ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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前話の後書きに書いた神の一部についてですが興味深い情報をメッセージでいただきました

そしてそれによると神のどの部位であるか?それについて明言されていたのはレパルド、アウルート、ハヌマーンの3体に加えてブラッドナイトの計4体だったそうです
ブラッドナイトはまんますぎてそこまで詳しく調べて無かったのでこの情報は助かりました!
もう一度Ⅸ引っ張り出して【見破る】打ちまくるかな…

総力戦編 第30話です、お楽しみください


【はじめまして、私は…】

広さは学校の教室と比べ2倍弱、高さは6、7メートルある天井、そのスペースがあっても尚収まりきらないほど所狭しと並べられていた宝物や現金は戦いの余波で既に吹き飛び、残ったのは何もない殺し合いの場だけ。

 

剣技と鉛が飛び交い、交差し、肉薄するこの状況で隻腕の剣士は小さく呟いた

 

 

 

『強い』

 

 

 

バラバラの記憶を繋ぎ合わせたところであまり多くは思い出せないが…それでも確信できる

キヴォトスに存在する光輪を持つ子供、その中でもこの桃髪の少女は群を抜いて強い

 

 

 

「だああああっ!!」

『…【マヒャド斬り】

 

 

 

欠損した左腕と左目側に回り込もうとする少女をマヒャド斬りによって発生した氷塊で牽制。並の相手ならこの牽制で氷漬けになり、経験を積んだ戦士でも反撃は取れない一撃。

 

──ところが少女は逆に距離を詰めてきた。私と氷塊の板挟みになるのも構わず強引に互いの射程圏となり得る距離に踏み込んでくる

 

左右で色の違う瞳と散弾銃のサイト越しに目が合う刹那。鉛が放たれるより早く少女の銃を斬り上げて弾き飛ばし、返す刀で首を バッ

 

 

 

『っ!?』

 

 

 

丸腰になったはずの少女の手から放たれたのは──砕かれた氷の散弾。

寸前にこちらが放ったマヒャド斬りの氷塊を砕いて片手に隠し持っていたのだ

 

ダメージなど無いに等しいが残った右目を庇ったせいで剣が鈍ってしまった

首を吹き飛ばす勢いで振り抜いた刀は虚空を切り、逆に少女は一瞬無防備になった私の身体を踏み台に跳躍。弾き飛ばしたはずの散弾銃を空中でしっかりと受け止めて──

 

 

 

『く…!』

「くらえッ!!」

 

 

 

前方にはこちらを見下ろす少女、背後には先ほど放ったマヒャド斬りの氷塊。後ろには下がれない、左右どちらに回避したところで拡散する弾丸は避けきれず、追撃が来るだろう。

ならば。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

こちらも跳躍し、空中で身動きの取れない少女を逆に追い詰める

一瞬動揺の色を見せたが一切怯む事なく引き金にかかる指に力を込めて

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

撃たれた散弾から刀を握る右腕と頭部だけは守り、次弾発射を許さず刀を一閃。

鉛の雨の殆どは左脇腹に突き刺さったが覚悟の上で振られた刀は衰えない

 

 

 

「あがっ…!」

 

 

 

振り抜いた軌跡通りに一瞬遅れて少女の身体が斜めに裂けて──む。

「いっ…たいなぁ…!」

 

左肩から右脇腹目掛けて真っ二つにする斬撃を受けたはずの少女は悪態をつきながらも両の足で着地。多少肉が切れているようだが致命傷には届いていないようだ

 

 

 

『はー…はー………先の、氷といい…器用だ

あの一瞬で、2発目の射撃を諦めて銃を盾にした

その判断がなければ今ので終わっていた』

「あなた何者なの…!?なんでギュメイ先生と同じ姿を…!」

 

『先も言った。私はレパルド…そして神の腕…

──【火炎斬り】

「ぎっ…!」

『っ、【さみだれ斬り】!』

 

 

 

炎を煙幕代わりに解き放ち、自身の身体が焼けるのも構わずその中を突進。怯んだ少女目掛けて斬撃の雨。

 

隻腕の剣神から放たれるさみだれ斬りをなんとかいなし、避け、防ごうとするも少女は守り切れず着々とダメージを受けていく

 

 

 

あと、一歩── ドクン

 

 

 

『ッ!?がふっ…!ゴホッゲホッ…!』

 

 

 

喉の奥から迫り上がる強烈な吐き気と鉄の匂い、食いしばった歯の隙間から溢れてこぼれる大量の血液とそれに比例して暗転しようとする意識。

傷が…!

 

 

 

ドンッ!

『………!!!』ギャリン!

 

 

 

さらにそこへ少女が追い討ちを掛けてくる。銃身に刀を叩き込んで狙いを逸らすがそれを分かっていたとばかりに回り込み、私に刺さった短剣を引き抜いてそれをそのまま腹部へと叩き込んでくる

 

 

 

『か……!!』

 

 

 

めり込む刃が残り少ない命を更に奪い去っていくが私が死ぬのはここではない。短剣が抜かれるより早く少女の小柄な身体を蹴り飛ばし、床に転がるそれの心臓目掛けてもう一太刀。

 

 

 

ギャリンッ

「うぐぅっ…!」

 

 

 

まただ、あと一歩のところで致命傷を避ける。振り下ろされた刀は散弾銃によってギリギリで止められており決定打になっていない

 

 

 

「シロコちゃん…お願いだから目を覚まして…!」

 

刀に対し、倒れたままギリギリと不利な押し合いをする少女はどうやら部屋の隅で気を失っているシロコという名の少女を気にかけているらしい

…もし、あの少女がいなくなれば彼女は更なる力を見せてくれるのだろうか

 

『それなら──っ?』

【うん…あなたは、先生を助けてくれたから】

「…! でぇりゃあっ!!」

 

 

 

体躯に見合わぬ怪力で刀ごと押し戻され、またしても私と少女は最初と変わらぬ振り出しに戻る

 

いやそれよりも──なんだ、今のは、

ほんの一瞬、私の中に何かが…

 

 

 

「ホシノ先輩遅すぎ…って、なにあれ…!?」ギュメイ先生…?

「セリカちゃん!シロコちゃんを連れて逃げてっ!」

 

 

 

扉の陰から顔を出した子供に気を取られた少女へ、今度はこちらから仕掛けていく

今一瞬直りかけた記憶のかけらは再び壊れ、【ただのレパルド】から【魔剣神】へと戻った男は戦いへと意識を戻す

 

 

 

『【さみだれ斬り】』

 

 

 

「!!! っア"…!」

 

 

 

8連の斬撃の一刀が少女の脇腹を切り抉った

…だが倒れる気配は未だ無し

 

 

 

「ホシノ先輩っ!?このっ、やめろ!」

「っ、いいからシロコちゃんを連れてさっさと消えて!邪魔なの!!これ以上守り切れない!」

【それは違うよレパルド、私が言っても説得力は無いけど…】

 

 

 

『……………』

──戦いの場には不要なものだ。それを持ち込むことはこの少女にも魔剣にも無礼にあたる。

この子供こそ次の剣神になるやもしれぬのなら、尚更。

 

 

 

『これでようやく仲間を気にせず戦える、か?』

「…!」

 

『私としても全力を出させぬまま戦うのは本意ではない、魔剣と違い今の私は戦う事でしか相手を推し量れぬ』

「──まさか今まで手加減していたとでも?」

 

『いや、そんな余裕は無い。今まだ私が死んでいないのは奇跡と気力が合わさった結果ゆえ、加減のつもりはなかった』

 

 

 

実際余裕はない、正直自分でもなぜこの身体でここまで戦えているのか理解できていない

世界に破壊と死を振り撒く…そのために死ぬわけにはいかない

 

──本当にそれだけか?

 

離断した左腕に巻かれた止血布、それを縛り直した時頭の中で【レパルド】が【剣神】に聞いた

…そうだ、きっとそれだけだ

 

 

 

「なん、なんだ…

お前は!お前はいったいなんなんだ!?」

『ゴホッ…同じことを何度言わせる?』

 

 

 

私は【腕】だ




結局30話越えたことに反省している作者のルルザムートです、ハイ。
いや、メインストーリーの対策委員会編が15話でキリがついてるのに何をこんな長々と…滝汗
次回31話で総力戦編は最終回として今章にケリを付けさせていただきます、いやホント…今までで1番長々やった上に肝心のギュメイが殆ど出ないってホントに申し訳ない…
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