ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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色彩の情報自体そこまで公開されてないのでいずれ矛盾点が発生するかもしれない恐怖。
総力戦編 第21話です、お楽しみください


『恐怖』に染まる女王

『いやぁびっくりびっくり、あんな大きな物にバシルーラをかけたことなんて無かったけど上手くいってよかったねぇ

ただこれで助かったかどうかは分からないよ?』

「軽口叩くヒマがあるなら賢者らしく何か考えなさい」

 

 

 

隣で浮いている本の中から聞こえる眠気の混じった軽薄そうな声に頭を抱える

…ペロロジラに捕縛されたサージタウスは彼の機転によってなんとかパイロットごとエリドゥに戻ってきましたが…やれやれ

 

大破したサージタウスから無理やりパイロットコアを摘出し、花岡ユズを救出したまではよかった。だが状況は良くない…というより最悪である

 

 

 

「ユズ!ユズ!り、リオ先輩…ユズは…?」

「……………分からない」

「分からないって…治るん、だよね?」

「……………」

 

 

 

リオがアリスを拉致した時に使っていた隔離室の中で荒い呼吸を繰り返すユズ。

赤かった髪は真っ黒に変色し、ヘイローも同様にドス黒いものへと変質している

 

お子様たちにヘイローは見えていないようですが…

 

 

 

「…入りますよ」

「! 待ちなさい、危険よ!今のユズはペロロジラと同質の何かが「だからワタクシが直接調べると言ってるんですよ」

 

制止しようとするリオさんを振り切って隔離室の中へ。

 

…お子サマたちへの影響を考えてワタクシ自らユズさんをここまで運びましたがその判断はきっと間違っていないでしょう

直感ですがヘイローを持つ人間を今のユズさんと会わせてはならない

 

 

 

「ほら賢者さん、ここにいる以上は協力してもらいますよ」

『もちろんさ。…うーん、呪いでも毒でも病気でもないね』

「そんなのはワタクシも分かってます」

 

 

 

重要なのは彼女の身体を蝕んでいるものがいったいなんなのか、だ

こんなもの見たことがない…

 

 

 

「──『色彩』」

 

 

 

ふと、そこにいないはずの第三者の声がした

とはいえこれは知っている声。なぜここに?等の疑問を挟むことなく続きを促す

 

 

 

「このタイミングで出てくるということは…コレがなんなのか知っていると?」

『? 誰だい、彼?』

 

「ええまぁ…いえ、もっと早く気付くべきでした。アレの襲来はシャーレ側はもちろんのこと私たちゲマトリアにとっても脅威なのですから」

 

 

 

会う度にあげていたノック音のような笑い声もなりを潜め、淡々と説明を始める黒服

 

ひび割れた顔面から表情は読み取れませんが…ええ、少なくともガナサダイやカヤさんとグルでは無いでしょう

普段の彼なら喋る古本なんて放っておくハズありませんからね

 

 

 

『ひどいなぁ、無視しないでおくれよ』

「あなたには大変興味がありますが今は時間がありませんので…」

 

「そういうことですので黙っててください

…それで?色彩とは?」

 

能天気な大賢者をはたき落として黙らせる

今はこの(クズ)に付き合っている場合ではない

 

 

 

「──我々ゲマトリアやあなた方と同じキヴォトスの外の存在、あらゆる解釈や理解を受け付けない不吉の光…

『神秘』を『恐怖』へと反転させる力を持つと推測される『何か』…現時点で我々が分かっているのはこれだけです」

「……………」

 

 

 

まぁ情報が少ないのはこの際いい、色彩とやらを潰さなければ彼らも大ピンチというのは伝わってきました

ではここで色彩以外の情報を要求しましょうか

 

 

 

「では仮に神秘が反転したとして、その影響は?」

「未知数です、それを知るために私は小鳥遊ホシノを手に入れようとしていましたが…

彼女に行おうとした実験が歪な形で今そちらの──花岡ユズに行使されてしまった」

 

 

 

サージタウスごとペロロジラに捕縛された時ですか、リオさんたちは解析できないと言っていましたがあの力が『恐怖』…?

 

仮に恐怖でないとしても色彩ペロロジラが何かしらの痕跡をユズさんに残したことは間違いない

 

事実それまであっちへこっちへフラフラと歩くだけだったペロロジラはまっすぐエリドゥへ向かってきている、明らかに意思のある行動だ

 

 

 

「私は軍師でも指揮官でもありませんので、私の知る事実だけをお伝えしておきます

 

まずペロロジラを纏った色彩ですが…あれはおそらく入れ物が無ければ完全顕現はできないのではと推測されます

本来アレはどこにでも現れる災害のようなもの、瞬きの間に別地点へ移動したとしてもおかしくはないのです

 

だがわざわざ鈍重なペロロジラという肉体を使っているということは…色彩単独での顕現は現時点、まだできない

 

さっきの戦闘で色彩は花岡ユズを新しい寄生先に選んだのでしょう、じっさいにペロロジラはこのエリドゥに向かってきている

 

そして花岡ユズは…見立てでは1時間前後で自身の神秘の全てを『恐怖』に反転されテラー化します

 

そうなった場合、彼女がどう変質するかは分かりませんがおそらくペロロジラを目指して移動を始めるはずです

邪魔する者がいれば攻撃するでしょう」

 

 

 

「・・・一応聞いておきますがテラー化した生徒を元に戻す方法はありますか?」

 

「反転し切る前なら…ペロロジラという器を壊し、色彩を世界の外に追い出せば元には戻るでしょう

 

しかし完全にテラー化してしまえば終わりです、例え色彩を撃退できたとしても『選択』を迫られる」

 

「ともすればテラー化した生徒を治療することはできなくとも殺すことはできるのですね?

ふむ、それを聞いて安心しました」

 

 

 

テラー化というのがどういうものかは分かりませんが『反転』というからには元々あった力より大きく増大することは考えにくい

最悪間に合わなかったとしても殺して解決することが分かれば充分です

 

 

 

「──やはりあなたは容赦がありませんね、ガナン帝国将校ゲルニック」

「アナタがそれ言います?ま、褒め言葉として受け取っておきますよ」

 

 

 

ともかく今差し迫った脅威の再確認。

1つ、ここエリドゥを目指して侵攻中のペロロジラ…の皮に隠れた色彩。

2つ、テラー化が進んでいる花岡ユズ。

 

 

 

「あとはシャーレとミレニアムでなんとかします、監視カメラを欺くのもそろそろ限界でしょう?黒服さんはここでお帰りください」

「ク、そうさせてもらいますよ」

 

 

 

影に溶けるように消えていった黒服を見送──いや

「待ってください、1つ言っておくことが」

「? なんでしょう」

 

 

 

…手元の端末を確認するがやはり報告が無い、いよいよ何か想定外なことがあったのだろうが今そちらに戦力は回せない

故に少し、彼に働いてもらいましょう

 

 

 

「…現在小鳥遊ホシノを含めたアビドス生達が用済みとなった例のカジノに襲撃をかけています

ですが襲撃終了予測時刻を大きく超えてなお誰1人として報告が来ていません」

「それで?」

 

「いいえ?ただの情報共有ですよ、見に行くのも行かないのもアナタ次第…

──では、今度こそおさらばです」

 

 

 

少々意地が悪い言い方ですがこれなら彼は確実にカジノへ様子を見に行くでしょう

改めて黒服と別れ、さっき叩きつけた大賢者を拾って隔離室の外へ。

 

「だ、大丈夫!?部屋の中まったく見えなくなってたけど…」

「ええこの通り…それよりも人を集めてください。…ペロロジラ撃退のために必要な情報を通達します」




寝ぼけたゲルニックにフクロウと間違えて頭を撫でられたい作者のルルザムートです、ハイ。
そもそも色彩ってなんなんでしょうね…?台風や地震みたいな災害の類かと思ってましたが本編の黒服のセリフから意思があるっぽい?ですし

それではまた明日…
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