ええと【たけ】?リオ先輩、これなんて読むんだっけ?』
『それは【
『分かった、ユズ!予備の矢筒を投下するよ、受け取って!』
リオの寄越した輸送機から投下された矢筒をキャッチし更に追撃、補助腕に取り付けられた専用大型弩へ装填。
『!!』ビカッ
させるものかと装填中の機神を焼き尽くそうと排熱を終えぬまま光線を放とうとするペロロジラ
だが鈍重極まる怪獣の攻撃は1発も当たる事なく、逆に武装装填を終えた機神の連射によって針山と化していく
はたから見れば圧倒的、かつ一方的な戦いだが本来サージタウスはエンジニア部とヴェリタスが広域・集団戦を想定して建造された高速機動兵器である。
先ほどモモイが言ったように、攻撃速度と機動力を突き詰めているこの機体にペロロジラの攻撃を耐える装甲はなく、同時にペロロジラを一撃で屠れる火力も無い
1発の被弾が即大破に繋がってもおかしくない戦いであることはユズ自身言われる前から気付いていた
その上で動揺も焦りも無い。部室でやるゲームと同じように【差し込み】と【差し返し】を完璧に繰り返し、【
竜の勇者が駆けつけるまで──
▽▲▽▲▽
ピリリリリッ
「…ティーパーティホスト、桐藤ナギサです」
『ナギサさま──うっ、わ…!?な、ナギサ様!あのサージタウスとかいう巨大兵器、トリニティ自治区の中を!?』
「了承してあります、住民も避難済みですので問題ありません」
『しかしこのままでは自治区がメチャクチャに…』
「いずれにせよペロロジラは倒さねばなりません、復興と補填は目処は立っています。口出し無用です」
『わ、分かりました…』
「キキ、非常事態にも関わらず土地の心配か。流石、立派なお嬢様方だな」
「ええ、ごもっともです。これは正すべきでしょうね」
【ルーラ】
「円滑な業務を、とお願いしたはずですが…次ナギサ様に食ってかかれば追い出しますよ」
「キ、それは困る。反省するとしよう」
やれやれまったく…
「それでミドリさん、状況は?」
ひとまずサクラコさんを誤解してそうな目撃者達の記憶を軽く弄り、エリドゥへ帰還。
モニターの前で大はしゃぎしているモモイさんは役に立ちそうに無いのでミドリさんに現状を確認する
「えっと、ユズ──サージタウスの?」
「いえ、主力のほうです。光の剣の電力充填はどうなってますか?」
「ええと…指定の値まであと15%、になってます。完了予測時間は4分20秒!」
「そうですか、ありがとうございます」
ふむ、上々。サージタウスの性能とユズさんの適正が想定を大きく超えて高い…
まさか単騎でここまでやるとは思っていませんでした
「これならアビドス組を呼び出す必要は無──うん?ミドリさん、チアキさんでもいいんですがどなたかここでアビドスの生徒を見ませんでしたか?」
「え?見てないですけど…チアキさんは?」
「見てないです!…呼ばれたんですか?」
「……………」
…アビドスカジノにはユメさんを除いたアビドス生全員が襲撃をかけている。元理事の部隊がいたところで止めるどころか時間稼ぎも難しいはず
故に強盗が終われば即こちらに合流するようシロコさんに指示を出しました、ペロロジラという未知の脅威を相手にしている今戦力は少しでも多く固めておきたい
「それなのに合流どころか報告も無しとは、いったいなにを手間取っているのです、アナタ達は…」
▽▲▽▲▽
同時刻
アビドスカジノ【宿屋の地下室】
地下金庫にて…
▽▲▽▲▽
ギャリンッ
「うぐぅっ…!シロコちゃん…お願いだから目を覚まして…!」
金庫の隅でぐったりとして動かないシロコに何度も呼びかけるが吹き飛んだ時に頭を打ったのか反応がない
「ホシノ先輩!遅すぎ…って、なにあれ…!?」
「セリカちゃん!シロコちゃんを連れて逃げてっ!」
剣士の猛攻をなんとかいなしつつ、それまで防戦一方だったところを半ば強引に前へと踏み込み攻勢に転じる
【さみだれ斬り】
ズバッ…
「!!! っア"…!」
壁のように押し寄せる8連の剣撃を防ぎきれず、うち一刀が脇腹を斬り抉った
ぐ、痛い…なんとか内臓には届いていないけど…!
「ホシノ先輩っ!?このっ、やめろ!」
「っ、いいからシロコちゃんを連れてさっさと消えて!邪魔なの!!これ以上守りきれない!」
怒りと焦りで顔をぐしゃぐしゃにしながらもシロコを担いでセリカは撤退。これでようやく──
『………これでようやく仲間を気にせず戦える、か?』
「…!」
『私としても全力を出させぬまま戦うのは本意ではない、魔剣と違い今の私は戦う事でしか相手を推し量れぬ』
「──まさか今まで手加減していたとでも?」
『いや、そんな余裕は無い。今まだ私が死んでいないのは奇跡と気力が合わさった結果ゆえ、加減のつもりはなかった』
離断した左腕の止血布を縛り直しながら隻眼の剣士はそんなことを宣う
戦い始める前から満身創痍なはずの男は『自分はもうすぐ死ぬ』と言っておきながらそんな兆候はまるで見られない
「なん、なんだ」
なんなんだ、こいつは…!
「お前は!お前はいったいなんなんだ!?」
『ゴホッ…同じことを何度言わせる?』
私は【腕】だ
Ⅸリメイクがあるのならば地下の彼らの掘り下げもしてほしいと思っている作者のルルザムートです、ハイ。
総力戦編もそろそろ終わりが近づいてきました、とはいえもう少し続きますが…
最近カルバノグ編書くために読み返してますがミヤコ…そういえばメチャクチャ嫌いオーラ出してたねアナタ…