ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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グレイナルがドミールで隠居したおじいちゃんみたいな接し方をされていたからバルボロスももっと人間臭くていいと思うの。
サブストーリー編 第7話です、お楽しみください


闇属性メイド

我とケイが密談している間【慈愛の怪盗】の予告状を解読したユズにより、怪盗の狙いと大まかな出現時刻が絞り込めた

 

肝心の狙われている美術品については分からなかったものの、そこは依頼者である明太郎氏が指し示してくれた

 

明後日のオークションで出品される絵画…それを怪盗から守ればいいらしい

 

 

 

「……………叙任式、か」

『おや、何か思い入れが?』

「この絵自体には無い、思い入れがあるのは内容だ」

 

 

 

ちょっかいをかけに来た大賢者を押し除け、守ってほしいと言われたその絵へ我は吸い込まれるように見入る

 

ギュメイには芸術への理解はまるでないが絵の中で行われている叙任式はかつてガナンで執り行われたものをよく思い出させた

 

絵と違い、我のは騎士ではなく将軍任命の叙任式であったが…そうだ、この絵の騎士と同じようにしてガナサダイ皇帝陛下からこの刀を賜った

 

腰の【魔剣士の刀】に視線を落としながらかつての光景を脳裏に呼び起こす

 

陛下から我への信頼、そして我が陛下に捧げる忠義、その証となるのがこの刀…ふふ、まさか異世界に来てまでこの刀を振ることになるとは思わなかったが

 

 

 

「…それにしても」

 

 

 

このままでは永遠に思い出へ浸ってしまいそうな自分を律し、現状を振り返る

 

慈愛の怪盗…ワカモと同じ七囚人…ケイとバルボロスがいるとはいえゲーム開発部には荷が重い相手だと思っていたが彼女達にとってはそうではないようだ

 

 

 

「ね、ねぇ…ホントに大丈夫?相手は七囚人だよ?私たちでどうにかできる次元を超えてると思うんだけど…」

「もーまたその話?大丈夫だって!七囚人は手強いだろうけどペロロジラより強いはずないんだしさ!」

 

「お姉ちゃん…まぁ、それは、そうだけど…」

『油断は禁物です。七囚人にもペロロジラを撃破したミレニアム生達が警護に入ったことは知られているでしょう、楽観視はやめなさいミドリ、モモイ』

 

「大丈夫です!いざとなればアリスとバルボロスの竜者メイドコンビで怪盗をやっつけます!」

『・・・アリスよ、私をメイドでカウントするのはやめてくれ…』

 

 

 

昨日の夜から夜通し警備と掃除をしているとは思えないほど元気なゲーム開発部。

 

当初は『倒す必要はない、怪盗からお宝を守り抜け!』というスタンスだったはずが『ペロロジラを倒した私たちなら余裕でボコれるんじゃない???』というモモイの無責任な発言でみなよくない方向に張り切っている

 

 

 

いざとなれば割って入るつもりではあるがもし本当に怪盗の戦闘能力がワカモ並だった場合、今の身体でどこまで止められるか…

 

どちらにせよ怪盗と対峙しないことには始まらない、望み薄ではあるが対話での解決を視野にいれよう

 

 

 

やがて出現予測時刻を回ったものの何事も起こらず、予定通りパーティが開催された

ギュメイは七囚人が現れた時のためにパーティ会場には入っておらず、それまでの間参加者達の対応は彼女らがすることになるのだが──

 

 

 

「おい、グラスが空いたままじゃないか。いつになったら注いでくれるんだ?」

「え?あ、ごめ──申し訳ありません。すぐにお持ちいたします」

 

 

 

あまりの混雑ぶりモモイ達もほぼパニック状態で接客をしている

そもそも彼女達はメイドの経験などない、ただでさえ高い能力を求められる富豪が集まるパーティでゲーム開発部がもたつくことなど分かりきっていたことだが客にとっては関係ない

 

 

 

「おい!こんなところに皿が落ちてるじゃないか!危ないだろ、早くなんとかしてくれ!」

 

 

 

床を指差し『さっさと片付けろ』とアリスに怒鳴るパーティ客。

だがアリスも他の客の対応に追われて動けない

 

 

 

「も、申し訳ありません!ですがアリスは他のお客様の対応が…」

「言い訳はそれだけか?私を誰だと思ってるんだ!」

「う、うぅ…」

 

 

 

仕方なく対応中の客を待たせ、怒鳴る客の方へと向かうアリス

が、それより早く間に割り込むメイド(?)がいた

 

 

 

『お客様』

「なんだ、いいからさっさと──ひぃっ…!?」

 

 

 

全身から隠しきれないレベルの闇の力を隆起させ、紫色のオーラを纏ったモモイ──ではなくバルボロスが詰め寄っていた

 

モモイの姿をコピーしているとはいえナイフで縦に裂いたようなドラゴンの瞳と口元から僅かに漏れ出す闇の炎は相手を威圧するには充分で…

 

 

 

「く、な、なんだその態度は!私を誰だと『あなたがどなたかは存じ上げませんが少なくともわざわざ皿を床に置いて使用人に難癖をつけようとする低俗な成金を相手にするようには申し受けておりません』

(※パーティ客は全員接客しろと追われているのでこれはバルボロスの嘘です)

 

「なっ…私が自分でこの皿を床に置いたとでも言うのか!?」

『そうですが?動画もあるので間違いないかと。…ここは本物の富豪が集まる会場です、あなたにお売りする美術品はありませんのでもうお帰りください』

 

「く!ふざけるな!使用人の分際で

『この場で焼け死にたいのか?』ボソッ

 

 

 

もはや犯罪レベルの恐喝で難癖客を追い出したバルボロス。その姿はまごうことなきヴィランである

…メイド服を纏ったヴィランというのもおかしな話だが。

 

 

 

『上々ですバルボロス、次はあの猫の獣人をお願いします』

『・・・ケイ、いくらなんでもこれはやりすぎではないか?やっていることがただのバイトテロだぞ』

 

 

 

カシャカシャと足音を鳴らしながらよくやったと褒めてくるケイにバルボロスは困惑を隠せない

いくら竜とはいえ使用人がとってはいけない行動だというのはよく分かることだからだ

 

 

 

『バイトテロ…闇竜がどこでそんな言葉を覚え──どうせモモイでしょうね

…というか知ったことではありません。給金が入らなかろうがミレニアムの評判が落ちようが関係ない。アリスに仇なすなら全て敵です』

『・・・・・』

 

 

 

このキラーマシン、どこまでいってもアリスの保護者である

バルボロスも大切な竜戦士であり、仲間の1人として庇護欲がアリスに向いているが流石にここまでのはない

 

 

 

『…それにこのパーティは妙におかしいです』

『? 特に違和感はないが。』

 

『いえ富裕層が集まる場所にしては個人個人の品性が欠如している。』

『それは単純に私たちの接客が下手で怒らせているだけだろう』

『そう、でしょうか…』

 

『いやいやいや!キミたち強気すぎでしょ、人の心とか──あ、竜と機械かキミたち』

『うるさいです大賢者』『黙れ大賢者』

『ひどいよーボクこれでも世界を救った賢者なのにー』クシクシ

 

 

 

竜にマシンに本、字面だけでも意味の分からないトリオの爆進撃が止まらない

当然雇い主である明太郎も噴火直前だったが謎のメイド加入により、その炎は次第に鎮火していくのだった…




当初バルボロスの人間体をモモイコピーにするかユズコピーにするか迷っていたがモモイにしてよかったかな?と今も悩んでいる作者のルルザムートです、ハイ。

今更ですがバルボロスの人間体について。
非戦闘時、また闇竜の全力が必要無い通常戦闘時、彼はアリスがアビドスカジノで手に入れた変化の杖を使ってモモイの姿に変身して過ごしています

見かけはまんまモモイですが違いとしては、モモイのアクセサリーや服装が桃色、白色だったのに対しバルボロスは黒と紫。
またアクセサリーの耳が消え、尻尾は猫ではなくドラゴンのようなゴツイものがついています(モモイのはアクセサリーですが彼のは当然自前です)

また瞳もモモイのようなまんまるキラキラというわけではなく、ナイフで縦に裂いた跡のような爬虫類のイメージです
それがメイド服来てメチャクチャに威圧してくるんですから怖いに決まっているんだよなぁ

それではまた明日…
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