ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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よりによって最終話の下書きが丸ごとブッ飛んでいたとかいう厄災。
昼間に気付いて書き直し始めましたがそれでも間に合わず…結果1時間の遅刻をしてしまいました、大変申し訳ない…

気を取り直して総力戦編最後の話。後書きにも書くと思いますがこれが終わったらカルバノグの兎…ではなくちょっとしたミニストーリー集(生徒絆ストーリーとかの)をやろうかな、と
ただ流石にメインストーリーをこれ以上放置もできないんでミニストーリー集は1週間で書き上げて投稿。それができなければそのままカルバノグの兎編の執筆に戻ろうかと思います

それでは総力戦編 最終話です、お楽しみください


【シロコ?】

計画は一応上手くはいってる。

ここに来た目的はカイザー元理事最後の蓄えを強奪、もしくは破壊すること

 

概ねそれは遂行できた。紙幣は焼け、宝物の類は切り刻まれている。一部の貴金属は資産として使えるだろうがPMC再起にはとても足りないだろう

 

あとはここから逃げるだけ。外の状況も気になるし、留まったところで不利になっていくだけだから一刻も早くここから離脱すべきだ

 

 

 

──だが、もし今

 

 

 

とんっ

 

 

 

「くそ…!」

『【しっぷう突き】』

 

 

 

コイツから目を離したら、その瞬間終わりだ…!

 

 

 

頭部を串刺しにしようとした超速の一撃を銃で逸らして回避。反撃の弾丸を叩き込もうとするがあと一歩で届かない

 

 

 

「はぁ…はぁ…いい加減にしてよ…」

 

 

 

満身創痍とは思えないほど軽く速い足捌きの剣士を相手にホシノも疲弊してきていた

 

どれか一撃でもまともに食らえば致命傷になり得る斬撃、それを全て捌きながらこちらも弾丸を撃ち込むがどれも決定打に届いていない

 

 

 

「…………」

 

そこそこ持ってきたはずの弾丸は残り4発、これで仕留められなければこっちの負けだ

 

『…………』チャキ…

 

あのレパルドとかいう男、さっきまで荒い呼吸を繰り返していたのにそれすら無くなった。既に呼吸も止まっているだろうし心臓も動いているか怪しい

 

しかし残る全ての弾丸を使い切って時間稼ぎをしても力尽きるかどうかは分の悪い賭けだと本能が告げている

 

 

 

現世にしがみつく亡者の執念…何に対しての執念なのかは分からないが今彼を生きながらえさせているのはそのとてつもない執念だ

 

もちろん気持ちひとつで不死になれるわけがない、いずれ絶えるものではあろうが…それがすぐに来るとはどうしても思えなかった

 

 

 

距離は…だいたい5メートルかな

「……………よし」

撃つべき場所は分かった、あとは──

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

1発目。距離を詰めつつ叩き込んだ散弾は余すとこなく斬撃の壁に叩き落とされる

 

2発目。刀の間合い、ギリギリの射程圏外から撃たれた散弾の端がレパルドの片耳を吹き飛ばした

 

3発目。横薙ぎの一刀をスライディングで股下へ回避しつつ、背後から射撃するが飛び退いて回避される

 

最後の4発目。空中のレパルド目掛けて散弾を叩き込んで『【一閃突き】』

 

 

 

──外れた。

身動きの取れない空中に張り付けたところをホシノは狙ったがレパルドは身体を捻り、天井に向けて槍のように刀を一閃。

 

内壁に一瞬突き刺さった刀を頼りに天井を足場代わりに踏み込んで床へと着地、4発目も回避した

 

 

 

『終わりだ』

 

 

 

どうやらこっちが弾切れなのを分かっていたらしい、ここぞとばかりに疾風のような速度で向かってくる剣士に──私はアサルトライフルを叩き込む

 

 

 

『っ!?ぐ、【さみだれ斬り】!

 

 

 

シロコちゃんが気絶してから意図的に端には寄らないようにしていた。だからアサルトライフルの存在には気付いていないと踏んでいたし、その上でこの不意打ちをぶつけたが…それでも尚防がれた

 

 

 

「はっ、はっ…本当に、しつこいな…」

『どうした…ごぼっ、まだ終わっていないぞ…』

「だろう、ね」

 

 

 

ちょっと血を流しすぎた。ギュメイ先生なら無事でも自分の体躯ではこの出血量は致命的だ、正直もう立つ力が残ってない

 

──しかしこの時点で賭けには()()()()()()()()

あと、もうひと勝負

 

既にほとんど空になったポーチから弾倉を取り出す。

もちろんレパルドも黙っておらず、阻止の姿勢を見せて向かってくる

 

 

 

弾倉交換が終わるよりレパルドの接近の方が速い。リロードは間に合わない。

…だがそれでいい、そもそも散弾は全て使い切ったしアサルトライフルの弾など最初から持っていない。この弾倉は空っぽで、交換など意味の無いことなのだから

 

 

 

──ダダダダッ!

 

『ブバッ…!?……な……!は………』

 

 

 

シロコちゃんが落としていったのはアサルトライフルともう一つ、彼女がよく使っていた無人機──ドローンだった

 

無人機の存在を知らないことに賭けてひっそりと宝物の残骸、その陰を飛ばしてレパルドの背後に飛ばしていた

今彼を背後から蜂の巣にしたのはまさにそのドローンである

 

 

 

『………ッ!!』

 

 

 

掃射を受けて真っ赤な斑点模様がついた身体が大きく揺らぐ

 

お願いだからこれで倒れて…!

 

もうこれ以上の手札は残っていない、弾丸も体力も使い果たした。これで終わってくれないと本当に──

 

 

 

【稲妻斬り】

 

 

 

「なっ…」

崩れかけた身体を持ち直した剣士がドローンを両断。とても死に体とは思えない目つきでこちらを睨みつけ──

 

 

 

『────!!!』ブンッ

 

 

 

直後声にならない叫びと共にレパルドが刀を投擲。魔剣は既に力を使い果たして動けないホシノの腹部をあっさりと貫いた

 

 

 

「うっ…ぐ、えっ…!?」

《ちょっと痛い》で済む弾丸とは段違いの痛み。貫いた刀身の先が壁か床に当たったのかその振動が時間差で2度目の激痛を生み出して…

 

 

 

「うああ…!!ぐ、し、シロコちゃん…みんな…!」

この一撃はまずい…!まさか刀を投げるなんて…!

 

 

 

『お前は…その剣に触れて、何も感じないのか』

「あぐぅっ…!まだ、喋る力があるの…!?」

 

 

 

こっちは喋ってる余裕なんて無い、下手に引き抜けば失血死するがそれは刺されたままでも同じ事だ、早くなんとかしないと本当に…!

 

 

 

「ホシノさん」

「…っ!?」

死の危険が迫る中で、1番聞きたく無い声が入口から聞こえた

 

「…っ!?黒、服…!?こんな、時に…!」

「喋らないでください、ひとまず応急処置を。」

そう言って身体に触れようとする黒服の腕を払いのける

 

 

 

「黙れ…!信用できるか!お前の助けなんか…!」

「…そこは信じていただくほかありません。我々としてもキヴォトス最高の神秘であるあなたに死なれては困るのです

それに今のあなたはこの異常事態唯一の生き証人でもある。

一切の見返りは求めないとギュメイ先生に誓いましょう。ですから、どうか…」

「……………」

 

 

 

…ギュメイ先生のことだ、もし黒服が私を害するようなことをすればコイツを斬りに来るのは間違いない

 

「………分かった、だけど私…たちはお前達ゲマトリアに何も渡さないぞ…!」

「それで構いません。…刀を抜きます、覚悟を」

「っ!!!くぅ…」

 

 

 

ずるりと引き抜かれた刀。留めるものが無くなった傷口から血が溢れかけたが…黒服が手をかざすと出血が和らいだ

…これもコイツらの『実験』の成果だと思うと腑が煮え繰り返りそうだ

 

 

 

『──魔剣は…創造神の、欠片…やはり、世界を超えて資格を持つ者は、いない、のか…?』

「「!!」」

 

あいつまだ…!

 

打ち捨てられた刀を拾い上げたレパルドがいつの間にかすぐ近くまで迫っている

黒服も身構えているところを見ると仲間というわけではないようだが…

 

 

 

「………ホシノさん、30秒…いえ15秒、今の身体で走れますか?

これ以上彼と戦う必要はありません。外に出れば『翼』を使って私の本拠に戻れる。そこで適切な治療ができます」

「残念だけど、無理だね…」

 

できたとしてもコイツの本拠地に行く気なんて微塵も無いが。

と、その時黒服の言葉を聞いたレパルドの瞳が僅かに見開かれた

 

 

 

『ホシ、ノ…?小鳥遊ホシノ…そうか、知らないはずだが…聞き覚えはある。とすれば、さっきの獣耳…』

 

直後刺すような威圧感が消えていく、どうやら今この瞬間戦意を失ったようだ

そしてスイッチが切れたように彼の手から刀がカランと床へ落ちる

 

それまで何かの冗談のように向かってきた不死身のような剣士、その命の糸がたった今切れたのだとホシノは理解した

 

 

 

『見事だホシノ…子供でありながら、よくこの私を討った』

「げほっ…死ぬ前に答えて。…あなたはなんなの?アビドスで何をしてたの?どうして…ギュメイ先生と同じ姿をしているの?」

 

 

 

もう互いに時間がない。私は意識を保つのがやっとだし、レパルドもすぐに死ぬだろう。

だが質問を絞ろうにも疑問点が多すぎて絞れない、せめて正体は知らなければ…

 

 

 

『──私は…創造神の腕…封印を打ち破り、世界に…破壊と死を振り撒く腕だ

この身体も、ただ振るうためだけのもの…一方的な模倣に…過ぎない』

「答えになってない!目的はなんなの!」

 

 

 

『腕なのだ、私は…だがキヴォトスは…グランゼニスの関与しない世界…

ここは…私が破壊と死を振り撒く世界では、ない…

やはり…こちらの神と関係のない世界に、次の剣神は、生まれない…』

 

 

 

まるで会話が噛み合わないし言っていることも意味不明だ。でもギュメイ先生と瓜二つなら彼と無関係ということも考えづらい

 

 

 

『な、ならば…私は、帰らな、ければ…元の世界は無理でも、せめて2人の元に…

封印が解けたとて、役目を果たせぬの、ならば、意味は…ない…』

 

 

 

揺らぐ。命の灯火が消えてゆく。

【破壊すべき世界に戻る】…

彼の中にあるのはその一点のみのはず。

だがなぜか、それとは別に帰る場所があったような気がしてならない

 

 

 

『──小鳥遊、ホシノ。頼みがある』

「頼み?」

『もし、この先…砂狼シロコと…会うことがあれば…伝えて欲しい…

感謝と、謝罪を…』

「っ?なんでお前がシロコちゃんにそんなことを…?」

『…なぜ、だろうか』

 

 

 

困惑する小鳥遊ホシノ同様、私自身理解できていない。だが…

伝えねばならぬ、そんな気がしてならないのだ

 

 

 

もはや流れる血も枯渇し、抜ける力のまま壁を背に預けて座り込む

『神の……在り方……』

 

 

 

私は、これでよかったのか?私は、神として正しかったのか?

 

『正しき者を守るために悪しき者を滅ぼさねばならない』…だが人間はその『正しき者』など存在しない失敗作だ。

 

故にそれが支配する世界に破壊と死を。その考え自体は変わっていない、ただここに来て記憶の片隅にいる誰かが《否》と突きつけてきているのだ

 

──だめだ、人を導くモノに神が教えを乞うなど…そんな選択は間違っている。

だがそれでも、聞かずにはいられない

どうか頼む、答えを、教えてくれ

 

 

 

『…………ナ……テ…』

 

 

 

神の一部であり剣神だった男は混濁する意識と記憶の中、ホシノたちの目の前でゆっくりと瞳を閉じ、そして──

 

 

 

──静かに息絶えた

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「──以上が『真っ先にギュメイ先生へ必ず伝える』という契約の元、小鳥遊ホシノから聞き出した情報の全てです」

 

 

 

黒服の説明が終わると同時に深くため息をつくゲルニック

そのため息には様々な感情が含まれてはいるものの、どれも良いものではないだろう

 

 

 

「やれやれ、ワタクシが来てもダンマリだった理由はそれですか」

「ホシノは?今どこだ」

本拠(ここ)での治療は終わったのでゲヘナ救急医学部にギュメイ先生の名前で護送させていただきました。

別にここでも治療はできますが…ギュメイ先生、あなたにとってはこちらの方が安心でしょう」

「……そうだな」

 

 

 

その後女神の果実やレパルドについて少しの議論を交わしたのちにギュメイたちは黒服と別れ、シャーレへと戻った

無論、色彩ペロロジラ襲撃とレパルドの残した被害の後始末のためである

 

 

 

「…やれやれ」

 

 

 

机に向かって書類の山を片付けながら頭を抱えるギュメイ

 

レッドウィンターから戻ってきた途端これか…結果論だがユメと喧嘩別れをしたのは良かった、ホシノの話をするのはもう少し落ち着いてからの方がいい

 

ユメは誰にでも優しいが特にアビドスの仲間──特にホシノに関しては過保護と言ってもいいくらい構い倒している節がある。

 

そのホシノが重傷で倒れたのだ。伝えるにしてもゲマトリアの本拠などではなく、アビドスの教室でシロコ達と一緒に聞かせるのがいいだろう

 

 

 

「…大人しく着いてきてくれるかは、分からないが」

隣にいても一切喋らず、また顔を合わせることもなく、ツンとして黙々と書類を捌き続けるユメの横顔を見ながら、ギュメイは再度ため息をつくのだった




最後の最後にメモが消えるってなんなの…と思った作者のルルザムートです、ハイ。
半日で4000文字戻した自分って結構すごいのでは…?などと思っていますがメモの管理をしっかりしてたらこうはならなかったので単純にカスですねハイ。

とりあえず今日から1週間使ってサブストーリーを書いていきます。基本的にギュメイ視点で。主人公の不在がただでさえ長かったのでね
それとレッドウィンター編で書くと言っていたユメとアウルの武器設定を載せておきます。慌てすぎてて危うく忘れるところだった…

▽▲▽▲▽

アウルとユメの銃について


【ダイブ・トゥ・ホープ】

アビドスカジノの一戦にてユメに狙撃手の才覚を見たアウルが作らせたボルトアクション式狙撃銃。
主に砂漠地帯での運用を考えて作られており、制作に関わったトリニティの職人によれば砂嵐の中でも問題なく撃てる代物とのこと

正直盾と一緒に持ち歩く武器種では無いはずなのだがユメ曰く『1番手に馴染む銃』らしい

またダイブ・トゥ・ホープという名前はユメによる命名。
辛いことや苦しいこともあるが、それだけじゃないと仲間達に、そしてこれから出会うであろう人たちに伝えるため彼女は今日も前を向く

【飛び込め、そこに希望はある】




【キングダム】

アウルがナギサに正体を打ち明けた時に受け取った半自動式狙撃銃。
ライフルではあるが非力な彼女が扱うためにかなりの軽量化改造が施されており、結果性能が大幅に低下。狙撃銃としては割と致命的な欠陥をいくつも抱えている

とはいえ『生徒が銃を持たないのはおかしいから』という理由だけで所持しているに過ぎず、アウル自身まるでアテにしていないため問題はないようだ
銃本体には指向性マイクや高倍率スコープも取り付けられているようでむしろ本命はこちらと言えるだろう

また銃に付けられた名前、その真意について知るものは誰もいない
命名者のアウル以外にはーー

▽▲▽▲▽

それではまた次章…!
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